分子細胞情報学セミナー
◎平成24年3月9日(金) 17:00~18:00
「転写因子による骨格形成の制御機構」
西村 理行 准教授 (大阪大学大学院歯学研究科 生化学教室)
【要旨】
脊髄動物の骨格は、膜性骨化と内軟骨性骨化の二つの様式によって形成されている。膜性骨化および骨芽細胞分化には、転写因子Runx2およびOsterixが必要不可欠である。Runx2は、Osterixの上流で機能していることが明らかにされつつあるが、Runx2およびOsterixの標的遺伝子は未だ不明である。一方、内軟骨性骨形成過程においては、転写因子Sox9が必須的役割を果たしていることが明らかにされている。その肥大化過程では、Runx2/Runx3が必要不可欠であることが示されている。しかしながら、Sox9とRunx2/3との相互関係は明らかにされていない。このように骨格形成に関与する転写因子が同定されてきたが、これら転写因子が構築している時空間的ネットワークについては、未だ不明な点が多々残されている。そこで今回は、私たちの最新の知見を交えながら、転写因子による骨格形成の制御機構について概説したい。