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植物のミトコンドリア関連変異体について -

目次

植物のミトコンドリアは細胞質の解糖系と協調し細胞内代謝の基盤を形成している。さらに葉緑体と協調して動物に見られない独自の重要な役割を果たしている。例として、葉緑体内の炭素固定代謝経路+光化学系とミトコンドリア代謝系の連携がある。ミトコンドリア機能が変化する突然変異によって、様々な形質が生じ観測される。特にシロイヌナズナで、ミトコンドリアに関連する核遺伝子の変異体が次々と見いだされている。それらについてまとめてみたい。

植物種の違いで差が見られる。タバコ、イネ、テンサイでは雄性不稔または稔性回復遺伝子によって変異体が見つけられている。シロイヌナズナにもそういうものがあるが、それ以外の形質から見いだされた変異体の方が多い。

シロイヌナズナには多数の核遺伝子変異による、ミトコンドリア関連変異体が見つかってきた。核遺伝子変異であるところが興味深いところで、最近は動物でもミトコンドリアを制御する核遺伝子に注目が集まっているらしい。   http://www.biol.tsukuba.ac.jp/~jih-kzt/   筑波大学 中田教授の研究室  http://www.jba.or.jp/top/2011/0516_miraibio_cellinnova1.html   「神経細胞機能に着目した、ミトコンドリア呼吸鎖異常を起こす遺伝子変異の系統的な探索」  埼玉医科大学 ゲノム医学研究センター 岡崎 康司 先生         今後の研究が期待される。

植物にはミトコンドリアと葉緑体での RNA 編集に関わる因子である PPR タンパク質が何百種類も存在している。PPRタンパク質に関する優れた解説が公開されている。

「水温低下で脳のRNAを編集するタコ、「寒さ対策」か、驚きの発見  RNA編集能力が異常に高い頭足類、理由を示唆する新たな証拠」  https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/061200294/?ST=m_news という National Geographic の記事があった。

植物でミトコンドリアの機能が変化すると様々な(私にとっては)興味深い形質が生じる。しかし生育に対してはよくない影響が出やすいので「そんなことに何の意味があるんだ!」と評価されることになる。薬剤を与えることでミトコンドリアの機能を切り替えることができると便利である。 最近、人間のミトコンドリアの機能を改善する薬剤・方法を開発しようという研究が盛んに行われているようである。「ミトコンドリア機能改善」で検索すると研究結果がたくさん出てくる。新聞の記事にもなっている。「ミトコンドリア、若さの源 − 機能低下、病気の引き金に」 2020/2/23 日本経済新聞    https://www.teu.ac.jp/topics/2016.html?id=224   「ミトコンドリアを活性化する成分を探索し、 長寿のメカニズムを解き明かしたい」 佐藤教授の研究紹介  https://www.mitomoonshot.med.tohoku.ac.jp/   ミトコンドリア活性化を通じて健康に貢献することを目指す、阿部 高明先生を代表者とした大規模なプロジェクトが進行している。   https://www.amed.go.jp/content/000100951.pdf   AMED で公開されている資料  

ミトコンドリアの機能を改善する化合物・方法について

植物でミトコンドリアの機能が低下すると生育に対してよいことは何も起きないが、病気の動物ではなぜかそうでもないらしい。また線虫、ショウジョウバエでもそうでもないらしい。 「ミトコンドリア翻訳の阻害はAMLにおけるベネトクラックス抵抗性を統合的ストレス応答の活性化を介して克服する」   David Sharon ら   https://stm.sciencemag.org/content/11/516/eaax2863   AML は Acute myeloid leukemia という病気 Venetoclax はその治療薬だが、耐性ができてしまうことがあるらしい。

「生理学 ミトコンドリア損傷による長寿」   https://www.cosmobio.co.jp/aaas_signal/archive/ec-20131105.asp   このことについて解説して頂いているページ   http://sudachi.hateblo.jp/entry/2018/08/29/120149   動物では、体内の一部の組織においてミトコンドリアに適度な損傷が起きることで、他の組織の細胞に様々な影響(良い効果を含む)が出るという現象が見いだされている。

植物でもシアンなどの呼吸阻害剤処理で、かえって発芽が促進されるという例もある。しかし発芽を促進する濃度では呼吸は阻害されていないという説が強い。「発芽生物学」(種生物学会 編集)という本で解説されている。シアナミド cyanamide について、112, 120 ページと 310 ページで触れられている。Nonogaki 先生によるレビューも 2019 年に書かれている。   The Long-Standing Paradox of Seed Dormancy Unfolded?   Nonogaki H.   Trends Plant Sci. 2019 Nov;24(11):989-998. doi: 10.1016/j.tplants.2019.06.011. Epub 2019 Jul 18. Review. PMID: 31327698    その後も研究が進んでいる。  Old poisons, new signaling molecules: the case of HCN  J Exp Bot. 2023 Aug 16;erad317. doi: 10.1093/jxb/erad317. Online ahead of print.  Pablo Díaz-Rueda など  PMID: 37586035

発芽とミトコンドリアの関係を分析した論文は他にもある。    Conserved and Opposite Transcriptome Patterns during Germination in Hordeum vulgare and Arabidopsis thaliana.   Zhu Y など   Int J Mol Sci. 2020 Oct 7;21(19):E7404. doi: 10.3390/ijms21197404.   PMID: 33036486    Extensive transcriptomic and epigenomic remodelling occurs during Arabidopsis thaliana germination   Genome Biol. 2017 Sep 15;18(1):172.   doi: 10.1186/s13059-017-1302-3.   Reena Narsai ら PMID: 28911330  RNA-seq データが GSE94459 にある。   Intracellular reactive oxygen species trafficking participates in seed dormancy alleviation in Arabidopsis seeds.   Jurdak R, など   New Phytol. 2022 Feb 17. doi: 10.1111/nph.18038. PMID: 35175638 Roles of Reactive Oxygen Species and Mitochondria in Seed Germination    Front. Plant Sci., 09 December 2021   https://doi.org/10.3389/fpls.2021.781734   という総説があった。   Why so Complex? The Intricacy of Genome Structure and Gene Expression, Associated with Angiosperm Mitochondria, May Relate to the Regulation of Embryo Quiescence or Dormancy-Intrinsic Blocks to Early Plant Life Corinne Best ら  https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32397140/ でも、植物ミトコンドリアと発芽の関係について議論されている。

Plant mitochondria - past, present and future.   Møller IM, Rasmusson AG, Van Aken O. Plant J. 2021 Nov;108(4):912-959. doi: 10.1111/tpj.15495. Epub 2021 Oct 28. PMID: 34528296   というすばらしい総説が発表されている。この総説でも発芽のことに触れている。

植物にはミトコンドリアと葉緑体での RNA 編集に関わる因子である PPR タンパク質が何百種類も存在している。日経サイエンス 2014年3月号 に、「偶然が産む生物の複雑性」というすばらしい記事が掲載されている。 RNA 編集に関わる遺伝子の複雑化への進化は、進化を研究する学者からも注目されていることが紹介されていた。複雑さが増す方向へ進化することは、必ずしも適応度を高くすることにつながらないことが紹介されていた。複雑さが増すように進化しても、個体自身の生存、繁殖には有利になっていないことがあるらしい。しかし集団を構成する個体の多様性が増しやすくなり、生育は悪くても何らかのストレスに対して強くなった個体が生じて、その個体に対する利益が生じることもあるのかもしれない。また植物は高い速度で生育すればよいというものではない。作物でも早生の品種と晩生の品種の両方が求められる。生育速度に多様性を持たせることも必要とされるし、種子でも発芽時期が分散する方がよいことがあると「発芽生物学」(種生物学会 編集)という本の 163 ページに書かれている。その役に立っているのかもしれない(証拠はない)。発芽時期が他の種子とずれることで、その種子自身に対して利益が生じることがあり得る。 PPR タンパク質は何百種類も存在しているので、その一つが欠失した変異体は数百種類存在しうる。二種類、三種類の組み合わせだともっと多くなり多様性を高くする元になる。変異しなくても、低い確率で RNA editing が失敗すればそれによってミトコンドリアの働きが低い個体、細胞が生じる可能性が出てくる。「化学と生物」(日本農芸化学会機関誌)2022年 Vol.60 No.5 に益田時光先生が「細菌のPersisterの特性とその制御」 という解説を書かれている。細菌の集団には低い頻度で、成長はほとんどしないが抗生物質に強い耐性を示す状態になった個体が存在して persister と呼ばれる。集団のためにそういう個体が存在するのではなく、個体自身の利益になるのでそういう現象が生じる。 化学療法を生き延びるパーシスター細胞の特定 2022年8月25日 Nature 608, 7924 doi: 10.1038/d41586-022-01866-x という記事があった。微生物学:イントロンを介した表現型不均一性の誘導 2022年5月5日 Nature 605, 7908 doi: 10.1038/s41586-022-04633-0 という記事があった。PPR タンパク質による RNA editing も不均一性を誘導する(特に RNA editing が失敗しやすい発芽時、ストレス環境下で)のかもしれない。 https://yurimatsuzaki.com/mitikogo1 作家・松崎有理氏の公式ページで、郷 通子先生のインタビュー記事が公開されている。イントロンが存在する意味について考察されている。  「表現型のばらつきが作り出すクローン細胞集団の多様性と社会性遺伝情報によらない細胞個性の由来と存在意義」高野、宮崎 両先生による解説が公開されている。 化学と生物 56(7): 461-468 (2018) https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=1008

Evolution of mitochondrial RNA editing in extant gymnosperms  Chung-Shien Wu, Shu-Miaw Chaw   Plant J.  Pages: 1676-1687 | First Published: 25 July 2022   の Fig. 3 を見ると、RNA editing は 100% 成功しているわけではないという結果になっている。特に翻訳されるアミノ酸が変化しない場合は成功していないことの方がずっと多い。  https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37880207/  の Supplementary figure 6 を見ると、イネでも editing される割合が 50% 以下しかない部位が複数ある。一方 80% 以上 editing されている部位もある。 Deep Proteomics reveals incorporation of unedited proteins into mitochondrial protein complexes in Arabidopsis.  Rugen N, Senkler M, Braun HP.  Plant Physiol. 2023 Dec 7:kiad655. doi: 10.1093/plphys/kiad655. Online ahead of print. PMID: 38060994  という論文も発表された。正しく編集されていない mRNA は翻訳されにくい(編集が正しく行われるまで翻訳できないので、editing が必要ない場合よりも翻訳されるのに余計な時間がかかる)・または翻訳されても分解されるが、ほんの少し検出されるものもある。「差次的な編集によって引き起こされるタンパク質の不均一性の生物学的意味は、まだ確立されていません」と書かれている。

植物のミトコンドリアゲノムは動物のものと比較してサイズが大きい。日経サイエンス 2022年12月号 に「サンショウウオは急がない 成功した逆張り生存戦略」というすばらしい記事があった。サンショウウオのゲノムは巨大化しており、そのせいでイントロンがスプライシングされる速度が遅くなる。その結果タンパク質の合成速度も遅くなる。植物は葉緑体があるのでミトコンドリアが活発に働き過ぎるとよくないことがあるのかもしれない。しかし根ではプラスチドよりもミトコンドリアの方がエネルギー供給には重要なはずで、それなのに余計なことをするのはなぜかということになり、まったくわからない。自然界に生きる植物の根のまわりには必ず他の生物がいる。ミトコンドリアが働き過ぎない方が他生物との関係がうまくいくのかもしれない。根は地中に埋まっている。土壌には間隙がありそこに含まれる空気によって好気呼吸をすることができるが、低酸素状態になることもある。地上部から通気組織で酸素が供給されるがそれでも不足することもあるだろう。ミトコンドリアに頼り過ぎないようにしているのかもしれない。 農業土木学会誌/57 巻 (1989) 2 号/ 土の中の物質移動 (その8) 土の中のガスの成分変化と移動  遅沢 省子, 久保田 徹, 宮崎 毅, 中野 政詩 各先生による解説 

最近「ゲノム・染色体を完全に人工合成したものに置き換える」研究が成功してきている。ミトコンドリアゲノムも完全に人工合成またはゲノム編集して RNA editing が起きないものに置き換えることができれば RNA editing がどんな影響を及ぼしているのかがわかるかもしれない。


植物では「プラスチドシグナル」がよく研究されている。ミトコンドリアでも活性酸素などがシグナルになると考えられている。よくわからないことは「活性酸素のせい」ということにしておけばそういうことになってしまうような気もする。しかしそれでいいのかもしれない。それで困る人はいない。と思ったが、そんなことではいけない。活性酸素の作用を universal response, specific response に分解し解明につなげようとする研究が進んでいる。

同じ活性酸素でも生成する場所が異なると、異なる応答を引き起こすらしい。また活性酸素は適切な場所に輸送され移行しないとシグナルとして働かないらしい。ミトコンドリアで生成する過酸化水素を specific なシグナルとして受け取る転写因子の研究が行われている。

The Membrane-Bound NAC Transcription Factor ANAC013 Functions in Mitochondrial Retrograde Regulation of the Oxidative Stress Response in Arabidopsis.   De Clercq I, Vermeirssen V, Van Aken O, など   Plant Cell. 2013 Sep 17.    PMID: 24045019

Mitochondria-derived reactive oxygen species are the likely primary trigger of mitochondrial retrograde signaling in Arabidopsis.  Khan K, Tran HC, Mansuroglu B, Önsell P, Buratti S, Schwarzländer M, Costa A, Rasmusson AG, Van Aken O.  Curr Biol. 2023 Dec 28:S0960-9822(23)01660-3. doi: 10.1016/j.cub.2023.12.005. Online ahead of print.  PMID: 38176418

NAC13 という転写因子は ANAC013, ANAC13 と呼ばれることもある。ANAC017 も同じように名前がついている。De Clercq ら、Ng らは、これらの転写因子がミトコンドリアシグナルを受け取ることを示した。 これらの転写因子は膜貫通ドメインをもっていて小胞体 Endoplasmic reticulum に局在する。ミトコンドリアがストレスを受けるとドメインが切れて核に移行して働く。小胞体には BiP という分子シャペロンが存在する。このタンパク質がうまく働くには ATP が結合して加水分解されるサイクルが必要になる。ATP はミトコンドリアと関係がある。ミトコンドリアだけにとらわれず、細胞全体を見ないといけないのだろう。

動物細胞で mitochondria-associated ER membrane (MAM)  ER にミトコンドリアが結合していることが示されている。最近、細胞内小器官は教科書に書かれている機能をそれぞれが単独で果たすだけでなく、細胞内小器官同士が相互に連携することでさらに高度な働きを行うことが注目され研究されている。このことを「細胞内の秘密の会話」と呼ぶ人もいる。 解説記事へのリンク:   ミトコンドリアで生じた活性酸素が MAM を伝わって効率よく小胞体へ移動することもあるらしい。 TraB family proteins are components of ER-mitochondrial contact sites and regulate ER-mitochondrial interactions and mitophagy.   Li C など   Nat Commun. 2022 Sep 26;13(1):5658. doi: 10.1038/s41467-022-33402-w.  PMID: 36163196 という論文があった。 京都大学の沼田先生のグループが、シロイヌナズナ緑葉の葉肉細胞でのミトコンドリアと葉緑体の相互作用に関する優れた研究成果を発表している。 「葉緑体との相互作用におけるミトコンドリア運動を発見」 https://www.riken.jp/press/2021/20210319_3/index.html  他の生物ではミトコンドリアで合成されその場で使われるが、植物では葉緑体でしか作られない分子がある。そういう分子は葉緑体とミトコンドリアが結合することでミトコンドリアへ効率よく運ばれるのかもしれない。「植物油脂の合成には葉緑体と小胞体の酵素が協調して働く−バイオディーゼル生産技術への応用に期待−」という成果が理研環境資源科学研究センター 植物脂質研究チームの中村 友輝 チームリーダーらの研究チームから発表されていた。 https://www.riken.jp/press/2023/20230201_1/index.html 


ahg2

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
ABA hypersensitive germination
変異遺伝子--ahg2
poly(A) specific ribonuclease (PARN)

References

http://www.rib.okayama-u.ac.jp/ers/index-j.html

A poly(A)-specific ribonuclease directly regulates the poly(A) status of mitochondrial mRNA in Arabidopsis.   Hirayama T, Matsuura T, Ushiyama S, Narusaka M, Kurihara Y, Yasuda M, Ohtani M, Seki M, Demura T, Nakashita H, Narusaka Y, Hayashi S.   Nat Commun. 2013;4:2247. doi: 10.1038/ncomms3247.   PMID: 23912222

ABA hypersensitive germination2-1 causes the activation of both abscisic acid and salicylic acid responses in Arabidopsis.   Nishimura N, Okamoto M, Narusaka M, Yasuda M, Nakashita H, Shinozaki K, Narusaka Y, Hirayama T.   Plant Cell Physiol. 2009 Dec;50(12):2112-22. PMID: 19892832

Analysis of ABA hypersensitive germination2 revealed the pivotal functions of PARN in stress response in Arabidopsis.   Nishimura N, Kitahata N, Seki M, Narusaka Y, Narusaka M, Kuromori T, Asami T, Shinozaki K, Hirayama T.   Plant J. 2005 Dec;44(6):972-84. PMID: 16359390


さらに ahg2 の研究は、鉄欠乏応答に関与する新規な重要因子の発見というすばらしい研究成果に結びついた。

The putative peptide gene FEP1 regulates iron deficiency response in Arabidopsis.   Hirayama T, Lei GJ, Yamaji N, Nakagawa N, Ma JF.   Plant Cell Physiol. 2018 Jul 19. doi: 10.1093/pcp/pcy145.   PMID: 30032190

その後も FEP(別名 IMA) について次々と論文が出版されている。 

Shall we talk? New details in crosstalk between copper and iron homeostasis uncovered in Arabidopsis thaliana.   Chia JC, Vatamaniuk OK.  New Phytol. 2024 Feb 13. doi: 10.1111/nph.19583. Online ahead of print.  PMID: 38348503

FE UPTAKE-INDUCING PEPTIDE1 maintains Fe translocation by controlling Fe deficiency response genes in the vascular tissue of Arabidopsis.   Okada S, Lei GJ, Yamaji N, Huang S, Ma JF, Mochida K, Hirayama T.   Plant Cell Environ. 2022 Aug 22. doi: 10.1111/pce.14424. Online ahead of print. PMID: 35993196

The Iron Deficiency-Regulated Small Protein Effector FEP3/IRON MAN1 Modulates Interaction of BRUTUS-LIKE1 With bHLH Subgroup IVc and POPEYE Transcription Factors   Front. Plant Sci., 10 June 2022 | https://doi.org/10.3389/fpls.2022.930049 Daniela M. Lichtblau など   FEP3 は鉄関連転写因子と相互作用して作用を増強する。

Spatial IMA1 regulation restricts root iron acquisition on MAMP perception.   Cao M など   Nature. 2024 Jan;625(7996):750-759. doi: 10.1038/s41586-023-06891-y. Epub 2024 Jan 10.   PMID: 38200311   植物が病原菌に対して応答すると、鉄取り込みトランスポーターなどが分解され、病原菌が鉄を利用しにくい状態になり感染を防ぐことができる。FEP (別名 IMA) も分解される。

IMA peptides regulate root nodulation and nitrogen homeostasis by providing iron according to internal nitrogen status   Nat Commun. 2024 Jan 29;15(1):733. doi: 10.1038/s41467-024-44865-4.   Momoyo Ito など   PMID: 38286991


鉄が欠乏すると二次代謝産物の蓄積量に影響がある。シロイヌナズナの根では鉄が欠乏するとクマリンが蓄積する。クマリンは抗菌性だけでなく微生物との相互作用にも重要なことが解明されている。

The Age of Coumarins in Plant–Microbe Interactions   Ioannis A Stringlis, Ronnie de Jonge, Corné M J Pieterse    Plant and Cell Physiology, Volume 60, Issue 7, July 2019, Pages 1405–1419,    https://doi.org/10.1093/pcp/pcz076

A coumarin exudation pathway mitigates arbuscular mycorrhizal incompatibility in Arabidopsis thaliana   Plant Mol Biol. 2021 Apr 6.    Marco Cosme , など   PMID: 33825084 DOI: 10.1007/s11103-021-01143-x

FEP (IMA) を強く働かせると MYB72 (At1g56160) and SCOPOLETIN 8-HYDROXYLASE (At3g12900) の発現が大きく高まり、7,8-dihydroxy-6-methoxycoumarin (fraxetin) が多量に分泌されるようになるという論文が出版された。Fraxetin を水酸化する CYP82C4 (At4g31940) の発現は逆に低下する。

IRONMAN tunes responses to iron deficiency in concert with environmental pH   Plant Physiol. 2021 Nov 3;187(3):1728-1745. doi: 10.1093/plphys/kiab329.   Chandan Kumar Gautam, Huei-Hsuan Tsai, Wolfgang Schmidt    PMID: 34618058 PMCID: PMC8566206

鉄欠乏応答は病原菌に対する抵抗性を高めることが報告されている。

Unearthing mechanisms underlying iron deficiency-induced resistance against pathogens with different lifestyles   J Exp Bot. 2020 Nov 14;eraa535.doi: 10.1093/jxb/eraa535.    Pauline L Trapet, Eline H Verbon, Renda R Bosma, Kirsten Voordendag, Johan A Van Pelt, Corné M J Pieterse   PMID: 33188427

鉄とミトコンドリアについては、鉄輸送体の研究が進んでいる。   The rice mitochondrial iron transporter is essential for plant growth.   Bashir K, Ishimaru Y, Shimo H, Nagasaka S, Fujimoto M, Takanashi H, Tsutsumi N, An G, Nakanishi H, Nishizawa NK.   Nat Commun. 2011;2:322. doi: 10.1038/ncomms1326.   PMID: 21610725   Ferroportin 3 is a dual-targeted mitochondrial/chloroplast iron exporter necessary for iron homeostasis in Arabidopsis.   Kim LJ, Tsuyuki KM, など  Plant J. 2021 Apr 22. doi: 10.1111/tpj.15286. PMID: 33884692    Rice-specific mitochondrial iron-regulated gene (MIR) plays an important role in iron homeostasis   Mol Plant. 2009 Sep;2(5):1059-66. doi: 10.1093/mp/ssp051. Epub 2009 Jul 22.   Yasuhiro Ishimaru など   PMID: 19825680

鉄とミトコンドリアに関して、こういう論文も発表された。   Altered levels of mitochondrial NFS1 affect cellular Fe and S contents in plants.   Armas AM, Balparda M, Turowski VR, Busi MV, Pagani MA, Gomez-Casati DF.   Plant Cell Rep. 2019 Aug;38(8):981-990. doi: 10.1007/s00299-019-02419-9. Epub 2019 May 7.   PMID: 31065779     ミトコンドリアでの FeS クラスター生合成に働く NFS1 遺伝子(システインから硫黄原子を取り出す)の発現レベルを変化させると鉄に関係する遺伝子群の発現レベルも変化した。

Fe-S cluster はミトコンドリア電子伝達系の前半を構成する複合体 I, II, III に含まれている。対照的に、もう一つの鉄を含む重要な化合物であるヘムは電子伝達系の後半である複合体 III, Cytochrome C, 複合体 IV (Cytochrome C oxidase) に含まれている。 複合体 IV は銅原子も含んでいる。光合成電子伝達系ではプラストシアニンが銅を含んでいる。

イネにおいて、アコニターゼ OsACO1(細胞質局在)の異常が鉄の恒常性を崩すという成果が発表された。OsACO1 は 4Fe-4S cluster を含みアコニターゼ活性を触媒する。4Fe-4S cluster が不足すると RNA 結合性タンパク質としても働き、鉄と関係する遺伝子の mRNA を制御するらしい。   Defects in the rice aconitase-encoding OsACO1 gene alter iron homeostasis   September 2020   Plant Molecular Biology   DOI: 10.1007/s11103-020-01065-0   Takeshi Senoura Takanori Kobayashi Gynheung An Naoko K Nishizawa   しかしシロイヌナズナではアコニターゼは鉄欠乏応答と関係ないという論文がずっと前に出ている。 The iron-responsive element (IRE)/iron-regulatory protein 1 (IRP1)-cytosolic aconitase iron-regulatory switch does not operate in plants.   Biochem J. 2007 Aug 1;405(3):523-31. PMID: 17437406

FeS の生合成、細胞内輸送に働く遺伝子は多数存在する。ミトコンドリアで作られる FeS と、葉緑体で作られる FeS がある。FeS を結合しているタンパク質はとても多く、最近では FeS と関係がなさそうな DNA ポリメラーゼなどにも FeS が結合していることが明らかにされている。PARN にも関係するかもしれない。   Emerging critical roles of Fe-S clusters in DNA replication and repair.   Fuss JO, Tsai CL, Ishida JP, Tainer JA.   Biochim Biophys Acta. 2015 Jun;1853(6):1253-71.    doi: 10.1016/j.bbamcr.2015.01.018. Epub 2015 Feb 2. Review.   PMID: 25655665

ミトコンドリアで重要な、鉄を含む分子としては FeS とヘムが挙げられる。 DOG1 というヘムタンパク質の場合、そのタンパク質を大腸菌で作らせると、栄養源が濃い培地ではヘムが入って茶色のタンパク質になり普通の LB 培地では無色のタンパク質ができると言うことでヘムとの関係が見いだされたと論文に書かれていた。わかりやすい解説記事も公開されている。   アブシシン酸が働くための新たな仕組み ― 植物が生育環境の変化に適応するための生存戦略 化学と生物 Vol.57 No.12 Page. 736 - 742 西村 宜之, 土屋 渉, 平山 隆志, 山崎 俊正    動物細胞の研究でも、色が付いたタンパク質ができたということでヘムの働きが見いだされたという例があった。   https://www.cosmobio.co.jp/aaas_signal/archive/ec_20050809.asp   核内受容体リガンドは気体である ヘムが存在することで、その核内受容体 E75 は NO, CO と結合する能力を獲得した。

DOG1 と AHG2、ヘムの関連について考察されている。   The Long-Standing Paradox of Seed Dormancy Unfolded?   Nonogaki H.   Trends Plant Sci. 2019 Nov;24(11):989-998. doi: 10.1016/j.tplants.2019.06.011. Epub 2019 Jul 18. Review.   PMID: 31327698


AHG2 遺伝子は、全く異なる観点からの研究によっても見いだされた。

A Poly(A) Ribonuclease Controls the Cellotriose-Based Interaction between Piriformospora indica and Its Host Arabidopsis.   Johnson JM, Thürich J, Petutschnig EK, Altschmied L, Meichsner D, Sherameti I, Dindas J, Mrozinska A, Paetz C, Scholz SS, Furch ACU, Lipka V, Hedrich R, Schneider B, Svatoš A, Oelmüller R.   Plant Physiol. 2018 Mar;176(3):2496-2514. doi: 10.1104/pp.17.01423. Epub 2018 Jan 25.   PMID: 29371249

この 2018 年の論文の前段階の論文   An Arabidopsis mutant impaired in intracellular calcium elevation is sensitive to biotic and abiotic stress.   Michal Johnson J, Reichelt M, Vadassery J, Gershenzon J, Oelmüller R.   BMC Plant Biol. 2014 Jun 11;14:162. doi: 10.1186/1471-2229-14-162.   PMID: 24920452

植物の生育に共生菌類が重要な役割を果たしていることが注目され重要な研究テーマになっている。この研究では、P. indica という共生菌類の細胞壁からセロオリゴ糖が遊離して、シロイヌナズナの根にマイルドな防御応答を引き起こすことを示した。特にセロトリオースがよく効いた。細胞質のカルシウム濃度が上昇することも観測した。シロイヌナズナの根は様々な化合物や刺激に良く反応する。

Cellooligomer/CELLOOLIGOMER RECEPTOR KINASE1 Signaling Exhibits Crosstalk with PAMP-Triggered Immune Responses and Sugar Metabolism in Arabidopsis Roots.   Gandhi A, Reichelt M, Furch A, Mithöfer A, Oelmüller R.   Int J Mol Sci. 2024 Mar 19;25(6):3472. doi: 10.3390/ijms25063472.   PMID: 38542444 という論文が 2024 年に出版された 。

セロオリゴ糖に反応しないが、キトオリゴ糖(キチンが連結したオリゴ糖・エリシター活性を持つ)には反応する変異体 cycam(または cycam1)を見いだして分析した。その原因遺伝子は AtPARN = AHG2 だった。AtPARN の cDNA を 35S プロモーターで発現させると回復した。Table 1 の結果によると、cycam 変異体では P. indica によるバイオマスの増大、乾燥耐性の改善効果がどちらも見られなくなる。著者たちはミトコンドリアが関係しているとは考えていないらしい。確かにオリゴ糖とミトコンドリアに関係があると考える人はほとんどいないだろう。

このとき P. indica は ahg2 (cycam) に感染できているのだろうか。

P. indica は有用な共生菌で、多くの研究が行われている。

Piriformospora indica recruits host-derived putrescine for growth promotion in plants.   Kundu A, Mishra S, Kundu P, Jogawat A, Vadassery   J.Plant Physiol. 2022 Mar 28;188(4):2289-2307. doi: 10.1093/plphys/kiab536.PMID: 34791442

リン栄養枯渇条件下での根圏糸状菌による植物生長促進   日植病報 84:78–84(2018) Jpn. J. Phytopathol. 84: 78–84 (2018) 晝間、西條 両先生によるすばらしい解説が公開されている。81 ページに P. indica が出てくる。シロイヌナズナに対して P. indica を感染させる場合の症状は、トリプトファン由来の二次代謝物の合成能が欠損したcyp79B2 cyp79B3変異体において激化すると書かれている。

「植物たちの戦争 病原体との5億年サバイバルレース」(講談社ブルーバックス)というすばらしい本が日本植物病理学会から出版されている。198 ページに P. indica が出てくる。

AtPARN としての研究は 2004 年にすでに論文がある。   mRNA deadenylation by PARN is essential for embryogenesis in higher plants.   Reverdatto SV, Dutko JA, Chekanova JA, Hamilton DA, Belostotsky DA.   RNA. 2004 Aug;10(8):1200-14. Epub 2004 Jul 9.   PMID: 15247430   PMCID: PMC1370610   この論文では「AtPARN is a predominantly cytoplasmic deadenylase」と書かれている。

しかし平山グループによる研究によって AtPARN = AHG2 はミトコンドリアで働いていることが、詳細に確認されている。今のところミトコンドリア以外の場所においても働いている可能性は否定されていない。

The Recovery from Sulfur Starvation Is Independent from the mRNA Degradation Initiation Enzyme PARN in Arabidopsis   Laura Armbruster, Veli Vural Uslu, Markus Wirtz, Rüdiger Hell   Plants (Basel) 2019 Oct; 8(10): 380. Published online 2019 Sep 27. doi: 10.3390/plants8100380   PMCID: PMC6843384   という論文では、AtPARN = AHG2 はスプライシングによって複数種類の mRNA が生じ、それぞれに対応する翻訳産物が異なる場所に局在して働くのではないかと考察されている。 しかし核にコードされた遺伝子の mRNA で、AtPARN = AHG2 で分解に導かれることが示されたものは今のところないらしい。

AHG2 タンパク質がミトコンドリアで働くには N 末端のシグナルペプチドがミトコンドリアへの局在を示すものでないといけない。 竹中先生の研究が紹介されている科研費ホームページに、「最近赤色光シグナルによる転写開始点変化によってN末端側のシグナル配列を失い、細胞質に局在する短鎖PPRタンパク質が多数存在する可能性が示唆された。」と書かれている。    https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-20K21427/   PPR タンパク質や AHG2 にはこれまで見落とされていた機能がある可能性がある。また PPR タンパク質は細胞質に存在する核コード遺伝子由来の mRNA に対して、細胞内で作用するように人為的に改変できることが報告されている。  Conquering new grounds: plant organellar C-to-U RNA editing factors can be functional in the plant cytosol   Plant J. 2024 May 16. doi: 10.1111/tpj.16804.    Mirjam Thielen など   PMID: 38753873   核ゲノムにコードされる遺伝子の種類は数万あるので、どうしても目的以外の mRNA が編集されてしまうオフターゲット現象が起きてしまう。オルガネラゲノムは小さいのでオフターゲット現象がおきにくい。

AHG2 は進化の観点からも注目されている。   Regulation of the poly(A) status of mitochondrial mRNA by poly(A) specific ribonuclease is conserved among land plants.   Kanazawa M, Ikeda Y, Nishihama R, Yamaoka S, Lee NH, Yamato KT, Kohchi T, Hirayama T.   Plant Cell Physiol. 2019 Nov 13. pii: pcz212. doi: 10.1093/pcp/pcz212.    PMID: 31722408

動物のミトコンドリアでも PARN の働きが注目されている。   Polyadenylation and degradation of human mitochondrial RNA: the prokaryotic past leaves its mark.   Slomovic S, Laufer D, Geiger D, Schuster G.   Mol Cell Biol. 2005 Aug;25(15):6427-35.   PMID: 16024781

PARN は様々な働きをしている。miRNA にも作用しているらしい。   Poly(A)-specific ribonuclease sculpts the 3’ ends of microRNAs.   Lee D, Park D, Park JH, Kim JH, Shin C.   RNA. 2019 Mar;25(3):388-405. doi: 10.1261/rna.069633.118. Epub 2018 Dec 27.   PMID: 30591540    An integrated in silico approach to design specific inhibitors targeting human poly(a)-specific ribonuclease.   Vlachakis D, Pavlopoulou A, Tsiliki G, Komiotis D, Stathopoulos C, Balatsos NA, Kossida S.   PLoS One. 2012;7(12):e51113. doi: 10.1371/journal.pone.0051113. Epub 2012 Dec 6.   PMID: 23236441    miRNA で制御されている有名な遺伝子には CSD1, CSD2 (Cu, Zn 型 Superoxide dismutase) がある。

ahg2 と関係する論文が出ている。  Temperature-dependent fasciation mutants provide a link between mitochondrial RNA processing and lateral root morphogenesis.    Otsuka K, Mamiya A, Konishi M, Nozaki M, Kinoshita A, Tamaki H, Arita M, Saito M, Yamamoto K, Hachiya T, Noguchi K, Ueda T, Yagi Y, Kobayashi T, Nakamura T, Sato Y, Hirayama T, Sugiyama M.   Elife. 2021 Jan 14;10:e61611. doi: 10.7554/eLife.61611. Online ahead of print.   PMID: 33443014

・葉緑体にも RNA 分解酵素がある

https://www.uniprot.org/uniprot/Q8GZQ3   PNP1 = RIF10 = At3g03710 は「May function as a poly(A) mRNA 3'-5' degrading phosphorylase. 」と書かれている。rif10 変異体は「RESISTANT TO INHIBITION WITH FSM 10」という性質も示す。葉緑体で働くイソプレノイド生合成経路である MEP pathway を構成する酵素の量が増加している。これは転写後調節で、葉緑体内部でのタンパク質の分解が間接的に抑えられているらしい。

ミトコンドリア機能を阻害することによる病原菌応答の強化

Mitochondrial Stress Induces Plant Resistance Through Chromatin Changes    Front. Plant Sci., 22 September 2021 | https://doi.org/10.3389/fpls.2021.704964   Ana López Sánchez など

この論文では電子伝達複合体 III をアンチマイシンで阻害することで病原細菌に対する抵抗性が高くなることを示している。そのことを  mitochondrial stress-induced pathogen resistance (MS-IR) と名付けている。この場合は ahg2 とは異なり、サリチル酸の量が増加しないと書かれている。しかし SA 作用に重要なタンパク質である npr1 が必要であることも示されている。ヒストンの修飾の変化によるクロマチン構造の変化が起きている。

アンチマイシン処理は AOX1a 遺伝子の葉での発現を強く誘導する。PR-1 遺伝子の発現はアンチマイシン処理だけでは増加しないが、菌が感染したことによる発現誘導が、アンチマイシン処理をすると早い段階で強く上がるようになった。このことをアンチマイシンのプライミング作用と呼んでいる。

免疫学:炎症性疾患の基盤としてのミトコンドリア内部共生の破綻 2024年2月8日 Nature 626, 7998 doi: 10.1038/s41586-023-06866-z という記事があった。ミトコンドリア因子の細胞質ゾルへの調節された放出は、細胞死や自然免疫、炎症を引き起こすことがある。 植物でもミトコンドリア機能と病原菌応答に関連があることを示す論文は増加している。

A mitochondrial RNA processing protein mediates plant immunity to a broad spectrum of pathogens by modulating the mitochondrial oxidative burst.     Yang Y, Zhao Y, Zhang Y, Niu L, Li W, Lu W, Li J, Schäfer P, Meng Y, Shan W.   Plant Cell. 2022 Mar 9:koac082. doi: 10.1093/plcell/koac082.     PMID: 35262740

RESISTANCE TO PHYTOPHTHORA PARASITICA 7 (AtRTP7 At4g02820) という遺伝子は P-type PPR タンパク質の一種だった。NAD7 のスプライシングに関与している。それによってミトコンドリアからの活性酸素 ROS 生成が影響を受け増加した。一般的に菌が感染した際の活性酸素生成に重要だと言われている NADPH oxidase は関与していなかった。

通常の状態では PR1 などの発現量に変化はほとんどないが、菌が感染した際の発現量がずっと高くなっている(Fig. 6)。これもプライミング作用と呼ぶことも可能かもしれない。

