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◆ 島根大学・寧夏大学国際共同研究所からの近況報告 |
神田 嘉文様
私は昨年の4月に、島根大学が中国寧夏回族自治区にある寧夏大学と共同で設置した≪島根大学・寧夏大学国際共同研究所≫の現地駐在スタッフに採用され、6月2日に現地に赴任しました。ちょうど1年が経ちました。寧夏回族自治区は皆様にはあまりなじみのないとろだと思いますが、私にとっては1998年から3年間日本語教師をしたところでもあります。 寧夏回族自治区は、海南省についで小さな省(自治区)で、位置はちょうど西安市の北にあります。黄河のほとりにある区都銀川市は人口約100万人の大都市ですが、南部の山間部は海抜が約2,000mで、甘粛省、陝西省に広がる広大な黄土高原の一部です。高原と入っても多くの山々が連なっており、そのほとんどが禿山で、長年にわたって少しの雨でも表土が流出したために、不毛の大地と化しています。そこには回族(イスラム教を信仰する中国人)の人々が多く住み着いており、中国政府が指定する特別貧困対策地域でもあります。 私どもの研究所の主要な研究対象は、この黄土高原の「三農」問題解決と生態環境の建設です。 私の主な仕事は、島根大学の研究者への情報収集と研究サポートですが、会計処理などの事務的な仕事を一手に引き受けながら、ネットから役立ちそうな情報を拾ってきて中国人の通訳さんに翻訳してもらい、その翻訳文を日本語らしい文章に直して島根大学に送る日々です。私自身の研究テーマは大学院時代と同じ「地域住民自治組織と住民自治の実態」ですが、今のところそれに取組む時間がないのが実態です。また、中国語の勉強時間もままならず、日常生活では何とかできていますが、一向にに進歩していません。
今年は、島根大学の研究者がはじめて寧夏の地に足を踏み入れ、寧夏の研究者と共同研究をはじめて20年になるために「共同研究20周年記念誌」の発刊(9月)と国際シンポジウム(10月)を開催しますので今その準備に追われています。
近況は以上です。
なお、島根大学のホームページに当研究所のHPがありますので暇がありましたら一度見てみてください。「寧夏点描」というコラムを書いています。( もっともこの一月からは忙しくて書いていませんが。)
※寧夏南部山間地域は、黄土高原に属し、年間降水量が300ミリ以下という乾燥地帯で、中国政府の特別貧困対策地域に指定されているところです。イスラム教を信仰する回族に人々が多く居住している地域でもあります。黄土高原は、甘粛省、陝西省、山西省のまたがる広大な面積で、毛沢東の革命の聖地として有名な延安は、寧夏のとなりの甘粛省にあり、研究所がある寧夏・銀川市からバスで5時間ほどの同じ黄土高原にあります。
(2007年8月寄稿)
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