魚切ダムで見つけたトクダネ(下見編)


23日の祝日に11月29日(日)に開催される定例自然観察会の下見に行く、
という話を聞きつけて、私も参加させてもらうことにした。
この週末はなんと3連休で、23日はその最終日にあたるわけだが
勘違いをして「23日は、連休の中日だ。」と思いこんでいた。
気が付いていない私は当然、22日に早起きして、車に乗り込み
国道2号線を西へ向かったわけよ。これが。
途中で、41号線へ右折になければいけないところを見逃して、
渋滞に巻き込まれてしまった。ま、まずいー。
と、下見参加者のケータイに電話したところ、「ばかやろう、下見は明日だろ。」
そんなこんなで、2日かけて魚切ダムへ辿り着いた私でした。

ダム周辺
魚切ダムの完成は昭和56年3月。総貯水量8,460立方メートル。
子供の間に広がる怖い噂の舞台になる場所だが、緑色の水面にマガモや
ヒドリガモがのんびり泳いでいる様子は、そんな話とは無縁のよう。
10時魚切ダム管理事務所の前をスタート。
さっそく、「お、いそのき(クロウメモドキ科)。」と誰かが言った。
水の多いところでは、必ず名前を聞く。しかし、いまだに特徴がよく分からない。
ダムの堤にできている道を渡っていると、水面に浮かんだ発砲スチロールの浮きの上に
すすき(イネ科ススキ属)が生えていた。
「どんな干ばつでも、水にだけは苦労せんね。」と感心する。
のり面には、黒色の固そうな実を付けたうつぎ(ユキノシタ科)と、
カンガルーポウの小さいやつみたいな茶色い実を付けたやぶうつぎ(スイカズラ科)が
多い。
もう一種類、若い枝が赤くて、葉が対生している木が多いが、知っている人がいない。
「あさがら(エゴノキ科)にしちゃあ、ちょっと・・・。」
「なんか、葉の感じはみずきっぽいよなあ。」
と見かけるたびに、誰もが首をひねる。
「落葉図鑑」で調べた結果、くまのみずき(ミズキ科)という結論に達した。
ところで、枝って言うものは、私の知識の中だと上に向かって広がっているものだった。
つるぐみ(グミ科)は、下向きに枝が広がっている。
つる性の植物って、変わりものが多い。
より、好条件な住処を自分の力で生み出すたくましさとでも言おうか。
さらに、わいわいと時間をかけて歩き進むと、きぶし(キブシ科)が来年の春の花芽を
つけているのを見つけた。
きぶしの花は茶席で好まれるような地味な花だけど、よく見るとかわいいので
ファンは多い。
「来年が楽しみ。」と言っていると「あれ?花が咲いとるよ。」の声。
勘違いのおおぼけが、寒そうに咲いていた。
秋だと思えば、冬は背後に迫っているし、冬になったと思えば、
もう春の準備はできている。
季節の移り変わりは、なにかと気ぜわしい。

赤テープはあったけど・・・・
魚切の語源は、ダムの下にある次郎五郎滝という滝で魚が上流へ向かうのを
阻まれていたせいだ。
ということで、41号線を五日市方向へ少し下って
滝の方へ行ってみようということになった。交通量が多くて、歩道のない
道を歩いていると、目の前にトンネル。
半数の人は、さっさとトンネルに入っていかれたが、
半分は、トンネルの脇から山へ登っていくルートを選んだ。
私も、こっちのほうが近道のようだ。
ズルができると考えて、山へむかった。
ところが、トンネル付近では親切そうに階段までついていたルートは
山に入ったとたん、かなり急斜面の登りになり、おまけに前の方では
「あれー、道が途切れてるー。」と雄たけびが上がった。
まじ?
赤テープが巻いてある枝がところどころあるので、かつての道には
違いないだろうけど、なかなかの急斜面を降りる道らしい。
それでも、来た道を引き返すのもいやなので、テープに沿って道だったらしい
山の中をがしがし歩いていく。
ちょっとずつ、目的地につけるかも・・・・と思え始めた矢先に
今度は、フェンスに阻まれて道路にでられない。
おいおい。勘弁して。
「こっちにも、赤テープあるよ。」と後方から天の助けのような声が聞こえて
無事に道路に辿り着き、トンネル組と合流できた。
この間、約15分。
この日、もっとも盛り上がった出来事だったような気がする。

自動車の通るところはゴミが多い
昔は、遊園地だったらしい(いつの頃かは、聞いていない。)川沿いの道は
歩くと、ゴミが目につく。
自動車が入れるし、人目には触れないし、で、結構ゴミ捨てに来る人が
いるようだ。
しかし、ふゆいちご(バラ科)、ひよどりじょうご(ナス科ナス属)、
さねかずら(マツブサ科)など赤い実を実らせた植物や
しろもじ(クスノキ科)、しりぶかがしい(ブナ科)などの大きな木が
作っている美しい景色や、
みつでうらぼしなどのシダの仲間が個性的なデザインの葉を広げ、
ぜにごけ、じゃごけなどのこけがびっしりと生えた場所を見て、
魚切の自然の豊かさを実感する。
そんな場所をゴミに埋もれさせてしまうのは、とても惜しい。
雑誌を買ったり、服を買ったりすると、古いのはいらなくなって
一人分でも結構ゴミを出したりしている。
ここに捨てなくても、結局どこかの山の中をゴミで埋めてしまうような
生活をしているんだな、とゴミを見ながらふと思った。

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