背景

ケイ素は、地殻を形成している元素として地球上どこにでも豊富に存在するため(地球上の元素で酸素原子に次いで最も多い元素)、資源の乏しい日本のような国でさえ十分に資源を獲得できます。また、ケイ素は炭素と同属であるため、炭素系材料と類似の反応を用いた材料設計ができるとともに、炭素にはない反応性も持ち合わせているため、それらを利用した新反応の開発、それに伴う新材料の開発が可能であります。そのため、これまでに世界中の研究者らによってケイ素系化合物の合成反応、物性評価、材料開発に関する研究が数多くなされてまいりました。このような背景のもと、3年ごとに「有機ケイ素化学国際会議 (International Symposium on Organosilicon Chemistry (ISOS) )」が開催されています。

本ワークショップは、1999年に仙台で開催された「第12回有機ケイ素化学国際会議」のポストミーティングとして始まり、 その第1回大会は 石川県・北陸先端科学技術大学院大学の主催により開催されました。 この第1回ワークショップは、日本国内のみならず、世界各国からケイ素化学および含ケイ素高分子に関連する著名な 講師の先生方をお招きし、参加者総勢100名以上というポストミーティングとしては比較的大規模なワークショップとなり 成功裏のうちに幕を綴じることができました。この成功をきっかけに、本ワークショップはポストミーティングとしてではなく、 独立した国際会議として、また、その討論内容も含ケイ素高分子にのみ絞り込み、隔年で開催することが決定され、 2001年、イギリス・ケント大学第2回大会が開催されました。
(次回のISPO2005は、オーストラリアで Janis Matisons (Flinders Univ.) 教授によって開催される予定です。詳細は、ISPO2003開催期間中にお知らせ申し上げます、)

この「含ケイ素高分子に関する国際ワークショップ」は、含ケイ素高分子群に関心をもつ研究者らが集まり、最新の研究成果を討論しあうことを目的としております。含ケイ素高分子として最も実用応用されているものとして、オイルやゴム、パッキング材料などに利用されているポリシロキサン(「シリコーン」)がございますが、ポリシロキサンを用いた液晶性高分子や触媒担体、耐熱性絶縁性高分子など、その用途は現在も拡張し続けており、さらにデンドリマーやハイパーブランチポリマーのように構造制御を行う研究も行われております。また、この他にも、導電性材料や非線形光学材料、レジスト材料、セラミック前駆体材料などへの応用が期待されるポリシランやポリカルボシラン、ポリシラザンなどの開発研究も活発に行われております()。本ワークショップでは、含ケイ素高分子を研究する世界各国の著名な先生方をアドバイザーとして選出し、先生方からのご指導ご鞭撻の元に運営されております。含ケイ素高分子にご興味のございます研究者の皆様には、万障お繰り合わせの上、ご出席いただきますようお願い申し上げます。また、参加登録費の学生割引やキャンパス内の安価な宿泊施設もご用意しております。大学の研究室の先生方には、ぜひ所属学生にもお声をおかけくださいますようお願い申し上げます。

* see, for example: "Silicon-Containing Polymers: The Science and Technology of Their Synthesis and Applications", Kluwer Publ. Co., W. Ando, J. Chojnowski and R. Jones, eds., (2000). http://www.wkap.nl/prod/b/1-4020-0348-X