分子細胞情報学セミナー
◎平成25年10月29日(火) 17:00~18:00
「Bリンパ球の選択・分化とUPR」
鍔田 武志 先生 (東京医科歯科大学 難治疾患研究所 免疫疾患分野 教授)
【要旨】
Bリンパ球は活性化・分化することにより、抗体産生細胞であるプラズマ細胞に分化する。抗体は感染防御に必須であるが、自己免疫疾患やアレルギーの発症にも関与し、正常な免疫システムの維持には微生物抗原に反応したBリンパ球のみが活性化し、自己に反応するBリンパ球が細胞死などにより除去や不活化を受ける必要がある。Unfolded protein response (UPR)は、タンパク合成の増大などで小胞体にミスフォールドタンパクが蓄積した際にストレスを軽減する応答で、抗体タンパク産生が増大するプラズマ細胞への分化に必須の細胞応答である。我々は、Bリンパ球の選択に関わるとされる抗原受容体を介するBリンパ球アポトーシスの際にUPRがおこることを明らかにし、プラズマ細胞分化以外にもUPRが関与することを示した。また、Bリンパ球の初期分化におけるUPRの関与を示唆する知見が得られている。