RTP7 自体もサリチル酸や菌の感染で発現量が制御され mRNA 量が低下する。

ミトコンドリア機能に変化があると生育に悪い影響が起きることが多いが、「enhanced resistance to both biotrophic and necrotrophic pathogens without affecting overall plant development.」「Importantly, unlike the dwarf and late flowering phenotypes of some Complex I mutants, rtp7 plants did not show a significant changes in growth and development phenotype (Supplemental Figure S8)」と書いてある。あまり常識にとらわれない方がよいことがわかる。RTP7 の変異では NAD7 の機能が完全には抑えきれないためだと推定できる。

複合体 I は長靴のような高次構造を取っている。NAD1, NAD2, NAD4, NAD5, NAD6 は膜に埋め込まれたタンパク質でこれらが消滅すると活性に対する影響が大きい。NAD7 はミトコンドリアマトリックスにつきだした部分で働いている。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3359495/ の Figure 1 にわかりやすい図面がある。

https://www.uniprot.org/uniprotkb/P93306/entry   NAD7 には AtMg00510 という番号がついている。Mt ゲノム遺伝子群とそっくりな遺伝子群が核に移行していて 2 番染色体の7000番台にあり At2g07709 などの番号がついている。NUMT nuclear mitochondrial sequences と呼ばれている。    Complete Sequence of a 641-kb Insertion of Mitochondrial DNA in the Arabidopsis thaliana Nuclear Genome  Genome Biol Evol. 2022 May 3;14(5):evac059. doi: 10.1093/gbe/evac059. Peter D Fieldsなど PMID: 35446419 PMCID: PMC9071559    これらは転写されていないが RNA-seq をすると At2g07709 などの番号でリストに出てくることがある。 例: Genome-Wide Identification of U-To-C RNA Editing Events for Nuclear Genes in Arabidopsis thaliana  Cells. 2021 Mar; 10(3): 635.  Published online 2021 Mar 12. doi: 10.3390/cells10030635  PMCID: PMC8001311 PMID: 33809209  Ruchika Chisato Okudaira Matomo Sakari and Toshifumi Tsukahara

植物病原菌が作るエフェクター HopG1 はミトコンドリアに作用する

The Pseudomonas syringae type III effector HopG1 targets mitochondria, alters plant development and suppresses plant innate immunity.   Block A, Guo M, Li G, Elowsky C, Clemente TE, Alfano JR.   Cell Microbiol. 2010 Mar;12(3):318-30. doi: 10.1111/j.1462-5822.2009.01396.x. Epub 2009 Oct 27.   PMID: 19863557

ミトコンドリアゲノムの遺伝子編集

Mitochondrial gene defects in Arabidopsis can broadly affect mitochondrial gene expression through copy number.   Ayabe H, Toyoda A, Iwamoto A, Tsutsumi N, Arimura SI.   Plant Physiol. 2023 Jan 27:kiad024. doi: 10.1093/plphys/kiad024. Online ahead of print.   PMID: 36703221

TALEN 法をミトコンドリアに適用することで植物のミトコンドリアゲノムを編集することが可能になった。この論文では NAD7 をノックアウトしている。NAD7 の機能が完全に消失することによって生育がきわめて悪くなる。またミトコンドリアゲノムのコピー数が増加する(2〜3倍、Fig. 2A)という現象が観察された。ミトコンドリアゲノムコード遺伝子の発現量が全般的に増加していた。 核にコードされる、ミトコンドリアで働く翻訳因子、タンパク質輸送因子の発現量も増加していた。 これらの現象は他のミトコンドリア機能関連変異体でも観察されたので、TALEN 法自体による影響ではなくミトコンドリア機能の低下が間接的に作用している。

コピー数の増加は部分的に ANAC017, RCD1 で制御されている。RCD1 は UniProt で Inactive poly [ADP-ribose] polymerase RCD1, Protein RADICAL-INDUCED CELL DEATH 1 At1g32230  と注釈されている。Poly [ADP-ribose] polymerase (PARP) は DNA 損傷の修復などに関わる酵素で NAD を基質とする。NAD はミトコンドリアと深い関係がある。しかし RCD1 は PARP 活性を持たず NAD と結合しないらしい。

[Differential Expression of a Foreign Gene in Arabidopsis Mitochondria In Organelle]  Mol Biol (Mosk). 2023 May-Jun;57(3):460-470.  [Article in Russian]  V I Tarasenko , T A Tarasenko, I V Gorbenko, Yu M Konstantinov, M V Koulintchenko   PMID: 37326049  という論文があった。

カドミウム Cd ストレスとミトコンドリア電子伝達系

Cadmium-Induced Cytotoxicity: Effects on Mitochondrial Electron Transport Chain   Front Cell Dev Biol. 2020 Nov 30;8:604377. doi: 10.3389/fcell.2020.604377. eCollection 2020.   Jacopo Junio Valerio Branca など   PMID: 33330504 PMCID: PMC7734342 DOI: 10.3389/fcell.2020.604377

Cadmium interference with iron sensing reveals transcriptional programs sensitive and insensitive to reactive oxygen species September 2021   Journal of Experimental Botany Follow journal DOI: 10.1093/jxb/erab393   Samuel A McInturf など

AOX1a が カドミウムストレスで誘導される遺伝子の、Group RII (根で誘導される)に分類される遺伝子の一つとして挙げられている。ミトコンドリアの働きは根と地上部、明条件と暗条件で大きく異なるらしく、このことには注意しないといけない(当たり前だが)。

イネのカドミウム耐性にグルタチオンが重要な役割を果たしている。  https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/242680/2/dnogk02316.pdf  ミトコンドリア機能とグルタチオンにも関連があってもおかしくない(それが役に立つかは別として)。

トマトのミトコンドリア RNA editing 因子 SIORRM2 が果実の先端のとがり方を制御する

RNA editing factor SlORRM2 regulates the formation of fruit pointed tips in tomato   Plant Physiol. 2024 Apr 26:kiae235. doi: 10.1093/plphys/kiae235.     Yongfang Yang, Yajing Ji, Keru Wang, Jinyan Li, Guoning Zhu, Liqun Ma, Oren Ostersetzer-Biran, Benzhong Zhu, Daqi Fu, Guiqin Qu, Yunbo Luo, Hongliang Zhu    PMID: 38668628

トマト果実はとても重要な食品である。品種によって果実の先がとがった形をしているものと、先が平らなものがある。この研究では、理由・きっかけはよく分からないが、トマトのミトコンドリア RNA editing 因子 SIORRM2 に注目して CRISPR/Cas9 multiplex genome-editing system による変異を導入したマイクロトムを作成した。その植物では果実の先端が細くとがる性質が見られた。果実形態の変化だけでなく、ミトコンドリア機能の異常と果実に含まれるインドール酢酸量の減少 (Fig. 4C) も生じていた。

Mistletoe(ヤドリギ)と complex I

Absence of Complex I Implicates Rearrangement of the Respiratory Chain in European Mistletoe.   Senkler J, Rugen N, Eubel H, Hegermann J, Braun HP.   Curr Biol. 2018 Apr 27. pii: S0960-9822(18)30379-8. doi: 10.1016/j.cub.2018.03.050. [Epub ahead of print]   PMID: 29731306

Absence of Complex I Is Associated with Diminished Respiratory Chain Function in European Mistletoe.   Maclean AE, Hertle AP, Ligas J, Bock R, Balk J, Meyer EH.   Curr Biol. 2018 Apr 26. pii: S0960-9822(18)30365-8. doi: 10.1016/j.cub.2018.03.036. [Epub ahead of print]   PMID: 29731304

The gene space of European mistletoe (Viscum album).   Schröder L, Hohnjec N, Senkler M, Senkler J, Küster H, Braun HP.   Plant J. 2021 Oct 29. doi: 10.1111/tpj.15558.    PMID: 34713513

https://gizmodo.com/mistletoe-somehow-survives-without-protein-needed-by-al-1825741143   ギズモードという一般向けのニュースサイトでも科学ニュースとして取り上げられている。

https://www.jic.ac.uk/blog/a-christmas-mystery-somethings-missing-from-the-kissing-plant/   著者インタビュー(一般向け)

2023 年にも別の種類のヤドリギ Showy mistletoes のミトコンドリアゲノムにも大きな変動があることが発表された。   Understanding parasitism in Loranthaceae: insights from plastome and mitogenome of Helicanthes elastica  Gene. 2023 Jan 31;147238. doi: 10.1016/j.gene.2023.147238.   Ashwini M Darshetkar など  PMID: 36736502   Getorganelle  https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32912315  というソフトウェアを用いている。

分類、分子進化ではよくミトコンドリア遺伝子の配列を調べる。代表的な寄生植物であるヤドリギについてミトコンドリアゲノムを配列決定したら、大きな変動が見られたという先行研究があった。

Comparative mitogenomics indicates respiratory competence in parasitic Viscum despite loss of complex I and extreme sequence divergence, and reveals horizontal gene transfer and remarkable variation in genome size.   Skippington E, Barkman TJ, Rice DW, Palmer JD.   BMC Plant Biol. 2017 Feb 21;17(1):49. doi: 10.1186/s12870-017-0992-8.   PMID: 28222679

このことはどう解釈できるか。寄生したのでミトコンドリア機能が不要になったと考えればそれで問題ない。「ミトコンドリアの機能が低下したので、寄生が成立しやすくなった」ということもありえなくはない。

特別な環境に適応した植物では、普通の植物に見られる遺伝子が欠損していることが観察される。   Expansin gene loss is a common occurrence during adaptation to an aquatic environment.   Hepler NK, Bowman A, Carey RE, Cosgrove DJ.   Plant J. 2019 Oct 18. doi: 10.1111/tpj.14572.   PMID: 31627246

普通の植物は土壌で発芽して根を伸ばし生育する。しかしヤドリギの種子は、宿主の枝の上という特殊な環境で発芽して生育しなければならない。 宿主から水分を吸い取れるようになるまで、水や栄養をどうにかして確保しないといけない。 ヤドリギの種子は、吸水すると周りに高吸水性のゲルが形成されて乾燥した枝の上でも水分を得て発芽成長ができるようになる。「植物の種子に存在するゲル状セルロース」Azuma, Sakamoto 両先生による解説 https://www.jstage.jst.go.jp/article/tigg1989/15/81/15_81_1/_article/-char/ja/   ヤドリギの種子はまず鳥に食べられる。消化管は水分が十分にあり温度も高い。しかしそこで発芽してしまってはいけない。また消化されてはいけない。ゲルがあることで発芽や消化を防ぐのかもしれない。

枝に種子がくっついて発芽すると、そこは宿主の葉の陰になりやすいから日当たりは悪いだろう。弱い光でも光合成する・光受容体を弱い光でも活性化する必要がある。日当たりが悪い条件で生きていくには、複合体 I はむしろ働かない方がよいのかもしれない。日当たりが悪い環境に適応した植物にクワズイモがあり、研究が進んでいる。ミトコンドリアの性質が変わっている。 植物は日当たりが悪いと茎を細長く伸ばして徒長する。Shade Avoidance Syndrome と呼ばれる。   https://books.google.co.jp/books/about/XBAT34_is_Required_for_Shade_induced_Pet.html?id=jRUhyAEACAAJ&redir_esc=y   

栄養分の方はどうだろうか。 Plant mitochondria - past, present and future.   Møller IM, Rasmusson AG, Van Aken O. Plant J. 2021 Nov;108(4):912-959. doi: 10.1111/tpj.15495. Epub 2021 Oct 28. PMID: 34528296   というすばらしい総説が発表された。複合体 I は 8 個の FeS クラスターを含むと Table 4 に書かれている。複合体 I を作らないことで鉄、イオウを節約できるのかもしれない。鉄は植物にとって必須で欠乏しやすい。寄生植物は鉄欠乏になりやすいだろう。光合成を止めることによっても鉄を節約できるだろうが、光合成を止めたくなければミトコンドリアの機能を下げることになるのかもしれない。

複合体 I の阻害剤としてロテノンがよく知られている。ロテノンはいくつかの熱帯性および亜熱帯性植物が作る天然の化合物である。複合体 I がよく働かないことによるデメリットを、ロテノンの毒性で食害などを防ぐことによるメリットが上回っているのかもしれない。

ヤドリギが生育するには鳥のフンが栄養源になるだろう。ヤドリギについて書かれている Web ページを見ていたら、人為的に寄生させるために鶏糞を種子にまぶすと書いてあった。土壌と異なる部分が多いだろう。 鶏糞に含まれる窒素の約半分は尿酸である。  https://patents.google.com/patent/WO2011096266A1/ja  尿酸はウリカーゼともう一つの酵素でアラントインになり、最後はアンモニアが生成する。アンモニアに強くないといけない。 また木の枝に付いた種子は土に埋まっているわけではない。その状態にうまく適応するように代謝ができていないといけない。 ミトコンドリア機能低下によってそういうことが可能になっているのかもしれない。 一応それらしい論文もある。   Nitrogen Source Dependent Changes in Central Sugar Metabolism Maintain Cell Wall Assembly in Mitochondrial Complex I-Defective frostbite1 and Secondarily Affect Programmed Cell Death   http://www.mdpi.com/1422-0067/19/8/2206   Programmed Cell Death のことも書いてある。Kiss-of-death (KOD) という遺伝子の mRNA 量が減っている。それは窒素源の種類 硝酸とアンモニアで変わる。シトクロム C のタンパク質の蓄積量も変化している。 アンモニアを窒素源とすることで植物の成長が抑えられることはとても重要な問題であり研究が進んでいる。   Altered Cell Wall Plasticity Can Restrict Plant Growth under Ammonium Nutrition.   Podgórska A, Burian M, Gieczewska K, Ostaszewska-Bugajska M, Zebrowski J, Solecka D, Szal B.   Front Plant Sci. 2017 Aug 10;8:1344. doi: 10.3389/fpls.2017.01344. eCollection 2017.   PMID: 28848567    アンモニア培地で育成すると細胞壁が堅くなり生育が抑えられる。

アンモニアを窒素源とすることで植物の成長が抑えられることに関する、すばらしい成果が日本の研究グループから発表された。

Excessive ammonium assimilation by plastidic glutamine synthetase causes ammonium toxicity in Arabidopsis thaliana.   Hachiya T, Inaba J, Wakazaki M, Sato M, Toyooka K, Miyagi A, Kawai-Yamada M, Sugiura D, Nakagawa T, Kiba T, Gojon A, Sakakibara H.    Nat Commun. 2021 Aug 16;12(1):4944. doi: 10.1038/s41467-021-25238-7.    PMID: 34400629    名古屋大学のプレスリリース 「植物のアンモニウム毒性の原因を解明 〜将来の高CO2環境に適した作物の開発に期待〜」  アンモニアを窒素源にすると細胞内外の水素イオン濃度が高くなり pH が低下する。そのため ALMT1, GABA-T, GAD1, GDH2, PGIP1, PGIP2 などの酸で誘導される遺伝子群の発現量が増加する。これらの遺伝子の産物、また硝酸還元酵素は水素イオンを消費することができるのでアンモニア毒性に対抗する働きがある。培地にアンモニア水を加えて pH を上げることでアンモニア毒性を打ち消すことができている。アンモニウムイオンが直接ダメージを強く与えるのではなく、アンモニアを同化する際に水素イオン濃度が高くなってしまうのが植物の生育によくなかったと言うことになる。 PGIP というタンパク質は細胞壁のペクチンが酸で分解するのを抑えることで細胞壁を安定化するのでアンモニア毒性を緩和できる。マイクロアレイのデータ (.cel ファイル)  E-MTAB-10796 https://www.omicsdi.org/dataset/arrayexpress-repository/E-MTAB-10796  が公開されている。

Does energy cost constitute the primary cause of ammonium toxicity in plants?  Kong L, Zhang Y, Zhang B, Li H, Wang Z, Si J, Fan S, Feng B.  Planta. 2022 Aug 22;256(3):62. doi: 10.1007/s00425-022-03971-7.  PMID: 35994155 Review.

という論文があった。アンモニアは硝酸イオンとは異なり還元に必要なエネルギーが要らないのでエネルギー的に有利だが、過剰になるとさまざまな問題が生じ、それらを解決するためにかえってエネルギー不足になったりする。アンモニアの窒素原子はアミノ酸生合成に使われるが、それには炭素骨格になる 2-オキソグルタル酸などの有機酸が必要になる。 2-オキソグルタル酸は TCA サイクルの重要な中間体である。過剰のアンモニアを処理するために 2-オキソグルタル酸が消費されることによって TCA サイクルがうまく回転しなくなることがあると書かれていた。

日本植物学会の年会 (2018年9月) において、「一芸に秀でた植物たち」というシンポジウムを聞かせていただいた。白須先生の「寄生植物はどうやって宿主を認識するのか」という講演があった。植物も自己と他者、他種を認識して区別することができる。 野田口先生の「接ぎ木能力の高いタバコ属植物」、山尾先生の「自他を識別する植物たち」という講演もあった。 寄生植物が寄生する様子には接ぎ木と似たところがあるということを知ることができた。 接ぎ木が成立しない場合、境界の細胞が壊死して茶色くなる。境界は特別な場所になるらしい。Science 2019年1月4日号には、「植物は同類の味方をする」という記事が掲載されていた。http://science.sciencemag.org/content/363/6422/15  日本経済新聞 2020年8月8日(土) 第34面に「タバコの茎「接着剤」にキクの上でトマト栽培」というタイトルで、野田口先生らの研究が紹介されていた。 タバコは葉を葉巻やシガレットにして吸った際の味がよくなくてはいけない。いくらよく成長しても味が悪いのでは商品価値はない。その点で他の植物と異なる。味がよくなるのに必要な何かの変化があり、それが接ぎ木とも関係するのかもしれない。ミトコンドリアの変化は代謝全体に大きな影響を与えるので、味にも関係するかもしれないが研究例は見たことがない。

寄生植物には作物に害を与えるものがあり研究が進んでいる。   http://www.riken.jp/pr/press/2010/20100906/   http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160707_1/   https://www.brh.co.jp/publication/journal/096/research/2.html   白須先生のグループの研究紹介    寄生植物には様々なものがある。宿主がいないと種子が発芽しないタイプのものだと、宿主を認識するまではじっと耐えて発芽を待つ必要がある。その場合すぐに発芽力が落ちてしまうのでは寄生植物として生きることはできない。 「発芽生物学」の米山先生による解説の106ページに、根寄生植物の種子について解説されている。サイズがとても小さいが、土壌中で10年以上生存できると書かれている。乏しい栄養で最低限の代謝だけを行う仕組みがあると想像できる。葉緑体やミトコンドリアが働かないようにしているのかもしれない。そのせいか、すぐに発芽することはできない。まず湿潤暗黒下、適当な温度で前培養されることで発芽の準備をして(コンディショニング)、その状態になってから発芽刺激物質を感知すると発芽が開始する。

それとは反対に発芽率が落ちやすい種子を作る作物がある。タマネギの種子はその一つだそうである。なぜそうなのかを研究した論文が発表された。    The effects of high oxygen partial pressure on vegetable Allium seeds with a short shelf-life   James E. Hourston, Marta Perez, Frances Gawthrop, Michael Richards, Tina Steinbrecher & Gerhard Leubner-Metzger    Planta volume 251, Article number: 105 (2020)    温度を高くすると発芽率が落ちやすいことはよく知られている。酸素濃度を高めることでも発芽率が落ちやすい。論文には呼吸速度が関係しているとは書いてない(酸素によって脂質が過酸化することに注目している)が、関係あるかもしれない。タマネギはミトコンドリアが常に活性化しているのかもしれない。種子においてはミトコンドリアが活性化しすぎるとよくないのかもしれない。寄生植物はタマネギの逆でエチレンなどがないと呼吸がとても遅いのかもしれない。もやし(マングビーン)は種子に水を与えると勢いよく発芽成長する。そのかわり、もやしは長持ちしない。マングビーンもやしからは活性の高いミトコンドリアを取ることができて研究に使われている。 Nature 2019年1月31日号に出芽酵母の飢餓状態における生存戦略に関する記事が掲載されていた。「翻訳や呼吸に関連する一般的な一連の遺伝子を阻害することで、栄養の枯渇に対する耐性を促進した」と書いてあった。

Mitochondria Are Important Determinants of the Aging of Seeds.  Ratajczak E, Małecka A, Ciereszko I, Staszak AM. Int J Mol Sci. 2019 Mar 28;20(7):1568. doi: 10.3390/ijms20071568. PMID: 30925807   という論文があった。

種子を発芽しやすい状態にすることはプライミングと呼ばれる。 Hydro-Electro Hybrid Priming Promotes Carrot (Daucus carota L.) Seed Germination by Activating Lipid Utilization and Respiratory Metabolism.   Zhao S, Garcia D, Zhao Y, Huang D.   Int J Mol Sci. 2021 Oct 14;22(20):11090. doi: 10.3390/ijms222011090.   PMID: 34681749

種子の寿命とプライミングに関してすばらしい研究成果が発表されている。   https://www.riken.jp/press/2017/20170818_1/   「種子の寿命をコントロールする −長寿命かつ発芽力の高い種子の開発に貢献−」 理化学研究所 瀬尾先生らによる成果   ブラシノライドが関与している。長命系統Est-1 はプライミング後にテトラゾリウム処理をした際の染色の度合いが低い。   RNA-Seq using bulked recombinant inbred line populations uncovers the importance of brassinosteroid for seed longevity after priming treatments.   Sano N, Kim JS, Onda Y, Nomura T, Mochida K, Okamoto M, Seo M.   Sci Rep. 2017 Aug 14;7(1):8095. doi: 10.1038/s41598-017-08116-5.   PMID: 28808238

「外来種の侵襲性を種子の耐久性で予測する Persistent seeds predict invasiveness 」 Andrew M. Sugden    https://science.sciencemag.org/content/372/6548/1301.1    種子の耐久性を決める仕組みを理解することは様々な応用、社会的な意味のある成果につながるかもしれない。

http://seedtechno.co.jp/index.html   日本シードテクノという会社があった。

寄生生物のミトコンドリア

寄生生物のミトコンドリアは特殊な働きをしていることが多いらしい。薬剤のよい標的になっている。「熱帯熱マラリア原虫は QOR、MDH、PRODH、ETFDH と複合体 I の遺伝子 を欠損している。」と書かれていた。 「熱帯熱マラリア原虫のミトコンドリア電子伝達系を標的とした新規薬剤の開発」 小松谷博士の博士論文     トリパノゾーマという病原性原虫は特殊なミトコンドリアエネルギー代謝を行っている。解糖系で生成した NADH からの電子がグリコソーム(特殊なオルガネラ)とミトコンドリア内膜にそれぞれ存在する二種類の Glycerol-3-phosphate dehydrogenase によってユビキノンに流れこむ。さらに植物の AOX に相当する TAO によって電子が酸素に受け渡され水が生じる。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/149/5/149_214/_article/-char/ja/ 「魔法の弾丸:日本からの抗寄生虫薬」北 潔先生   Mitochondrial RNA quality control in trypanosomes   Inna Aphasizheva, Ruslan Aphasizhev   doi: 10.1002/wrna.1638.   PMID: 33331073 DOI: 10.1002/wrna.1638 という論文があった。トリパノゾーマにも PPR タンパク質が存在して働いている。

Striga 属などの寄生植物のゲノム配列が決定されデータベースに入っている。NCBI の BLAST サーチでは対象にする生物種を選ぶことができ、シロイヌナズナのミトコンドリア遺伝子と相同な寄生植物の遺伝子を検索することができる。   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/assembly/GCA_008636005.1/   に、Striga asiatica のゲノム情報をまとめたページがある。 Mitochondria in parasitic plants   Mitochondrion Volume 52, May 2020, Pages 173-182   PMID: 32224234  というレビューがあった。寄生植物であるヤドリギは通常の電子伝達系よりも AOX を主に使っていると書いてある。トリパノゾーマでは宿主に存在しない TAO を阻害する薬剤が開発されている。植物では普通の植物でも AOX は必要な因子なので難しいかもしれない。

植物と微生物の共生は生育に有用なことが多くこれも研究が進んでいる。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2634080/   菌根菌のミトコンドリアを活性化するストリゴラクトン    Root factors induce mitochondrial-related gene expression and fungal respiration during the developmental switch from asymbiosis to presymbiosis in the arbuscular mycorrhizal fungus Gigaspora rosea.   Tamasloukht M, Séjalon-Delmas N, Kluever A, Jauneau A, Roux C, Bécard G, Franken P. Plant Physiol. 2003 Mar;131(3):1468-78. doi: 10.1104/pp.012898. PMID: 12644696    菌根菌は、いつもはミトコンドリアをわざと働かないようにしておいて、宿主が近くに出現した都合のよい状態になったら活性化するのかもしれない。植物でもミトコンドリアの活性は乾燥種子では低く発芽時に高まる。これは普通に考えると単に水分のありなしだけのことだと解釈できる。ストリゴラクトンは寄生植物の発芽を刺激することで見いだされた。これはエチレン生成の促進によって発芽が起きる。ミトコンドリアと葉緑体も活性化しているのかもしれない。

発芽と活性酸素、エチレン、ミトコンドリアの関係を分析した論文が発表された。   Retrograde signaling from the mitochondria to the nucleus translates the positive effect of ethylene on dormancy breaking of Arabidopsis thaliana seeds.   Jurdak R, Launay-Avon A, Paysant-Le Roux C, Bailly C.   New Phytol. 2020 Oct 5. doi: 10.1111/nph.16985.   PMID: 33020928   シロイヌナズナ Col の種子を水に浸した濾紙に播種して暗所で発芽させている。この条件では 25 ℃で発芽率が 10 %くらいになっている。暗所なのでフィトクロームが働かず発芽しにくいらしい。根に寄生する寄生植物も暗い地中で発芽しないといけない。エチレンを与えると回復して発芽している。エチレンで発芽が回復するときに電子伝達を阻害するロテノン、アンチマイシン、SHAM を与えると発芽が回復しなくなる。その時活性酸素(H2O2)の生成量が減少している。「そんな毒を与えたら発芽しないのが当たり前じゃないか」と言われそうだが、どう反論したのだろうか。Retrograde signaling from the mitochondria に関係する遺伝子 AOX1a, NAC013, NAC017 の変異体でも、エチレンによる発芽促進が起きにくくなる。エチレンを与えた際に NCED6, 9 の mRNA は減少し、GA と関係する RGL1 などは増加している。RNA-seq データ GSE151223 があるがまだ公開されていない。 この論文の続きとなる論文が出ている。   

Intracellular reactive oxygen species trafficking participates in seed dormancy alleviation in Arabidopsis seeds   New Phytol. 2022 Feb 17. doi: 10.1111/nph.18038.    Rana Jurdak など    PMID: 35175638   エチレンではなくジベレリン、低温処理で発芽が促進される場合、AOX1a や NAC013 は働いていない。初期の活性酸素生成はミトコンドリアから起きると書かれている。その後はペルオキシソームが関与しているらしい。生成した活性酸素 ROS は核に移行してクロマチンを緩んだ状態にして様々な遺伝子が活性化される。活性酸素が生成してもそれが核などの適切な場所に移行しないと遺伝子発現の調節につながらないらしい。「活性酸素生成には NADPH oxidases が関与している」と多くの教科書、論文には書いてあるが、この論文では「suggesting that NADPH oxidases are not likely to be involved in ROS production during seed dormancy alleviation.」と書かれている。

ETFQO (Electron-transfer flavoprotein:ubiquinone oxidoreductase) と発芽

ミトコンドリア電子伝達系には、生物学入門の教科書に掲載されている複合体 I, II, III, IV, ATP 合成酵素、チトクローム C、ユビキノンだけでなく多数の様々な因子が電子を供給したり受け取ったりしている。AOX はそれらの内で一番有名で研究例が多い。Electron-transfer flavoprotein:ubiquinone oxidoreductase (ETF, ETFQO) はそれよりも有名ではないが、暗黒処理した際に起きるアミノ酸分解代謝に働く酵素 (isovaleryl-CoA dehydrogenase など) からの電子を受容してミトコンドリア電子伝達系に流し込むなどの重要な役割を果たしている。   The mitochondrial electron transfer flavoprotein complex is essential for survival of Arabidopsis in extended darkness.   Ishizaki K, Schauer N, Larson TR, Graham IA, Fernie AR, Leaver CJ. Plant J. 2006 Sep;47(5):751-60. doi: 10.1111/j.1365-313X.2006.02826.x. PMID: 16923016

Electron transfer flavoprotein alpha (ETFALPHA)AT1G50940暗黒処理で発現量上昇
Electron transfer flavoprotein betaAT5G43430暗黒処理で発現量が大きく上昇
Electron-transfer flavoprotein:ubiquinone oxidoreductase (ETFQO)AT2G43400暗黒処理で発現量が大きく上昇

ETFQO が種子の形成、発芽に重要な役割を果たしていることが見いだされた。

The Arabidopsis electron-transfer flavoprotein:ubiquinone oxidoreductase is required during normal seed development and germination   Paula da Fonseca-Pereira, Phuong Anh Pham, João Henrique F. Cavalcanti, Rebeca P. Omena-Garcia, Jessica A. S. Barros, Laise Rosado-Souza, José G. Vallarino, Marek Mutwil … See all authors   First published: 05 November 2021   https://doi.org/10.1111/tpj.15566

発芽時には様々な貯蔵栄養がエネルギーになる。貯蔵タンパク質、それに由来するアミノ酸の分解も、光合成を行わない状態でのエネルギーの供給に重要な役割を果たしている。


Reactive Oxygen Species (ROS) Generation Is Indispensable for Haustorium Formation of the Root Parasitic Plant Striga hermonthica   Front. Plant Sci., 22 March 2019 | https://doi.org/10.3389/fpls.2019.00328   様々な HIF 吸器誘導因子で処理した際に、吸器中に過酸化水素が蓄積する。   Redox-mediated quorum sensing in plants    https://doi.org/10.1371/journal.pone.0182655   2,6-dimethoxy-p-benzoquinone (DMBQ) という分子は吸器形成のシグナル (HIF) になる。Figure 7 には、NADPH-oxidase によって DMBQ が還元され、それが再酸化されると ROS の一種である過酸化水素が生成すると書いてある。

植物が DMBQ を感知する機構が解明された。 化学と生物 59(5): 219-221 (2021)  「植物におけるキノン化合物の認識機構 − 寄生植物から学ぶ植物の免疫機構」 石濱 伸明、Anuphon Laohavisit、白須 賢 各先生による解説

DMBQ はキノンで動物では肝臓で代謝されミトコンドリアにも作用する。高濃度では毒になる。   Quinone toxicity in hepatocytes: studies on mitochondrial Ca2+ release induced by benzoquinone derivatives.   Moore GA, Rossi L, Nicotera P, Orrenius S, O'Brien PJ.   Arch Biochem Biophys. 1987 Dec;259(2):283-95.   PMID: 3426229

線虫でキノンが翻訳を阻害するらしいという論文もあった。これも高濃度で毒になるのだろう。  Transcriptome analysis reveals the high ribosomal inhibitory action of 1,4-naphthoquinone on Meloidogyne luci infective second-stage juveniles  Front. Plant Sci., 05 June 2023 Volume 14 - 2023 | https://doi.org/10.3389/fpls.2023.1191923 Joana M. S. Cardoso など

RNA-Seq analysis identifies key genes associated with haustorial development in the root hemiparasite Santalum album   Front. Plant Sci., 01 September 2015 | https://doi.org/10.3389/fpls.2015.00661   ミトコンドリア電子伝達系に関わる遺伝子の発現が変化していると書かれている。

ヨーロッパヤドリギは薬用成分を生産することでも注目されている。   Phytochemical profile and therapeutic potential of Viscum album L.   Nazaruk J, Orlikowski P    Nat Prod Res. 2016;30(4):373-85. doi: 10.1080/14786419.2015.1022776. Epub 2015 Mar 27. Review.   PMID: 25813519   http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c04/18.html   セイヨウヤドリギに関する基本的情報(厚生労働省)   http://kanaya.naist.jp/knapsack_jsp/result.jsp?sname=organism&word=Viscum%20album   薬用成分を生産する植物は必ずしも生育が早いわけではない。そういう植物に「接ぎ木能力」を持たせて良い台木と組み合わせることが可能になれば生育の早さと薬用成分の生産を両立できるようになるかもしれない。  日本経済新聞 2020年8月8日(土) 第34面に「タバコの茎「接着剤」にキクの上でトマト栽培」というタイトルで、野田口先生らの研究が紹介されていた。遠い仲間の作物同士でも組み合わすことができると書いてある。

植物が単独で生きていく(他の生物と全く相互作用しない)のであれば、ミトコンドリアの機能が低下することは良いことを全く引き起こさない。しかし、他の生物から身を守る・他の生物と共生、寄生する場合には、ミトコンドリアの機能が低下することにメリットが発生することもあるのではないか。また種子のように成長せずに厳しい環境に耐える性質を獲得するにはミトコンドリアの機能が低下することが利益になるかもしれない。

寄生植物の葉緑体

植物には葉緑体があり、他の生物ではミトコンドリアで行われている過程の多くが葉緑体で行われている。また光合成や植物ホルモンの合成など植物独自の機能を司っている。どんな生物でもオルガネラは単独で働くだけでなく、他のオルガネラと協力し情報交換しながら高度で複雑な役割を果たしている。

Mechanistic model of evolutionary rate variation en route to a nonphotosynthetic lifestyle in plants   Proc Natl Acad Sci U S A. 2016 Aug 9;113(32):9045-50.   doi: 10.1073/pnas.1607576113. Epub 2016 Jul 22.   PMID: 27450087    PMCID: PMC4987836    Striga などの寄生植物の葉緑体には多くの変化が生じている。NDH 遺伝子は失われやすい。葉緑体の NDH の機能については、日本の研究グループによってすばらしい成果が挙げられている。   https://sites.google.com/site/pmgkyotou/top/home   鹿内先生の研究紹介   https://www.jst.go.jp/pr/announce/20160202/index.html   「変動する光環境から身を守る植物のメカニズムを解明〜植物の生産性を向上させる技術開発に貢献〜」 矢守 航 博士らによる研究成果   葉緑体の NDH は光合成でのみ働くらしいので、寄生が成立するかどうかには関係がないらしい。しかし NDH がなくなることが何かの影響を寄生に与える可能性もあるかもしれない。   https://photosyn.jp/pwiki/index.php?NDH%E8%A4%87%E5%90%88%E4%BD%93   光合成辞典「NDH複合体」   葉緑体 NDH の基質は NAD(P)H ではなく、フェレドキシンから電子を受け取る。光化学系 I と超複合体を形成している。寄生植物はたいていは日が当たりにくい暗いところにいるので変動する光環境から身を守る必要がないのかもしれない。

Limited mitogenomic degradation in response to a parasitic lifestyle in Orobanchaceae.   Fan W, Zhu A, Kozaczek M, Shah N, Pabón-Mora N, González F, Mower JP.    Sci Rep. 2016 Nov 3;6:36285.    doi: 10.1038/srep36285.    PMID: 27808159    Free PMC article.   寄生植物ではミトコンドリアゲノムに変化が生じることもあるが、ほとんど異常が見られない植物種が多い。

The economics of organellar gene loss and endosymbiotic gene transfer.   Kelly S.   Genome Biol. 2021 Dec 20;22(1):345. doi: 10.1186/s13059-021-02567-w.   PMID: 34930424    という論文があった。オルガネラゲノムにコードされた遺伝子が欠失することがエネルギーの節約につながり、その利益が欠失による損を上回る場合に、その遺伝子は核に移行したり消失するらしい。NDH複合体 が欠失すると鉄や硫黄を節約できるのかもしれない。

ヤドリギの光合成に関する論文が発表された。  The photosynthesis apparatus of European mistletoe (Viscum album)  Plant Physiol. 2022 Aug 17;kiac377. doi: 10.1093/plphys/kiac377. Online ahead of print. Lucie Schröder など  PMID: 35976139 DOI: 10.1093/plphys/kiac377

ヤドリギの葉緑体でも NDH が消失している。光化学系 I があまり働いていない。光合成による ATP 生産の効率も低下している。宿主から供給される糖をエネルギー源にしているのではないかと考察されている。「ヤドリギの種子は休眠しない」「気孔の動きが悪い」と Discussion の部分に書かれている。

発芽時に葉緑体はどのように働いているのか?

発芽時には ABA, GA 等のホルモンが重要な役割を果たす。これらのホルモンの生合成の前半は葉緑体内で進行する。それ以外にも発芽に必要なエネルギーを十分に供給するにはミトコンドリアだけでなく葉緑体も働かなければならないのではないか。どのように働いているのだろうか。

寄生生物に特有の代謝

https://www.id3catalyst.jp/j/column13.html   トリパノソーマ原虫はプリン塩基の de novo 生合成ができず、サルベージ合成経路だけを持つ。寄生性の原生生物はどれもそうらしい。   https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15140885/ に書かれていた。

植物のプリン塩基に関する研究の大家である芦原先生らによる総説   Purine salvage in plants Phytochemistry. 2018 Mar;147:89-124. Hiroshi Ashihara, Claudio Stasolla, Tatsuhito Fujimura, Alan Crozier   PMID: 29306799 DOI: 10.1016/j.phytochem.2017.12.008    には、寄生植物のことは出てこない。寄生植物では違いはないのだろう。しかし寄生植物は種子が小さく貯蔵栄養が少ないものが多い。プリン塩基を de novo 合成するには多くのエネルギー (ATP、葉酸) が必要である。寄生植物はエネルギーをなるべく消費しない経路を主に使っていると言うこともあるかもしれない。

複数の生合成経路の使い分け

プリン塩基には de novo 生合成経路とサルベージ経路がある。複数の経路があると、植物によって、また生育条件、器官の違いによってどちらの経路を主に使うかが違ってくる可能性がある。実際にプリン塩基ではそういうことが示されている。    Characterization of Arabidopsis glutamine phosphoribosyl pyrophosphate amidotransferase-deficient mutants.   Hung WF, Chen LJ, Boldt R, Sun CW, Li HM. Plant Physiol. 2004 Jul;135(3):1314-23. doi: 10.1104/pp.104.040956. PMID: 15266056

寄生生物を選択的に制圧するためには、そういうことを見つけることが一つの手がかりになる。植物ではイソプレノイドの生合成経路に MVA 経路と MEP 経路がある。他にどんなものがあるだろうか。「サルベージ経路」をもつ化合物の生合成は候補になる。

シロイヌナズナの気孔ではミトコンドリアによる ATP 生産が重要 寄生植物の気孔は特殊?

