熊の棲む森を歩く!!!

お疲れモードのはまださん の図

臥龍山
標高 1223.4メートル
ぶなとつきのわぐまで有名な山。千町原からの眺めは、美しい。


今年の紅葉
10月25日(日)は,まさに山日和と言いたいくらいのよい天気。
だから,臥龍山登山口に,大型バス2台が止まっていても
「しょうがない」とちょっとあきらめ加減・・・・。
それでも,みんな一度は口にする。
「今年の紅葉は,いまいち。」
すすきの間に立つかんぼく(スイカズラ科)の赤い実がひときわ鮮やかに見える。
10時20分、山歩きスタート。


クマザサ〜赤松
右側からせせらぎの音,左からうぐいすの地鳴きが響く山道を
自然観察会のいつものペースに比べると少し早めのペースで歩く。
さすがにシーズンなので,クモの巣が顔にひっつくなんてことがない。
しおで(ユリ科シオデ属)、ちごゆり(ユリ科チゴユリ属)の黄色くなりはじめた
葉が寒そうに残っている。
なんだか、チゴユリの葉が花の頃より大きいぞ。
「ユリの仲間は、花が終わってから養分を溜めるために葉が大きくなるんだよ。」
納得。
くまざさが途切れてくるとそろそろ赤松や、
赤い実をぶらぶらとぶら下げたおとこようぞめ(スイカズラ科)、
赤褐色の木肌がきれいななつつばき(ツバキ科)やりょうぶ(リョウブ科)
青い実をつけたさわふたぎ(ハイノキ科)などの木が多くなり、
道が木陰になっている場所が多くなる。
うわみずざくら(バラ科)の木肌は横縞の模様が美しいのに、
幹には、縦にいくつもの裂け目が入っていたが
それはよく見ると、自然に裂けた跡ではない。
「おお、これって、熊の爪あとだ。」
うわみずざくらの実は(人間が食べてもそれなりにおいしいが)熊の大好物。
そういえば、くまのプーさんはハチミツが大好物だった。
熊って、甘いもの好きなのだろうか?


今年のカエデ
標高が少し高くなると、いたやかえで(カエデ科)、
はうちわかえで(カエデ科)、うりはだかえで(カエデ科)など
カエデの木が増えてきて、地面の落ち葉も増えてくる。
いつもの年ならカラフルなんだろうけどねえ、
と言いつつ、紅葉と言うよりも茶色く枯れている葉を拾う。
なぜか、一枝だけ見事に紅葉している木を見かける。
日当たりのせいだろうか?
山の北側の斜面だそうで、太さが10センチもありそうな木でも
雪の重みで撓んだ状態で育っている。
木も大変なんだなー。
かしわによく似た、みずなら(ブナ科)の葉も多い。
でも、臥龍山の名水「雪霊水(せつれいすい)」を汲みに来た人が
自動車のドアを開け閉めする音が聞こえるくらいまで登ると
もう、落ち葉はぶな(ブナ科)ばっかりになる。
「これは、感心しながら見る実です。」
「ほお。」
黒いほおのき(モクレン科)の実を見つけた人がいた。
12時5分、雪霊水の湧き出している場所に到着。
頂上まで、もう一息。


最後の15分
雪霊水の湧き出している場所から、頂上までは時間にして15分。
しかし、知っている人は、最初からこの15分の恐怖におびえる。
というのも、ここからはノンストップで急な斜面を登るからである。
(何事も、つめが厳しい。)
今回は、一部階段も整備されて、前よりは楽になっていた。
途中、甘いけどくせのある香りが漂っている。
よくみると、なぎなたこうじゅ(シソ科ナギナタコウジュ属)の
ドライフラワーがふらふらと揺れて、独特の匂いをふりまいていた。


お弁当の後で
頂上での楽しみといえば、一服の抹茶。
自分ではとても持って歩けないが、
魔法瓶と茶道具をリュックにいれて、山を登る
お茶人がいらっしゃるこそ味わえる幸せをいただく。
今回は自然観察会定例観察会なので、お弁当の後で、青空勉強会。
ブナは、「木偏に無い」という漢字を書くけれども、
家具、建材のような生活に直接関わるものから、
地面の保水力を高めるような、環境に関わることまで、
幅広い意味で、有用な木だということを知った。
おいしい雪霊水の源も、このブナ林なんだなあ。


ブナ林
と言っても、台風19号で山頂付近の大きな木は、倒れてしまっているらしく、
明るい山道を歩いていると、気分は「近所の裏山の雑木林」。
あまり、標高の高さの実感がわかない。
それでも、暖かい南側の斜面らしくブナの木は
まっすぐに、すくすくと伸びている。
登りで見かけた屈折した木が、ちょっとかわいそうになった。
こっちに生えていれば、素直に育ったのに・・・・。
降り続く雨を吸収して、自分の重みをささえきれなくなったきのこが
幹から剥がれてブナの根元にぼとぼと落ちていた。


これが熊棚です



熊棚
それは、想像以上に細い木で、しかも高い位置にできていた。
熊棚とは、熊が木の上に登って枝を折って木の実を食べて、残った枝を
お尻の下に敷いてしまうのでできるでっかい鳥の巣状のもの。
ほとんど葉の落ちているうわみずざくら(バラ科)の木の
かなり上の方にできていた。
「食べ散らかさないなんて、意外と上品なのねえ。」
とは、一緒に歩いていた人の感想。
アスファルトの林道は、自動車に踏み潰されたブナの実に覆われていた。

15時30分、予定通り自動車に到着。
さすがの時間配分と、ルートだった。

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