泌尿器科禁忌・注意事項

1)精巣腫瘍の疑われる症例に針生検は禁忌である。
 針生検を行うと、癌組織からの血行性転移や局所播種の危険性が高く、行ってはいけません。精巣腫瘍の疑われる症例には、超音波検査によって精巣を検査するか、直ちに高位精巣摘除術を行います。

2)体外衝撃波結石破砕術は、出血傾向のある患者に行ってはならない。
 衝撃波による腎臓からの出血が高度となり、対応困難になります。また、腎被膜下血腫を生じる危険性もあります。

3)体外衝撃波結石破砕術は、妊婦、乳幼児には行ってはならない。
 衝撃波による安全性が確立されていない。

4)未治療の急性尿道・膀胱炎では、内視鏡検査(尿道膀胱鏡)は禁忌である。
 尿道膀胱鏡検査は急性炎症を増強させ、組織への器械的な(物理的な)損傷も起こりやすいので行ってはならない。

5)排尿困難のある患者に抗コリン剤や三環系抗うつ薬を投与すると尿閉になる危険性があるので注意する(避ける)。
 副交感神経遮断効果のため、利尿筋の収縮が起こりにくくなり、前立腺肥大症例では尿閉を来しやすくなります。

6)急性の尿閉患者には、利尿剤の投与をしてはならない。
 尿閉とは、膀胱内に尿が貯留しており、排尿できない状態です。膀胱壁は過伸展しており、そのような状態で利尿剤を投与することは膀胱破裂の危険性があるので、してはいけません。

7)外傷性の完全尿道断裂例には、カテーテル導尿は行ってはならない。
 尿道内のカテーテル操作によって断裂部位の損傷程度を増強、拡大させるので、まず透視下の尿道膀胱造影によって損傷の状態を把握するべきです。不可能なら、膀胱穿刺によって緊急的に処置すべきです。

8)前立腺癌に男性ホルモン剤を投与してはならない。
 男性ホルモンは、前立腺癌細胞の増殖を促進し、癌の進展を来します。

9)血尿患者に対症的な止血剤投与をしてはならない。
 血尿のみが生命予後に直ちに影響することは通常ない。血尿の原因を検索する事がまず重要である。

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