気孔に存在する葉緑体の機能については、九州大学大学院理学研究院の祢 淳太郎 准教授と射場 厚 教授、及びカリフォルニア大学サンディエゴ校のJulian Schroeder教授、埼玉大学の西田 生郎 教授らの研究グループによるすばらしい研究成果が報告されている。

https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/273/  「なぜ気孔には葉緑体があるのか? 植物科学の長年の謎に迫る」 気孔に存在する葉緑体では真核細胞型の脂質代謝経路が発達している。

島崎研一郎先生による「新・生命科学シリーズ 気孔−陸上植物の繁栄を支えるもの−」(裳華房)は、気孔に関する最新の研究成果が解説されたすばらしい本である。

気孔にはミトコンドリアも存在する。その機能に関する論文も発表された。

Arabidopsis guard cell chloroplasts import cytosolic ATP for starch turnover and stomatal opening.   Lim SL, Flütsch S, Liu J, Distefano L, Santelia D, Lim BL.   Nat Commun. 2022 Feb 3;13(1):652. doi: 10.1038/s41467-022-28263-2.   PMID: 35115512

複合体 I の阻害剤 rotenone and 複合体 II の阻害剤 TTFA を同時に与える、または ATP 合成酵素の阻害剤オリゴマイシンを与えることでミトコンドリアでの ATP 合成を阻害すると、特に気孔細胞の細胞質 ATP 濃度が低下する。それによって細胞膜 H+-ATPase の働きが低下して pH の変化が小さくなる。細胞質に運ばれた ATP は、さらに葉緑体に運ばれてデンプン合成などに使われる。そのことが気孔が開くのに必要である。気孔細胞の光合成能力は高くない。  https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2022/8083/  「植物の気孔がCO2に応じて閉じる新たな仕組みを発見」 安藤 英伍、木下 俊則、寺島 一郎各先生によるすばらしい成果にあるように、細胞膜 H+-ATPase はリン酸化されることで活性化する。H+-ATPase が働くには ATP が必要になる。リン酸化にも ATP が必要になる。ATP の量が何かを制御することはありえなくはない。 

ミトコンドリア機能低下変異体では気孔が開きにくく乾燥に強くなるという報告が複数ある。そのことと関係しているのかもしれない。

NRGA1, a putative mitochondrial pyruvate carrier, mediates ABA regulation of guard cell ion channels and drought stress responses in Arabidopsis.   Li CL, Wang M, Ma XY, Zhang W.   Mol Plant. 2014 Oct;7(10):1508-21. doi: 10.1093/mp/ssu061. Epub 2014 May 19.   PMID: 24842572    という論文もあった。ミトコンドリア にピルビン酸を輸送する NRGA1 が働かなくなると気孔が閉じやすくなる。水分が蒸発しにくくなるので水を与えない状態で長時間我慢できる。

しかし解糖系による ATP 生産が重要である可能性もある。

寄生植物であるヤドリギはミトコンドリアの機能が低下している。しかし、

S Smith, G R Stewart   Effect of Potassium Levels on the Stomatal Behavior of the Hemi-Parasite Striga hermonthica   Plant Physiol. 1990 Nov;94(3):1472-6.   doi:10.1104/pp.94.3.1472.   PMID: 16667856 PMCID: PMC1077401

の Discussion の部分に、ヤドリギは蒸散量が大きい、乾燥しても気孔が閉じにくいと書かれている。 また別のタイプの寄生植物であるストライガは気孔が常に開いていて宿主から水や栄養分を収奪すると、杉本幸裕先生による解説「「魔女の雑草」ストライガに秘められた謎」植物の生長調節 55:No.1 67-69 に書かれている。ストライガは自分自身は ABA が効かないようになっていて、ABA を分泌して宿主の成長を阻害するために使っていることが紹介されている。寄生植物では気孔自体が特殊で ATP をあまり使わずに気孔を開けたままにしている可能性がある。ヤドリギの葉緑体は光合成能が低いので、気孔でも葉緑体がよく働いて ATP を十分に生産しているということはない。 Effect of Potassium Levels on the Stomatal Behavior of the Hemi-Parasite Striga hermonthica ではカリウムイオン濃度が重要だと示されている。「In the leaves of many parasitic plants, including Striga, very large amounts of potassium are accumulated (up to 6% of dry weight).」と書かれている。 このことは何かの弱点につながらないだろうか。セシウムを与えるとカリウムの代わりにたくさん取り込んで変なことが起きるかもしれない。

気孔の形は植物種によって変化・違いが大きく多様性が高いらしい。 Stomatal morphological variation contributes to global ecological adaptation and diversification of Brassica napus   Planta. 2022 Aug 27;256(4):64. doi: 10.1007/s00425-022-03982-4. Yeke Chen など  PMID: 36029339  

「バイオマスをCO₂吸収源としたネガティブエミッション技術」  https://www.jst.go.jp/crds/report/CRDS-FY2021-RR-05.html   という CRDS の報告書に射場先生の「地球高CO2化と植物の環境適応」という講演記録がある。とても勉強になる。シロイヌナズナエコタイプ Cape Verde Islands(Cvi–0) は気孔が閉じにくいこと、エコタイプ Me‒0 は気孔が大きいことなどが紹介されている。大きい気孔を動かすにはエネルギーが余計に必要になるらしい。他にも興味深い講演発表がある。

リンゴ酸は気孔を閉じるシグナルになる

ミトコンドリア機能に異常が生じると TCA 回路の構成要素である有機酸の量が変化する。それらの一つであるリンゴ酸は気孔を閉じるシグナルになることが発見されている。

Extracellular malate induces stomatal closure via direct activation of guard-cell anion channel SLAC1 and stimulation of Ca(2+) signalling.   Mimata Y, Munemasa S, Nakamura T, Nakamura Y, Murata Y.   New Phytol. 2022 Nov;236(3):852-863. doi: 10.1111/nph.18400. Epub 2022 Aug 9.   PMID: 35879859

AOXと共生

https://www.jstage.jst.go.jp/article/dojo/87/1/87_75/_pdf   「菌根の分子生物学の最新情報」小八重善裕先生による国際会議の紹介  共生は発達と崩壊を繰り返しながら強固なものになっていくと書かれている。共生はリンが欠乏した条件で成立しやすい。リン欠乏によって宿主の機能が低下することが共生の発達、成立にはプラスに働くのかもしれない。共生しなくても十分栄養があるのなら、わざわざ共生をしようとはしないのではないか。リンが欠乏すると ATP 合成に必要なリン酸が不足するのでミトコンドリア電子伝達系にも大きな影響がある。AOX を用いて流れる電子の割合が大きくなる。その状態では活性酸素生成が少なくなる。活性酸素生成が少なくなると共生菌が寄生しやすくなるのかもしれないが、単なる想像でしかない。

Unraveling the Initial Plant Hormone Signaling, Metabolic Mechanisms and Plant Defense Triggering the Endomycorrhizal Symbiosis Behavior.   Bedini A, Mercy L, Schneider C, Franken P, Lucic-Mercy E.   Front Plant Sci. 2018 Dec 17;9:1800. doi: 10.3389/fpls.2018.01800. eCollection 2018. Review.   PMID: 30619390    というレビューではミトコンドリアの Alternative oxidase (AOX) について議論されている。Figure 5 は、AOX を強く働かせると共生が成立しやすいと書いてあるように見える。これは考え違いで「共生が成立すると AOX が強く働く」が正しいのかもしれない。またはその両方かもしれない。

AOX は エネルギーを ATP 合成に結びつけず熱に不可逆的に変えてしまうが、そのことがかえって植物の生育にプラスに働くこともあるらしい。   Alternative Oxidase Is Positive for Plant Performance.   Selinski J, Scheibe R, Day DA, Whelan J.   Trends Plant Sci. 2018 Apr 14. pii: S1360-1385(18)30080-3. doi: 10.1016/j.tplants.2018.03.012. [Epub ahead of print] Review.   PMID: 29665989

AOX1a を欠失した変異体が存在して研究に使われている。急激な乾燥ストレスへの適応に関係しているという論文があった。

The Lack of Alternative Oxidase 1a Restricts in vivo Respiratory Activity and Stress-Related Metabolism for Leaf Osmoprotection and Redox Balancing Under Sudden Acute Water and Salt Stress in Arabidopsis thaliana.   Del-Saz NF など   Front Plant Sci. 2022 May 17;13:833113. doi: 10.3389/fpls.2022.833113. eCollection 2022. PMID: 35656009

構造生物学研究は生物学の確かな土台となる。土台がしっかりしていると上部構造である研究成果も信頼できるものになる。AOX1a の立体構造に関する論文が出版された。

Structural and Biophysical Characterization of Purified Recombinant Arabidopsis thaliana’s Alternative Oxidase 1A (rAtAOX1A): Interaction With Inhibitor(s) and Activator    Front. Plant Sci., 16 June 2022 | https://doi.org/10.3389/fpls.2022.871208

・寄生植物は菌と共生しているか?

寄生植物は単独で生きて行くには向かない仕組みを持ちながら、生命を維持して繁殖している。寄生に成功したときに種子を大量に作るのだろうが、それ以外にも生きていくための仕組みがあるかもしれない。寄生するための仕組みが、菌との共生にも役立つかもしれない。そういう研究成果はあるのだろうか。

https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=900   「ネジバナと菌根菌の関係を探る−ネジバナの種子を発芽させるにはどうすればよいだろうか」化学と生物 55(12): 841-843 (2017) 高校生(当時)の繁森さんによる研究成果の紹介   ネジバナの種子はきわめて小さく発芽のための栄養源を持っていない。そのため菌根菌と共生して発芽ができるようになる。特定の種類の菌根菌にだけ、発芽を促進する働きがあることが発見された。ネジバナは寄生植物ではないが、種子がきわめて小さいことはストライガと似ている。

寄生植物の性質を模倣する実験系

寄生植物であるストライガの種子は、ストリゴラクトンによって発芽が促進される。シロイヌナズナの種子は高温では発芽しにくくなるが、そこに合成ストリゴラクトンである GR24 を加えると発芽が回復する。この作用は他の種類の植物ホルモンと複雑に相互作用している。

Thermoinhibition uncovers a role for strigolactones in Arabidopsis seed germination.   Toh S, Kamiya Y, Kawakami N, Nambara E, McCourt P, Tsuchiya Y. Plant Cell Physiol. 2012 Jan;53(1):107-17. doi: 10.1093/pcp/pcr176. Epub 2011 Dec 14. PMID: 22173099

双子葉植物と単子葉植物の違い

寄生植物と宿主の性質の違いが防除の役に立つことが示されている。 https://allianceforscience.cornell.edu/blog/2019/08/controlling-witchweed-infestations-africa/ 「Controlling witchweed infestations in Africa」 Imazapyr という除草剤に耐性なトウモロコシが活用されている。論文にもなっている。   Assessment of Management Options on Striga Infestation and Maize Grain Yield in Kenya.   Kanampiu F, Makumbi D, Mageto E, Omanya G, Waruingi S, Musyoka P, Ransom J. Weed Sci. 2018;66(4):516-524. doi: 10.1017/wsc.2018.4. Epub 2018 Jul 1. PMID: 33583963    寄生植物として有名なストライガはハマウツボ科に属する双子葉植物である。トウモロコシなどのイネ科の作物は単子葉植物である。双子葉植物と単子葉植物には様々な違いが見られる。特にイネ科の作物では細胞壁を構成する多糖類に大きな違いがある。様々な違いを見つけるにはゲノム情報が基盤になり役に立つだろう。

病原菌の「ステルス作戦」と活性酸素

宿主に気がつかれずに感染するしくみは病原菌に広く見られるらしい。  

植物の免疫システムをかいくぐる、カビの「ステルス作戦」の発見  https://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/press/20090817/ 細胞表面を構成する細胞壁多糖類の種類を変えることで免疫反応が起きにくいようにしている。

寄生植物も、もしかしたら細胞壁多糖類の種類、組成が変化しているかもしれない。体全体の細胞壁が変化するのでなく、宿主と相互作用するところだけ変化するなら生育に影響を与えずに可能になるだろう。 ペクチンは細胞と細胞を結合させる役割がある。ペクチンが増えたりしたら、寄生植物の細胞と宿主の細胞が結合しやすくなって寄生しやすいかもしれない。 寄生に細胞壁に働くβ-1,4-グルカナーゼが重要だということを示した研究が、すでに発表されている。   https://www.riken.jp/press/2020/20200807_5/index.html    寄生植物が宿主植物に寄生する時に働く遺伝子を発見 −植物の接木成立と共通するメカニズム− 名古屋大学、理化学研究所によるすばらしい研究

「植物の生長調節」2020年 No.1 に、杉本先生による「魔女の雑草 ストライガに秘められた謎」という解説記事がある。ストライガの種子は発芽するとアブシジン酸を大量に分泌して宿主の生育を阻害することが紹介されている。ストライガ自身は、アブシジン酸の作用を受けないようにシグナル伝達因子 PP2C に変異が生じている。アブシジン酸によって、宿主の抵抗を抑えて侵入を容易にしているのだろうと考察されている。

2019 年になってやっと気がついたが、こういう論文が 2015 年に発表されていた。   Deficient plastidic fatty acid synthesis triggers cell death by modulating mitochondrial reactive oxygen species.   Wu J, Sun Y, Zhao Y, Zhang J, Luo L, Li M, Wang J, Yu H, Liu G, Yang L, Xiong G, Zhou JM, Zuo J, Wang Y, Li J.   Cell Res. 2015 May;25(5):621-33. doi: 10.1038/cr.2015.46. Epub 2015 Apr 24.   PMID:  25906995

植物に Pseudomonas syringae が感染するとサリチル酸の増加、細胞死などの応答を示す。hypersensitive response (HR) と呼ばれる。mod1 (mosaic death 1) という変異体はプラスチドでの脂肪酸合成に欠陥があり細胞死がおきやすい。その性質を打ち消す変異体をスクリーニングすると、複合体I 活性が低下する変異が見いだされた。他の種類の複合体I 活性低下変異体との二重変異体にしても、細胞死がおきにくくなった。私がずっと研究対象にしている nmat1 遺伝子の変異体も実験に用いられていた。

関係する論文: Malate transported from chloroplast to mitochondrion triggers production of ROS and PCD in Arabidopsis thaliana.   Zhao Y, Luo L, Xu J, Xin P, Guo H, Wu J, Bai L, Wang G, Chu J, Zuo J, Yu H, Huang X, Li J.   Cell Res. 2018 Apr;28(4):448-461. doi: 10.1038/s41422-018-0024-8. Epub 2018 Mar 14.   PMID: 29540758    Deadlier than the malate.   Ding P, Guo H, Jones JDG.   Cell Res. 2018 Jun;28(6):609-610. doi: 10.1038/s41422-018-0042-6. No abstract available.   PMID: 29844581

mod1 などの変異によってリンゴ酸の蓄積量が増加する。それらはミトコンドリアに輸送され、malate dehydrogenase によってオキザロ酢酸 OAA に変化する。その際に NAD+ が NADH に還元される。NADH からの電子は複合体I によって電子伝達系へ流れ込むが、その際に活性酸素 ROS が大量に発生して細胞死を引き起こす原因になる。 ゆえに、複合体I の活性が低下していると細胞死がおきにくくなる。同じ仕組みが動物細胞でも観察されると論文に書いてある。複合体I から生成する活性酸素の働きは、細胞膜に存在する NADPH oxidase からの活性酸素に比べると見落とされて overlook いた。

理屈的には「植物が寄生する際には拒否反応として活性酸素が生じる。複合体 I が働かなくなると活性酸素ができにくくなって寄生しやすい」ということもあり得なくはないかもしれない。しかし宿主には正常なミトコンドリアや活性酸素生成機構があるわけで寄生植物の方だけが変化することに意味があるのだろうか。寄生植物が活性酸素を作らないようにすることで、宿主に気がつかれずに接近・コンタクトできると言うこともあり得なくはないかもしれない。

この考えに基づくと「植物は他の植物が近づいたことを認識するために、活性酸素を一つの因子(もちろんそれ以外の因子もあるだろう)として使っている」ことが推測される。寄生植物は宿主に気がつかれずに近づくために活性酸素をなるべく作らないしくみを持っているかもしれない。AOX や電子伝達系複合体の変化がそのために起きているかもしれない。 また生成した活性酸素を効率よく消去するしくみを持っていることも推測される。

ヤドリギについてネット検索していると、Florel というホルモン剤でヤドリギを除去できるという記事があった。Florel というのは Bayer AG の製品で、Ethephon が活性成分だと書いてある。Ethephon は気体の植物ホルモンであるエチレンに変換され植物に作用する。エチレンはストライガという寄生植物の発芽を促進することでもよく知られている。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2090123221000266#b0105

CSN improves seed vigor of aged sunflower seeds by regulating the fatty acid, glycometabolism, and abscisic acid metabolism   Journal of Advanced Research    Available online 9 February 2021   CSN というのは compound sodium nitrophenolate の略で、主に中国で使われている植物化学調節剤らしい。「ATONIK 〜An Environment-Friendly Plant Stimulant〜」という商品名で発売されている。   https://www.oat-agrio.co.jp/en/product/Atonik.html   乾燥などのストレスを受けた際に効果があるらしい。日本では雨が良く降るので使われていないらしい。 Atonik に関する論文  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6236065/   

ミトコンドリアは感染誘導ストレスに応答して外膜を脱落させる   Xianhe Li, Julian Straub, Tânia Catarina Medeiros and more    https://www.science.org/doi/10.1126/science.abi4343

Toxoplasma gondii というヒトに寄生する寄生生物は、外膜に存在するタンパク質と結合するエフェクター TgMAF1 を用いて宿主のミトコンドリアの外膜を脱落させる。

sloh5 = ELONGATED MITOCHONDRIA1 (ELM1)

Mitochondrial Fission Complex is Required for Long-Term Heat Tolerance of Arabidopsis.   Tsukimoto R, Isono K, Kajino T, Iuchi S, Shinozawa A, Yotsui I, Sakata Y, Taji T.   Plant Cell Physiol. 2021 Dec 1:pcab171. doi: 10.1093/pcp/pcab171. Online ahead of print.   PMID: 34865144

植物は様々なタイプのストレスを受ける。またストレスは短時間だけ起きてすぐに元に戻るだけでなく、継続的にストレス状態が続くこともある。 この論文ではそのことに注目して、長時間続く熱ストレスに対する感受性が特異的に高くなった変異体を単離して分析した。変異遺伝子は、Mitochondrial Fission Complex を構成する要素だった。

2022年3月の植物生理学会のシンポジウム「環境の不規則な経時変動に対するステージゲート応答」において、東京農大の太治先生による講演「植物の高温に対するレジリエンス機構」を聞かせていただいた。 植物は短期的なストレスにすばやく応答する。ストレスが続く、繰り返し起きる場合は短期的なストレス応答(可逆なことが多い)から次のステージである長期的なストレス耐性獲得状態(不可逆なことがある)へ移行する。他にも栄養生長期から繁殖期への切り替えなど、生物の活動全体にステージの切り替えは普遍的に見られる。ステージの切り替えを判断する仕組み、ステップをステージゲートと呼ぶらしい(最初の説明を聞いていなかったのでよくわかっていない)。様々なステージゲートの仕組みを解明して比較するすることで生物に普遍的なメカニズム・ポリシーを見いだしたいとシンポジウムの終わりの挨拶でオーガナイザーの先生がおっしゃっていた。

高温に耐えるための仕組みには HsfA1 が中心的な因子として働いており Hsp, オーキシンやジベレリンが制御されている。ホルモン作用によって葉が上に持ち上がるという形態変化(バンザイをしたような)が生じる。気孔も高温耐性に重要な役割を果たしていることも知ることができた。sloh5 に関しても解説があった。上の方にも書いたように孔辺細胞ではミトコンドリアまたは解糖系による ATP 合成が大切だという論文がある。 Arabidopsis guard cell chloroplasts import cytosolic ATP for starch turnover and stomatal opening.   Lim SL, Flütsch S, Liu J, Distefano L, Santelia D, Lim BL.   Nat Commun. 2022 Feb 3;13(1):652. doi: 10.1038/s41467-022-28263-2.   PMID: 35115512  何か関係あるのかもしれない。

Root Primordium Defective 1 Encodes an Essential PORR Protein Required for the Splicing of Mitochondria Encoded Group II Introns and for Respiratory Complex I Biogenesis.   Edris R, Sultan LD, Best C, Mizrahi R, Weinstein O, Chen S, Kamennaya NA, Keren N, Zer H, Zhu H, Ostersetzer-Biran O.   Plant Cell Physiol. 2023 Sep 13:pcad101. doi: 10.1093/pcp/pcad101. Online ahead of print. PMID: 37702436   では、高温でミトコンドリア電子伝達系複合体のアセンブリーがうまくいかなくなることについて discuss されている。特に複合体 I は高温の影響を受けやすい。Fig. S10 ではウエスタンブロットによって示されている。Complex III と ATP 合成酵素のデータもあり、それらは 22 ℃から 28 ℃に移しても変化がない。Complex II, CytC, COX に関するデータはない。   How hot can mitochondria be? Incubation at temperatures above 43 °C induces the degradation of respiratory complexes and supercomplexes in intact cells and isolated mitochondria.   Moreno-Loshuertos R, Marco-Brualla J, Meade P, Soler-Agesta R, Enriquez JA, Fernández-Silva P.   Mitochondrion. 2023 Mar;69:83-94. doi: 10.1016/j.mito.2023.02.002. Epub 2023 Feb 9.   PMID: 36764502 という論文が引用されている。

sloh4 変異体に関する紹介もあった。   An ER-Golgi Tethering Factor SLOH4/MIP3 Is Involved in Long-Term Heat Tolerance of Arabidopsis.   Isono K, Tsukimoto R, Iuchi S, Shinozawa A, Yotsui I, Sakata Y, Taji T. Plant Cell Physiol. 2021 May 11;62(2):272-279. doi: 10.1093/pcp/pcaa157. PMID: 33367686   ANAC017 の研究で示されているように、小胞体とミトコンドリアは連携して働いている。sloh5 ではうまく連携できないのかもしれない。

The ER Is a Common Mediator for the Behavior and Interactions of Other Organelles   Front. Plant Sci., 25 March 2022 | https://doi.org/10.3389/fpls.2022.846970   Jaideep Mathur など という論文があった。  Splice variants of mitofusin 2 shape the endoplasmic reticulum and tether it to mitochondria  SCIENCE 23 Jun 2023 Vol 380, Issue 6651 DOI: 10.1126/science.adh9351  という論文があった。

PPR タンパク質を操作して稲の低温耐性を改善できる

A mitochondrial pentatricopeptide repeat protein enhances cold tolerance by modulating mitochondrial superoxide in rice.   Zu X, Luo L, Wang Z, Gong J, Yang C, Wang Y, Xu C, Qiao X, Deng X, Song X, Chen C, Tan BC, Cao X.   Nat Commun. 2023 Oct 25;14(1):6789. doi: 10.1038/s41467-023-42269-4.   PMID: 37880207

イネでは plastid-localized pseudouridine synthase OsPUS1 が変異すると低温に弱くなる。ospus1-1 の suppressor として sop10 を発見した。この遺伝子は mitochondria-localized pentatricopeptide repeat protein をコードしていて NAD2, NAD4, NAD5, NAD6 のスプライシングや editing に働いていた。それによって複合体 I 活性が低下して活性酸素生成が低下し、生育に対するダメージが小さくなった。Mn-SOD を強く働かせたイネでも低温に強くなった。ミトコンドリアでの superoxide 生成が低温耐性に重要であることが確かめられた。

sop10 変異単独でも野生型よりも低温に強くなった (Fig. 6)。正常な温度では sop10 は生育にあまり影響を与えていないように見える。複合体 I の活性低下の度合いが小さいからだと考えられる。高温に弱くなったりはしないのだろうか。理屈的にはそうなってもおかしくない。

こういった研究成果や上に書いた PMID: 37702436 の結果から「複合体 I は植物が温度を感受する機構の一部として役割を果たしている」と推定することもできなくはない。または「複合体 I から発生する活性酸素の量と温度感受性に強い関係がある・少ないと低温に強くなり多いと高温に強くなる」などと想像することもできるかもしれない。 2024 年3月の植物生理学会年会ではミトコンドリア電子伝達系、特に CytC と COX 複合体に関するすばらしい発表が複数行われていた。複合体 I だけでなく電子伝達系のそのほかの因子も温度感知に働いていることも想像できる。

Multi-scale analysis of heat stress acclimation in Arabidopsis seedlings highlights the primordial contribution of energy-transducing organelles.   Réthoré E など   Plant J. 2024 Apr 13. doi: 10.1111/tpj.16763.   PMID: 38613336   という論文が発表された。

複合体I に変異が起きる・活性を阻害すると活性酸素の量は増えるのか・減少するのか?

これは時と場合によって増えたり減ったりするらしい。

ミクログリア中のミトコンドリア複合体Iの活性が神経炎症を持続させる  2024年4月4日 Nature 628, 8006 doi: 10.1038/s41586-024-07167-9   この論文では、複合体I で逆方向の電子伝達がおきると活性酸素種産生が促進されることが言及されている。「逆方向電子伝達 reverse electron transfer」はコハク酸が多いと起きやすく、その際に活性酸素が大量に発生する。この場合、複合体Iを阻害すると活性酸素産生が抑えられ神経を保護することができる。

コハク酸は心臓を破壊する Nature 515, 7527 2014年11月20日    虚血(低酸素になる)の際には、コハク酸デヒドロゲナーゼ(complex II)が逆方向に働いてコハク酸が蓄積する。再灌流(酸素が供給される)を行うと、蓄積したコハク酸が急速に酸化され、ミトコンドリア複合体Iで起こる逆方向の電子伝達を介して活性酸素種産生を促進する。コハク酸蓄積を薬理学的に阻害してやると、虚血再灌流傷害が軽減される。

対照的にロテノンで複合体I を阻害すると活性酸素生成が増大することがさまざまな論文に書かれている。

複合体I の活性、温度感受性を __精密に__ 制御すると温度耐性を変えられる?

sop10 の論文の結果からするとそういう可能性もないわけではない。複合体I は多数のサブユニットから構成されていて、何の役に立つのかわからないサブユニットもある。そういうサブユニットは複合体I の活性を微妙に調節するために後付けでパッチを当てるように出現してきたのかもしれない。

植物オルガネラゲノムの塩基配列を人為的に変換するすばらしい技術が開発されている。   Targeted A-to-G base editing in the organellar genomes of Arabidopsis with monomeric programmable deaminases.   Zhou C, Okuno M, Nakazato I, Tsutsumi N, Arimura SI.   Plant Physiol. 2023 Dec 21:kiad678. doi: 10.1093/plphys/kiad678. Online ahead of print.  PMID: 38128544   ゲノム編集によって、複合体 I 等の活性を思い通りに精密に制御することも可能になるのかもしれない。

考えてみると、「何らかの機能・酵素活性を精密・微妙に制御する」ということは生物学においてあまり目標にされてこなかったような気がする。ゲノム編集はそういうことを可能にするかもしれない。私は植物ホルモンや植物化学調節剤のほうがなじみ深い分野なので、そういうものをうまく使う方法を考えればよいのかもしれない。

植物の温度センサー TWA1(短時間高温ストレス耐性に働く)

植物科学:シロイヌナズナの熱耐性には温度センサーTWA1が必要である  2024年5月30日 Nature 629, 8014 doi: 10.1038/s41586-024-07424-x  という論文が発表された。スクリーニングでの高温処理は「45°Cで90分から180分間、15分間隔で暑熱ストレスに曝露」という短期間の方法で行っている。スクリーニング実験では「播種して5日目の芽生え」という、とても若い小さな芽生えを用いている。Fig. 4 では播種して3週間の植物でも TWA1 が高温耐性(37℃で24時間処理して元に戻す)に働いていることを示している。

熱力学で示されているように、どんな物質も温度の影響を受ける。特に高分子はそうである。細胞の温度センサーは TWA1 以外にも存在するのではないか。

PPR40 の変異が水不足に対する耐性を高める

Mutation in Arabidopsis mitochondrial Pentatricopeptide repeat 40 gene affects tolerance to water deficit.   Kant K, Rigó G, Faragó D, Benyó D, Tengölics R, Szabados L, Zsigmond L.   Planta. 2024 Mar 1;259(4):78. doi: 10.1007/s00425-024-04354-w.   PMID: 38427069

通常の生育条件では変異によって生育が遅くなる。しかし水やりを止めた状態で耐える能力が強くなる。

ずっと以前にも PPR40 を用いてストレス耐性を増強できることが報告されていた。しかしこのことは実用に役立てられていない。生育や種子の収穫量などに悪影響が出ると予想されるのでそんなことに取り組む人はいないのだろう。

Arabidopsis PPR40 connects abiotic stress responses to mitochondrial electron transport.   Zsigmond L, Rigo G, Szarka A, Szekely G, Otvos K, Darula Z, Medzihradszky KF, Koncz C, Koncz Z, Szabados L.   Plant Physiol. 2008 Apr;146(4):1721-37. PMID: 18305213 PMCID: PMC2287346

Overexpression of the mitochondrial PPR40 gene improves salt tolerance in Arabidopsis.   Zsigmond L, Szepesi A, Tari I, Rigo G, Kiraly A, Szabados L.   Plant Sci. 2012 Jan;182(1):87-93. Epub 2011 Jul 26.   PMID: 22118619   PPR タンパク質の研究が、新しいメカニズムによるストレス耐性増強につながった。ミトコンドリアを制御する核遺伝子の研究が応用にも有用であるかもしれない。

プロリンはストレスと関係が深い。ppr40 変異体では、正常な状態でもプロリン量が約2倍に増えていた。しかし機能低下変異体はストレスに強くない(シャーレでの育成で検討・2024年の論文ではポット栽培で検討して乾燥耐性が確認できた)。 塩ストレスで野生型も ppr40 もプロリン量が大きく増加するが、その際も ppr40 の方が 2 倍多かった。過剰発現したものは塩ストレスに強くなるが、プロリンの量は野生型と同じだった。だから過剰発現体はプロリンのせいでストレスに強くなるわけではなかった。

他のミトコンドリアの機能変異体でも、代謝産物の一つとして Pro を測定している例がある。

 タバコ cmsII  Dutilleul et al. (2005) PMC1203358  にアミノ酸を分析した結果がある Pro は出ていない
 nMat1 変異体  Keren et al. (2012)   PMID: 22429648   変化していない 5-day-old  暗期の終わりにサンプリング ショ糖が減っている
 abo5 変異体  Liu Y et al. (2010)  https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20561255/   Figure 5e にデータ 24 時間明条件で二週間育成 2 倍以上に増えている ABA を加えるとさらに増えるが、その際も 2 倍多い      Figure 8d にもデータ 二週目の植物体 24時間連続明では 4 倍 12/12 では野生型と変わらない プロリン以外は測っていない
 ndufs4 変異体  Fig.6 4 週目の植物体のアミノ酸などをメタボローム的に測定 セリンが大きく増えている 10 倍以上 チロシンは 6-8 倍 ロイシン Leu、バリン Val は 2-5 倍 プロリンは 2-3 倍 明期と暗期で変化がある Leu, Val は暗期に倍率が増える
 slo2 変異体 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23990142/ ロゼット葉(4 週間)のアミノ酸を測定すると、Orn, Gly, Ala 等多くの種類で増加していた。特に Orn は顕著だった。プロリンは約 2 倍だった。Asp は減少していた(Figure 11)。
 A mutation in the E2 subunit of PDH  Planta. 2012 PMID:22391856 アラニンとシステインの増加がとても大きい。Proline は 1.5 倍  生育は野生型よりも悪い
 ndufs8.1 & 8.2 変異体  Fig.6 Plant Physiol. 2017   PMID: 27852950 長日と短日で測定して比較 ndufs4 と比較すると変化は小さい 

PMC2287346 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2287346/ の論文の Fig. 10 では、ppr40 変異体のミトコンドリアでは、アスコルビン酸は CytC を通じて電子を COX に供給していると推察されている。アスコルビン酸もミトコンドリア機能と関係がある。

NDUFS8.2 (複合体Iのサブユニットの一つをコードする核遺伝子)を破壊すると水利用可能性の低下に耐える能力が高まる

Mitochondrial complex I subunit NDUFS8.2 modulates responses to stresses associated with reduced water availability.   Zsigmond L など   Plant Physiol Biochem. 2024 Feb 23;208:108466. doi: 10.1016/j.plaphy.2024.108466. Online ahead of print.   PMID: 38428158

これも PPR40 を研究しているグループの論文で、さまざまなミトコンドリア機能関連変異体を集めて、ストレス耐性を強く示すものをスクリーニングした。その結果 NDFUF8.2 が破壊されたものが乾燥耐性を示した。

病原菌応答とミトコンドリア電子伝達系、UCR8

Deficiencies in the Mitochondrial Electron Transport Chain Affect Redox Poise and Resistance Toward Colletotrichum higginsianum.   McCollum C, Geißelsöder S, Engelsdorf T, Voitsik AM, Voll LM.   Front Plant Sci. 2019 Oct 17;10:1262. doi: 10.3389/fpls.2019.01262. eCollection 2019.   PMID: 31681368

ミトコンドリアの機能が低下した変異体の研究は「そんな病気の植物を研究してなんの意味があるんだ」と評価されがちである。確かに植物単体の生育に対しては有利になることはない(と普通は誰でも考える)。しかし ahg2 の研究成果などから、他の生物との相互作用においてはそうでもないことが示唆されてきた。

この論文では複合体 I (ndufs4)、II (sdh2)、III (ucr8-1)、UCP (ucp1-2) の変異体について、Colletotrichum higginsianum という菌類に対する耐性を調べている。これらのミトコンドリア機能変異体の内で ndufs4 は生育が野生型よりも遅くなる(Supplemental fig. に写真がある)が、発芽から種子形成までの生活環は正常に進行する。ミトコンドリアで消費されない還元力が窒素同化などに使われるのでアミノ酸の量が多くなる。

I, II が失活すると less susceptible 感染に強くなる(菌のゲノム DNA の量を測定すると少ない、ROS が多い、侵入部位にカロースができやすい)。ミトコンドリアで使われずに余った還元力が間接的に菌に対する抵抗力の向上に貢献している。しかし Supplemental fig. の写真を見ると、十分に抵抗性が向上しているのだろうか・強くなったと言ってもほんの少しではないのだろうかと心配になる。

UCR8 という遺伝子は、酵母で複合体III のサブユニットをコードしている UCR8 遺伝子と対応する因子で At3g10860 にコードされている。UniProt で検索すると 72 アミノ酸しかない小さなタンパク質である。ゲノム上には機能不明な長さ 100 アミノ酸程度のタンパク質が多数存在しているが、ミトコンドリアまたは葉緑体の電子伝達系複合体と関係するものもあるのだろう。この文書の下の方に出てくる B12D protein もそういうものだった。電子伝達系複合体をインタクトな状態で精製することは難しい。特に分子量が小さいサブユニットは複合体から外れてしまい存在がわからなくなることも起きやすいのかもしれない。At3g10860 をすばらしい発現データベース ATTED-II で検索すると、ミトコンドリア電子伝達系サブユニットを構成する遺伝子と発現相関が高いことがわかる。ATTED-II の分析力はとてもすばらしく、At3g10860 と発現相関があり長さが 100 アミノ酸よりも小さいタンパク質をコードしている遺伝子が複数個リストに抽出されてきている。

「植物の生長調節」54:1(2019年)、60 ページからに、武田智之,花田耕介両先生による「シロイヌナズナの短いコーディング遺伝子に特化した発現データベースと過剰発現体ライブラリーの構築」というすばらしい解説が掲載されている。

2022年3月の植物生理学会年会において武田智之,花田耕介両先生らのグループによる講演  2pB01 (0217) A de-novo gene originated from mitochondria controls flowering timing in Arabidopsis thaliana があった。植物のミトコンドリアゲノムは de novo 遺伝子(進化の過程で特定の植物種に新規に出現した遺伝子)が発生する起源の一つとして働いていると言うことを知ることができた。 de novo 遺伝子に関する解説記事   https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v17/n1/%E3%82%BC%E3%83%AD%E3%81%8B%E3%82%89%E8%AA%95%E7%94%9F%E3%81%97%E3%81%9F%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90/101660   「ゼロから誕生した遺伝子」Nature ダイジェストの記事   小さい ORF をもつ遺伝子の産物がミトコンドリアで働いているらしいこと、その発現を変化させることによる表現型が報告されていた。この表現型をどうやってミトコンドリアに結びつければよいのだろうか。私はミトコンドリア機能に関わる変異体をずっといじってきた結果「何をするにもエネルギー、ATP がないと物事は進まない」ということを考えるようになった。ATP の状態を感知する仕組みは細胞内に何種類もあるのでそのどれかが働いているのかもしれない。またミトコンドリアは基礎代謝だけでなく補酵素の生合成に働いている。それらはヒストンの修飾を通じて花成遺伝子の発現に影響を与えることもあり得る。しかしこの理屈だとヒストンの修飾が関係する物事が全部影響を受けることになってしまう。

