




|
鈴木 宏様
(鈴木氏は前列右から2人目)

2006年4月にドイツ デュッセルドルフにある欧州統括会社の人事部門に派遣され、今年で4度目の夏をドイツで迎えています。日本からの出向者管理からスタートし、仕事に慣れるに従い担当を拡大し欧州全体の人事戦略構築および人事施策の展開、また日本の人事戦略と欧州の人事戦略のリエゾンに業務の中心が移りました。途中2年弱は私自身の力を試しかつ成長の機会を求めベルギーの別の子会社に出向し人事・総務を総括する仕事につきました。家族とともにドイツに赴任したものの家族はデュッセルドルフに残したまま、ベルギーの会社近くのアントワープで週内単身赴任生活を経験しました。
ドイツとベルギーは隣同士の国でまたデュッセルドルフとアントワープとの距離は約200kmしかありません。一方で話す言葉も違えば、服装のセンスも違い、料理やお酒の味や好みも違い、仕事や生活のスタイル、コミュニケーションのとり方にも違いがあります。例えば料理やお酒については、私見を超えてベルギーがドイツをはるかに上回ります。アントワープでは毎日の食事がとても楽しみで、食事のことを考えるだけでワクワクします。一方でドイツでは外食をする場合、ドイツ料理を選択する回数はきわめて限られます。それなりに食べられはしますが、食べに行くのが楽しみにはなりません。お酒についてもドイツ、ベルギーともにビール大国ではありますが、ビールの種類ではベルギーがドイツをはるかに上回り、その洗練された味を覚えるとドイツビールはどうでもよくなりました(あくまでも私見です)。コミュニケーションのとり方についていえば、どちらも日本に比べて挨拶をよくする点に違いはありませんが、ベルギーではより親密度が増します。ベルギーでは握手をしたり、頬を何回かをくっつけて挨拶をする光景をよく目にします。私がベルギーの会社に朝出社してまず行うことは、部門の全員に握手をして回ることでした。そしてこれは帰宅時にも同様に行います。ドイツの会社もベルギーの会社もともに、休暇から帰ってきた人には「休暇はどうだった?」と尋ね話をきかせてもらいます。休暇から帰ってきた人は休暇について尋ねられることを当然と考え、それを話すことを楽しみにしているため尋ねられないことに違和感を感じるようです。ただ、ベルギーではドイツに比べて親密度がより増します。一方でとても興味深いこととして、ベルギーでは仕事の時間中の親密度はとても高いものの、仕事が終わると一緒に食事をしたり飲みに行くことはドイツに比して非常に少ないようです。ドイツでは日本ほどではないにしても、会社の仲間で飲みにいったり食事に行くということがあります。「チーム」といった言葉を聞いたり感じたりすることはドイツのほうがはるかに多いように思います。こんなこともあってか日本人にとってはドイツ人とのほうが仕事がしやすいように感じます。一方でドイツでは主張することがとても大切なため、例えば会議の流れの中で日本人なら不要と思う発言をドイツ人は躊躇することなく行います。これに慣れ、
対処を学ぶことがドイツ人と仕事をするうえではとても大切なように思います。
私はヨーロッパで仕事をするのは今回が2回目で、90年代にもドイツとベルギーで仕事をしたことがあります。両国ともに違和感なく馴染んでいくことができましたが、前回の赴任時はとにかくヨーロッパ中の有名な場所を片っ端から訪れることに大きな関心があり、今回はより深く生活を味わうことに関心があるという点で違いがありました。今は食事とお酒を楽しみ、ダンスと歌を学ぶ生活を送っています。また日本でやりたいことが漠然とはしているもののイメージされてきたため2010年年初には帰国する予定です
(2009年7月寄稿)
|
|
|