(注)これは,広島自然観察会会報「どんぐりの芽」に掲載された定例観察会報告の写しです。 |
4月18日(日) 石ケ谷峡
前日からの大雨にもかかわらず,
当然のように集合場所に集まっていた人は36名。
さすがに,ここまで雨がひどいと広島自然観察会貸切状態で,
他に訪れている人は一人もいない。
事務局一部交代で新メンバーの紹介があった後
10時過ぎ,さっそく雨の石ケ谷峡へと向かった。
10歩も歩かないうちに,いきなり「おおー。」と声が上がった。
うす紫色のトキワイカリソウ(メギ科イカリソウ属)のお花畑が
駐車場付近の斜面から杉林の下にかけて広がっていた。
加藤先生が「ヒガンバナ(ヒガンバナ科ヒガンバナ属)の葉が枯れかかっているね。」
と言われた。
しかし,花しか記憶にないので
「枯れかかっている葉」と言われても
土手一面を覆っている細長い葉と彼岸花が結びつかない。
「うんうん。」とうなずいている私の周りの人達には
秋の一面真っ赤な花で覆われた風景が
目の前に浮かんでいるようだ。
人の手で草刈が行われている場所だからこそ自生している
植物というのもたくさんあるそうで,
斜面を覆っているヒガンバナやトキワイカリソウも
下草刈が行われているので広い範囲で花を咲かせることができる。
川沿いの道にでて,石ケ谷川を見てみると雨で増水していても,
ほとんど濁ってないせいであまり水量が増えているようには見えない。
上流に田んぼがないせいだと説明があったが
土や養分の混じった水がほとんど流れ込まないということは
植物にとってはあまりいい環境とはいえないらしい。
川下ではたくさん花を咲かせていたコバノミツバツツジ(ツツジ科ツツジ属)は夕立滝の手前からは
ほとんど見かけなくなり,同じようなピンクでも,ちょっと濃いピンク色で
花びらが丸っこいゲンカイツツジ(ツツジ科ツツジ属)が増えてきた。
ゲンカイツツジが岩場を好む花だそうで,
思わず「なにもそんな冷えそうな場所を・・・。」と言いたくなるような
岩場に生えていた。
11時25分,夕立滝に到着。
実物を見ながら,加藤先生から「模式図付き」で(この時点で,雨はまだ降り続いていた。)
ヤマグルマ(ヤマグルマ科ヤマグルマ属)の仮道管の仕組みについて説明を受けた。
葉の付き方や花の形の違いもいろいろあるけど,ミクロの世界で見ると
さらにいろいろな違いがあるものだ。
さらに12時頃まで川沿いの道を上流へ向かって上り,ツノハシバミ(カバノキ科ハシバミ属)の
小さな赤い雌花を最後にUターンした。
ツノハシバミの近くにはブナ科の木が何種類かあり
「これがツクバネガシで,こっちがウラジロガシ。」と教えてもらった。
が,たぶん次に見るときはどれも同じに見えてしまうだろう・・・・とちょっとあきらめ加減。
13時をちょっと過ぎて,朝の集合場所に帰って来た頃には,雨が止んた。
真新しい東屋もできていたので,快適に昼ご飯を食べて,14時解散。
ちょうど,杉林の中でアオゲラが「ヒューヒュー」と
気の抜けた笛の音のような鳴声で見送ってくれた。
<おまけ>
オプションで大福寺付近のカタクリの自生地観察があった。
「こんなに近くでカタクリが楽しめるなんて!!」
とほとんどの人がこの臨時企画に参加。
総領町のセツブンソウのように有名ではないけど,地元の人達は下草を刈って大事に花を
守っているそうだ。
他にも,イチリンソウやヤマエンゴサクなどが
咲いている原っぱを見て,
(まだまだ自然と人間は仲良しなんだと思ったのは私だけかもしれないが)
参加者はみんなハッピーな気分で帰路についた。
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