論文としても発表されている。   A de novo gene originating from the mitochondria controls floral transition in Arabidopsis thaliana.   Takeda T, Shirai K, Kim YW, Higuchi-Takeuchi M, Shimizu M, Kondo T, Ushijima T, Matsushita T, Shinozaki K, Hanada K.  Plant Mol Biol. 2022 Oct 28. doi: 10.1007/s11103-022-01320-6. Online ahead of print.  PMID: 36306001   遺伝子発現データが  GSE184689 で公開されている。見てみると、とても興味深い変動が起きている。論文に書かれているように、FLC という花成に関する遺伝子の発現が大きく高まっている。FLC はヒストンのメチル化やアセチル化で制御されると UniProt に書かれている。  https://www.uniprot.org/uniprotkb/Q9S7Q7/entry  ばらつきが大きいが、ミトコンドリアに関わる遺伝子の発現量も変化している。

ミトコンドリアと FLC に関する論文があった。   The Arabidopsis J protein AtJ1 is essential for seedling growth, flowering time control and ABA response   Plant Cell Physiol. 2014 Dec;55(12):2152-63.   doi: 10.1093/pcp/pcu145. Epub 2014 Oct 13.   Min Young Park, Soo Young Kim   PMID: 25311198    ABA 感受性が高くなるだけでなく、花成のタイミングが遅くなる。FLC 遺伝子の発現量は2倍以上に高くなっていた。FT 遺伝子の発現量は大きく減少していた (Fig. 7)。発芽後の生育が遅くなるが最終的な生重量は変わらない。しかし種子の量は減る。

Multiple roles of WIN3 in regulating disease resistance, cell death, and flowering time in Arabidopsis   Plant Physiol. 2011 Jul;156(3):1508-19. doi: 10.1104/pp.111.176776. Epub 2011 May 4.   Guan-Feng Wang 1 , Savanna Seabolt, Safae Hamdoun, Gina Ng, Jin Park, Hua Lu  PMID: 21543726 PMCID: PMC3135961   という論文があった。 WIN3 = PBS3 でサリチル酸合成に働くが、それ以外にも働きがあるかもしれない。

Shining in the dark: the big world of small peptides in plants   Apr 2023 aBIOTECH   Yan-Zhao Feng など   https://link.springer.com/article/10.1007/s42994-023-00100-0  というレビューが公開されていた。

葉酸と花成のタイミング

ミトコンドリアと関係あるかどうかわからないが、葉酸と花成のタイミングに関係があることが報告されている。

葉酸生合成の阻害剤として Sulfonamides は多くの研究で使われている。

Sulfanilamide Regulates Flowering Time through Expression of the Circadian Clock Gene LUX.   Hirohata A, Yamatsuta Y, Ogawa K, Kubota A, Suzuki T, Shimizu H, Kanesaka Y, Takahashi N, Endo M. Plant Cell Physiol. 2022 May 16;63(5):649-657. doi: 10.1093/pcp/pcac027. PMID: 35238923

この論文では花成のタイミングを見るために、ポットに種まきして低温処理3日後22℃で育成したシロイヌナズナに定期的に 500 ml の処理液(12 mM の sulfanilamide, 葉酸生合成の阻害剤)を与えている。処理日は 5, 9, 12, 16, 19, 23, 26, 30, 33, 37, 40, 44, 47 日目と書かれている。この条件では花成が抑制され遅くなるが生育は全く悪くなっていない。理屈的には「ミトコンドリアに軽い異常が起きると葉酸の生合成が阻害され花成が遅くなる。軽い異常では生育に対する影響は小さい」ということもあり得なくはない。

https://www.nature.com/articles/ncomms11640#f5  MTHFD1 controls DNA methylation in Arabidopsis   Martin Groth など   Nature Communications volume 7, Article number: 11640 (2016)    の Figure 5 に「 Schematic representation of plant SAM and folate metabolism in the cytosol and mitochondria.」 という図面がある。 Tetrahydrofolate(THF)は細胞質とミトコンドリアでグリシン・セリンの代謝に用いられる。細胞質ではメチオニン、またメチル化に重要な S-adenosyl-methionine (SAM) の生合成に使用される。

B12D protein

The Mitochondrion-Located Protein OsB12D1 Enhances Flooding Tolerance during Seed Germination and Early Seedling Growth in Rice   Dongli He, Hui Zhang, Pingfang Yang   Int J Mol Sci. 2014 Aug; 15(8): 13461?13481. Published online 2014 Jul 31. doi: 10.3390/ijms150813461   PMCID: PMC4159805

B12D(または B12D1)は分子量が小さい、機能不明で低酸素などのストレスで誘導されるポリペプチドをコードしている。 当初この遺伝子は、大麦種子の成熟時と発芽時に強く働く、ジベレリンで誘導される遺伝子として見いだされた。

Physiol Plant. 2001 Jul;112(3):403-413.   Stability of Barley Aleurone Transcripts: Dependence on Protein Synthesis, Influence of the Starchy Endosperm and Destabilization by GA3   R. B. Aalen 1 , Z. Salehian, T. M. Steinum   PMID: 11473698 DOI: 10.1034/j.1399-3054.2001.1120314.x

イネは浸水した状態でも旺盛に生育することができる。イネの B12D は浸水耐性に関与していること、またミトコンドリアに局在して働いていることが He らの論文で示された。電子伝達サブユニットとして働いているのではなく、ミトコンドリアの機能に重要な鉄や酸素が不足しないようにする働きがあるのではないかと考察されている。この著者らの考えが正しいなら、この遺伝子のようにミトコンドリアに局在して機能する分子量の小さいポリペプチドはミトコンドリアの機能を強化するために役立つ可能性がある。

シロイヌナズナにも相当する遺伝子 At3g29970, At3g48140 があり、At3g29970 は低酸素ストレスで mRNA 量が増加する。At3g48140 はサイトカイニン、ジベレリンで mRNA 量が増加するので発芽と関係するのかもしれない。

http://pfam.xfam.org/family/PF06522#tabview=tab0   B12D (PF06522) は「NADH-ubiquinone reductase complex 1 MLRQ subunit」と注釈がついている。また様々なタンパク質を構成するドメインの一部としても出現する。ミトコンドリアターゲット配列が見当たらないのにミトコンドリアに局在するということでも注目されている。   https://books.google.co.jp/books?id=a15YJlT1yNsC&pg=PA69&lpg=PA69&dq=b12d+barley&source=bl&ots=DH_gan0YRh&sig=ACfU3U1ghpMToYmzB9zYWEJMlQuOnwsbEg&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwjR4_eR6ZvqAhVbMd4KHaTwAdoQ6AEwAnoECAcQAQ#v=onepage&q=b12d%20barley&f=false

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3359495/   Front Plant Sci. 2012; 3: 106. doi: 10.3389/fpls.2012.00106   PMCID: PMC3359495 PMID: 22654890   Proteomic Investigations of Complex I Composition: How to Define a Subunit?  Etienne H. Meyer   に At3g29970 が 「The closest homolog of the MLQR subunit, encoded by At3g29970, has not been identified in any proteomic study.」 と紹介されている。

ZmB12D, a target of transcription factor ZmWRKY70, enhances the tolerance of Arabidopsis to submergence.   Gu L, Hou Y, Sun Y, Chen X, Wang H, Zhu B, Du X.   Plant Physiol Biochem. 2023 Dec 30;206:108322. doi: 10.1016/j.plaphy.2023.108322. Online ahead of print.   PMID: 38169225

ミトコンドリア機能と水浸応答と ANAC017

Mitochondrial signalling is critical for acclimation and adaptation to flooding in Arabidopsis thaliana.   Meng X, Li L, Narsai R, De Clercq I, Whelan J, Berkowitz O.   Plant J. 2020 Feb 16. doi: 10.1111/tpj.14724. [Epub ahead of print] PMID: 32064696

この論文にも、ミトコンドリアシグナル伝達の重要因子 ANAC017 が出てくる。「ミトコンドリアはストレスセンサーとしても働く」ということが強調されている。CDKE1 というプロテインキナーゼも出てくる。   Cyclin-dependent Kinase E1 (CDKE1) Provides a Cellular Switch in Plants Between Growth and Stress Responses   Sophia Ng 1 , Estelle Giraud, Owen Duncan, Simon R Law, Yan Wang, Lin Xu, Reena Narsai, Chris Carrie, Hayden Walker, David A Day, Nicolás E Blanco, Åsa Strand, James Whelan, Aneta Ivanova   PMID: 23229550 PMCID: PMC3561563 DOI: 10.1074/jbc.M112.416727    regulators of alternative oxidase (rao mutants) をスクリーニングした。rao1 が CDKE1 だった。このプロテインキナーゼが失活すると、アンチマイシン処理による AOX1a プロモーターの活性化が弱くなる。

もう一つ ANAC017 と水浸ストレス応答に関する論文が発表された。   Differential submergence tolerance between juvenile and adult Arabidopsis plants involves the ANAC017 transcription factor   Liem T. Bui, Vinay Shukla, Federico M. Giorgi, Alice Trivellini, Pierdomenico Perata, Francesco Licausi, Beatrice Giuntoli   Plant J. First Published: 29 August 2020    シロイヌナズナは3週間以上育成した Adult なステージでは水浸ストレス応答が弱くなる。若い段階では水浸ストレス応答によって ABA 作用、抗酸化作用に関わる遺伝子群が活性化する。それに ANAC017 が関与している。Adult ステージでも ANAC017 は若い段階と同じように働くが、ABA 作用、抗酸化作用に関わる遺伝子群のプロモーターのヒストン H3 がメチル化されてヘテロクロマチン状態になり活性化されなくなるので反応が悪くなると書かれている。

ANAC013と水浸応答

Endoplasmic reticulum-bound ANAC013 factor is cleaved by RHOMBOID-LIKE 2 during the initial response to hypoxia in Arabidopsis thaliana.   Eysholdt-Derzsó E など   Proc Natl Acad Sci U S A. 2023 Mar 14;120(11):e2221308120. doi: 10.1073/pnas.2221308120. Epub 2023 Mar 10.   PMID: 36897975

ANAC017 に関係する論文は最近増えている

Mitochondrial and Chloroplast Stress Responses Are Modulated in Distinct Touch and Chemical Inhibition Phases.   Van Aken O, De Clercq I, Ivanova A, Law SR, Van Breusegem F, Millar AH, Whelan J.   Plant Physiol. 2016 Jul;171(3):2150-65. doi: 10.1104/pp.16.00273. Epub 2016 May 9.   PMID: 27208304   この論文にも ANAC017 が出てくる。

Retrograde signalling caused by heritable mitochondrial dysfunction is partially mediated by ANAC017 and improves plant performance.   Van Aken O, Ford E, Lister R, Huang S, Millar AH.   Plant J. 2016 Nov;88(4):542-558. doi: 10.1111/tpj.13276. Epub 2016 Oct 17.   PMID: 27425258

ANAC017 coordinates organellar functions and stress responses by reprogramming retrograde signaling.   Meng X, Li L, DeClercq I, Narsai R, など   Plant Physiol. 2019 Mar 14. pii: pp.01603.2018. doi: 10.1104/pp.18.01603.    PMID: 30872424

The NAC transcription factor ANAC017 regulates aluminum tolerance by regulating the cell wall-modifying genes.   Tao Y, Wan JX, Liu YS, Yang XZ, Shen RF, Zhu XF. Plant Physiol. 2022 Aug 1;189(4):2517-2534. doi: 10.1093/plphys/kiac197. PMID: 35512200

この論文では「ANAC017 was localized in the nucleus」ということを ANAC017-GFP 融合遺伝子を用いて示している。

一方 2013 年の論文で Ng らは ANAC017 が小胞体に結合していることを示している。  A membrane-bound NAC transcription factor, ANAC017, mediates mitochondrial retrograde signaling in Arabidopsis.   Ng S, Ivanova A, Duncan O, Law SR, Van Aken O, など   Plant Cell. 2013 Sep;25(9):3450-71. doi: 10.1105/tpc.113.113985. Epub 2013 Sep 17.   PMID: 24045017

Reductive stress triggers ANAC017-mediated retrograde signaling to safeguard the endoplasmic reticulum by boosting mitochondrial respiratory capacity.    Fuchs P, Bohle F, Lichtenauer S, Ugalde JM, Araujo EF, Mansuroglu B, Ruberti C, Wagner S, Müller-Schüssele SJ, Meyer AJ, Schwarzländer M.   Plant Cell. 2022 Jan 25:koac017. doi: 10.1093/plcell/koac017.    PMID: 35078237    aox1a 変異体の根の生長はチオールの還元剤 DTT に感受性が高いことをまず見つけた。DTT は小胞体での S-S 結合形成を撹乱して小胞体ストレスを与える。ミトコンドリアでの呼吸が活性化すると小胞体ストレスが緩和される。NAC017 がその仕組みに関与しているので、nac017 変異体は DTT 感受性が高くなる。DTT は細胞内で NAD を還元する働きもある(NADH が増加する)。ミトコンドリアで NADH dehydrogenase が強く働くことによって NADH が酸化され減少することが、小胞体ストレスを緩和している。

ACONITASE 3 is part of the ANAC017 transcription factor-dependent mitochondrial dysfunction response.    Pascual J など   Plant Physiol. 2021 Aug 3;186(4):1859-1877. doi: 10.1093/plphys/kiab225.   PMID: 34618107

The retrograde signalling regulator ANAC017 recruits the MKK9-MPK3/6, ethylene, and auxin signalling pathways to balance mitochondrial dysfunction with growth.   He C, Liew LC, Yin L, Lewsey MG, Whelan J, Berkowitz O.   Plant Cell. 2022 Jun 16:koac177. doi: 10.1093/plcell/koac177.  PMID: 35708648

Coordinated regulation of the mitochondrial retrograde response by circadian clock regulators and ANAC017.   Zhu Y, Narsai R, He C, Wang Y, Berkowitz O, Whelan J, Liew LC.   Plant Commun. 2022 Dec 3:100501. doi: 10.1016/j.xplc.2022.100501. Online ahead of print.  PMID: 36463409

Mitochondrial retrograde signalling (MRS) は日周による制御と協調して作用して細胞機能を調節している。 myxothiazol (specific inhibitor of mitochondrial bc1 complex) or antimycin A (inhibitor of mitochondrial bc1 complex and cyclic electron transport in chloroplast in light conditions) をミトコンドリア機能阻害剤として使用し比較している。 ANAC017 と概日時計はどちらも ANAC013 と AOX1a を制御している。ANAC107 も日周による制御を受けている。LHY and CCA1 の転写は ANAC017 によって変化する。PIF4 も関係がある。

ANAC017 が関与しない MRS についても触れられている。それらは病原菌感染応答やサリチル酸応答と類似した変化を誘起する。そのことについてはほとんど分析されていない。

PRJNA843852, PRJNA843855, PRJNA894307 and PRJNA837635 に、RNAseq などのデータがある。

Time-evolving genetic networks reveal a NAC troika that negatively regulates leaf senescence in Arabidopsis.   Kim HJ, Park JH, Kim J, Kim JJ, Hong S, Kim J, Kim JH, Woo HR, Hyeon C, Lim PO, Nam HG, Hwang D.   Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 May 22;115(21):E4930-E4939. doi: 10.1073/pnas.1721523115. Epub 2018 May 7.   PMID: 29735710

ANAC017 が働かない変異体は正常に生育するが、ロゼット葉のクロロフィルが減りやすくなる(Fig. 2A, 2D)。セネッセンスのマーカー遺伝子 SEN4 and SAG12 の発現量が速やかに増加する(Fig. 2F, 2G)。逆に ANAC017 を強く発現させた形質転換体はクロロフィルの量が減りにくくなる(Supplemental Fig. 5A, 5B)。しかし野生型との差は小さい。 ANAC017 は、葉のセネッセンスを引き起こす活性酸素 ROS の作用を抑えると推測されている(Supplemental Fig. 8C)。この ROS が細胞のどこで生成するのかというと、PER71, PER34 という因子の働きによって細胞表面で作られると図面に書かれている(Supplemental Fig. 8B)。PER71 は https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4677920/ AtPRX71 = At5g64120 ペルオキシダーゼのことらしい。AtPRX71 の働きを抑えると植物が大きくなる。

ANAC017 Coordinates Organellar Functions and Stress Responses by Reprogramming Retrograde Signaling   Plant Physiol. 2019 May;180(1):634-653.   doi: 10.1104/pp.18.01603. Epub 2019 Mar 14.   Xiangxiang Meng など   PMID: 30872424 PMCID: PMC6501098

この論文では overexpression of ANAC017 が葉のセネッセンスを促進すると報告されている。Kim らの 2018 年の論文と逆になっている。

セネッセンスと ANAC017 の関係について 2021 年にも論文が出た。実験条件の違いなどによって作用が変化してセネッセンスを促進したり抑制したりするらしい。

Increased expression of ANAC017 primes for accelerated senescence   Plant Physiol. 2021 Aug 3;186(4):2205-2221. doi: 10.1093/plphys/kiab195.   Martyna Broda など   PMID: 33914871 PMCID: PMC8331134

The transcription factor ANAC017 is a key regulator of mitochondrial proteotoxic stress responses in plants.   Kacprzak SM, Dahlqvist A, Van Aken O.   Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci. 2020 Jun 22;375(1801):20190411. doi: 10.1098/rstb.2019.0411. Epub 2020 May 4.   PMID: 32362262

Retrograde signals from mitochondria reprogramme skoto-morphogenesis in Arabidopsis thaliana via alternative oxidase 1a.   Merendino L, Courtois F, Grübler B, Bastien O, Straetmanns V, Chevalier F, Lerbs-Mache S, Lurin C, Pfannschmidt T.   Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci. 2020 Jun 22;375(1801):20190567. doi: 10.1098/rstb.2019.0567. Epub 2020 May 4.   PMID: 32362252

Convergence of mitochondrial and chloroplastic ANAC017/PAP-dependent retrograde signalling pathways and suppression of programmed cell death   Olivier Van Aken & Barry J Pogson    Cell Death & Differentiation volume 24, pages955–960 (2017)

ミトコンドリアゲノムを遺伝子編集することで、ミトコンドリアゲノムのコピー数の変動が引き起こされた。それに ANAC017 が関与することが解明された。   Mitochondrial gene defects in Arabidopsis can broadly affect mitochondrial gene expression through copy number.   Ayabe H, Toyoda A, Iwamoto A, Tsutsumi N, Arimura SI.   Plant Physiol. 2023 Jan 27:kiad024. doi: 10.1093/plphys/kiad024. Online ahead of print.   PMID: 36703221

ANAC017 は、活性酸素 ROS シグナルの研究者からも重要視され研究されている。   

Prediction of bipartite transcriptional regulatory elements using transcriptome data of Arabidopsis.   Yamamoto YY, Ichida H, Hieno A, Obata D, Tokizawa M, Nomoto M, Tada Y, Kusunoki K, Koyama H, Hayami N   DNA Res. 2017 Jun 1;24(3):271-278. doi: 10.1093/dnares/dsw065.   PMID: 28158431   BiP をコードする遺伝子のプロモーターが ANAC017 の標的になっている。  

Transcriptome Analysis and Identification of a Transcriptional Regulatory Network in the Response to H2O2.   Hieno A, Naznin HA, Inaba-Hasegawa K, Yokogawa T, Hayami N, Nomoto M, Tada Y, Yokogawa T, Higuchi-Takeuchi M, Hanada K, Matsui M, Ikeda Y, Hojo Y, Hirayama T, Kusunoki K, Koyama H, Mitsuda N, Yamamoto YY.   Plant Physiol. 2019 Jul;180(3):1629-1646. doi: 10.1104/pp.18.01426. Epub 2019 May 7.   PMID: 31064811

ANAC017 が働かない・過剰発現した変異体の遺伝子発現データもある。

GSE41136https://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/query/acc.cgi?acc=GSE41136
GSE92314https://www.ncbi.nlm.nih.gov/Traces/study/?acc=PRJNA357201&o=acc_s%3Aa RNAseq データ https://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/query/acc.cgi?acc=GSE92314 から、SRA run selector に進むと出てくる
E-MTAB-8478https://www.ebi.ac.uk/biostudies/arrayexpress/studies/E-MTAB-8478
PRJNA486068Arabidopsis stress treatments
PRJNA517774ANAC017 overexpression study
PRJNA843852https://www.ncbi.nlm.nih.gov/bioproject/PRJNA843852  Arabidopsis thaliana transcriptome following antimycin A or myxothiazol treatment in the light and dark
PRJNA843855https://www.ncbi.nlm.nih.gov/bioproject/PRJNA843855  To examine the circadian regulation of the mitochondrial retrograde response ANAC017 target genes and clock regulators.
PRJNA894307https://www.ncbi.nlm.nih.gov/bioproject/PRJNA894307  Arabidopsis thaliana transcriptome for roots and shoots following antimycin A or myxothiazol treatment in the light and dark
PRJNA837635https://www.ncbi.nlm.nih.gov/bioproject/PRJNA837635  ANAC017 ChIP-seq after antimycin A and myxothiazol treatment in the light or dark

Reoxygenation stress

低酸素状態から回復する際には急に酸素が利用されることで活性酸素ストレスが発生する。病気との関係もある。植物でもそういうことがあるらしい。

Mitochondrial alternative NADH dehydrogenases NDA1 and NDA2 promote survival of reoxygenation stress in Arabidopsis by safeguarding photosynthesis and limiting ROS generation.  Jethva J, Lichtenauer S  など   New Phytol. 2022 Dec 4. doi: 10.1111/nph.18657. Online ahead of print.  PMID: 36464787

Seed Oil Content (SOC) を増加させるミトコンドリア遺伝子変異

A novel chimeric mitochondrial gene confers cytoplasmic effects on seed oil content in polyploid rapeseed (Brassica napus L.).   Liu J, Hao W, Liu J, Fan S, Zhao W, Deng L, Wang X, Hu Z, Hua W, Wang H.   Mol Plant. 2019 Jan 28. pii: S1674-2052(19)30017-6. doi: 10.1016/j.molp.2019.01.012. [Epub ahead of print]   PMID: 30703566

植物では核以外に葉緑体、ミトコンドリアに DNA が存在し遺伝子をコードしている。これらの遺伝子によって決定される遺伝的形質は Cytoplasmic effects (CE) 細胞質効果と呼ばれる。 この論文では種子の油含量に影響を与える、ミトコンドリアゲノムにコードされた遺伝子 orf188 を発見した。 orf188 は ATP の収率を改善することで SOC を(ほんの少し)増加させる。

OXR2 (At2g05590)

J Exp Bot. 2019 Apr 4. pii: erz147. doi: 10.1093/jxb/erz147. [Epub ahead of print]    The mitochondrial OXidation Resistance protein AtOXR2 increases plant biomass and tolerance to oxidative stress.   Colombatti F1, Mencia R1, Garcia L1,2, Mansilla N1, Alemano S3, Andrade AM3,4, Gonzalez DH1, Welchen E1.

OXR2 を強く発現させると生育が良くなると書かれている。

OXR2 increases plant defense against a hemibiotrophic pathogen via the salicylic acid pathway.   Mencia R, Céccoli G, Fabro G, Torti P, Colombatti F, Ludwig-Müller J, Alvarez ME, Welchen E.   Plant Physiol. 2020 Jul 29:pp.01351.2019. doi: 10.1104/pp.19.01351. PMID: 32727912

OXR2 を強く発現させるとサリチル酸経路が活性化して Pseudomonas syringae の感染に強くなると書かれている。上の論文と合わせると、生育が良く病原菌にも強いスーパー植物が作れることになる。そんなに都合の良いことが起きるのだろうかという気もしなくはない。こういう論文もある。    Trade-off between synthesis of salicylates and growth of micropropagated Salix pentandra.   Ruuhola T, Julkunen-Titto R.   J Chem Ecol. 2003 Jul;29(7):1565-88.   PMID: 12921436    育成条件が理想的で、栄養も光も二酸化炭素も十分あり病原菌は全く存在しないのならあり得なくはないかもしれない。または Pseudomonas syringae には強いがカビなどには弱いのかもしれない。

そんなことを考えていたら、以下のようなコメントが出された。   On How to Build a Larger and Healthier Arabidopsis ROSette Using a Mitochondrial Protein (Spoiler: Reactive Oxygen Species).   Moreno JE.   Plant Physiol. 2020 Oct;184(2):566-567. doi: 10.1104/pp.20.01159.   PMID: 33020324

「Can OXR2 be a novel marker for crop breeding programs to manipulate SA-inducible defenses with a low penalty in growth?」と書かれている。細胞内で SA を作るにはエネルギー、コストが必要になる。また SA は植物細胞自体に大きな変動をもたらす。そういった影響は穀物が厳しい野外環境で生育する場合にどうなのかと問われている。

マイクロアレイデータが公開されている。   

GSE114689https://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/query/acc.cgi?acc=GSE114689 アジレントのアレイ 倍率の対数に処理した値が公開されている

見てみると、硫黄が欠乏した際に強く発現する LSU1 などが大きく下がっている。栄養の取り込みがよいのかもしれない。Disease resistance protein (TIR-NBS-LRR class) family と注釈された複数の遺伝子の発現が大きく上がっている。病原細菌に反応しやすい状態(プライミング)になっているのかもしれない。  

Mitochondrial transcription termination-related protein (mTERF) の変異

変異遺伝子
At3g60400 mTERF18 / SHOT1  

Mutations in an Arabidopsis Mitochondrial Transcription Termination Factor-Related Protein Enhance Thermotolerance in the Absence of the Major Molecular Chaperone HSP101.   Kim M, Lee U, Small I, des Francs-Small CC, Vierling E.   Plant Cell. 2012 Aug 31.    PMID: 22942382

ミトコンドリアで働く mTERF18 が変異することで、ストレス耐性になる。ミトコンドリアの Hsp, AOX が強く発現している。パラコート(酸化ストレスを与える薬剤)に耐えやすい。ミトコンドリア関連変異体はほとんどが高温ストレスに弱いが、この変異体はそれとは逆になっている。多くのミトコンドリア遺伝子の転写産物が共通して増大している。 どのようにしてストレスに強くなっているのか。マイクロアレイのデータを見るといくつかの Hsp, Hsf の発現が高くなっている。

Mitochondrial transcription termination factors (mTERFs) または Mitochondrial transcription termination-related protein は、真核生物に存在するタンパク質で、重要な因子である。様々な変異体が見つかっている。ストレス耐性と関係あると考えられている。   The roles of mitochondrial transcription termination factors (MTERFs) in plants.   Quesada V.   Physiol Plant. 2016 Jul;157(3):389-99. doi: 10.1111/ppl.12416. Epub 2016 Mar 14. Review.   PMID: 26781919

The Characterization of Arabidopsis mterf6 Mutants Reveals a New Role for mTERF6 in Tolerance to Abiotic Stress.   Robles P, Navarro-Cartagena S, Ferrández-Ayela A, Núñez-Delegido E, Quesada V.   Int J Mol Sci. 2018 Aug 14;19(8). pii: E2388. doi: 10.3390/ijms19082388.   PMID: 30110886   mTERF6 が変異するとストレスに弱くなるので役に立たない。

Arabidopsis Mitochondrial Transcription Termination Factor mTERF2 Promotes Splicing of Group IIB Introns.   Lee K, Leister D, Kleine T.   Cells. 2021 Feb 3;10(2):315. doi: 10.3390/cells10020315.   PMID: 33546419

Control of organelle gene expression by the mitochondrial transcription termination factor mTERF22 in Arabidopsis thaliana plants.    Shevtsov S, Nevo-Dinur K, Faigon L, Sultan LD, Zmudjak M, Markovits M, Ostersetzer-Biran O.   PLoS One. 2018 Jul 30;13(7):e0201631. doi: 10.1371/journal.pone.0201631. eCollection 2018. PMID: 30059532   mTERF22 At5g64950 が機能しなくなると、ミトコンドリア mRNA の量がとても mild に減る。この論文の Table 1 に、シロイヌナズナの mTERF のリストがある。mTERF1 から 35 まで存在する。

mTERF に関する総説   The molecular function of plant mTERFs as key regulators of organellar gene expression.   Wobbe L.   Plant Cell Physiol. 2020 Oct 17:pcaa132. doi: 10.1093/pcp/pcaa132.    PMID: 33067620

葉緑体で働くメンバーも存在する。   mTERF8, a Member of the Mitochondrial Transcription Termination Factor Family, is Involved in the Transcription Termination of Chloroplast Gene psbJ1.   Xiong HB, Wang J, Huang C, Rochaix JD, Lin FM, Zhang JX, Ye LS, Shi XH, Yu QB, Yang ZN.   Plant Physiol. 2019 Nov 4. pii: pp.00906.2019. doi: 10.1104/pp.19.00906.   PMID: 31685645    Roles for the chloroplast‐localized pentatricopeptide repeat protein 30 and the ’mitochondrial’ transcription termination factor 9 in chloroplast quality control   Plant Journal Kamran Alamdari, Karen E. Fisher, Andrew B. Sinson, Joanne Chory, Jesse D. Woodson Version of Record online: 17 September 2020

葉緑体に働く阻害剤によってヒートショックタンパク質 Hsp の発現が制御されるという論文があった。   Cell Rep. 2018 Feb 13; 22(7): 1657–1665. Published online 2018 Feb 13. doi: 10.1016/j.celrep.2018.01.054   PMCID: PMC5847188  PMID: 29444421   Chloroplast Signaling Gates Thermotolerance in Arabidopsis    mTERF18 はミトコンドリアだけでなく葉緑体内でも働いていて、その働きが悪くなることで Hsp に影響が出るのかもしれない。と思ったが、そうではなくミトコンドリアで働いているという論文が出版された。

mTERF18 and ATAD3 are required for mitochondrial nucleoid structure and their disruption confers heat tolerance in Arabidopsis thaliana.    Kim M, Schulz V, Brings L, Schoeller T, Kühn K, Vierling E.   New Phytol. 2021 Sep 5. doi: 10.1111/nph.17717. Online ahead of print.  PMID: 34482561

mTERF18/SHOT1 を、suppressor screen of a heat sensitive mutant of the molecular chaperone HSP101 によって見つけている。複合体 I が正常でなくなり、同時に高温耐性が上がると書かれている。私が見つけた複合体 I 機能低下変異体 css1 は高温に弱い。どう違うのだろうか。shot1 では複合体 IV の活性も低下している。そちらの方が差が大きいように見える。翻訳にも変化がある。プロテオームの結果から、ミトコンドリア電子伝達複合体が全部低下していると判断されたが I と IV への影響が大きい。

下にも書いたように、ロテノンなどの阻害剤による複合体 I の機能低下で塩ストレスに(少し)強くなることが示されている。

Kaori Sako, Yushi Futamura, Takeshi Shimizu, Akihiro Matsui, Hiroyuki Hirano Yasumitsu Kondoh, Makoto Muroi, Harumi Aono, Maho Tanaka, Kaori Honda, Kenshirou Shimizu, Makoto Kawatani, Takeshi Nakano, Hiroyuki Osada, Ko Noguchi, Motoaki Seki, Inhibition of mitochondrial complex I by the novel compound FSL0260 enhances high salinity-stress tolerance in Arabidopsis thaliana, Scientific Reports, 10.1038/s41598-020-65614-9

これは論文を読んで私もロテノンで試してみてそうなったので間違いない。ロテノンは案外生育を抑制しない。複合体 I は巨大な複合体であり、阻害される部位も何通りもあり得るだろう。阻害による二次的な作用も複雑で様々なことが起きる。その内でどんなことか大切なのかよくわからない。また FSL0260 やロテノンにも複合体 I 以外の作用点があるかもしれない。 ロテノンは複合体 I の Nqo8 サブユニットに結合することが解明されている。これは植物だと NAD1 に相当してユビキノンと相互作用する部分に当たる。css1 などの変異体とは異なり、複合体 I の構造が壊れたりすることはないらしい。複合体I の活性を測定する一番簡単な方法に、非変性ゲル電気泳動して NADH を含む発色液に浸して NBT の還元による活性染色を行う方法がある。複合体I の変異体では活性がなくなりバンドが出なくなるが、ロテノンはこの活性染色を阻害しない、とどこかに書いてあるのを読んだ覚えがある。ロテノンはユビキノンに電子が渡るのを阻害すると図解されていた。

https://www.amed.go.jp/news/release_20211208-02.html 「ミトコンドリア酵素の阻害剤による新しい抗がんメカニズムの発見―がん組織の特徴を利用した新しいがん治療の可能性―」 「呼吸鎖複合体I阻害剤によって酸化的リン酸化経路が阻害された結果、細胞内における乳酸の蓄積および、細胞外における乳酸分泌が促進され、細胞内外のpHが低下する」と書かれている。解糖系が活発に働いているので、ATP が枯渇することはないらしい。植物では乳酸が蓄積することはあまりないようだが、ほかの有機酸が増えるのかもしれない。

TERFと植物ホルモンの関係

Phytohormones as Regulators of Mitochondrial Gene Expression in Arabidopsis thaliana  Int J Mol Sci. 2023 Nov 29;24(23):16924. doi: 10.3390/ijms242316924.  Ivan A Bychkov など  PMID: 38069246 PMCID: PMC10707152

TERF などの mt-related nuclear genes がホルモンによって制御されることについて書かれている。

UCP の発現を強化した植物

Overexpression of UCP1 in tobacco induces mitochondrial biogenesis and amplifies a broad stress response.   Barreto P, Okura VK, Neshich IA, Maia Ide G, Arruda P.   BMC Plant Biol. 2014 May 28;14:144. doi: 10.1186/1471-2229-14-144.   PMID: 24886177

これは変異体ではないが、ミトコンドリアで働く Uncoupling protein を強く発現することによってストレス応答を改善できることを示した論文で、興味深い。

理屈上は、UCP と同じ作用(プロトンの濃度勾配を消失させる)をする薬剤でもそういう変化が起きてもおかしくないことになる。と思ったが、それは間違いらしい。UCP にはプロトンの濃度勾配を小さくする以外にも機能があることが示された。

Uncoupling proteins 1 and 2 (UCP1 and UCP2) from Arabidopsis thaliana are mitochondrial transporters of aspartate, glutamate and dicarboxylates.   Monne M, Daddabbo L, Gagneul D, Obata T, Hielscher B, Palmieri L, Miniero DV, Fernie AR, Weber APM, Palmieri F.   J Biol Chem. 2018 Jan 25. pii: jbc.RA117.000771. doi: 10.1074/jbc.RA117.000771. [Epub ahead of print]   PMID: 29371401 [PubMed - as supplied by publisher]

At2g22500 UCP5 uncoupling protein 5 は、DIC1 DICARBOXYLATE CARRIER 1 という名前でも呼ばれている。

ミトコンドリアと 低酸素 PRT6 N-degron pathway

Mitochondrial retrograde signaling through UCP1-mediated inhibition of the plant oxygen-sensing pathway.   Barreto P, Dambire C, Sharma G, Vicente J, Osborne R, Yassitepe J, Gibbs DJ, Maia IG, Holdsworth MJ, Arruda P.    Curr Biol. 2022 Jan 28:S0960-9822(22)00048-3. doi: 10.1016/j.cub.2022.01.037.    PMID: 35114096

ミトコンドリアの働きには酸素が必要なので、低酸素応答とミトコンドリアに関係があることはもっともなことである。この論文ではミトコンドリアは低酸素応答で制御されるだけでなく、UCP が関与する仕組みによって低酸素応答を抑制することを示している。

 

UCP を働かなくすることによる影響を調べた論文

The Knockdown of Mitochondrial Uncoupling Proteins 1 and 2 (AtUCP1 and 2) in Arabidopsis thaliana Impacts Vegetative Development and Fertility.    Arcuri MLC, Nunes-Laitz AV, Lima RPM, Barreto P, Marinho AN, Arruda P, Maia IG.   Plant Cell Physiol. 2021 Jul 28:pcab117. doi: 10.1093/pcp/pcab117.   PMID: 34314506

ATP/ADP ratios が高くなるが、呼吸速度は低下して根の伸長が最適条件、ストレス条件のどちらでも悪くなる。種子の収量が低下する。花器官で活性酸素が増加している。AOX が代替として活性化している。Supp.Table S2 にメタボライト分析がある。Xanthine などが増加している。

UCP を活性化するのではなくアンカプラーを与えて、エンドサイトーシスに与える影響を示した論文が発表された。

Mitochondrial uncouplers inhibit clathrin-mediated endocytosis largely through cytoplasmic acidification.   Dejonghe W, Kuenen S, Mylle E, Vasileva M, Keech O, Viotti C, Swerts J, Fendrych M, Ortiz-Morea FA, Mishev K, Delang S, Scholl S, Zarza X, Heilmann M, Kourelis J, Kasprowicz J, Nguyen le SL, Drozdzecki A, Van Houtte I, Szatmári AM, Majda M, Baisa G, Bednarek SY, Robert S, Audenaert D, Testerink C, Munnik T, Van Damme D, Heilmann I, Schumacher K, Winne J, Friml J, Verstreken P, Russinova E.   Nat Commun. 2016 Jun 8;7:11710. doi: 10.1038/ncomms11710.   PMID: 27271794

