茶箱の不思議


お茶を始めた頃,茶箱の点前が苦手だった。
苦手というより,好きになれなかったという方が近いかもしれない。
小ぶりな道具を箱からせっせと出して,お茶を点てて,また元通りに箱に戻すっていうのが
なんか,性に合わん。
と思いつつも稽古をしていた。
卯の花,雪,月,花と習いすすむと,「あー,もーどれがどれかわからーん!!」
と,大パニックでさらに気持ち遠のく・・・・。
しかし,先生は「茶箱って,楽しいわねー。」と楽しそう。

なぜ?

ある日,おいしい水の湧いている渓谷を歩いた後のこと。

  とある茶人 「ここで,茶箱しましょう。あなた,お点前してね。」
  私 「ひえー,私茶箱無理なんですー。」
  茶人(慌てず騒がず) 「大丈夫よ。点前知ってる人少ないもの。」
  私 「・・・やります。」(妙に納得)

茶箱の中から道具を出していく動作は,広々とした山の中にいる時の気分によく合っていて
とても爽快。
仕舞っていく過程も,めんどくさいと思う暇もなく,茶箱の蓋が閉まった瞬間

無事に帰ったな。

と,安堵した。
こうして,茶箱の不思議を体験したのでした。
今茶箱は面白いけど,やっぱり点前は上達しません。ごめんなさい,先生・・・。

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