分子細胞情報学セミナー
◎平成23年6月15日(水) 17:30~18:30
「加齢黄斑変性の病態と治療」
五味 文 博士 (大阪大学 眼科学教室)
【要旨】
加齢黄斑変性は近年増加しつつある疾患で、特に欧米では中高年者の視覚障害の主要因となる。急速な進行をきたすのは滲出型と呼ばれるタイプで、網膜黄斑下に脈絡膜から新生血管が進展し、出血や網膜剥離などを起こして、視力低下に至る。患者数の多さから治療薬の研究が爆発的に進み、最初に認可された薬剤は光線力学的療法に用いられる光感受性物質であったが、現在の治療の主体は、脈絡膜新生血管を標的とした抗VEGF療法である。当日は、加齢黄斑変性の発症メカニズムについて現在までに分かっていることを紹介するとともに、現行の治療とその限界についてお示しする。