ミトコンドリアの機能が低下すると ATP 生産能力が低下する。それに対応するにはエネルギーを多く消費する過程を抑えないといけない。小胞輸送は抑えられる標的になるらしい。Nature に飢餓状態の際の研究成果が掲載されていた。複数の細胞内輸送経路が抑制される。

細胞生物学:GAPDHは飢餓において細胞のエネルギー恒常性のために細胞内経路を阻害する   Nature 561, 7722 | Published: 2018年9月13日 | doi: 10.1038/s41586-018-0475-6

細胞をアンカプラーで処理すると、細胞内で寿命が短い ACC synthase タンパク質が安定化されるという論文もあった。ATP に依存して起きるタンパク質分解も細胞内輸送と同じように ATP を節約したい際に抑えられるのだろう。細胞内ではタンパク質の分解で制御される物事はとても多いので、様々な過程に同時に影響が出ることになり分析が難しい。

Turnover of 1-aminocyclopropane-1-carboxylic Acid synthase protein in wounded tomato fruit tissue.   Kim WT, Yang SF.   Plant Physiol. 1992 Nov;100(3):1126-31.   PMID: 16653094   

The eto1, eto2, and eto3 mutations and cytokinin treatment increase ethylene biosynthesis in Arabidopsis by increasing the stability of ACS protein.   Chae HS, Faure F, Kieber JJ.   Plant Cell. 2003 Feb;15(2):545-59.   PMID: 12566591

ACC synthase タンパク質は、E3 - プロテアソーム系で分解されることが示されている。全部ではないだろうが、プロテアソームで分解される蛋白質の一部は ATP が減少すると安定化するのかもしれない。

The Arabidopsis RING-type E3 ligase XBAT32 mediates the proteasomal degradation of the ethylene biosynthetic enzyme, 1-aminocyclopropane-1-carboxylate synthase 7.   Lyzenga WJ, Booth JK, Stone SL.   Plant J. 2012 Jul;71(1):23-34. doi: 10.1111/j.1365-313X.2012.04965.x. PMID: 22339729

SOAR1 (At5g11310 Pentatricopeptide repeat (PPR) superfamily protein)

Crucial roles of the pentatricopeptide repeat protein SOAR1 in Arabidopsis response to drought, salt and cold stresses.   Jiang SC, Mei C, Liang S, Yu YT, Lu K, Wu Z, Wang XF, Zhang DP.   Plant Mol Biol. 2015 Jul;88(4-5):369-85. doi: 10.1007/s11103-015-0327-9. Epub 2015 Jun 21.   PMID: 26093896

SOAR1 遺伝子を過剰発現するとストレスに強くなり、しかも生育に対する悪い影響はないと書いてある。SOAR1 は PPRタンパク質をコードしているがミトコンドリアではなく核、細胞質に局在すると書かれている。しかし PPRタンパク質の一つなのでここに書いておく。UniProt データベースを見ると、SOAR1 はミトコンドリアに局在すると書かれている。生物学というものは全くもってむずかしい。

SLO2, NDUFS4, SLG1, At12Cys 遺伝子それぞれの変異体でも乾燥ストレスに強くなるが、それは欠失・機能低下した変異体で、ロゼット葉の段階だった。SLG1 の場合は ABA 感受性の上昇のため気孔が閉まっているからと推定されている。

それとは異なり、SOAR1 の過剰発現では、芽生えでストレスに強くなっている。 欠失変異の芽生えでは、他のミトコンドリア機能変異体のようにストレスに弱くなる。 またロゼット葉の段階のストレス応答データ (NaCl treatment) もあり、一応ストレスに強くなったようにも見える写真が出ている。SOAR1 自体も salt- and cold-induced gene だった。 SOAR1 を過剰発現すると、ABI2 遺伝子の発現が顕著に上昇した。その他の典型的なストレス応答遺伝子の変化は、それほどはっきりしなかった。

slo2

植物種
A.thaliana
:見つけられた方法:
変異遺伝子--slo2
PPR タンパク質の一種

References

The Arabidopsis thaliana RNA Editing Factor SLO2, which Affects the Mitochondrial Electron Transport Chain, Participates in Multiple Stress and Hormone Responses.   Zhu Q, Dugardeyn J, Zhang C, Muhlenbock P, Eastmond PJ, Valcke R, De Coninck B, Oden S, Karampelias M, Cammue BP, Prinsen E, Van Der Straeten D.   Mol Plant. 2013 Aug 29. PMID:  23990142

ロゼットが乾燥ストレスに強くなる(Figure 4)。気孔が閉じている割合が多いという写真がある。ABA による遺伝子発現誘導が強い(Figure 7)。ロゼット葉(4 週間)のアミノ酸を測定すると、Orn, Gly, Ala 等多くの種類で増加していた。特に Orn は顕著だった。 プロリンは約 2 倍だった。Asp は減少していた(Figure 11)。

SLO2, a mitochondrial PPR protein affecting several RNA editing sites, is required for energy metabolism.   Zhu Q, Dugardeyn J, Zhang C, Takenaka M, Kuhn K, Craddock C, Smalle J, Karampelias M, Denecke J, Peters J, Gerats T, Brennicke A, Eastmond P, Meyer EH, Van Der Straeten D.   Plant J. 2012 Apr 28. doi: 10.1111/j.1365-313X.2012.05036.x. [Epub ahead of print]   PMID: 22540321 [PubMed - as supplied by publisher]

SLG1

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--
 PPRタンパク質の一つ

Functional disruption of the PPR protein SLG1 affects mitochondrial RNA editing, plant development, and responses to abiotic stresses in Arabidopsis.   Yuan H, Liu D.   Plant J. 2012 Jan 5. doi: 10.1111/j.1365-313X.2012.04883.x.    PMID: 22221074

slg1 は ABA 感受性が高くなり、乾燥ストレスに耐える力が強くなると書いてある。NAD3, NADH dehydrogenase に欠陥が生じると書いてある。乾燥ストレスに耐える力が強くなるのはポットで育成しロゼット葉を何枚も付けた時期である。乾燥時の気孔の閉じ方が強いと書いてある。 BlueNativePAGE の結果がある。アミノ酸分析は行われていない。

イネでも PPR protein の変異で乾燥に強くなることがある。

Pentatricopeptide repeat gene-mediated mitochondrial RNA editing impacts on rice drought tolerance   Zhi Luo, JIE XIONG, Lei Wang, Lei Wang, Guihua Hou, Zhaoyang Li, Jing Li, Hengling Zhou, Tianfei Li, Lijun Luo, and Hui Xia

PAP2 (Purple acid phosphatase 2) が生育と種子収量を改善する

A dual-targeted purple acid phosphatase in Arabidopsis thaliana moderates carbon metabolism and its overexpression leads to faster plant growth and higher seed yield.   Sun F, Suen PK, Zhang Y, Liang C, Carrie C, Whelan J, Ward JL, Hawkins ND, Jiang L, Lim BL.   New Phytol. 2012 Apr;194(1):206-19. doi: 10.1111/j.1469-8137.2011.04026.x. Epub 2012 Jan 23.   PMID: 22269069

PAP2 はミトコンドリアとプラスチドの両方に輸送される。過剰発現すると生育促進効果があると書かれている。「a phosphatase dually anchored on the outer membranes of chloroplasts and mitochondria, can boost the plant growth and seed yield of Arabidopsis thaliana 」

Overlapping Functions of the Paralogous Proteins AtPAP2 and AtPAP9 in Arabidopsis thaliana   Int J Mol Sci. 2021 Jul; 22(14): 7243. Published online 2021 Jul 6. doi: 10.3390/ijms22147243 PMCID: PMC8303434 PMID: 34298863 と AtPAP2 modulates the import of the small subunit of Rubisco into chloroplasts.   Zhang R, Guan X, Law YS, Sun F, Chen S, Wong KB, Lim BL Plant Signal Behav. 2016 Oct 2; 11(10):e1239687. などで、「PAP2 はオルガネラに輸送されるタンパク質のトランジットペプチドがリン酸化されないようにすることで、葉緑体とミトコンドリアに輸送されるタンパク質の輸送効率を高めることでオルガネラを活性化する」というようなことが書かれている。

A Balance between the Activities of Chloroplasts and Mitochondria Is Crucial for Optimal Plant Growth.   Xu Z, Zhang R, Yang M, Law YS, Sun F, Hon NL, Ngai SM, Lim BL.   Antioxidants (Basel). 2021 Jun 9;10(6):935. doi: 10.3390/antiox10060935.   PMID: 34207819

上の論文に出てきた AtPAP2 をクロロプラストだけ、またはミトコンドリアだけに輸送されるように改変して導入すると、生育促進効果は小さくなった。ミトコンドリアだけが活性化してもバランスが崩れてかえって悪くなると考察されている。

A dual-targeted purple acid phosphatase in Arabidopsis thaliana moderates carbon metabolism and its overexpression leads to faster plant growth and higher seed yield.   Sun F, Suen PK, Zhang Y, Liang C, Carrie C, Whelan J, Ward JL, Hawkins ND, Jiang L, Lim BL.   New Phytol. 2012 Apr;194(1):206-19. doi: 10.1111/j.1469-8137.2011.04026.x. Epub 2012 Jan 23.   PMID: 22269069

このときミトコンドリアゲノムにコードされている cytochrome c maturation (Ccm) genes の editing される度合いが変化する。RNAseq を行い、ミトコンドリアゲノムにコードされている mRNA の配列を調べることで検出している。タンパク質の量も調べて、 CcmFN1 という遺伝子の産物の量が少し増加しているようにも見える。AtPAP2 は MORF という因子と協力して editing に働いている。

RNAseq データが GSE57790 and GSE57791 で公開されている。

Inducible NAD-overproducing nadC plant

NAD Acts as an Integral Regulator of Multiple Defense Layers.   Petriacq P, Ton J, Patrit O, Tcherkez G, Gakiere B.   Plant Physiol. 2016 Nov;172(3):1465-1479. Epub 2016 Sep 12.   PMID: 27621425

NADH は複合体I の基質として電子伝達系に電子を供給し ATP 合成のエネルギー源になる。NADH とその酸化型 NAD+ の働きはそれだけでなく、多様で重要な役割を果たしている。酸化還元反応の補酵素になることが多い。 リン酸化されて NADPH, NADP+ になり、これらも同様に働く。ヒストンの脱アセチル化という染色体、遺伝子発現と関わる部分にも NAD+ が補酵素として関与している。光合成では ATP だけでなく NADPH が NADP から生成する。 細胞内には NADH(還元型・電子を保持)と NAD+(酸化型)が存在するが、NAD+ が占める割合の方が多い。

植物で NAD+ / NADH ratio を調べた結果       https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4016682/  の Fig. 6   野生型では NAD+ の方が 10 倍くらい多い。

動物細胞で NAD+ / NADH ratio を調べた結果が公開されている。    http://www.nature.com/nprot/journal/v11/n8/fig_tab/nprot.2016.074_T2.html

NAD+ は防御応答を引き起こすシグナル分子であることが見いだされて、注目されている。   https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/07352689.2018.1505591   Supplemental Fig. S1 の A を見ると NADH が多いことになっている。しかし B を見ると NAD+ が多いことになっている。Figure legend にも間違いがある。 nadC は大腸菌で quinolinic acid (略称 Q) から NAD を合成する反応を触媒する酵素で、植物にはこの経路は存在しない。これをシロイヌナズナに導入した。 そうすると、quinolinic acid を与えたときのみ、NAD が大量に作られるようにできた。 それによって、植物の防御反応における NAD の役割を解明しようとした。

NAD が増えることによる活性酸素の生成には、ミトコンドリアにおける呼吸が関与していた。活性酸素の生成を直接見るために DCFH-DA という蛍光色素を使っている (Fig. 4)。 また、マーカー遺伝子として知られている GSTU24, AOX1 (1a?) の発現量を比較している (Fig. 3)。 KCN を与えて複合体 IV シトクロム C オキシダーゼを阻害することで、NAD による活性酸素の生成が止まる。

注目すべきこととして、NAD の量が増えるとそれと相関してサリチル酸 (SA) の量も増える (Fig. S1)。サリチル酸との関連は、ahg2 などのミトコンドリア関連変異体でも報告されている。ahg2 でも防御反応が活性化している。サリチル酸_salicylate_について

カロースの量も 92 倍に増える。

NAD が増加した際にどのような変化が起きるのか、全体像を把握するためにメタボローム分析を行った。その変化のパターンを、エリシター処理、ジャスモン酸処理を行った場合の変化と比較した。NAD が増加した際の代謝変化は、エリシター処理、ジャスモン酸処理を行った際の代謝変化と類似していた。野生型植物に quinolinic acid を加えた際の代謝変化は、小さかったがある。 二次代謝産物も増加した(Supplemental Fig. S10AB) 植物ホルモン ABA, JA, SA の量も増えていた。NAD 自体を野生型植物に与えるだけでも効果があった。

植物病原菌には植物の免疫システムを攪乱する分子を細胞内に送り込むものがある。それらの分子はエフェクターと呼ばれる。   The effector AvrRxo1 phosphorylates NAD in planta.   Shidore T, Broeckling CD, Kirkwood JS, Long JJ, Miao J, Zhao B, Leach JE, Triplett LR.   PLoS Pathog. 2017 Jun 19;13(6):e1006442. doi: 10.1371/journal.ppat.1006442. eCollection 2017 Jun.   PMID: 28628666    という論文では、AvrRxo1 というエフェクターが NAD をリン酸化することが示された。

Plant Immunity: Danger Perception and Signaling.   Zhou JM, Zhang Y. Cell. 2020 May 20:S0092-8674(20)30491-8. doi: 10.1016/j.cell.2020.04.028.    PMID: 32442407   というレビューにも NAD+ が出てくる。

TIR Domain Proteins Are an Ancient Family of NAD(+)-Consuming Enzymes.   Essuman K, Summers DW, Sasaki Y, Mao X, Yim AKY, DiAntonio A, Milbrandt J.    Curr Biol. 2018 Feb 5;28(3):421-430.e4. doi: 10.1016/j.cub.2017.12.024. Epub 2018 Jan 25.   PMID: 29395922   TIR domain protein は Toll/インターロイキン-1受容体(TIR)ドメインをもつタンパク質で NAD+ を分解する。NADH は分解されない。

化学と生物(日本農芸学会機関誌) 2020 年 7 月号に、吉久采花、嶋田啓太、吉村智美、山口公志、川崎努先生らによる「植物の自然免疫研究の最前線」というすばらしい解説が掲載されている。その解説では TIR ドメインについても紹介されている。 TIR ドメインをもつタンパク質はバクテリアに存在するが、植物にも TIR-NB-LRR 型タンパク質として存在する。「TIR-NB-LRR 型タンパク質は NB-LRR型受容体の一種で,病原菌が細胞内に分泌したエフェクターを認識し,強い抵抗性を誘導する」と解説されている。 「どうしてNAD+の分解によって細胞死が誘導されるのかについては明らかになっておらず,今後の研究に期待される」と書かれている。

Changes in intracellular NAD status affect stomatal development in an abscisic acid‐dependent manner   Elias Feitosa‐Araujoら   Pages: 1149-1168 | First Published: 29 September 2020

NAD(+)/NADH homeostasis affects metabolic adaptation to hypoxia and secondary metabolite production in filamentous fungi.   Shimizu M. Biosci Biotechnol Biochem. 2018 Feb;82(2):216-224. doi: 10.1080/09168451.2017.1422972. Epub 2018 Jan 12. PMID: 29327656 Review.

菌類においても NAD+ と NADH の比率は細胞の様々な過程、特に代謝に大きな影響を与える。

細胞のエネルギー状態と銅イオン欠乏感受性転写因子

Energy status-promoted growth and development of Arabidopsis require copper deficiency response transcriptional regulator SPL7.   Schulten A, Pietzenuk B, Quintana J, Scholle M, Feil R, Krause M, Romera-Branchat M, Wahl V, Severing E, Coupland G, Krämer U.   Plant Cell. 2022 Jul 22:koac215. doi: 10.1093/plcell/koac215.   PMID: 35866980

ミトコンドリアは細胞が効率よく ATP を生産するために必須の働きをしている(もちろん光合成もそうだが)。ミトコンドリア電子伝達系は ATP 合成酵素が働くための水素イオン濃度勾配(外側と内側の濃度差 濃度差=エネルギーの一つの形)を形成する。電子伝達系は電子の流れを形成するための補因子として鉄原子、銅原子を含む。

Schulten A らの論文では spl7 変異体について調べている。SPL7 は銅欠乏に対応して働く、Cu homeostasis に重要な役割を果たす転写因子である。spl7 変異体では、WT で見られる「Cu 欠乏時のショ糖による生育促進」が起きなくなる。spl7 変異体では糖が蓄積している。糖シグナルに重要な T6P トレハロース6リン酸も蓄積している。糖の代謝に異常がある。しかし spl7 変異体のミトコンドリア電子伝達系では Cytochrome c oxidase (COX、銅を含む) がよく働き ATP合成も起きている。単に銅が不足しているのではない。糖シグナル分子である TOR, SnRK1 は spl7 変異体でも働いている。spl7 変異体は銅の量にかかわらず長日で花成が野生型より遅くなった。 SPL7 の直接の標的遺伝子を調べた。FSD1 (Fe SOD), CITF1 (別名 bHLH160, At1g71200), CITF2 (別名 bHLH23, At4g28790) などがあった。

糖濃度の効果についても調べている。銅欠乏+高濃度の糖 で、Fe, Cu が欠乏しやすいと書いてある(Suppl. Fig. S1AB)。そのとき MIR398B が強く働いてその標的の CSD2 (Cu, Zn SOD) の mRNA 蓄積量が減少する。

RNAseq データが PRJEB47134, ERR6548266-277 で公開されている。

phb3

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
Prohibitin の欠損 AtPHB3 knock-out mutant
変異遺伝子--phb3
Prohibitin PHB3

References

Functional verification and screening of protein interacting with the slPHB3   Plant Signal Behav. 2022 Dec 31;17(1):2025678.   doi: 10.1080/15592324.2022.2025678. Epub 2022 Feb 3.   Haining Li など   PMID: 35112644 PMCID: PMC9176260

PHB3 を強く働かせたタバコ、酵母はストレスに強くなった。

PROHIBITIN 3 forms complexes with ISOCHORISMATE SYNTHASE 1 to regulate stress-induced salicylic acid biosynthesis in Arabidopsis.   Seguel AL, Jelenska J, Herrera-Vasquez A, Marr SK, Joyce MB, Gagesch KR, Shakoor N, Jiang SC, Fonseca A, Wildermuth M, Greenberg JT, Holuigue L.   Plant Physiol. 2018 Feb 1. pii: pp.00941.2017. doi: 10.1104/pp.17.00941.   PMID: 29438088

PHB3 はミトコンドリアだけでなく葉緑体にも存在し、サリチル酸生合成酵素 ICS1 と複合体を形成して、酵素活性を高めていることがわかった。PHB3 が欠損すると、正常な状態でのサリチル酸の量は変化しないが、ストレスを受けた際のサリチル酸の増加が少なくなる(半分くらいに減る)。サリチル酸の量を決める仕組みの一つに、生合成酵素のプロヒビチンによる安定化が関係していることが示された。他のホルモンでもそういうこと(生合成酵素が他のタンパク質で安定化する・特にストレス条件で)があるかもしれない。サリチル酸、アブシジン酸、ジャスモン酸は葉緑体に生合成酵素の一部が存在し、ストレスと関係が深い。エチレン生合成は細胞質で起きるが、それに関わる酵素は細胞内で不安定で半減期が短い。そういう酵素には「安定化因子」が存在するかもしれない。

Mitochondrial type-I prohibitins of Arabidopsis thaliana are required for supporting proficient meristem development.   Van Aken O, Pecenkova T, van de Cotte B, De Rycke R, Eeckhout D, Fromm H, De Jaeger G, Witters E, Beemster GT, Inze D, Van Breusegem F.   Plant J. 2007 Dec;52(5):850-64. Epub 2007 Sep 19.

この論文の supplement に、PHB3, PHB4 をそれぞれ過剰発現、機能欠損させた際に発現レベルが2倍以上変化する遺伝子のリストが掲載されている。

PHB3 を過剰発現した場合 defensin, chitinase 等の防御遺伝子が高発現する。サリチル酸生合成酵素は出てきていないが、サリチル酸誘導される遺伝子がいくつか含まれている。しかしこれはサリチル酸でなくエチレンかジャスモン酸の作用にも近いかもしれない。PHB3 はサリチル酸生合成酵素の活性を助けると言うことが示されたが、他のホルモンの生合成も助けるかもしれない。またホルモン合成以外にも標的はあるだろう。ホルモン誘導される遺伝子の変化は大きくて倍率が高いことが多いので、リストにすると上位に出てきやすい。 phb3 変異になると、ミトコンドリア関連変異遺伝子が多数変化している。

PHB4 を過剰発現した場合、phb3 変異(機能低下)と似た変化が生じることが、オーバーラップを調べることで示されている。 phb4 変異では発現変化する遺伝子はとても少ない。

Retrograde signalling caused by heritable mitochondrial dysfunction is partially mediated by ANAC017 and improves plant performance.   Van Aken O, Ford E, Lister R, Huang S, Millar AH.   Plant J. 2016 Nov;88(4):542-558. doi: 10.1111/tpj.13276. Epub 2016 Oct 17.   PMID: 27425258  では、phb3 変異も扱っている。   https://www.omicsdi.org/dataset/arrayexpress-repository/E-MTAB-4655   に、phb3 変異のデータを含む RNA-seq の結果が公開されている。

https://www.omicsdi.org/ は、RNA-seq などのデータを検索しやすい形にまとめてあり、興味深いデータを見つけやすい。

PHB3 Maintains Root Stem Cell Niche Identity through ROS-Responsive AP2/ERF Transcription Factors in Arabidopsis.   Kong X, Tian H, Yu Q, Zhang F, Wang R, Gao S, Xu W, Liu J, Shani E, Fu C, Zhou G, Zhang L, Zhang X, Ding Z.   Cell Rep. 2018 Jan 30;22(5):1350-1363. doi: 10.1016/j.celrep.2017.12.105.   PMID: 29386120

この論文では根端細胞の分化を扱っている。以前から活性酸素が重要であるとわかっていた。また根端細胞で PHB3 遺伝子が強く発現していることもわかっていた。AP2/ERF 転写因子である ERF115, ERF114, and ERF109 は根端細胞で働き Stem Cell Nitch (SCN) の維持に働く。PHB3 が変異すると、ミトコンドリアに変化が生じる。それによって活性酸素生成が増加する。それが ERF に影響を与える。phb3 変異体では、単に根が短くなるのではなく静止中心 QC の細胞に異常が見られる。静止せずに分裂するようになる (Fig. 1)。

ミトコンドリアに変化が生じると様々な活性が低下することがほとんどだが、この変異体の根端細胞では NADH dehydrogenase 活性が高くなっている (Fig. 3D)。AOX や NDA, NDB の発現が高くなっている (Fig. 3C)ことは他の変異体と同じである。

DPI という活性酸素の生成を阻害する阻害剤がある。複合体I、また NADPH oxidase を阻害する。 野生型植物は DPI を 0.5 μmol与えると根の伸長が強く阻害される。しかし phb3 ではその効果が小さい (Fig. 3K)。複合体I を代替するデヒドロゲナーゼがうまく働いているのかもしれないが、何も考察されていない。

phb3 の根端細胞では ERF115, ERF114, and ERF109 がとても強く発現するようになっている (Fig. 4A)。発現する場所も拡大している (Fig. 4B, 4C, 4D)。DPI を与えるといくらか抑えられる (4E, 4F, 4G)。根端細胞に過酸化水素を与えても強く発現する (Fig. 5A, 5B)。

PHB3 Is Required for the Assembly and Activity of Mitochondrial ATP Synthase in Arabidopsis.   Wei Q, Chen B, Wang J, Huang M, Gui Y, Sayyed A, Tan BC.   Int J Mol Sci. 2023 May 15;24(10):8787. doi: 10.3390/ijms24108787.   PMID: 37240131

という論文があった。

OPENER

OPENER Is a Nuclear Envelope and Mitochondria Localized Protein Required for Cell Cycle Progression in Arabidopsis.   Wang W, Zhang X, Niittylä T.   Plant Cell. 2019 Jul;31(7):1446-1465. doi: 10.1105/tpc.19.00033. Epub 2019 Apr 25.   PMID: 31023726

機能不明遺伝子 Genes with Unknown Function について系統的に調べるプロジェクトの過程で、根端で働く必須遺伝子が見いだされ OPENER 遺伝子と名付けられた。この遺伝子の産物は PHB3, PHB4 タンパク質と結合することがわかった。

PHB3 と nitric oxide

The Arabidopsis Prohibitin Gene PHB3 Functions in Nitric Oxide-Mediated Responses and in Hydrogen Peroxide-Induced Nitric Oxide Accumulation.   Wang Y, Ries A, Wu K, Yang A, Crawford NM.   Plant Cell. 2010 Jan 12. [Epub ahead of print]

Prohibitin3 と、Niric oxide に関係があることが示されている。

根にH2O2を処理するとNOが発生する。それをDAF-FM DAという蛍光色素で検出している (fig. 1)。phb3-3変異体ではH2O2を与えたときのDAF蛍光が弱い。しかしそれはH2O2濃度が100〜200μMの時だけで、それ以上では差がない。差が最大の100μMでも、値としては2倍の違いである。しかし十分に再現性よく差が観察できるのだろう。

根をNaClで処理するとNOが発生し、塩ストレス応答に重要であることが知られている。phb3-3変異体の根ではNOが発生しにくい(fig. 7a)。phb3-3変異体の根の伸長は遅いが、塩ストレスによって伸長が抑制されにくい(fig. 7b)。孔辺細胞はABAで処理されるとNOを生成する。その量がphb3-3変異体では少なくなっている (fig. 5A)。

H2O2に対する応答は、変わっていない(Table 1)。H2O2によく応答するマーカー遺伝子として、WRKY6, HSFA4, TCH3, GSTU12 を用いている。

Discussion では、電子伝達系がNO合成に果たす役割について触れられている。しかしProhibitinがミトコンドリアを含む細胞内のどの場所で、どのような機能を果たしているのか、はっきりとしたことはわかっていないので明確なことは言いにくい。ミトコンドリア以外の部位で働いていて、それが重要と言うこともあり得る。NOが abiotic stress 応答に重要であることは、この変異体、研究によって示された。

プロヒビチンが葉緑体にも存在することが示されたので、NO の合成は葉緑体で起きていると考えて何の問題もなくなる。NO と関係するタンパク質 NOA1 も葉緑体で働く因子である。

Mutational loss of the prohibitin AtPHB3 results in an extreme constitutive ethylene response phenotype coupled with partial loss of ethylene-inducible gene expression in Arabidopsis seedlings   Christians MJ, Larsen PB.   J Exp Bot. 2007;58(8):2237-48. Epub 2007 May 24. PMID: 17525078

強いエチレンレスポンスを示す変異体として、eer3-1 が単離された。それは PHB3 遺伝子に変異があった。この論文の筆者たちは、ミトコンドリアのことについて触れていない。核や細胞質にも prohibitin は存在すると言っている。プロヒビチンは細胞内の複数の場所で働いているのだろう。eer3 はエチレンを多く合成していた (Fig. 2D)。しかし ein2 と二重に変異してもエチレンレスポンスが起きるので、エチレンをたくさん作っているせいだけではなく、レスポンスにも変化が生じている。

EIN2-dependent regulation of acetylation of histone H3K14 and non-canonical histone H3K23 in ethylene signalling.   Zhang F, Qi B, Wang L, Zhao B, Rode S, Riggan ND, Ecker JR, Qiao H.   Nat Commun. 2016 Oct 3;7:13018. doi: 10.1038/ncomms13018.   PMID: 27694846  という論文の Discussion には、

Exactly how EIN2 CEND functions in the nucleus is still unknown. The isolation of EER3 or PHB3, which is an enhancer of ethylene response and interacts with EIN2 CEND

と書いてある。EIN2 の C末端側に大切なドメインがあり CEND と呼ばれている。そこに Prohibitin が結合するらしい。Prohibitin は細胞質や核でも働くのだろう。しかしデータはどこにもない。

「フックが強く曲がる」「生育が抑えられる」ことからエチレンフェノタイプと言っている。しかし、この論文の fig.5 で示されている「エチレンによるAtEBP, PDF1.2 のmRNA誘導が起きにくくなっている」ことにも注目するべきかもしれない。

Unraveling the functions of type II-prohibitins in Arabidopsis mitochondria.   Piechota J, Bereza M, Sokołowska A, Suszyński K, Lech K, Jańska H.   Plant Mol Biol. 2015 Jun;88(3):249-67. doi: 10.1007/s11103-015-0320-3. Epub 2015 Apr 21.   PMID: 25896400

Identification and characterization of high molecular weight complexes formed by matrix AAA proteases and prohibitins in mitochondria of Arabidopsis thaliana.   Piechota J, Kolodziejczak M, Juszczak I, Sakamoto W, Janska H. J Biol Chem. 2010 Apr 23;285(17):12512-21. doi: 10.1074/jbc.M109.063644. Epub 2010 Feb 19.   PMID: 20172857

The prohibitin genes in Arabidopsis thaliana: expression in seeds, hormonal regulation and possible role in cell cycle control during seed germination.   De Diego JG, David Rodríguez F, Rodríguez Lorenzo JL, Cervantes E.   J Plant Physiol. 2007 Mar;164(3):371-3. Epub 2006 Jul 31.   PMID: 16876910

ほ乳類にもプロヒビチンが存在して、細胞内の複数の場所で多様な働きをしている。ミトコンドリアでも重要な働きをしていることがわかっている。   http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/iub.1366/pdf Prohibitin 2: At a communications crossroads A Bavelloni 著 - ‎2015

SIORRM4

The RNA Editing Factor SlORRM4 Is Required for Normal Fruit Ripening in Tomato.   Yang Y, Zhu G, Li R, Yan S, Fu D, Zhu B, Tian H, Luo Y, Zhu H.   Plant Physiol. 2017 Dec;175(4):1690-1702. doi: 10.1104/pp.17.01265. Epub 2017 Oct 23. PMID: 29061908

トマトの RNA editing factor には果実が成熟する際に発現しているものがある。それらの内で SlORRM4 という因子の機能を抑えると、果実の成熟が遅れ、エチレン生成と呼吸量の増加も抑えられた。同時に多数の成熟関連遺伝子の発現も変化していた。成熟が遅れるが成熟しないわけではなく、最終的には普通に赤くなる。

果実が成熟する際に呼吸が一時的に増加することがあり、クリマクテリック climacteric 果実と呼ばれる。トマトはクリマクテリック果実の一つである。その際のミトコンドリアの変化について研究が行われている。エチレンは呼吸量の増加に関与している。

ORRM は RNA recognition motif-containing protein の一種で、シロイヌナズナでも変異体が単離され研究されている。このリストでも下に出てくる。

PRECOCIOUS1 (POCO1)

PRECOCIOUS1 (POCO1), a Mitochondrial Pentatricopeptide Repeat (PPR) Protein Affects Flowering Time in Arabidopsis thaliana.    Emami H, Kempken F.  Plant J. 2019 Jun 20. doi: 10.1111/tpj.14441. [Epub ahead of print] PMID: 31219634

Transcriptomic Analysis of poco1, a Mitochondrial Pentatricopeptide Repeat Protein Mutant in Arabidopsis Thaliana   BMC Plant Biol. 2020 May 12;20(1):209.   doi: 10.1186/s12870-020-02418-z.   Hossein Emami, Abhishek Kumar, Frank Kempken   PMID: 32397956 PMCID: PMC7216612

花成のタイミングとミトコンドリアに関係があるらしいと書いてある。

これも RNA-seq データが公開されている。 https://www.ebi.ac.uk/ena/data/view/PRJEB37708 

AtOM66 (At3g50930), TTM1 外膜局在タンパク質と cell death

The mitochondrial outer membrane AAA ATPase AtOM66 affects cell death and pathogen resistance in Arabidopsis thaliana.   Zhang B, Van Aken O, Thatcher L, De Clercq I, Duncan O, Law SR, Murcha MW, van der Merwe M, Seifi HS, Carrie C, Cazzonelli C, Radomiljac J, Höfte M, Singh KB, Van Breusegem F, Whelan J.   Plant J. 2014 Nov;80(4):709-27. doi: 10.1111/tpj.12665.   PMID: 25227923

AtOM66 を強く発現する植物を作成すると、ロゼット葉の段階で乾燥に強くなったという写真が示されている (Figure 6)。乾燥による活性酸素の生成が少なくなっている。サリチル酸の量が増える(二倍くらい)。Pseudomonas syringae の感染に強くなっている (figure 9a)。ahg2 でもサリチル酸の量が増えるが、ahg2 は活性を失う変異でそうなる。AtOM66 は過剰に発現することでそうなっている。

Mitochondrial Function Modulates Touch Signalling in Arabidopsis thaliana.   Xu Y, Berkowitz O, Narsai R, De Clercq I, Hooi M, Vincent B, Van Breusegem F, Whelan J, Wang Y.   Plant J. 2018 Dec 8. doi: 10.1111/tpj.14183. [Epub ahead of print]   PMID: 30537160 という論文には、OM66 は機械刺激 touch stimuli で急速 30min 以内に転写産物が増大すると書かれている。それは WRKY15, WRKY40 という転写因子と連動している。複合体I が失活した ndufs4 変異体では OM66 の誘導は抑えられるが、WRKY40 は抑えられない。At12Cys-1 (At5g64400) and At12Cys-2 (At5g09570) は twin Cysteine protein というミトコンドリアタンパク質をコードしている。At12Cys-2 は多くのミトコンドリア機能変異体で発現が上昇する。これらの遺伝子が変異すると接触刺激応答が強くなる。 機械刺激誘導性でよく知られている TCH3, TCH4 と OM66 は誘導のされ方が異なり別のクラスターに分けられる。

ホルモンとの相互作用についても調べられている。KIN10 という因子に注目している。

ミトコンドリアと cell death の関係について、こういう論文もあった。TTM1 も outer membrane で働くタンパク質である。ABA が関係している。

Multiple phosphorylation events of the mitochondrial membrane protein TTM1 regulate cell death during senescence   Purva Karia, Keiko Yoshioka, Wolfgang Moeder   Version of Record online: 02 September 2021

Frataxin

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--frataxin
 鉄イオンホメオスタシス、Fe-S クラスターの形成、ヘムの合成に必要なミトコンドリア局在タンパク質。 ミトコンドリアには鉄を含む重要なタンパク質が数多く存在する。タグラインで完全な欠失体は取れなかった。機能低下したラインは生育可能だった。活性酸素生成が促進されている(NBT染色での結果)。

Frataxin は、遺伝病の原因遺伝子であるので重要である。   http://www.cellbio.med.osaka-u.ac.jp/iron02.htm   大阪大学大学院 生命機能研究科 細胞ネットワーク講座  代謝調節学研究室 岩井教授のグループ による研究解説 「出芽酵母においても鉄は必須の栄養素であり、出芽酵母の鉄、鉄補欠分子族の研究からフリードリッヒ失調症の原因遺伝子であるフラタキシンの機能が明らかになるなど、鉄代謝研究の有用なモデル生物になっています。」と、書かれている。酵母や動物のミトコンドリアの重要な機能の一つに、鉄イオンの恒常性維持があることが示されている。

2018 年に、植物の frataxin はヘムの生合成を触媒する活性を持つという論文が発表された。

Ferrochelatase activity of plant frataxin.   Armas AM, Balparda M, Terenzi A, Busi MV, Pagani MA, Gomez-Casati DF.   Biochimie. 2018 Oct 18;156:118-122. doi: 10.1016/j.biochi.2018.10.009.   PMID: 30342111

以前にも、frataxin はヘムの生合成に関わるという論文があった。

The mitochondrial protein frataxin is essential for heme biosynthesis in plants.   Maliandi MV, Busi MV, Turowski VR, Leaden L, Araya A, Gomez-Casati DF.   FEBS J. 2010 Nov 20. doi: 10.1111/j.1742-4658.2010.07968.x.

