メキシコ・シティの中心街、セントロ・イストリコ(Centro Histo'rico=歴史地区)は、植民地時代
の町並みが現在でも保存されている。数年前は老朽化の激しかった建物もあったが、近年、建物の修復や
道路(石畳)の修理によって、この地域は非常にきれいになった。このセントロにあってひときわ人々の
目を引く建築物が、この「タイルの家」である。この建物は、Valle de Orizaba(バジェ・デ・オリサバ)伯爵の邸宅
として植民地時代に建設され、壁一面にはプエブラ産のタイルが張られ「マジョリカ焼きの家」ともいわれた。
「スペイン旅日記」のカルモーナという町のところで書いたが、「タイルの家」には、かつて仙台藩主伊達正宗の
命によってヨーロッパへ渡った慶長遣欧使節の支倉常長一行が、1614年に滞在したところである。日本を出発
した一行はマニラを経てアカプルコに上陸し、メキシコ・シティからベラクルス、そして大西洋をわたって
ヨーロッパに到着した。その後、マドリードでスペイン国王と、ローマでは教皇と謁見して仙台にもどっている。
「タイルの家」は、現在、メキシコに何軒もの店をもつSanborn's(サンボーンズ)という百貨店の本店となって
いる。サンボーンズには、本や雑誌、CD、時計やアクセサリー、家電製品や民芸品、タバコやおもちゃ
などの小物や雑貨などが売られている。同時にレストランとバーを併設しているところが多い。レストランでの
食事は必ずしも安いわけではないが、いつも客でにぎわっている。「タイルの家」では、パティオがレストラン
となっており、ほかに本屋、カフェテリア、雑貨屋、薬局などがある。2階にあがる階段の上の壁には、Jose'
Clemente Orozco(ホセ・クレメンテ・オロスコ)の壁画がある。
la Casa de Azulejos(ラ・カサ・デ・アスレホス) |