ヘムの生合成を触媒する Ferrochelatase (FC) は、シロイヌナズナでは FC1 (At5g26030), FC2 (At2g30390) の二種類がある。 FC2 は葉緑体に必要なヘムの生合成を行っている。FC1 は葉緑体以外のミトコンドリア、小胞体、細胞質などで必要なヘムの合成を行っている。どちらも葉緑体内に存在している。 このことを示した論文:

Allocation of Heme Is Differentially Regulated by Ferrochelatase Isoforms in Arabidopsis Cells.   Espinas NA, Kobayashi K, Sato Y, Mochizuki N, Takahashi K, Tanaka R, Masuda T.   Front Plant Sci. 2016 Aug 31;7:1326. doi: 10.3389/fpls.2016.01326. eCollection 2016.   PMID: 27630653

Heme synthesis by plastid ferrochelatase I regulates nuclear gene expression in plants.   Woodson JD, Perez-Ruiz JM, Chory J.   Curr Biol. 2011 May 24;21(10):897-903. Epub 2011 May 12. PMID: 21565502

植物のミトコンドリアでヘムが生合成されるのかどうかは、植物の種類や器官の影響があり難しい問題らしい。

Transgenic Tobacco Lines Expressing Sense or Antisense FERROCHELATASE 1 RNA Show Modified Ferrochelatase Activity in Roots and Provide Experimental Evidence for Dual Localization of Ferrochelatase 1.   Hey D, Ortega-Rodes P, Fan T, Schnurrer F, Brings L, Hedtke B, Grimm B.   Plant Cell Physiol. 2016 Dec;57(12):2576-2585. Epub 2016 Oct 22.   PMID: 27818378

Frataxin は葉緑体でも働くという論文がある。

Frataxin Is Localized to Both the Chloroplast and Mitochondrion and Is Involved in Chloroplast Fe-S Protein Function in Arabidopsis.   Turowski VR, Aknin C, Maliandi MV, Buchensky C, Leaden L, Peralta DA, Busi MV, Araya A, Gomez-Casati DF.   PLoS One. 2015 Oct 30;10(10):e0141443. doi: 10.1371/journal.pone.0141443. eCollection 2015.   PMID: 26517126

Frataxin が植物の自然免疫に関与しているという論文があった。

Iron-sulfur cluster protein NITROGEN FIXATION S-LIKE 1 and its interactor FRATAXIN function in plant immunity.    Fonseca JP, Lee HK, Boschiero C, Griffiths M, Lee S, Zhao PX, York L, Mysore KS.   Plant Physiol. 2020 Sep 17:pp.00950.2020. doi: 10.1104/pp.20.00950.    PMID: 32943465

frataxin と一酸化窒素の関係を示す論文が公表されている。

Nitric oxide and frataxin: two players contributing to maintain cellular iron homeostasis.   Ramirez L, Zabaleta EJ, Lamattina L.   Ann Bot. 2010 May;105(5):801-10. Epub 2009 Jun 25. Review.   PMID: 19556267

Nitric oxide accumulation is required to protect against iron-mediated oxidative stress in frataxin-deficient Arabidopsis plants.   Martin M, Colman MJ, Gomez-Casati DF, Lamattina L, Zabaleta EJ.   FEBS Lett. 2009 Feb 4;583(3):542-8. Epub 2008 Dec 27.   PMID: 19114041

SAL1/FRY1

The PAP/SAL1 retrograde signaling pathway is involved in iron homeostasis.   Balparda M, Armas AM, Estavillo GM, Roschzttardtz H, Pagani MA, Gomez-Casati DF.   Plant Mol Biol. 2020 Jan 3. doi: 10.1007/s11103-019-00950-7.    PMID: 31900819

SAL1/FRY1 はシグナル分子である 3'-phosphoadenisine-5'-phosphate (PAP) を分解するホスファターゼで、これらはクロロプラストとミトコンドリアに局在している。 PAP は転写後調節リボヌクレアーゼ(AHG2 のような分子?)の活性を阻害する。 SAL1/FRY1 の機能が低下するとフェリチン遺伝子にコードされた mRNA の蓄積量が増加する。また鉄欠乏培地での生育がよくなると書いてある。エチレンも関係していると書かれている。

The Arabidopsis SAL1-PAP Pathway: A Case Study for Integrating Chloroplast Retrograde, Light and Hormonal Signaling in Modulating Plant Growth and Development?   Phua SY, Yan D, Chan KX, Estavillo GM, Nambara E, Pogson BJ.   Front Plant Sci. 2018 Aug 8;9:1171. doi: 10.3389/fpls.2018.01171. eCollection 2018.   PMID: 30135700    ストレス状態では SAL1/FRY1 による PAP の分解がおきにくくなり、PAP の蓄積量が増加する。PAP は核に移動して nuclear exoribonucleases (XRNs) の活性を阻害する。それによってストレス応答が起きる。XRNs は 5'-3' exoribonucleases なので PARN (AHG2) とは反対側になる。

CBSX3

Plant Sci, 294, 110458   CBSX3-Trxo-2 Regulates ROS Generation of Mitochondrial Complex II (Succinate Dehydrogenase) in Arabidopsis   Jin Seok Shin 1 , Won Mi So 1 , Soo Youn Kim 2 , Minsoo Noh 1 , Sujin Hyoung 1 , Kyoung Shin Yoo 3 , Jeong Sheop Shin   PMID: 32234226

CBSX3 を knock down するとミトコンドリア電子伝達系複合体II (コハク酸デヒドロゲナーゼ)からの ROS 生成が少なくなり、リグニンが減って生育がよくなる。

FSL0260

シロイヌナズナの芽生えの耐塩性を高める化合物の探索によって、FSL0260 という化合物が見いだされた。この化合物はミトコンドリア電子伝達系の複合体 I を阻害することが判明した。適度に阻害することにより AOX タンパク質の量が増加して活性酸素生成が減少しストレス耐性を高めると推察されている。ストレス耐性を高める濃度(20 〜 40 μM)では、複合体 I の活性は半分以上残っている(試験管内のアッセイで)というデータがある (Fig. 4B)。 シロイヌナズナの場合、20 μM の FSL0260 は耐塩性を高めるが、塩ストレスのない通常の条件では かなり生育を阻害する (Supplemental Fig. 1)。しかしイネでは同じ濃度で耐塩性が向上するのは同じだが、塩ストレスがない条件で生育阻害がほとんどない (Fig. 6)。 遺伝子の変異でタンパク質がうまく作られなくなるとそのタンパク質の量は減少して機能が低下する。一方阻害剤を与えた場合は必ずしも標的タンパク質の量は減少するとは限らない。かえって増加する場合もある。そういうことを考えると阻害剤を用いた研究は変異体を用いた研究と相補的に働いて単独ではわからないことの発見につながるかもしれない。

Kaori Sako, Yushi Futamura, Takeshi Shimizu, Akihiro Matsui, Hiroyuki Hirano Yasumitsu Kondoh, Makoto Muroi, Harumi Aono, Maho Tanaka, Kaori Honda, Kenshirou Shimizu, Makoto Kawatani, Takeshi Nakano, Hiroyuki Osada, Ko Noguchi, Motoaki Seki, Inhibition of mitochondrial complex I by the novel compound FSL0260 enhances high salinity-stress tolerance in Arabidopsis thaliana, Scientific Reports, 10.1038/s41598-020-65614-9

理研からプレスリリースが発表されている。   https://www.riken.jp/press/2020/20200526_1/index.html

論文を読んで私もロテノンで試してみると確かに少し塩ストレスに強くなった。ロテノンは案外生育を抑制しない。

塩ストレスは様々な細胞の機能を阻害するが、光合成をしている細胞では光化学系に対する影響がとても大きい。塩ストレスと光が相乗的に光化学系にダメージを与えることが知られている。Sako らの論文でも緑化した芽生えを用い、クロロフィルの退色が抑えられることを指標にしている。

Salt stress inhibits the repair of photodamaged photosystem II by suppressing the transcription and translation of psbA genes in synechocystis.   Allakhverdiev SI, Nishiyama Y, Miyairi S, Yamamoto H, Inagaki N, Kanesaki Y, Murata N. Plant Physiol. 2002 Nov;130(3):1443-53. doi: 10.1104/pp.011114. PMID: 12428009

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC116483/   Plant Physiol. 2001 Jul; 126(3): 1266–1274.   doi: 10.1104/pp.126.3.1266   PMCID: PMC116483   PMID: 11457977   Mitochondrial Adaptations to NaCl. Complex I Is Protected by Anti-Oxidants and Small Heat Shock Proteins, Whereas Complex II Is Protected by Proline and Betaine   E. William Hamilton, and Scott A. Heckathorn   複合体 I は NaCl で増加する ROS で間接的にダメージを受けるが antioxidants and sHsps で保護される。この研究はトウモロコシの暗所芽生えを使っているので光合成は関係ない。

The role of mitochondrial respiration in salinity tolerance.    Jacoby RP, Taylor NL, Millar AH.    Trends Plant Sci. 2011 Nov;16(11):614-23. doi: 10.1016/j.tplants.2011.08.002. Epub 2011 Sep 7.    PMID: 21903446   というレビューで、塩ストレスとミトコンドリア電子伝達系の関係について考察されている。 Mitochondrial proteome during salt stress-induced programmed cell death in rice.   Chen X, Wang Y, Li J, Jiang A, Cheng Y, Zhang W. Plant Physiol Biochem. 2009 May;47(5):407-15. doi: 10.1016/j.plaphy.2008.12.021. Epub 2009 Jan 9.    PMID: 19217306    では複合体 I の活性染色を行っている(Fig. 6)。ストレス処理で活性が 60% に下がる。それほど顕著に下がるわけではない。

AOX がストレス耐性に関与していることについて多数の研究がある。  Photoprotection by mitochondrial alternative pathway is enhanced at heat but disabled at chilling.    Li YT, Liu MJ, Li Y, Liu P, Zhao SJ, Gao HY, Zhang ZS.   Plant J. 2020 Jul 19. doi: 10.1111/tpj.14931.    PMID: 32683757

TIM17-1 (At1g20350) のノックアウト

The mitochondrial protein import component, TRANSLOCASE OF THE INNER MEMBRANE17-1, plays a role in defining the timing of germination in Arabidopsis.   Wang Y, Law SR, Ivanova A, van Aken O, Kubiszewski-Jakubiak S, Uggalla V, van der Merwe M, Duncan O, Narsai R, Whelan J, Murcha MW. Plant Physiol. 2014 Nov;166(3):1420-35. doi: 10.1104/pp.114.245928. Epub 2014 Sep 24. PMID: 25253887

種子が発芽する際にはミトコンドリアが修復され、活性化する。発芽時のミトコンドリアに関して最近研究が進んでいる。TIM17 はミトコンドリアへのタンパク質輸送に関わっている。Fig. 3 に「Attim17-1 KO lines exhibit faster germination rates on various sugars and exhibit mild ABA insensitivity. 」というデータが掲載されている。 ミトコンドリアに関する変異体はどれも発芽が遅くなるものばかりだったが、この場合はその逆で発芽が促進されている。これは珍しい。

しかし、種子とは難しいもので、種子を取るために育成している植物体に当てる光の質(フィトクロームの影響)や育成温度が変わると、取れた種子の休眠の度合いが変化すると書かれている資料があった。また種子の保存条件、保存期間によっても発芽までの時間が変化するかもしれない。HY5 遺伝子の発芽に対する効果が、そういうことで論争になっていた。ある論文に対する反論だけで論文になっていた。

Attim17-1 の mRNA 量は乾燥種子で高く、吸水すると 1 時間以内に減少する。Attim17-3 が入れ替わるように働き出す。Attim17-1 はミトコンドリアを抑えるように機能し、発芽後は tim17-3 がミトコンドリアを活性化すると想像することはできる。

ATH1 のマイクロアレイデータ GSE48488 が公開されている。 cel ファイルを Bioconductor の RMA 関数で処理して見てみると、tim17 の機能が失われたことによる遺伝子発現の変化はとても小さい。こんなので発芽が促進されるのだろうかと心配になる。

MAB1 (MACCI-BOU)、IAR4、mte2

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  線対称性や子葉の形成に関係する新規の遺伝子を捜す為に、pidを変異原処理する事で棒状の芽生えを持つpidエンハンサーmacchibou(mab)1-4を単離した。   http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/14036222/2005/3/ja   田坂 昌生、相田 光宏 両博士の研究によって見いだされた。IAR4は、a gene required for auxin conjugate sensitivity
変異遺伝子--
 MAB1は、At5g50850   http://atted.jp/data/locus/At5g50850.shtml   ミトコンドリア ピルビン酸デヒドロゲナーゼE1βサブユニットをコード 典型的なミトコンドリアで働く代謝遺伝子 IAR4は、pyruvate dehydrogenase E1alpha homolog   http://atted.jp/data/locus/At1g24180.shtml

報告書には「ATP生産が落ちる可能性が示唆され、そのために細胞増殖に影響が出て子葉の形成阻害が起こったと考えられる。」と書かれている。しかし私のようにミトコンドリア関連変異体を調べていると、「ATP生産」と、「子葉の形成」の間に、もう少し複雑なことがあるように思えた。

mab1 変異体に関するすばらしい成果が 2019年に論文として発表された。

Mitochondrial Pyruvate Dehydrogenase Contributes to Auxin-Regulated Organ Development.   Ohbayashi I, Huang S, Fukaki H, Song X, Sun S, Morita MT, Tasaka M, Millar AH, Furutani M.   Plant Physiol. 2019 Jun;180(2):896-909. doi: 10.1104/pp.18.01460. Epub 2019 Mar 20.   PMID: 30894418

PDH の活性低下によってオーキシンの極性輸送に異常が起きる。アラニンの蓄積にも注目している。TCA サイクルの機能を阻害剤で低下させることによっても、PIN1 が不安定になって PIN1 タンパク量が減る。

ミトコンドリア機能とオーキシンに関連があることを示す論文は少しずつ増加している。

Mitochondrial Heat Shock Cognate Protein 70 (MtHsc70-1)

Mitochondrial Heat Shock Cognate Protein 70 Contributes to Auxinmediated Embryo Development.    Li G, Li Z, Yang Z, Leshem Y, Shen Y, Men S.   Plant Physiol. 2021 Mar 21:kiab138. doi: 10.1093/plphys/kiab138.    PMID: 33744930

MtHSC70-1 が働かなくなると、オーキシンの生合成、輸送に異常が生じることが示された。

IAR4 = E2 subunit of the mitochondrial pyruvate dehydrogenase complex

IAR4, a gene required for auxin conjugate sensitivity in Arabidopsis, encodes a pyruvate dehydrogenase E1alpha homolog.   Leclere S, Rampey RA, Bartel B.   Plant Physiol. 2004 Jun;135(2):989-99. Epub 2004 Jun 1.   PMID: 15173569 という論文もある。MAB1 と違うサブユニットだが、PDHをコードしている。   

Mutations in the three Arabidopsis genes that encode the E2 subunit of the mitochondrial pyruvate dehydrogenase complex differentially affect enzymatic activity and plant growth.   Song L, Liu D.   Plant Cell Rep. 2015 Nov;34(11):1919-26. doi: 10.1007/s00299-015-1838-1. Epub 2015 Jul 21.   PMID: 26194327

という論文には、E2 サブユニットの変異体 mte2 が出てくる。mte2-1 の芽生えは、根が少し斜めに曲がって伸びる(写真がある)。よく知られているオーキシン変異体 axr1 などと比べるとたいした変化ではないが、著者らはオーキシンの変化による重力屈性の低下のせいではないかと考えている。根毛の数も少し少なく見える(たいした差ではない)。ロゼットを作り抽苔した段階では野生型と見分けがつかなくなる。

A mutation in the E2 subunit of the mitochondrial pyruvate dehydrogenase complex in Arabidopsis reduces plant organ size and enhances the accumulation of amino acids and intermediate products of the TCA cycle.   Yu H, Du X, Zhang F, Zhang F, Hu Y, Liu S, Jiang X, Wang G, Liu D.   Planta. 2012 Aug;236(2):387-99. doi: 10.1007/s00425-012-1620-3. Epub 2012 Mar 6.    PMID: 22391856   という論文もあった。アミノ酸が蓄積すると、それらが IAA との結合体を作りやすいのかもしれない。Fig. 5B にはピルビン酸を測定した結果があり、変異体で約 3 倍に増えていた。コハク酸は 2 倍に増えていた。他の有機酸の変化は小さかった。 アミノ酸では、アラニンとシステインの増加がとても大きかった。Ala はピルビン酸からアミノトランスフェラーゼで生成する。Trp も 3 倍に増えていた。それ以外のアミノ酸も多くが 2 倍くらい増えていた。 生育は野生型よりもだいぶ悪くなっていた (Fig.3)。

Arabidopsis IAR4 modulates auxin response by regulating auxin homeostasis.   Quint M, Barkawi LS, Fan KT, Cohen JD, Gray WM.   Plant Physiol. 2009 Jun;150(2):748-58. Epub 2009 Apr 24.   PMID: 19395411 という論文もある。

Enhancers of tir1-1 auxin resistance をスクリーニングしたら、IAR4 が出てきたと書かれている。様々な方法でオーキシン関連変異体をスクリーニングして、 共通して IAR4 が出てくるということは、IAR4 とオーキシン、インドール酢酸の結びつきが確かに存在することを示唆している。2019年の Ohbayashi らの成果によってそのことが示された。

IAR4 の効果は、内在のインドール酢酸の合成を増やすことで打ち消し回復することができるので、生合成または分解 catabolism に効いている。 遊離型の IAA の量は野生型と変化しないが、アミノ酸結合型が増えていると書いてある。 IAA-アミノ酸全体、IAA-Asp, IAA-Glu(グルタミン酸)の量のデータが Fig.6 にある。IAA-アミノ酸全体の量が 2 倍に増えていた。個別に測定すると、IAA-Asp は増えていなかった。IAA-Glu が 1.5 倍くらい増えていた。 Trp 以外の経路による IAA 合成が起きているとも書いてある。

Alterations in auxin homeostasis suppress defects in cell wall function.   Steinwand BJ, Xu S, Polko JK, Doctor SM, Westafer M, Kieber JJ.   PLoS One. 2014 May 23;9(5):e98193. doi: 10.1371/journal.pone.0098193. eCollection 2014. PMID: 24859261   この論文にも IAR4 が出てくる。

Leucine-rich-repeat receptor-like kinases (LRR-RLKs) である FEI1, FEI2 の二重変異体では、セルロース合成が阻害され短くて肥大した根になる。これはセルロース合成阻害剤処理や他のセルロース合成変異体でも観察されるのと同じである。この性質をsuppressする変異をスクリーニングしたら、IAR4 が見いだされた。IAR4 の変異によって、他のセルロース合成変異体が示す性質も部分的にsuppressされる。iar4 はセルロース合成阻害剤に対する感受性も変化する。wei8, tar2-2 というのは主要なオーキシンであるインドール酢酸合成の主要経路で働くトリプトファンアミノトランスフェラーゼ遺伝子で、これらが働かなくなるとオーキシンの量が減る。オーキシンが関わる重力屈性がおかしくなるので根が上を向いている。これらが働かない変異植物とfei1fei2を掛け合わせて4つの変異を同時にもたせても、根が膨らまなくなった。

2019 年にも、オーキシンと細胞壁(セルロース合成阻害による細胞壁の弱体化が引き起こす極性の消失)に関連があるという論文が発表された。

Auxin and cell wall crosstalk as revealed by the Arabidopsis thaliana cellulose synthase mutant radially swollen 1.   Lehman TA, Sanguinet KA. Plant Cell Physiol. 2019 Apr 20. pii: pcz055. doi: 10.1093/pcp/pcz055. [Epub ahead of print]   PMID: 31004494

しくみはよくわからないが、iar4 変異体はオーキシンが減少したような性質を示して、IAA-アミノ酸が蓄積し、IAA を与えることによって回復すると書かれている。 IAA-アミノ酸全体、IAA-Asp, IAA-Glu(グルタミン酸)の量のデータは、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2689969/ の Fig.6 にある。IAA-アミノ酸全体の量が 2 倍に増えていた。個別に測定すると、IAA-Asp は増えていなかった。IAA-Glu が 1.5 倍くらい増えていた。IAA-Ala を測定した方がよいと思うが難しいのだろう。

IAA は少ししかない方が極性の確立にはよいのかもしれない。オーキシンを大量に作っていると、pin1 による極性をもった輸送の能力を超えてしまうことが起こりやすいだろう。そうなると単なる拡散による、濃度差に比例した輸送のほうが主になる。そうなると極性を失ってしまいやすいのかもしれない。グルコースが pin1 の発現を制御するという論文もあった。 ARA MASA 博士によって紹介されている。   https://www.google.co.jp/search?q=%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%81%8C+pin1+%E3%81%AE%E7%99%BA%E7%8F%BE%E3%82%92%E5%88%B6%E5%BE%A1&ie=utf-8&oe=utf-8

mab1 と同じスクリーニングで mab2, 3, 4 変異体も単離されている。mab3 は PIN1 遺伝子に変異があると紹介されている。古谷博士の講演要旨 www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/seminar/plant/1203pla.doc

IAA は有機酸で、pH が低いとプロトンがついた形になる。そうなると電荷をもたないので細胞膜を通過しやすくなる。しかし細胞内に入り込むと pH = 7 なので電離した形になり細胞膜を通過できなくなる。 それによって細胞内にとどまる。細胞外に出るには PIN1 のような輸送体を介して動く。 細胞外の pH が大切なことになる。ミトコンドリアに変化が起きて有機酸の量が変化したら細胞外の pH が変わることでオーキシンに影響が出るかもしれない。pH が高くなると拡散で細胞内に入ることはないのでその分細胞内に存在するオーキシンが減るかもしれない。

理研のグループのすばらしい研究によって、インドール酢酸の主要な生合成はトリプトファン、インドールピルビン酸、インドール酢酸の3段階で行われることが明らかにされた。トリプトファンからインドールピルビン酸は、トリプトファンアミノトランスフェラーゼで触媒される反応である。トリプトファンとαケト酸を基質として、トリプトファンのアミノ基がケト酸へ移動する。ピルビン酸も基質になると書かれている。   http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4063437/   

Soluble carbohydrates regulate auxin biosynthesis via PIF proteins in Arabidopsis.   Sairanen I, Novák O, Pěnčík A, Ikeda Y, Jones B, Sandberg G, Ljung K.   Plant Cell. 2012 Dec;24(12):4907-16. doi: 10.1105/tpc.112.104794. Epub 2012 Dec 3.   PMID: 23209113    という論文では、5 % グルコースを与えると IAA の生合成が促進されると書いてある。培地の糖の量が少ないほど、IAA の蓄積量は少なくなる。 「糖を与える -> ? -> PIF転写因子活性化 -> YUC9活性上昇 -> IAA 生合成活性化、量も増加」 と書いてあるように思える。?はグルコースそのものではないらしい。 ?の量は大量に糖を与えることで増加し、IAR4 が変異することで減ってしまうというように推測することもできる。こういうことを考えると、一応 IAA とミトコンドリアに基礎的な代謝を介してつながりがあるという推測ができる。 しかし IAR4 では IAA の量は減っていないという結果が出されているから、上に書いたことは怪しい。

最近動物の分野で基礎的な代謝産物が様々な調節分子としての働きも併せ持っているという論文がたくさん出ている。 IAA は植物が生きるために必須なホルモンであるから、生きるために必須な中心的な代謝で生じる代謝産物のどれかが、IAA 量の調節分子として働いているということがあってもおかしくない。

A Functional Antagonistic Relationship between Auxin and Mitochondrial Retrograde Signaling Regulates Alternative Oxidase1a Expression in Arabidopsis.   Ivanova A, Law SR, Narsai R, Duncan O et al.Plant Physiol 2014 May 12;165(3):1233-1254. PMID: 24820025   という論文もあった。

Knockdown of Succinate Dehydrogenase Assembly Factor 2

この変異体もオーキシンとの関連が見いだされた。

Knockdown of Succinate Dehydrogenase Assembly Factor 2 Induces Reactive Oxygen Species-Mediated Auxin Hypersensitivity Causing pH-dependent Root Elongation   Plant Cell Physiol. 2021 May 21;pcab061.    Nathan D Tivendale など   PMID: 34018557 DOI: 10.1093/pcp/pcab061

Cytchrome C の発現を強く抑えた・増大した植物

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
 人為的な発現抑制
抑制・強発現した遺伝子--
 CytC-1, CytC-2

Lack of cytochrome c in Arabidopsis decreases stability of Complex IV and modifies redox metabolism without affecting Complexes I and III.   Welchen E, Hildebrandt TM, Lewejohann D, Gonzalez DH, Braun HP.   Biochim Biophys Acta. 2012 Apr 19. [Epub ahead of print]   PMID: 22551905

アスコルビン酸生合成の最後の段階の酵素は、ミトコンドリアに局在して働く。 Cytochrome シトクロム C はこの酵素から電子を受け取る受容体として働いている。しかし cytochrome C の量を大きく抑制した植物でもアスコルビン酸の量は変化しなかった(Fig. 8)。ほんの少し CytC が存在すれば十分であると考察されている。

Interplay between cytochrome c and gibberellins during Arabidopsis vegetative development.   Racca S, Welchen E, Gras DE, Tarkowská D, Turečková V, Maurino VG, Gonzalez DH.   Plant J. 2018 Apr;94(1):105-121. doi: 10.1111/tpj.13845. Epub 2018 Mar 12.   PMID: 29385297

これも同じグループからの論文で、シトクロム C の量を変化させるとジベレリン生合成・シグナリングに変化が生じることを示している。シトクロム C の量を減らすと成長だけでなくロゼット葉をつけた後の抽苔が遅くなる。暗期(光合成で蓄積したデンプンを分解して呼吸している期間)の終わりにおけるデンプンの蓄積が多くなる。明期においてもデンプンの蓄積量が増える。抽苔が遅いという性質はジベレリンを与えると回復する。そこでジベレリンの量を測定すると減少していた。DELLA タンパク質の量を蛍光タンパク質で見積もれるように遺伝子を導入して調べるとシトクロム C が減少した植物では蓄積量が増加していた。

反対にシトクロム C 遺伝子を強く発現させた植物では、同じ日数で、ロゼットの大きさ、バイオマス量、葉の数が野生型よりも増大した。抽苔が起きるタイミング(葉の数)は野生型と同じだが、日数は野生型よりも早くなった。これらの効果にはジベレリンの作用が必要であることを ga1 変異体を用いて示した。

電子伝達系の異常が様々な変化をもたらすことは様々な論文で詳細に検討されている。生育段階、組織、栄養や光条件の違いで起きることが大きく変わり、複雑でわかりにくい。植物ホルモンがどのようにそれに関係しているのかは、はっきりしないところがある。

Decreasing electron flux through the cytochrome and/or alternative respiratory pathways triggers common and distinct cellular responses dependent on growth conditions.   Kühn K, Yin G, Duncan O, Law SR, Kubiszewski-Jakubiak S, Kaur P, Meyer E, Wang Y, Small CC, Giraud E, Narsai R, Whelan J.   Plant Physiol. 2015 Jan;167(1):228-50. doi: 10.1104/pp.114.249946. Epub 2014 Nov 6.   PMID: 25378695

CytC タンパク質は 14-3-3 タンパク質と結合する

2021年に、CytC タンパク質が 14-3-3 タンパク質と結合するという論文が発表された。14-3-3 タンパク質はジベレリンやアブシジン酸などのホルモンの作用機構、糖シグナルなどきわめて多数の過程に関与している。CytC タンパク質の量や局在性の変化が細胞に何らかの影響を及ぼす仕組みの一つになり得る。このことを何か役に立つことに結びつけられないだろうか。今のところ考えつかない。

Proposed mechanism for regulation of H2O2 -induced programmed cell death in plants by binding of cytochrome c to 14-3-3 proteins.   Elena-Real CA, González-Arzola K, Pérez-Mejías G, Díaz-Quintana A, Velázquez-Campoy A, Desvoyes B, Gutiérrez C, De la Rosa MA, Díaz-Moreno I.    Plant J. 2021 Apr;106(1):74-85. doi: 10.1111/tpj.15146.    PMID: 33354856

14-3-3 タンパク質を標的とする植物毒素・化学調節物質として フシコキン (フシコクシン) fusicoccin が知られている。   Fusicoccin affects cytochrome c leakage and cytosolic 14-3-3 accumulation independent of H-ATPase activation.   Malerba M, Crosti P, Cerana R, Bianchetti R. Physiol Plant. 2004 Mar;120(3):386-394. doi: 10.1111/j.0031-9317.2004.00261.x. PMID: 15032835   という論文があった。 14-3-3 タンパク質はミトコンドリアなどのオルガネラでも働いているので多様な変化が起きうる。

Cytochrome C と ABI4 転写因子

Cytochrome c and the transcription factor ABI4 establish a molecular link between mitochondria and ABA-dependent seed germination.   Racca S, Gras DE, Canal MV, Ferrero LV, Rojas BE, Figueroa CM, Ariel FD, Welchen E, Gonzalez DH. New Phytol. 2022 May 30. doi: 10.1111/nph.18287. Online ahead of print. PMID: 35637555

ABA を含む培地に種子を播くと発芽が抑えられる。ABA の量が少なめだと発芽はするがその後の芽生えの成長が抑えられ、明所でも子葉が緑化しなくなり成長が止まる。ABI4 は発芽と芽生えの段階での ABA作用に関与しており糖による芽生えの生育阻害にも重要な役割を果たしている。この論文ではシトクロム C が減少した変異体では発芽が遅れることを示した。ABI4 は CytC-2 遺伝子の発現を制御することで ABA とミトコンドリア機能をリンクさせている。

Cytochrome C とエネルギー制御

Cytochrome c levels affect the TOR pathway to regulate growth and metabolism under energy-deficient conditions.   Canal MV, Mansilla N, Gras DE, Ibarra A, Figueroa CM, Gonzalez DH, Welchen E.   New Phytol. 2024 Jan 8. doi: 10.1111/nph.19506. Online ahead of print.   PMID: 38191763

複合体II の欠陥で、低窒素状態での生育がよくなる

A deficiency in the flavoprotein of Arabidopsis mitochondrial complex II results in elevated photosynthesis and better growth in nitrogen-limiting conditions.   Fuentes D, など    Plant Physiol. 2011 Nov;157(3):1114-27. doi: 10.1104/pp.111.183939. Epub 2011 Sep 15. PMID: 21921116

雑種強勢と TCAサイクルに関係が見いだされた

「バイオマス増加をもたらすF1雑種における代謝物の変化を解明」  https://www.riken.jp/press/2023/20230620_2/index.html  筑波大学、理化学研究所などの共同研究グループによるすばらしい成果

TCAサイクルの酵素 α-ketoglutarate dehydrogenase が核に移行してクロマチン構造を調節する

Control of histone demethylation by nuclear-localized α-ketoglutarate dehydrogenase.   Huang F, Luo X, Ou Y, Gao Z, Tang Q, Chu Z, Zhu X, He Y.   Science. 2023 Jul 14;381(6654):eadf8822. doi: 10.1126/science.adf8822. Epub 2023 Jul 14.   PMID: 37440635

α-ケトグルタル酸(2-オキソグルタル酸)は TCA サイクルを構成するメンバーであるとても重要な有機酸である。同時に、この有機酸は様々な酵素反応の基質としても利用される。重要な例としてジベレリンの水酸化酵素などがある。ヒストンの脱メチル化酵素である JMJ も、触媒作用を発揮する際にα-ケトグルタル酸を必要とする。

TCAサイクルの酵素 α-ketoglutarate dehydrogenase が核において α-ケトグルタル酸を代謝することによってヒストンの脱メチル化と遺伝子発現を調節することが発見された。その結果 FLC の発現量も上昇して花成が遅くなる。ミトコンドリア関連遺伝子の変化で花成時期が変化することはこのリストにもいくつか出てきている。 α-ケトグルタル酸の量自体も遺伝子発現を調節する因子の一つになるかもしれない。

fro1 (frostbite 1) = NDUFS4 の変異

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
低温による RD29A プロモーターの活性化が弱い  低温ストレス適応が弱い 葉が水浸状になりやすい 電解質が漏出する 活性酸素が常に生成する(DAB 染色で示している) 浸透圧適応ができにくい(発芽テストのみ)

変異遺伝子--FRO1
核コードの、ミトコンドリア複合体I (NADH dehydrogenase) サブユニットの一つ 18kD Fe-S subunit of complex I と注釈されているが、UniProt によると FeS と結合するドメインはないらしい。 複合体 I ではマトリックスに突き出した部分に存在する。
このサブユニットは、NDUFS4 という名前がついていて、後になってこのサブユニットをノックアウトした変異体の研究が行われている。 動物の複合体 I でも NDUFS4 が働いていて、変異が病気の原因になることから重要なテーマになっている。それによって NDUFS4 がはたしている重要な機能が明らかになった。下の方に書いてある。

References

A mitochondrial complex I defect impairs cold-regulated nuclear gene expression.   Lee BH, Lee H, Xiong L, Zhu JK.   Plant Cell. 2002 Jun;14(6):1235-51. PMID: 12084824

In comparison with nitrate nutrition, ammonium nutrition increases growth of the frostbite1 Arabidopsis mutant.   Podgorska A, Ostaszewska M, Gardestrom P, Rasmusson AG, Szal B.   Plant Cell Environ. 2014 Jul 8. doi: 10.1111/pce.12404. PMID: 25040883

Nitrogen Source Dependent Changes in Central Sugar Metabolism Maintain Cell Wall Assembly in Mitochondrial Complex I-Defective frostbite1 and Secondarily Affect Programmed Cell Death.   Podgorska A, Ostaszewska-Bugajska M, Tarnowska A, Burian M, Borysiuk K, Gardestrom P, Szal B.   Int J Mol Sci. 2018 Jul 28;19(8). pii: E2206. doi: 10.3390/ijms19082206.   PMID: 30060552

ndufs4

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
複合体I の、NDUFS4 というサブユニットに注目しT-DNA でタグされたラインを入手した。
変異遺伝子--NUDFS4
複合体I の、NDUFS4 というサブユニット   このサブユニットは、fro1 変異体の変異遺伝子と同じものである。

2009 年の論文から:

Fig.6 4 週目の植物体のアミノ酸などをメタボローム的に測定 セリンが大きく増えている 10 倍以上 チロシンは 6-8 倍 ロイシン Leu、バリン Val は 2-5 倍 プロリンは 2-3 倍 明期と暗期で変化がある Leu, Val は暗期に倍率が増える

Fig.7 ATP, ADP の測定 条件によっては、ATP量が増加している(パネルA)   差は比較的小さいように思える   Fig.8 光合成の測定 あまり差がないように見える   Fig.9 パネルA NBT染色 活性酸素が増加している これは FRO1 変異体と同じ パネルB ストレス感受性 食塩やマンニトールで根の成長が抑えられやすい 

パネルC 水やり停止で乾燥ストレス 野生型と変異体を別々のポットに植えている。そうするとNDUF4S変異体は長持ちしている 一方、パネルD では同じポットに並べている。そうすると、野生型と違いが無く、乾燥に耐えられない。

このことは、NDUF4S変異体は時間当たりの根から吸い上げる水の量が少ない・時間当たりの葉からの蒸散量が小さいことを示唆している。そのため培養土に存在する水分を長時間少しずつ使うことができる。同じポットに植えると、野生型が水を吸い上げて蒸散してしまうので意味が無くなる。ミトコンドリア変異によって、間接的に気孔に影響が出ている可能性がある。

References

Remodeled respiration in ndufs4 with low phosphorylation efficiency suppresses Arabidopsis germination and growth and alters control of metabolism at night.   Meyer EH, Tomaz T, Carroll AJ, Estavillo G, Delannoy E, Tanz SK, Small ID, Pogson BJ, Millar AH.   Plant Physiol. 2009 Oct;151(2):603-19.

Complete Mitochondrial Complex I Deficiency Induces an Up-Regulation of Respiratory Fluxes That Is Abolished by Traces of Functional Complex I.   Kuhn K, Obata T, Feher K, Bock R, Fernie AR, Meyer EH.    Plant Physiol. 2015 Aug;168(4):1537-49. doi: 10.1104/pp.15.00589. Epub 2015 Jul 1.   PMID: 26134164

Photoperiod Affects the Phenotype of Mitochondrial Complex I Mutants.   Petriacq P, de Bont L, Genestout L, Hao J, Laureau C, Florez-Sarasa I, Rzigui T, Queval G, Gilard F, Mauve C, Guerard F, Lamothe-Sibold M, Marion J, Fresneau C, Brown S, Danon A, Krieger-Liszkay A, Berthome R, Ribas-Carbo M, Tcherkez G, Cornic G, Pineau B, Gakiere B, De Paepe R.   Plant Physiol. 2017 Jan;173(1):434-455. doi: 10.1104/pp.16.01484. Epub 2016 Nov 16.   PMID: 27852950

生重量当たりの GSH, アスコルビン酸の量が野生型と比較して 1.5~2 倍に増加している。

動物の NDUFS4 は、複合体I とクリステの相互作用に重要な役割を果たしている

動物の複合体I でも NDUFS4 は重要な役割を果たしている。岡山大学の研究チームによってすばらしい研究成果が報告された。

https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1198.html  「糖尿病関連腎臓病の新たな悪化メカニズムを発見!〜腎臓のミトコンドリア呼吸鎖Iは新たな治療標的になる可能性〜」

「NDUFS4 はミトコンドリアクリステ構成タンパク質である STOML2(Stomatin-Like Protein 2)と結合し、クリステやミトコンドリアの構造・機能維持に寄与していることが分かりました。」と書かれている。

また、NDUFS4 を過剰発現させることで、活性酸素産生増大などのダメージを緩和することができることも示されている。

Stomatin-like proteins (STOML)

上に書いたように動物のミトコンドリアでは NDUFS4 が Stomatin-like protein 2 と結合していることが明らかになった。植物でも Stomatin-like protein の変異体が見つけられ研究されている。

An Arabidopsis stomatin-like protein affects mitochondrial respiratory supercomplex organization   Plant Physiol. 2014 Mar;164(3):1389-400. doi: 10.1104/pp.113.230383. Epub 2014 Jan 14.   Bernadette Gehl など   PMID: 24424325 PMCID: PMC3938628

Stomatins は band-7 protein family に属するタンパク質で多種類の生物でよく保存されている(気孔とは関係ない)。ミトコンドリアの内膜に存在するタンパク質複合体と結合して安定化する。

「At4g27585 At5g54100 SPFH/Band 7/PHB domain-containing membrane-associated protein family」と注釈されている。

At5g54100 が出てくる論文があった。  Cesium toxicity in Arabidopsis.   Hampton CR, Bowen HC, Broadley MR, Hammond JP, Mead A, Payne KA, Pritchard J, White PJ.   Plant Physiol. 2004 Nov;136(3):3824-37. doi: 10.1104/pp.104.046672. Epub 2004 Oct 15.   PMID: 15489280

セシウム処理で発現が上昇する遺伝子のリストに含まれている。発現データベースを見ると、At5g54100 はアンチマイシン、オリゴマイシン処理によっても遺伝子発現量が増加している。

動物の複合体I は、活性が高い状態と不活性な休眠状態に切り替わることができる

哺乳類複合体における虚血誘発制御スイッチの分子機構   https://www.science.org/doi/10.1126/science.ado2075?utm_source=sfmc&utm_medium=email&utm_campaign=JapanHighlights&utm_content=alert&et_rid=51967918&et_cid=5246837

植物のミトコンドリア、葉緑体に作用する病原菌毒素

Total Synthesis, Absolute Configuration, and Phytotoxic Activity of Foeniculoxin   Chemistry. 2022 Nov 10. doi: 10.1002/chem.202203396. Online ahead of print.  Akane Yamagishi など  PMID: 36354746

Foeniculoxin は Phomopsis foeniculi という真菌が作る植物毒素である。geranylhydroquinone の一種である。ミトコンドリア、葉緑体に異常を引き起こすことが解明された。

Effects of Benzoquinones on Radicles of Orobanche and Phelipanche Species.  Fernández-Aparicio M, Masi M, Cimmino A, Evidente A. Plants (Basel). 2021 Apr 11;10(4):746. doi: 10.3390/plants10040746. PMID: 33920368   という論文に Foeniculoxin について言及されていた。キノン類は細胞内で酸化還元を受けて活性酸素生成を引き起こすことがある。DMBQ ジメチルベンゾキノンは寄生植物の吸器形成のシグナル分子として働くが幼根 radicle の生育は阻害する。

CWM1、CWM2 and fnr-like (fnrl) セルロース合成阻害による細胞壁弱体化ストレスとミトコンドリアに関連がある

いくつかの除草剤はセルロース合成を阻害する作用をもち、実用的に使われている有用な化合物である。それらを含むセルロース合成阻害剤は、植物生理学においても低濃度で選択的にセルロース合成を阻害する阻害剤としてよく使われ、多数の論文が出版されている。

Mitochondrial Defects Confer Tolerance against Cellulose Deficiency.   Hu Z, Vanderhaeghen R, Cools T, Wang Y, De Clercq I, Leroux O, Nguyen L, Belt K, Millar AH, Audenaert D, Hilson P, Small ID, Mouille G, Vernhettes S, Van Breusegem F, Whelan J, Hofte H, De Veylder L.   Plant Cell. 2016 Aug 19. pii: tpc.00540.2016.    PMID: 27543091

C17 というセルロース合成阻害剤に対する応答(芽生えの根の肥大など)が変化する変異体を単離することで、cwm1, cwm2 が見いだされた。 cwm1 は AT1G17630, cwm2-1 は AT1G32415 が原因遺伝子で、どちらも PPR-like superfamily protein をコードしていた。RNAseq によって、RNA editing が起きていることが確認できた。cwm1, cwm2 どちらも cytochrome c シトクロム C のタンパク量が減っていた。

Cytochrome c シトクロム C のタンパク量の減少は、ahg2 でも見られる。

The fnr-like mutants confer isoxaben tolerance by initiating mitochondrial retrograde signalling.   Broad RC, Ogden M, Dutta A, Dracatos PM, Whelan J, Persson S, Khan GA.   Plant Biotechnol J. 2024 Jun 27. doi: 10.1111/pbi.14421.   PMID: 38935864

Isoxaben はセルロース合成阻害剤としてよく使われる。セルロース合成阻害による細胞壁弱体化はさまざまなストレス応答を引き起こし、CBI シグナルと呼ばれる。いくつかの変異体(css1 など)の分析から、CBI とミトコンドリアに関連があることが推測されている。しかしそのしくみは不明な点が多く残されている。

この論文では、イソキサベン耐性(根が肥大せずに普通に伸びる)変異体をスクリーニングした。その結果、フェレドキシン-NADP 酸化還元酵素様(FNRL AT1G15140)遺伝子が見いだされた。この遺伝子の翻訳産物は葉緑体に局在して機能を果たしている。またこの変異単独では生育を阻害しない。これまでにもイソキサベン感受性が低下した変異体は多数見つかっているが、生育が悪くならないものは、セルロース合成酵素触媒サブユニット (CesA ファミリーのメンバーのいくつか)の変異を除けば、これが初めてである。そのためイソキサベン耐性になった作物の育種に役立つかもしれないと著者らは書いている。

RNA-seq も行い、イソキサベンによる遺伝子発現の変化がおきにくくなっていることも確かめた。またミトコンドリア機能低下変異体で発現量が大きく上昇するマーカー遺伝子である At12Cys-2 (At5g09570), At2g04050 などの発現量が大きく増加していた。しかし AOX1a の発現量の増加は小さかった (Fig. 5)。

FNRL は葉緑体で働いているが、葉緑体逆行性シグナルは活性化していなかった。

RNAseq データが PRJNA1054327 として公開されている。

セルロース合成阻害剤は細胞壁を弱体化することで植物細胞に作用をもたらすが、それだけでなく細胞壁成分の分解を促進しオリゴ糖などの生成を引き起こす作用もあり得るかもしれない。アラビノガラクタンタンパク質は代謝回転が早いことが知られている。   植物のプロテオグリカン,アラビノガラクタン-プロテインの構造と機能  円谷 陽一,小竹 敬久   生化学 89(4): 498-507 (2017) https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2017.890498/index.html   またセルロース合成が途中で停止してセロオリゴ糖ができたりするかもしれない。セロオリゴ糖はシロイヌナズナの根にカルシウム濃度上昇などの反応を引き起こす。上に書いたようにこれも ahg2 と関係がある。  A Poly(A) Ribonuclease Controls the Cellotriose-Based Interaction between Piriformospora indica and Its Host Arabidopsis.   Johnson JM, Thürich J, Petutschnig EK, Altschmied L, Meichsner D, Sherameti I, Dindas J, Mrozinska A, Paetz C, Scholz SS, Furch ACU, Lipka V, Hedrich R, Schneider B, Svatoš A, Oelmüller R.   Plant Physiol. 2018 Mar;176(3):2496-2514. doi: 10.1104/pp.17.01423. Epub 2018 Jan 25.   PMID: 29371249


乾燥ストレスとミトコンドリアの関係を示した論文 The Mitochondrial Thioredoxin System Contributes to the Metabolic Responses Under Drought Episodes in Arabidopsis   Paula da Fonseca-Pereira Danilo M Daloso ... Show more Plant and Cell Physiology, Volume 60, Issue 1, 1 January 2019, Pages 213–229, https://doi.org/10.1093/pcp/pcy194   他にもある。

ミトコンドリアに局在して働いている ALDH2B7 が乾燥耐性の獲得に役立つことを示したすばらしい成果が理研のグループによって発表されている。

Sci Rep. 2018; 8: 7831.   Published online 2018 May 18. doi: 10.1038/s41598-018-26103-2   PMCID: PMC5959891   PMID: 29777132   The modulation of acetic acid pathway genes in Arabidopsis improves survival under drought stress   Sultana Rasheed,#1,2 Khurram Bashir,#1,3 Jong-Myong Kim,1 Marina Ando,1 Maho Tanaka,1,4 and Motoaki Seki

植物病原細菌が感染した際のミトコンドリアタンパク質の変化を調べた論文  Modifications to the Arabidopsis defense proteome occur prior to significant transcriptional change in response to inoculation with Pseudomonas syringae.   Jones AM, Thomas V, Bennett MH, Mansfield J, Grant M.   Plant Physiol. 2006 Dec;142(4):1603-20. Epub 2006 Oct 6.   PMID: 17028151


ここから下の変異体は、変異によって有利なこと、社会的に意味のあることは何も起こらないので「こんなものを研究しても意味はない」が、そうでもないと私は思うので書いておく。電子伝達系複合体 I の機能変異体が多い。

css1

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
セルロース合成阻害剤による根の肥大が起きにくい   見つけたのは、このページを書いている本人 
自分で見つけたものは価値があるものと考えがちである。しかしそういうことにとらわれるのはよくないことであると改心した。

変異遺伝子--css1
At-nMat1a (AT1g30010)   「ミトコンドリア複合体I (NADH dehydrogenase) サブユニットの一つ、NAD4(ミトコンドリアゲノムにコードされている)」の mRNAが保持するグループIIイントロンをスプライスするために必要な、核コード因子(ややこしい)

スプライシングの異常は、ヒトの病気の原因にもなる。スプライシングの異常を回復させる薬剤の開発が進んでいる。私の研究とは関係ないが、植物ホルモンのサイトカイニンの一種であるカイネチンが、スプライシングの異常を回復させるという論文があった。カイネチンなら私の研究室にもあるが、そんな活性があることは 2020 年まで全く知らなかった。

Rescue of a human mRNA splicing defect by the plant cytokinin kinetin.   Slaugenhaupt SA, Mull J, Leyne M, Cuajungco MP, Gill SP, Hims MM, Quintero F, Axelrod FB, Gusella JF.    Hum Mol Genet. 2004 Feb 15;13(4):429-36. doi: 10.1093/hmg/ddh046. Epub 2004 Jan 6.    PMID: 14709595    「Neurodegeneration Drug Screening Consortium」によるスクリーニングで発見されたらしい。

この研究成果はその後さらに確認され進歩している。スプライシングの異常を回復させる化合物は rectifier of aberrant splicing (RECTAS) と総称されるようになった。   Rectifier of aberrant mRNA splicing recovers tRNA modification in familial dysautonomia.   Yoshida M, Kataoka N, Miyauchi K, Ohe K, Iida K, Yoshida S, Nojima T, Okuno Y, Onogi H, Usui T, Takeuchi A, Hosoya T, Suzuki T, Hagiwara M.    Proc Natl Acad Sci U S A. 2015 Mar 3;112(9):2764-9. doi: 10.1073/pnas.1415525112. Epub 2015 Feb 9.    PMID: 25675486   パーキンソン病の治療法として有効であることが示された。  A patient-based model of RNA mis-splicing uncovers treatment targets in Parkinson’s disease.   Boussaad I など Sci Transl Med. 2020 Sep 9;12(560):eaau3960. doi: 10.1126/scitranslmed.aau3960. PMID: 32908004

葉緑体遺伝子から転写される mRNA のスプライシングを試験管内で再現できる、すばらしい in vitro 系が開発された。   Development of an In Vitro Chloroplast Splicing System: Sequences Required for Correct pre-mRNA Splicing    Keiko Inaba-Hasegawa, Ayumi Ohmura, Masayo Nomura, Masahiro Sugiura   Plant and Cell Physiology, Volume 62, Issue 8, August 2021, Pages 1311–1320, https://doi.org/10.1093/pcp/pcab095

References

A mutation in At-nMat1a, which encodes a nuclear gene having high similarity to group II intron maturase, causes impaired splicing of mitochondrial NAD4 transcript and altered carbon metabolism in Arabidopsis thaliana.   Nakagawa N, Sakurai N.   Plant Cell Physiol. 2006 Jun;47(6):772-83. PMID: 16621844

この論文に関する説明   Plant Cell Physiology 47(6) 772-783(2006)_について

nMat1 などの、植物独自の核コード group II intron splicing factors (maturase) に関するレビュー   Group II Intron- Encoded Proteins (IEPs / Maturases) as Key Regulators of Nad1 Expression and Complex I Biogenesis in Land Plant Mitochondria.   Mizrahi R, Shevtsov-Tal S, Ostersetzer-Biran O.   Genes (Basel). 2022 Jun 24;13(7):1137. doi: 10.3390/genes13071137.   PMID: 35885919

発芽とミトコンドリアには関連がある。最近研究が増えている。

In-depth temporal transcriptome profiling reveals a crucial developmental switch with roles for RNA processing and organelle metabolism that are essential for germination in Arabidopsis.   Narsai R, Law SR, Carrie C, Xu L, Whelan J.   Plant Physiol. 2011 Nov;157(3):1342-62. Epub 2011 Sep 9.    PMID: 21908688

「グループIIイントロンをスプライスする因子」と、「種子の発芽」を、何の手がかりもなしに結びつけることは難しい。発芽時のミトコンドリアについて調べている研究が既にある。それらを知らなければ気づきにくい。しかし、転写産物の網羅的解析によって得られたデータを元にすることで、その関係が見いだされた。

この論文に css1変異体 (変異遺伝子はAt1g30010, 呼び名として At-nMat1a または Atnmat1) が出てくる。写真も出てくる。

nMAT1, a Nuclear-encoded Maturase involved in the trans-splicing of nad1 intron 1, is essential for mitochondrial complex I assembly and function.   Keren I, Tal L, des Francs-Small CC, Araújo WL, Shevtsov S, Shaya F, Fernie AR, Small I, Ostersetzer-Biran O.   Plant J. 2012 Mar 16. doi: 10.1111/j.1365-313X.2012.04998.x. [Epub ahead of print]   PMID: 22429648

nMAT1a (nMAT1) が NAD4 のスプライシング以外にも効いていることが確かめられた。

CMS1(CMSI) Counter

植物種
N.sylvestris タバコの一種 
見つけられた方法
雄性不稔 プロトプラスト培養から再生した植物にみられた変異
変異遺伝子--CMS1(CMSI)
NADH dehydrogenase deficient, NAD7 deletion   NAD7 はバクテリアのNADH dehydrogenaseの NuoD (D subunit) と相同性がある。NuoD (D subunit) はプロトン輸送には直接関わっていない。
性質
発芽から花の形成まで異常 生育が遅い 光が弱いと不稔がひどくなる 二次元電気泳動でNAD9と38k subunitが欠失 呼吸が異常 グリシンの酸化が抑制 コハク酸酸化は正常 ロテノン感受性が低い AOX活性, mRNAが上昇 代替NADH dehydrogenase が活性化 5mM KCNに耐える

References

Respiratory complex I deficiency results in low nitric oxide levels, induction of hemoglobin and upregulation of fermentation pathways.   Shah JK1, Cochrane DW, De Paepe R, Igamberdiev AU.   Plant Physiol Biochem. 2013 Feb;63:185-90. doi: 10.1016/j.plaphy.2012.11.022. Epub 2012 Dec 5.

Cytoplasmic male sterility is associated with large deletions in the mitochondrial DNA of two Nicotiana sylvestris protoclones.   Chetrit P, Rios R, De Paepe R, Vitart V, Gutierres S, Vedel F.   Curr Genet. 1992 Feb;21(2):131-7.

Deletion of the last two exons of the mitochondrial nad7 gene results in lack of the NAD7 polypeptide in a Nicotiana sylvestris CMS mutant.   Pla M, Mathieu C, De Paepe R, Chetrit P, Vedel F.   Mol Gen Genet. 1995 Jul 22;248(1):79-88.

Lack of mitochondrial and nuclear-encoded subunits of complex I and alteration of the respiratory chain in Nicotiana sylvestris mitochondrial deletion mutants.   Gutierres S, Sabar M, Lelandais C, Chetrit P, Diolez P, Degand H, Boutry M, Vedel F, de Kouchkovsky Y, De Paepe R.   Proc Natl Acad Sci U S A. 1997 Apr 1;94(7):3436-41.

CMS2 (CMSII)

植物種
N.sylvestris タバコの一種 タバコのミトコンドリア変異体としては一番研究論文が多い
見つけられた方法
雄性不稔 プロトプラスト培養から再生した植物にみられた変異
変異遺伝子--CMS2(CMSII)
NADH dehydrogenase deficient, NAD7 deletion   NAD7 はバクテリアのNADH dehydrogenaseの NuoD (D subunit) と相同性がある。NuoD (D subunit) はプロトン輸送には直接関わっていない。
性質
発芽から花の形成まで異常 生育が遅い 光が弱いと不稔がひどくなる 二次元電気泳動でNAD9と38k subunitが欠失 呼吸が異常 グリシンの酸化が抑制 コハク酸酸化は正常 ロテノン感受性が低い AOX活性, mRNAが上昇 代替NADH dehydrogenase が活性化 5mM KCNに耐える

References (CMS1 の分は除く)

Mitochondria-driven changes in leaf NAD status exert a crucial influence on the control of nitrate assimilation and the integration of carbon and nitrogen metabolism.   Dutilleul C, Lelarge C, Prioul JL, De Paepe R, Foyer CH, Noctor G.   Plant Physiol. 2005 Sep;139(1):64-78.

この論文は様々なことをよく分析している。窒素代謝とミトコンドリアの関係を詳細に示している。

Mitochondrial respiratory pathways modulate nitrate sensing and nitrogen-dependent regulation of plant architecture in Nicotiana sylvestris.   Pellny TK, Van Aken O, Dutilleul C, Wolff T, Groten K, Bor M, De Paepe R, Reyss A, Van Breusegem F, Noctor G, Foyer CH.   Plant J. 2008 Jun;54(6):976-92.

C/N 比のセンシングに対する影響、Shoot/Root ratio, GA生合成に対する影響を示している。ミトコンドリアの変化は様々な部分に影響を与えることを示している。

Respiratory complex I deficiency results in low nitric oxide levels, induction of hemoglobin and upregulation of fermentation pathways.   Shah JK, Cochrane DW, De Paepe R, Igamberdiev AU.   Plant Physiol Biochem. 2012 Dec 5;63C:185-190. doi: 10.1016/j.plaphy.2012.11.022. [Epub ahead of print]    PMID: 2326636

植物は低酸素条件で一酸化窒素を発生する。その量が、NAD7 を欠く CMS 変異体では少なくなる。低酸素条件では、ヘモグロビンが一酸化窒素の発生にかかわっているらしい。CMS 変異体では低酸素で活性化されるアルコール発酵経路、ヘモグロビンが活性化していた。

Conditional modulation of NAD levels and metabolite profiles in Nicotiana sylvestris by mitochondrial electron transport and carbon/nitrogen supply.   Hager J, Pellny TK, Mauve C, Lelarge-Trouverie C, De Paepe R, Foyer CH, Noctor G.   Planta. 2010 Feb 25. [Epub ahead of print]

Effects of drought stress and subsequent rewatering on photosynthetic and respiratory pathways in Nicotiana sylvestris wild type and the mitochondrial complex I-deficient CMSII mutant.

Galle A, Florez-Sarasa I, Thameur A, de Paepe R, Flexas J, Ribas-Carbo M.

J Exp Bot. 2010 Mar;61(3):765-75.

L-galactono-1,4-lactone dehydrogenase is required for the accumulation of plant respiratory complex I.   Pineau B, Layoune O, Danon A, De Paepe R.    J Biol Chem. 2008 Nov 21;283(47):32500-5.

アスコルビン酸生合成の最後の段階は、ミトコンドリアに局在して働く。

Changes in energy status of leaf cells as a consequence of mitochondrial genome rearrangement.

Szal B, Dabrowska Z, Malmberg G, Gardestrom P, Rychter AM.

Planta. 2008 Feb;227(3):697-706.

The mitochondrial external NADPH dehydrogenase modulates the leaf NADPH/NADP+ ratio in transgenic Nicotiana sylvestris.

Liu YJ, Norberg FE, Szilagyi A, De Paepe R, Akerlund HE, Rasmusson AG.

Plant Cell Physiol. 2008 Feb;49(2):251-63.

Lack of respiratory chain complex I impairs alternative oxidase engagement and modulates redox signaling during elicitor-induced cell death in tobacco.

Vidal G, Ribas-Carbo M, Garmier M, Dubertret G, Rasmusson AG, Mathieu C, Foyer CH, De Paepe R.

Plant Cell. 2007 Feb;19(2):640-55.

The mitochondrial CMSII mutation of Nicotiana sylvestris impairs adjustment of photosynthetic carbon assimilation to higher growth irradiance.

Priault P, Fresneau C, Noctor G, De Paepe R, Cornic G, Streb P.

J Exp Bot. 2006;57(9):2075-85.

Targeting the NAD7 subunit to mitochondria restores a functional complex I and a wild type phenotype in the Nicotiana sylvestris CMS II mutant lacking nad7.   Pineau B, Mathieu C, Gerard-Hirne C, De Paepe R, Chetrit P.   J Biol Chem. 2005 Jul 15;280(28):25994-6001.

Targeting the NAD7 subunit to mitochondria restores a functional complex I and a wild type phenotype in the Nicotiana sylvestris CMS II mutant lacking nad7.

Pineau B, Mathieu C, Gerard-Hirne C, De Paepe R, Chetrit P.

J Biol Chem. 2005 Jul 15;280(28):25994-6001.

Use of mitochondrial electron transport mutants to evaluate the effects of redox state on photosynthesis, stress tolerance and the integration of carbon/nitrogen metabolism.

Noctor G, Dutilleul C, De Paepe R, Foyer CH.

J Exp Bot. 2004 Jan;55(394):49-57.

Leaf mitochondria modulate whole cell redox homeostasis, set antioxidant capacity, and determine stress resistance through altered signaling and diurnal regulation.

Dutilleul C, Garmier M, Noctor G, Mathieu C, Chetrit P, Foyer CH, de Paepe R.

Plant Cell. 2003 May;15(5):1212-26.

Functional mitochondrial complex I is required by tobacco leaves for optimal photosynthetic performance in photorespiratory conditions and during transients.

Dutilleul C, Driscoll S, Cornic G, De Paepe R, Foyer CH, Noctor G.

Plant Physiol. 2003 Jan;131(1):264-75.

Complex I impairment, respiratory compensations, and photosynthetic decrease in nuclear and mitochondrial male sterile mutants of Nicotiana sylvestris.

Sabar M, De Paepe R, de Kouchkovsky Y.

Plant Physiol. 2000 Nov;124(3):1239-50.

In the Nicotiana sylvestris CMSII mutant, a recombination-mediated change 5’ to the first exon of the mitochondrial nad1 gene is associated with lack of the NADH:ubiquinone oxidoreductase (complex I) NAD1 subunit.

Gutierres S, Combettes B, De Paepe R, Mirande M, Lelandais C, Vedel F, Chetrit P.

Eur J Biochem. 1999 Apr;261(2):361-70.

Organization and expression of the mitochondrial genome in the Nicotiana sylvestris CMSII mutant.

Lelandais C, Albert B, Gutierres S, De Paepe R, Godelle B, Vedel F, Chetrit P.

Genetics. 1998 Oct;150(2):873-82.

NCS2, 4, 6

植物種
Z.mays
見つけられた方法
雄性不稔
変異遺伝子--NCS2
NADH dehydrogenase deficient, impaired O2 uptake
変異遺伝子--NCS4
deletion mutant
変異遺伝子--NCS6
COX deficient

References

Mitochondrial respiratory deficiencies signal up-regulation of genes for heat shock proteins.   Kuzmin EV, Karpova OV, Elthon TE, Newton KJ.   J Biol Chem. 2004 May 14;279(20):20672-7. Epub 2004 Mar 11.

Differential expression of alternative oxidase genes in maize mitochondrial mutants.   Karpova OV, Kuzmin EV, Elthon TE, Newton KJ.   Plant Cell. 2002 Dec;14(12):3271-84.

Involvement of S2 episomal sequences in the generation of NCS4 deletion mutation in maize mitochondria.   Newton KJ, Mariano JM, Gibson CM, Kuzmin E, Gabay-Laughnan S.   Dev Genet. 1996;19(3):277-86.

The maize NCS2 abnormal growth mutant has a chimeric nad4-nad7 mitochondrial gene and is associated with reduced complex I function.   Marienfeld JR, Newton KJ.   Genetics. 1994 Nov;138(3):855-63.

Lauer M, Knudsen C, Newton KJ, Gabay-Laughnan S, Laughnan JR.   A partially deleted mitochondrial cytochrome oxidase gene in the NCS6 abnormal growth mutant of maize.   New Biol. 1990 Feb;2(2):179-86.

	

Karpova OV, Kuzmin EV, Elthon TE, Newton KJ.   Differential expression of alternative oxidase genes in maize mitochondrial mutants.   Plant Cell. 2002 Dec;14(12):3271-84. Mitochondrial DNA changes in abnormal growth (nonchromosomal stripe) mutants of maize.   Newton KJ, Coe EH.   Proc Natl Acad Sci U S A. 1986 Oct;83(19):7363-7366.

EMPTY PERICARP8

The pentatricopeptide repeat protein EMPTY PERICARP8 is required for the splicing of three mitochondrial introns and seed development in maize.    Sun F, Zhang X, Shen Y, Wang H, Liu R, Wang X, Gao D, Yang YZ, Liu Y, Tan BC.   Plant J. 2018 Jul 12. doi: 10.1111/tpj.14030.    PMID: 30003606

NMS1

植物種
N.sylvestris タバコの一種
見つけられた方法
雄性不稔
変異遺伝子--NMS1
ミトコンドリア NAD4 mRNAのスプライシングに必要な因子。この因子自体は核にコードされる。シロイヌナズナ At-nmat1a に相当する、タバコの因子と推測されるがまだ単離されていない。

References

L-galactono-1,4-lactone dehydrogenase is required for the accumulation of plant respiratory complex I.   Pineau B, Layoune O, Danon A, De Paepe R.   J Biol Chem. 2008 Nov 21;283(47):32500-5.

アスコルビン酸生合成の最後の段階は、ミトコンドリアに局在して働く。

Defective splicing of the first nad4 intron is associated with lack of several complex I subunits in the Nicotiana sylvestris NMS1 nuclear mutant.   Brangeon J, Sabar M, Gutierres S, Combettes B, Bove J, Gendy C, Chetrit P, Des Francs-Small CC, Pla M, Vedel F, De Paepe R.   Plant J. 2000 Feb;21(3):269-80.

Complex I impairment, respiratory compensations, and photosynthetic decrease in nuclear and mitochondrial male sterile mutants of Nicotiana sylvestris.   Sabar M, De Paepe R, de Kouchkovsky Y.   Plant Physiol. 2000 Nov;124(3):1239-50.

chm (= msh1)

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
 ミトコンドリアゲノムの組換えを促進する因子、斑入り  variegated phenotype の原因遺伝子
変異遺伝子--chm
 (別名 MSH1 - MUTL protein-like protein 1) http://atted.jp/data/locus/At3g24320.shtml

References

MSH1 is required for maintenance of the low mutation rates in plant mitochondrial and plastid genomes.   Wu Z, Waneka G, Broz AK, King CR, Sloan DB.   Proc Natl Acad Sci U S A. 2020 Jun 29. pii: 202001998. doi: 10.1073/pnas.2001998117.   PMID: 32601224

MSH1 (chm) がオルガネラゲノム DNA の組換えを促進することで、オルガネラゲノムが変異することを防ぐことが明らかになった。

Altered mitochondrial gene expression in a maternal distorted leaf mutant of Arabidopsis induced by chloroplast mutator.   Sakamoto W, Kondo H, Murata M, Motoyoshi F.   Plant Cell. 1996 Aug;8(8):1377-90.   PMID: 8776901

Mutations at the Arabidopsis CHM locus promote rearrangements of the mitochondrial genome.   Martínez-Zapater JM, Gil P, Capel J, Somerville CR.   Plant Cell. 1992 Aug;4(8):889-99.   PMID: 1356535

2022 年に論文が出た。  Long-read sequencing characterizes mitochondrial and plastid genome variants in Arabidopsis msh1 mutants  Yi Zou,Weidong Zhu,Daniel B. Sloan,Zhiqiang Wu  Plant J.  First published: 13 September 2022 https://doi.org/10.1111/tpj.15976

CTP:PHOSPHORYLETHANOLAMINE CYTIDYLYLTRANSFERASE の変異体(pect1)

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
TILLING 法 (目的遺伝子に点変異を起こしている変異個体をDNAプールの分析から見つける方法) 完全に機能を失うと生えなくなる
変異遺伝子--
CTP:PHOSPHORYLETHANOLAMINE CYTIDYLYLTRANSFERASE (pect1)

最近植物脂質の研究がバイオ燃料のこともあり注目を浴びている。また植物がリン欠乏に対応する仕組みの一つに、リン脂質が糖脂質などに置き換わることがあることが東工大の太田先生のグループ等によって解明されこれも注目されている。そのためリン脂質などの生合成、再構築に関わる酵素の研究は重要性が高い。その一つでリン脂質の頭部極性基の一つであるエタノールアミンの合成に関与する CTP:PHOSPHORYLETHANOLAMINE CYTIDYLYLTRANSFERASE は、ミトコンドリアの外膜に局在することが報告された。

この遺伝子に欠陥が生じると、単離ミトコンドリアメンブレンの PE が減ることによって呼吸に影響が出ることも明らかにされた。一般的な、Cyt C と Cyt C oxidase を経由する呼吸は低下するが AOX を経由する呼吸は低下していない。また pect1-4 変異体は室温では野生型と生育が余り変わらないが、途中から低温(8度)に移すと野生型に比べて生育が遅く小さくなる(Figure 3A, 3B)。低温と関係ある性質が出てくることは fro1 と似ている。

Defects in CTP:PHOSPHORYLETHANOLAMINE CYTIDYLYLTRANSFERASE affect embryonic and postembryonic development in Arabidopsis.   Mizoi J, Nakamura M, Nishida I.   Plant Cell. 2006 Dec;18(12):3370-85. Epub 2006 Dec 22.   PMID: 17189343

Mitochondrial phosphatidylethanolamine level modulates Cyt c oxidase activity to maintain respiration capacity in Arabidopsis thaliana rosette leaves.   Otsuru M, Yu Y, Mizoi J, Kawamoto-Fujioka M, Wang J, Fujiki Y, Nishida I.   Plant Cell Physiol. 2013 Oct;54(10):1612-9. doi: 10.1093/pcp/pct104. Epub 2013 Jul 19.   PMID: 23872271

otp43

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
A reverse genetics screen of PPR proteins
変異遺伝子--otp43
A member of PPR protein, AT1g74900

「葉がカールする」という性質は、ブラシノライドが減少した際にも見られることが知られている。   www.riken.jp/~/media/riken/outreach/ip/backissues/patent23.pdf   浅見先生のグループによる研究

References

The pentatricopeptide repeat gene OTP43 is required for trans-splicing of the mitochondrial nad1 Intron 1 in Arabidopsis thaliana.   de Longevialle AF, Meyer EH, Andres C, Taylor NL, Lurin C, Millar AH, Small ID.   Plant Cell. 2007 Oct;19(10):3256-65.

loi1

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
Lovastatin insensitive
変異遺伝子--loi1
PPR タンパク質の一種
-

References

The mitochondrial PPR protein LOVASTATIN INSENSITIVE 1 plays regulatory roles in cytosolic and plastidial isoprenoid biosynthesis through RNA editing.   Tang J, Kobayashi K, Suzuki M, Matsumoto S, Muranaka T.   Plant J. 2009 Nov 19. [Epub ahead of print]PMID: 19929879 [PubMed - as supplied by publisher]Related articles

Lovastatin insensitive 1, a Novel pentatricopeptide repeat protein, is a potential regulatory factor of isoprenoid biosynthesis in Arabidopsis.   Kobayashi K, Suzuki M, Tang J, Nagata N, Ohyama K, Seki H, Kiuchi R, Kaneko Y, Nakazawa M, Matsui M, Matsumoto S, Yoshida S, Muranaka T.   Plant Cell Physiol. 2007 Feb;48(2):322-31. Epub 2007 Jan 8. PMID: 17213228

has2 = loi1, MEF11

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
ABA-deficiency のサプレッサー変異 ABA に感受性が高い
変異遺伝子--has2
PPR タンパク質の一種、loi1, MEF11 と同じ遺伝子に変異をもつ

References

The ABA-deficiency suppressor locus HAS2 encodes the PPR protein LOI1/MEF11 involved in mitochondrial RNA editing.   Sechet J, Roux C, Plessis A, Effroy D, Frey A, Perreau F, Biniek C, Krieger-Liszkay A, Macherel D, North HM, Mireau H, Marion-Poll A.   Mol Plant. 2015 Apr;8(4):644-56. doi: 10.1016/j.molp.2014.12.005. Epub 2014 Dec 17.   PMID: 25708384

ABA 生合成に欠陥がある変異体 ABA-deficient aba3-1 mutant(abscisic aldehyde oxidase AAO3 が機能しない)に、さらに変異を導入して aba3 が示す性質(cold leaf phenotype ABA が少ないので気孔が開きやすく低温で蒸散が過剰に起きる)を打ち消す、ABA に対する感受性が高くなる二重変異体をスクリーニングした。

同定された has2 遺伝子は、PPR タンパク質の一種をコードする遺伝子に変異が生じていた。この遺伝子は loi1, MEF11 として他の研究でも見いだされていた。

「mef11 plants were more resistant to progressive water stress 」と書かれている。ABA 感受性が高いので葉からの蒸散が少ない。葉の温度が高くなり、サーモグラフィーで画像として検出されている。

ABA に感受性が高い別の変異体として、ABA に関係する PP2C 遺伝子の多重変異体 double hab1-1 abi1-2, triple pp2ca-1 hab1-1 abi1-2, and quadruple hai1-1 pp2ca-1 hab1-1 abi1-2 (Qpp2c) mutant plants を用意した。これらも ABA 感受性が高いことが原因で葉の温度が高くなっていた。

Cytochrome シトクロム c biogenesis に関与する cytochrome c maturation FN2 (ccmFN2) gene の editing に異常が生じている。

この論文では電子伝達系複合体には変化が見られなかった。しかし loi1 の論文では、COX (cytochrome c oxidase, 複合体 IV) の活性が半分以下に低下していることが示されている。

発芽時における過酸化水素、一酸化窒素の生成に変化が起きている(Figure 8)。過酸化水素は少ない。一酸化窒素は多い。そのせいで ABA 感受性が高い発芽になっているのではないかと考察されている。

slo1

植物種
A.thaliana
:見つけられた方法:
変異遺伝子--slo1
PPR タンパク質の一種

References

The SLO1 PPR protein is required for RNA editing at multiple sites with similar upstream sequences in Arabidopsis mitochondria.   Sung TY, Tseng CC, Hsieh MH.   Plant J. 2010 May 20.

Slow growth 3 (slo3)

植物種
A.thaliana
:見つけられた方法:
変異遺伝子--slow growth 3
PPR タンパク質の一種

The SLOW GROWTH 3 pentatricopeptide repeat protein is required for the splicing of mitochondrial nad7 intron 2 in Arabidopsis.   Hsieh WY, Liao JC, Chang C, Harrison T, Boucher C, Hsieh MH.   Plant Physiol. 2015 Apr 17. pii: pp.00354.2015. [Epub ahead of print]   PMID: 25888618

Transformation of nad7 into the nuclear genome rescues the slow growth3 mutant in Arabidopsis.   Hsieh WY, Lin SC, Hsieh MH.   RNA Biol. 2018 Nov 13. doi: 10.1080/15476286.2018.1546528. PMID: 30422048

Slow growth 4 (slo4)

The PPR protein SLOW GROWTH 4 is involved in editing of nad4 and affects the splicing of nad2 intron 1.   Weisenberger S, Soll J, Carrie C.   Plant Mol Biol. 2017 Mar;93(4-5):355-368. doi: 10.1007/s11103-016-0566-4. Epub 2016 Dec 9.   PMID: 27942959

OGR1(イネの PPR-DYW protein)

植物種
Rice
:変異遺伝子--PPR protein

Rice OGR1 encodes a pentatricopeptide repeat-DYW protein and is essential for RNA editing in mitochondria.   Kim SR, Yang JI, Moon S, Ryu CH, An K, Kim KM, Yim J, An G.   Plant J. 2009 Sep;59(5):738-49. PMID: 19453459

DYW deaminase domain の研究

DYW deaminase domain has a distinct preference for neighboring nucleotides of the target RNA editing sites   Ayako Maeda, Sachi Takenaka, Tenghua Wang, Brody Frink, Toshiharu Shikanai, Mizuki Takenaka First Published:02 June 2022

Mitochondrial gamma carbonic anhydrase

Disruption of a nuclear gene encoding a mitochondrial gamma carbonic anhydrase reduces complex I and supercomplex I + III2 levels and alters mitochondrial physiology in Arabidopsis.   Perales M, Eubel H, Heinemeyer J, Colaneri A, Zabaleta E, Braun HP.   J Mol Biol. 2005 Jul 8;350(2):263-77.

Mitochondrial gamma carbonic anhydrases are required for complex I assembly and plant reproductive development.   Fromm S, Braun HP, Peterhansel C.   New Phytol. 2016 Jul;211(1):194-207. doi: 10.1111/nph.13886. Epub 2016 Feb 18.   PMID: 26889912

Functional characterization of mutants affected in the carbonic anhydrase domain of the respiratory complex I in Arabidopsis thaliana.   Soto D, Córdoba JP, Villarreal F, Bartoli C, Schmitz J, Maurino VG, Braun HP, Pagnussat GC, Zabaleta E.   Plant J. 2015 Jul 3. doi: 10.1111/tpj.12930. [Epub ahead of print]   PMID: 26148112

ahg11

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
ABA hypersensitive germination
変異遺伝子--At2g44880
PPR タンパク質の一種   http://atted.jp/data/locus/At2g44880.shtml

ミトコンドリア NAD4 遺伝子の editing に働く遺伝子。

Isolation of Arabidopsis ahg11, a weak ABA hypersensitive mutant defective in nad4 RNA editing.   Murayama M, Hayashi S, Nishimura N, Ishide M, Kobayashi K, Yagi Y, Asami T, Nakamura T, Shinozaki K, Hirayama T.   J Exp Bot. 2012 Sep;63(14):5301-10. Epub 2012 Jul 21.   PMID: 22821940

txr1

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
Thaxtomin A に対する感受性の変化。Thaxtomin A はジャガイモそうか病菌が合成する、セルロース合成阻害作用を示す低分子生理活性物質である。
変異遺伝子--At3g59280
Pam16 superfamily domain を保持している。Pam16 はミトコンドリアへの蛋白質移入装置を構成している。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Structure/cdd/cddsrv.cgi?ascbin=8&maxaln=10&seltype=2&uid=112471&querygi=18411133&aln=5,0,0,33,36,33,8,44,42,8,52,54,32,84,88,26

 Peter Rehling(Univ. Freiburg)から,酵母ミトコンドリア内膜の前駆体輸送装置について報告された。内膜前駆体輸送チャ
 ネルTim23 のProtein A 融合タンパク質を高度に精製し,Timチャンネル(Tim17, Tim23, Tim50),インポートモーター
 (Tim44, mhsp70)に加えていくつかのタンパク質を同定した。
 Pam(presequence translocase associated motor)16(=Tim16)とPam18(=Tim14)はどちらも生存に必須であり,mhsp70 の
 ATPase 活性の調節因子であった。Pam18 はJ ドメインを持ちATPase を活性化し,mhsp70 とTim44 の結合を安定化する。
 一方Pam16 はPam18 によるATPase 活性化を抑制し,Pam18とTim チャネルとの結合に関与していた。Pam18 の変異株で
 は内膜タンパク質の挿入には効果が見られなかったが前駆体のマトリクスへの輸送が阻害された。これらのことから,Pam16
 とPam18 は前駆体のマトリクスへの輸送に機能するモーターの成分であることが示された。

References

An Arabidopsis mutant resistant to thaxtomin A, a cellulose synthesis inhibitor from Streptomyces species.   Scheible WR, Fry B, Kochevenko A, Schindelasch D, Zimmerli L, Somerville S, Loria R, Somerville CR.   Plant Cell. 2003 Aug;15(8):1781-94.

TIM21 (SD3), TIM50

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
エンドリデュプリケーション endoreduplication が抑制される
変異遺伝子--TIM21, TIM50
ミトコンドリアへの蛋白質移入装置を構成している。2010年3月植物生理学会 4pE01 濱崎先生 4pE02 Kumar 博士 
  

Arabidopsis mitochondrial protein TIM50 affects hypocotyl cell elongation through intracellular ATP level.   Kumar S, Yoshizumi T, Hongo H, Yoneda A, Hara H, Hamasaki H, Takahashi N, Nagata N, Shimada H, Matsui M.   Plant Sci. 2012 Feb;183:212-7. Epub 2011 Sep 6.   PMID: 22195596

SD3, an Arabidopsis thaliana homolog of TIM21, affects intracellular ATP levels and seedling development.   Hamasaki H, Yoshizumi T, Takahashi N, Higuchi M, Kuromori T, Imura Y, Shimada H, Matsui M.   Mol Plant. 2012 Mar;5(2):461-71. Epub 2011 Nov 29.   PMID: 22131050

SD3 に関して、さらに発展したすばらしい研究成果が 2019 年に報告されている。    SnRK1 Kinase and the NAC Transcription Factor SOG1 Are Components of a Novel Signaling Pathway Mediating the Low Energy Response Triggered by ATP Depletion.   Hamasaki H, Kurihara Y, Kuromori T, Kusano H, Nagata N, Yamamoto YY, Shimada H, Matsui M.   Front Plant Sci. 2019 May 10;10:503. doi: 10.3389/fpls.2019.00503. eCollection 2019. PMID: 31134102   ATP 欠乏に対応する独自の仕組みが植物細胞に存在することが明らかにされた。

上の論文に出てくる SOG1 は DNA damage response と関係があることで知られている。    ATM-mediated phosphorylation of SOG1 is essential for the DNA damage response in Arabidopsis.   Yoshiyama KO, Kobayashi J, Ogita N, Ueda M, Kimura S, Maki H, Umeda M.   EMBO Rep. 2013 Sep;14(9):817-22. doi: 10.1038/embor.2013.112. Epub 2013 Aug 2.   PMID: 23907539

DNA damage response はエンドリデュプリケーションを引き起こすことが知られている。   Programmed induction of endoreduplication by DNA double-strand breaks in Arabidopsis.   Adachi S, Minamisawa K, Okushima Y, Inagaki S, Yoshiyama K, Kondou Y, Kaminuma E, Kawashima M, Toyoda T, Matsui M, Kurihara D, Matsunaga S, Umeda M.   Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Jun 14;108(24):10004-9. doi: 10.1073/pnas.1103584108. Epub 2011 May 25.   PMID: 21613568

BMB2010 で、次のような講演があったらしい。

2T3-8(2P-0316) ショウジョウバエ TIM50 によるミトコンドリアの活性上昇の誘導と精子形成における発生機能の解析 Analysis of the induction of changes in mitochondrial activity by Drosophila TIM50 and its role in spermatogenesis ○杉山 伸,柴田 哲志,西田 育巧 名古屋大学 理学研究科 生命理学専攻

TIM50 に何か変化が起きることでミトコンドリア活性が上昇したと言うことらしい。「ミトコンドリア活性を上昇させる」というのは珍しい。それによってショウジョウバエが早く発育したり飛ぶ速さが変わったりするのだろうか。しかしそんなことはないらしい。

このことについては、科学研究費データベースに既に報告されていた。   http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/13043019   「ミトコンドリアからのATP産生のシグナルを伝達して成長を制御するシグナル伝達経路」が、想定されている。論文も出ていて、わかりやすく紹介されている。   http://www.bio.nagoya-u.ac.jp/thesis/2007-10/07-10_01.html   「ミトコンドリアからのATP」と、「解糖系からのATP」は発生する場所が異なる。グルコースからの生成効率が大きく異なる。

ミトコンドリア活性が上昇しすぎるとアポトーシスが起きてしまうらしい。それでかえって細胞数が減ったりするらしい。がん細胞(必要もないのに増殖してしまう・アポトーシスしにくい)では逆に解糖系が活性化していてワールブルグ効果と呼ばれる。対照的である。解糖系とミトコンドリアは、もっと研究しないといけないことが多いのかもしれない。

TIM50 が発現しすぎると生育に悪い影響がある。がん細胞にTIM50を押し込むと、ミトコンドリアが活性化してアポトーシスがおきて治療できるという可能性も考えられなくはない。しかしそんなにうまくいく保証は全然ない。TIM50 の適切な発現レベルが、正常な細胞と病的な細胞で違っていたりすれば何かの役に立てられるかもしれない。

サリチル酸が、エンドリデリュプリケーションに関わっているという論文があった。

A role for salicylic acid and NPR1 in regulating cell growth in Arabidopsis.   Vanacker H, Lu H, Rate DN, Greenberg JT.   Plant J. 2001 Oct;28(2):209-16.   PMID: 11722764 サリチル酸がエンドリデリュプリケーションを抑える。npr1 変異体では、16C の細胞が増えていた。細胞の数が減っていた。同じ条件、組織では野生型では16C の細胞はほとんどない (Fig. 4)。

細胞内には ATP が関与する機構が多数存在する。プロテアソームはその一つであり極めて重要である。   http://www.sci.hokudai.ac.jp/~jjyama/keitai2/project/H18project1r.html   山口教授らの場合は、葉の表皮細胞でエンドリデュプリケーションが起きている。細胞周期制御タンパク質の異常蓄積が原因であると考えられている。暗所下胚軸細胞では自然にエンドリデュプリケーションが起きる。下胚軸の伸長部分の細胞は、細胞分裂はしないが、そうでない部分の細胞とエンドリデュプリケーション以外にもホルモン感受性などで様々な違いがある。tim21 ではエンドリデュプリケーションが起きにくい。ATPが減るせいでATP依存性のタンパク分解が起きにくいという可能性もある。しかしそんなに単純なことかどうかはわからない。ATP の減少のせいで翻訳の方がもっと低下するかもしれない。そうなら蛋白質は蓄積しない。

ミトコンドリア、ATP と翻訳の関係に関しては、既に筑波大学大学院生命環境科学研究科の柳澤 純 教授と先端学際領域研究センター(TARA)の村山 明子 講師らによってすばらしい研究が行われている。   http://www.jst.go.jp/pr/announce/20080517/index.html   ATP が作られにくい条件では、ヌクレオメチリンという蛋白質が働いてリボソーム合成によるエネルギー消費を抑える。それによって低栄養状態に耐える能力が高まる。

特定領域「蛋白質の一生」ニュースレターNo.14 に岡、石原両博士による以下のような説明があった。   http://protein.k.u-tokyo.ac.jp/pdf/No14.pdf   

 さらに,新規の因子Tim21 が紹介された。Tim23-Protein Aと共精製されるタンパク質として同定されたTim21 はミトコ
 ンドリアの内膜タンパク質であった。Tim23 はBlueNativePAGE でcore の複合体に加えてさらに大きなサイズの複数の
 バンドが観察される(これをTim23* と名付けた)。Tim21 の機能抑制でTim23* は減少し,一方Tim21 の過剰発現で
 Tim23* が増加した。これらのことからTim21 はTim23 複合体の形成に関与していると考えられた。

drp3a, drp3b

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--DRP3
(DYNAMIN-RELATED PROTEIN 3A); GTP binding / GTPase/ phosphoinositide binding

References

An Arabidopsis dynamin-related protein, DRP3A, controls both peroxisomal and mitochondrial division.   Mano S, Nakamori C, Kondo M, Hayashi M, Nishimura M.   Plant J. 2004 May;38(3):487-98.

ACRS

植物種
ラフレモン
見つけられた方法
宿主特異的毒素感受性決定因子
変異遺伝子--ACRS
ラフレモンミトコンドリアゲノムに座乗する遺伝子

-

References

http://www.ag.kagawa-u.ac.jp/plantpathology/index.html   香川大学農学部植物病理学研究室   秋光 和也教授

ATSUV3

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--ATSUV3
ATP-dependent RNA helicase At4g14790  ミトコンドリア局在性   いくつかの PPR タンパク質と発現相関がある(データベース ATTED-II による)   

References

ABA regulates root development   ICAR2010 C301  Prof. Gong ZZ

ABO5

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  ABA overly sensitive
変異遺伝子--PPR protein AT1g51965
 

ABA overly-sensitive 5 (ABO5), encoding a pentatricopeptide repeat protein required for cis-splicing of mitochondrial nad2 intron 3, is involved in the abscisic acid response in Arabidopsis.   Liu Y, He J, Chen Z, Ren X, Hong X, Gong Z.   Plant J. 2010 Jun 17. PMID: 20561255

ABO6

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
  ABA overly sensitive
変異遺伝子--ABO6
DEXH Box RNA helicase   

References

DEXH Box RNA Helicase-Mediated Mitochondrial Reactive Oxygen Species Production in Arabidopsis Mediates Crosstalk between Abscisic Acid and Auxin Signaling.   He J, Duan Y, Hua D, Fan G, Wang L, Liu Y, Chen Z, Han L, Qu LJ, Gong Z.   Plant Cell. 2012 May 31. [Epub ahead of print]   PMID: 22652060

彼らはミトコンドリアから発生する活性酸素の役割を重視している。彼らは特に根の成長、根端部分に注目して分析している。例えば GSH の定量は根端だけを集めて測定している。根端では特に ROS が重要なのかもしれない。そういう論文が他にもある。根端細胞の分化にミトコンドリアからの活性酸素、PHBタンパク質が重要という論文がある。RbohF も関与していることが示されている。Auxin 感受性も変化すると書かれている。

ABO8

ABA-mediated ROS in mitochondria regulate root meristem activity by controlling PLETHORA expression in Arabidopsis.   Yang L, Zhang J, He J, Qin Y, Hua D, Duan Y, Chen Z, Gong Z.   PLoS Genet. 2014 Dec 18;10(12):e1004791. doi: 10.1371/journal.pgen.1004791. eCollection 2014 Dec.   PMID: 25522358

L-galactono-1,4-lactone dehydrogenase

Silencing of the mitochondrial ascorbate synthesizing enzyme L-galactono-1,4-lactone dehydrogenase affects plant and fruit development in tomato.   Alhagdow M, Mounet F, Gilbert L, Nunes Nesi A, Garcia V, Just D, Petit J, Beauvoit B, Fernie AR, Rothan C, Baldet P.   Plant Physiol. 2007 Dec;145(4):1408-22. Epub 2007 Oct 5.   PMID: 17921340

アスコルビン酸生合成の最後の段階は、ミトコンドリアに局在して働く。

rol5 (for repressor of lrx1)

植物種
A.thaliana
見つけられた方法
LRR-extensin1 (LRX1)欠損体(root hair がおかしくなる)のリプレッサースクリーニング
変異遺伝子--rol5
 The functionally similar ROL5 homolog in yeast, Ncs6p (needs Cla4 to survive 6), was previously found to affect TOR signaling. The ROL5 protein accumulates in mitochondria, a target of the TOR pathway.   ミトコンドリア局在性 At2g44270   tRNA 2-thiolation を行う因子と相同性がある   

Direct control of mitochondrial function by mTOR.   Ramanathan A, Schreiber SL.   Proc Natl Acad Sci U S A. 106(52) 22229-32, 2009

A plasma signature of human mitochondrial disease revealed through metabolic profiling of spent media from cultured muscle cells.   Gonzalez N, De Bodt S, Sulpice R, Jikumaru Y, Chae E, Dhondt S, Van Daele T, De Milde L, Weigel D, Kamiya Y, Stitt M, Beemster GT, Inze D.   Proc Natl Acad Sci U S A. 107(4) 1571-5, 2010

植物でセルロースなどの多糖類(バイオマス)を合成する酵素は、サイズが大きいもの(1000アミノ酸以上)が多い。大きなORFの翻訳が効率よく進むようにすることはバイオマスの増産に貢献するかもしれない。

References

The TOR Pathway Modulates the Structure of Cell Walls in Arabidopsis.   Leiber RM, John F, Verhertbruggen Y, Diet A, Knox JP, Ringli C.   Plant Cell. 2010 Jun 8. [Epub ahead of print]

MSC16

植物種
Cucumis sativa
見つけられた方法
  雄性不稔
変異遺伝子--大規模な組換え
 

Chilling stress and mitochondrial genome rearrangement in the MSC16 cucumber mutant affect the alternative oxidase and antioxidant defense system to a similar extent.   Szal B, Lukawska K, ZdoliDska I, Rychter AM.   Physiol Plant. 2009 Dec;137(4):435-45. Epub 2009 May 21.

Influence of mitochondrial genome rearrangement on cucumber leaf carbon and nitrogen metabolism.   Szal B, Jastrzbska A, Kulka M, Le[niak K, Podgorska A, Parnik T, Ivanova H, Keerberg O, Gardestrom P, Rychter AM.   Planta. 2010 Nov;232(6):1371-82. Epub 2010 Sep 10.

REME1

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  Natural variation、 RNA editing の違い
変異遺伝子--PPR protein
 

Natural variation in Arabidopsis leads to the identification of REME1, a pentatricopeptide repeat-DYW protein controlling the editing of mitochondrial transcripts.   Bentolila S, Knight W, Hanson M.   Plant Physiol. 2010 Oct 25. [Epub ahead of print]

Expression of the unedited form of the ATP synthase subunit 9

植物種
Arabidopsis thaliana
作成方法
 人為的な unedited form of the ATP synthase subunit 9 の強制発現
変異遺伝子--ATP synthase subunit 9
 

Effect of Mitochondrial Dysfunction on Carbon Metabolism and Gene Expression in Flower Tissues of Arabidopsis thaliana.   Busi MV, Gomez-Lobato ME, Rius SP, Turowski VR, Casati P, Zabaleta EJ, Gomez-Casati DF, Araya A.   Mol Plant. 2010 Oct 26. [Epub ahead of print]

E-GEOD-14240 というマイクロアレイデータを公開している。ArrayExpress で見ることができる。

Busi らは、同時期に以下のような解説を発表している。

Mitochondrial dysfunction affects chloroplast functions.   Busi MV, Gomez-Lobato ME, Araya A, Gomez-Casati DF.   Plant Signal Behav. 2011 Dec;6(12):1904-7.   PMID: 22101346

ATP Synthase Subunit d

Mitochondrial ATP Synthase Subunit d, a Component of the Peripheral Stalk, is Essential for Growth and Heat Stress Tolerance in Arabidopsis thaliana.    Liu T, Arsenault J, Vierling E, Kim M.   Plant J. 2021 May 11. doi: 10.1111/tpj.15317. Online ahead of print.   PMID: 33974298

ATP synthase δ-subunit

Downregulation of the δ-subunit reduces mitochondrial ATP synthase levels, alters respiration, and restricts growth and gametophyte development in Arabidopsis.   Geisler DA, Papke C, Obata T, Nunes-Nesi A, Matthes A, Schneitz K, Maximova E, Araujo WL, Fernie AR, Persson S.   Plant Cell. 2012 Jul;24(7):2792-811. doi: 10.1105/tpc.112.099424. Epub 2012 Jul 17.   PMID: 22805435

ミトコンドリア ATP 合成酵素 FAd subunit の変異

Phosphite-Mediated Suppression of Anthocyanin Accumulation Regulated by Mitochondrial ATP Synthesis and Sugar in Arabidopsis.   Leong SJ, Lu WC, Chiou TJ.   Plant Cell Physiol. 2018 Mar 5. doi: 10.1093/pcp/pcy051.   PMID: 29514351

糖が多量に蓄積する。糖とリンの比率の重要性に注目している。糖は代謝の際にリン酸化を受けるので、多量に存在する糖を効率よく代謝するにはリン酸も多量に必要になる。それ以外の様々なことも重要かもしれないと書いてある。

ATP synthase を抑えた植物

Antisense expression of mitochondrial ATP synthase subunits OSCP (ATP5) and gamma (ATP3) alters leaf morphology, metabolism and gene expression in Arabidopsis   Plant Cell Physiol. 2009 Oct;50(10):1840-50.   doi: 10.1093/pcp/pcp125. Epub 2009 Sep 11.   Mary M Robison 1 , Xingyuan Ling, Matthew P L Smid, Adel Zarei, David J Wolyn PMID: 19748911

低温と PPR タンパク質、ミトコンドリア ATP 合成酵素

これは変異体の研究ではないが、PPRタンパク質、ミトコンドリアの ATP 合成と関係ある興味深い研究なのでここに書いておく。

Changes in mRNA stability associated with cold stress in Arabidopsis cells.   Chiba Y, Mineta K, Hirai MY, Suzuki Y, Kanaya S, Takahashi H, Onouchi H, Yamaguchi J, Naito S.   Plant Cell Physiol. 2013 Feb;54(2):180-94. doi: 10.1093/pcp/pcs164. Epub 2012 Dec 4.   PMID: 23220693

低温環境条件ではほとんどの遺伝子の mRNA は安定化し、分解するまでの時間が長くなる。転写阻害剤とマイクロアレイ分析を組み合わせて測定されている。 しかし一部の遺伝子の mRNA は安定化しない。その安定化しないグループに、PPRタンパク質が含まれていた。

Organellar Gene Expression and Acclimation of Plants to Environmental Stress.   Leister D, Wang L, Kleine T.   Front Plant Sci. 2017 Mar 21;8:387. doi: 10.3389/fpls.2017.00387. eCollection 2017. Review.   PMID: 28377785    というレビューに引用されている。

低温とミトコンドリア関連変異体では、fro1 が以前から見いだされている。複合体I のサブユニット NDUFS4 の変異で、低温によるマーカー遺伝子の発現増加が弱い。 ミトコンドリアでの呼吸速度と温度には関係があることはよく知られている。 低温で PPR タンパク質の mRNA 量が相対的に分解されやすくなるとどうなるか。低温では翻訳もおきにくいだろうから、 タンパク質の量も減少するだろう。そうなるとミトコンドリアでの editing やスプライシングもおきにくくなるだろう。 ミトコンドリアでの ATP 合成も低下するだろう。低温環境条件では ATP の必要量が減るとすれば、これは理にかなった rational な変化である。 ミトコンドリアからの活性酸素の生成も減るかもしれない。

以下の論文も発表された。

Cold sensitivity of mitochondrial ATP synthase restricts oxidative phosphorylation in Arabidopsis thaliana.   Kerbler SM, Taylor NL, Millar AH.   New Phytol. 2018 Oct 3. doi: 10.1111/nph.15509. PMID: 30281799

呼吸量と温度に関係があることはよく知られている。細胞の温度センサーもミトコンドリアと関係があるかもしれない。

CIB22

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  Tag line
変異遺伝子--CIB22
  At4g34700

A nuclear-encoded mitochondrial gene AtCIB22 is essential for plant development in Arabidopsis.   Han L, Qin G, Kang D, Chen Z, Gu H, Qu LJ.   J Genet Genomics. 2010 Oct;37(10):667-83.   マイクロアレイ実験のデータ(一部分だけ)もある。

ATTED-II へのリンク http://atted.jp/cgi-bin/locus.cgi?loc=At4g34700   LYR family of Fe/S cluster biogenesis protein と注釈されている。しかし、AtCIB22 が Fe/S クラスターと関係していることを示す証拠はないと Han らの論文に書かれている。AtCIB22 と相同なタンパク質は動物などの複合体 I にも含まれている。それらの論文を見ると、Fe/S クラスターとの関連を示したものは全く見当たらなかった。

LYR protein (CIAF1 = EMB1793 = At1g76060)

A Mitochondrial LYR Protein is Required for Complex I Assembly.   Ivanova A, Gill-Hille M, Huang S, Branca R, Kmiec B, Teixeira PF, Lehtiö J, Whelan J, Murcha MW.   Plant Physiol. 2019 Oct 10. pii: pp.00822.2019. doi: 10.1104/pp.19.00822.   PMID: 31601645

「a mitochondrial matrix protein (EMB1793, At1g76060), which we term COMPLEX I ASSEMBLY FACTOR 1 (CIAF1), contains a LYR domain and is required for Complex I assembly.」 と書かれている。

ciaf1 変異体は生育が遅くなる。その性質を部分的に回復させる変異が見つけられた。FTSH3 遺伝子の変異が原因だった。

The mitochondrial AAA protease FTSH3 regulates Complex I abundance by promoting its disassembly   Plant Physiol. 2021 May 27;186(1):599-610.   doi: 10.1093/plphys/kiab074.   Aneta Ivanova など   PMID: 33616659 PMCID: PMC8154063

この論文にも ciaf1 変異による影響を調べたデータがある。

LYR family protein に関する他の論文:

The mitochondrial LYR protein, SDHAF1 is required for succinate dehydrogenase activity in Arabidopsis.    Li Y, Belt K, Alqahtani SF, Saha S, Fenske R, Van Aken O, Whelan J, Millar AH, Murcha MW, Huang S.   Plant J. 2022 Jan 26. doi: 10.1111/tpj.15684.    PMID: 35080330

Human ISD11 is essential for both iron-sulfur cluster assembly and maintenance of normal cellular iron homeostasis.   Shi Y, Ghosh MC, Tong WH, Rouault TA.   Hum Mol Genet. 2009 Aug 15;18(16):3014-25. doi: 10.1093/hmg/ddp239. Epub 2009 May 18.   PMID: 19454487   ISD11 は LYR family protein の一つである。

シロイヌナズナに他生物の ISD11 と相同性を持つタンパク質をコードする遺伝子が存在する。 AT5G61220 ATTED-II のリンク http://atted.jp/data/locus/836243.shtml この遺伝子の注釈は「LYR family of Fe/S cluster biogenesis protein」 で、これは正しい。

LYR ファミリータンパク質は複数ある(動物では4種類)。ISD11 以外のメンバーに、AtCIB22 のような複合体I のサブユニットが存在する。 文献: The Nfs1 interacting protein Isd11 has an essential role in Fe/S cluster biogenesis in mitochondria.   Adam AC, Bornhovd C, Prokisch H, Neupert W, Hell K.   EMBO J. 2006 Jan 11;25(1):174-83. Epub 2005 Dec 8.   PMID: 16341090

ISD11 が、複合体I と結合するかは、不明であるらしい。ISD11 は Fe/S クラスター合成系タンパク質と複合体を形成するのが本来の働きである。複合体I は Fe/S クラスターを含むので、間接的に関連があることは間違いない。 

ミトコンドリア鉄硫黄クラスター FeS Iron-sulfur cluster に関連する論文:

Conserved functions of Arabidopsis mitochondrial late-acting maturation factors in the trafficking of iron-sulfur clusters.   Uzarska MA, Przybyla-Toscano J, Spangar F, Zannini F, Lill R, Mühlenhoff U, Rouhier N.   Biochim Biophys Acta. 2018 Jun 11. pii: S0167-4889(18)30131-9. doi: 10.1016/j.bbamcr.2018.06.003.   PMID: 29902489

A RESTORER OF FERTILITY-like PPR gene

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--PPR protein の一種
 

A RESTORER OF FERTILITY-like PPR gene is required for 5’ end processing of the nad4 mRNA in mitochondria of Arabidopsis thaliana   Angela Holzle, Christian Jonietz, Otto Torjek, Thomas Altmann, Stefan Binder and Joachim Forner   Accepted manuscript online: 9 DEC 2010 10:28AM EST | DOI: 10.1111/j.1365-313X.2010.04460.x

BIR6

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  BSO buthionine sulfoximine 感受性低下 根の伸長阻害が起きにくくなる
変異遺伝子--PPR protein の一種
 

Identification of a pentatricopeptide repeat protein implicated in splicing of intron 1 of mitochondrial nad7 transcripts.   Koprivova A, des Francs-Small CC, Calder G, Mugford ST, Tanz S, Lee BR, Zechmann B, Small I, Kopriva S.   J Biol Chem. 2010 Oct 15;285(42):32192-9. Epub 2010 Aug 3. PMID: 20682769

RNA PROCESSING FACTOR 1 (RPF1)

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  Based on natural genetic variation we have used linkage mapping and complementation studies
変異遺伝子--PPR protein の一種
 AT1G12700

A RESTORER OF FERTILITY-like PPR gene is required for 5’-end processing of the nad4 mRNA in mitochondria of Arabidopsis thaliana.   Holzle A, Jonietz C, Torjek O, Altmann T, Binder S, Forner J.   Plant J. 2010 Dec 9. doi: 10.1111/j.1365-313X.2010.04460.x.

この遺伝子については、系統間での違いがあることが見つかっている。TAIR のページの description に書かれている。「Ler and other accessions impaired in processing of the nad4 mRNA 5′-end, contain a single nucleotide polymorphism (SNP) 807 nucleotides downstream of the predicted translation start codon (G807A). The resulting premature translation termination codon abolishes the function of the RPF1 gene in Ler.」

RPF8 という遺伝子もある。

''In Arabidopsis thaliana mitochondria 5' end polymorphisms of nad4L-atp4 and nad3-rps12 transcripts are linked to RNA PROCESSING FACTORs 1 and 8. ''   Schleicher S, Binder S.   Plant Mol Biol. 2021 Apr 28. doi: 10.1007/s11103-021-01153-9.    PMID: 33909186

E-class PPR-proteins

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  Reverse genetics
変異遺伝子--E-class PPR-proteins
 

Reverse genetic screening identifies five E-class PPR-proteins involved in RNA editing in mitochondria of Arabidopsis Thaliana.   Takenaka M, Verbitskiy D, Zehrmann A, Brennicke A.   J Biol Chem. 2010 Jun 21. [Epub ahead of print]

PPR2263(MEF29)

植物種
Zea mays, Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  Reverse genetics
変異遺伝子--DYW domain-containing PPR-protein
 

PPR2263, a DYW-Subgroup Pentatricopeptide Repeat Protein, Is Required for Mitochondrial nad5 and cob Transcript Editing, Mitochondrion Biogenesis, and Maize Growth.   Sosso D, Mbelo S, Vernoud V, Gendrot G, Dedieu A, Chambrier P, Dauzat M, Heurtevin L, Guyon V, Takenaka M, Rogowsky PM.   Plant Cell. 2012 Feb 7. [Epub ahead of print]   PMID: 22319053

MEF13

Mol Plant. 2015 Jun 2. pii: S1674-2052(15)00259-2. doi: 10.1016/j.molp.2015.05.008. [Epub ahead of print]

MEF13 requires MORF3 and MORF8 for RNA editing at eight targets in mitochondrial mRNAs in Arabidopsis thaliana.

Glass F1, Härtel B2, Zehrmann A3, Verbitskiy D4, Takenaka M5.

MEF14

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--E-class PPR protein の一種
 

The DYW-E-PPR protein MEF14 is required for RNA editing at site matR-1895 in mitochondria of Arabidopsis thaliana.   Verbitskiy D, Hartel B, Zehrmann A, Brennicke A, Takenaka M.   FEBS Lett. 2011 Jan 28. [Epub ahead of print]

MEF3

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--E-class PPR protein の一種
 

The E-class PPR Protein MEF3 of Arabidopsis thaliana can Function in Mitochondrial RNA editing also with an Additional DYW Domain.   Verbitskiy D, van der Merwe JA, Zehrmann A, Hartel B, Takenaka M.   Plant Cell Physiol. 2011 Dec 19.   PMID: 22186180

MEF7

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--E-class PPR protein の一種
 

The DYW-class PPR protein MEF7 is required for RNA editing at four sites in mitochondria of Arabidopsis thaliana.Zehrmann A, van der Merwe J, Verbitskiy D, Hartel B, Brennicke A, Takenaka M.   RNA Biol. 2012 Feb 1;9(2). [Epub ahead of print]   PMID: 22258224

MEF8

A protein with an unusually short PPR domain, MEF8, affects editing at over 60 Arabidopsis mitochondrial C targets of RNA editing.   Diaz MF, Bentolila S, Hayes ML, Hanson MR, Mulligan RM.   Plant J. 2017 Sep 5. doi: 10.1111/tpj.13709.    PMID: 29035004

MEF10

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--PPR protein の一種
 

MEF10 is required for RNA editing at nad2-842 in mitochondria of Arabidopsis thaliana and interacts with MORF8.   Härtel B, Zehrmann A, Verbitskiy D, van der Merwe JA, Brennicke A, Takenaka M.   Plant Mol Biol. 2013 Jan 4. [Epub ahead of print]   PMID: 23288601''

MEF25

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--PPR protein の一種
 

FEBS Lett. 2013 Feb 14. pii: S0014-5793(13)00127-0. doi: 10.1016/j.febslet.2013.02.009. [Epub ahead of print] Contiguous RNA editing sites in the mitochondrial nad1 transcript of Arabidopsis thaliana are recognized by different proteins.   Arenas-M A, Takenaka M, Moreno S, Gómez I, Jordana X.

MEF31

The Pentatricopeptide Repeat Protein MEF31 is Required for Editing at Site 581 of the tatC Transcript and Indirectly Influences Editing at Site 586 of the Same Transcript.   Arenas-M A, Gonzalez-Duran E, Gomez I, Burger M, Brennicke A, Takenaka M, Jordana X.   Plant Cell Physiol. 2017 Dec 4. doi: 10.1093/pcp/pcx190. [Epub ahead of print]   PMID: 29216369

MEF35

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--PPR protein の一種
 

The DYW Subgroup PPR Protein MEF35 Targets RNA Editing Sites in the Mitochondrial rpl16, nad4 and cob mRNAs in Arabidopsis thaliana.   Brehme N, Bayer-Csaszar E, Glass F, Takenaka M.   PLoS One. 2015 Oct 15;10(10):e0140680. doi: 10.1371/journal.pone.0140680. eCollection 2015.   PMID: 26470017

MEF100

The Pentatricopeptide Repeat Protein MEF100 Is Required for the Editing of Four Mitochondrial Editing Sites in Arabidopsis   February 2021 Cells 10(2):468    DOI: 10.3390/cells10020468

PMH2

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--DEAD-box protein の一種
 

The DEAD-box protein PMH2 is required for efficient group II intron splicing in mitochondria of Arabidopsis thaliana.   Kohler D, Schmidt-Gattung S, Binder S.   Plant Mol Biol. 2010 Mar;72(4-5):459-67. PMID: 19960362

Analysis of the Roles of the Arabidopsis nMAT2 and PMH2 Proteins Provided with New Insights into the Regulation of Group II Intron Splicing in Land-Plant Mitochondria.   Zmudjak M, Shevtsov S, Sultan LD, Keren I, Ostersetzer-Biran O.   Int J Mol Sci. 2017 Nov 17;18(11). pii: E2428. doi: 10.3390/ijms18112428.   PMID: 29149092

OTP87

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--PPR protein の一種
 

The pentatricopeptide repeat protein OTP87 is essential for RNA editing of nad7 and atp1 transcripts in Arabidopsis mitochondria.   Hammani K, Colas des Francs-Small C, Takenaka M, Tanz SK, Okuda K, Shikanai T, Brennicke A, Small I.   J Biol Chem. 2011 Apr 19. [Epub ahead of print]   PMID: 21504904

RUG3

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  Mitochondria from Arabidopsis plants lacking a functional RUG3 gene showed greatly reduced complex I abundance and activity.
変異遺伝子--RUG3, related to human REGULATOR OF CHROMOSOME CONDENSATION 1 (RCC1) and Arabidopsis UV-B RESISTANCE 8 (UVR8)
 

RUG3 は AT5G60870、UVR8 は AT5G63860 で、相同性が高い。UVR8 は紫外線の受容体であり、HY5 転写因子を活性化する。HY5 はとても重要な転写因子で、フィトクロム、ストリゴラクトン、リン欠乏、窒素欠乏、活性酸素、糖、強光ストレス、サイトカイニンなどで活性化される。それによりアントシアニン生成、クロロフィルの生合成、発芽などが活性化される。HY5 は高温、小胞体ストレス、エチレンなどで不活性化され、高温による発芽阻害に働いている。

The RCC1 family protein RUG3 is required for splicing of nad2 and complex I biogenesis in mitochondria of Arabidopsis thaliana   Kuhn K, Carrie C, Giraud E, Wang Y, Meyer EH, Narsai R, des Francs-Small CC, Zhang B, Murcha MW, Whelan J.   Plant J. 2011 Sep;67(6):1067-80. doi: 10.1111/j.1365-313X.2011.04658.x. Epub 2011 Jul 6.   PMID: 21623974

ABA との関連も明らかにされた。RUG3 が働くと ABA が効きにくい。だから rug3 変異体は ABA が効きやすい。

RUG3 is a negative regulator of plant responses to ABA in Arabidopsis thaliana.   Su C, Yuan J, Zhao H, Zhao Y, Ji H, Wang Y, Li X.   Plant Signal Behav. 2017 Jun 14:0. doi: 10.1080/15592324.2017.1333217. PMID: 28613105

RUG3 and ATM synergistically regulate the alternative splicing of mitochondrial nad2 and the DNA damage response in Arabidopsis thaliana.   Su C, Zhao H, Zhao Y, Ji H, Wang Y, Zhi L, Li X.   Sci Rep. 2017 Mar 6;7:43897. doi: 10.1038/srep43897.   PMID: 28262819

PGN

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  BOTRYTIS-INDUCED KINASE1 (BIK1) という因子を著者らは見つけていた。その因子が欠損した変異体 bik1 で発現レベルが増大している、また野生型植物に B.cinerea が感染した際にも発現レベルが増大しているということでこの遺伝子に注目した。Salt sensitive germination, ABA sensitivity 等の性質を示した。
変異遺伝子--PPR protein の一種
 At1g56570

The Arabidopsis mitochondrial localized pentatricopeptide repeat protein PGN functions in defense against necrotrophic fungi and abiotic stress tolerance.   Laluk K, Abuqamar S, Mengiste T.   Plant Physiol. 2011 Jun 8. [Epub ahead of print]   PMID: 21653783

bik1 変異体はサリチル酸の量が増加する。しかし PGN の発現レベルはサリチル酸処理で増加しなかった。代わりにジャスモン酸処理で増加した。 pgn 変異体は、Botrytis の感染に弱くなっていた (Fig. 1D)。 グルコース、ABA に対する感受性が高い (Fig. 3)。 ABA の量が増えている。(Fig. 5B) しかし、その差はかなり小さい。一応有意な差が再現性よくあるらしい。 ABI4 の mRNA量が、ABA 処理して6時間後(hours post treatment)WT よりも大きく増えている(Fig.7C)。WT ではABA処理で反応しないABI4 が、反応するようになっている。しかしABA処理する前は、かえってWTよりも減っているように見える。 LHCB1 についても調べている。Norflurazon 処理で低下する。それは pgn でもおなじだった。

Fig. 9G で活性酸素の生成を調べている。DAB 染色の方法を使っている。野生型植物の地上部では 200mM の NaCl ストレスで、染色が特に最初の二つの本葉でやや増えている。pgn 変異体では子葉と本葉が 200mM NaCl の条件でもっと濃く染色され、過酸化水素が増大していることを示している。

NDB4のタグライン

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  NDB4のタグライン
変異遺伝子--NDB4
 

Alterations in The Mitochondrial Alternative NAD(P)H Dehydrogenase NDB4 Lead To Changes In Mitochondrial Electron Transport Chain Composition, Plant Growth and Response to Oxidative Stress.   Smith C, Barthet M, Melino V, Smith P, Day D, Soole K.   Plant Cell Physiol. 2011 Jul;52(7):1222-37. Epub 2011 Jun 9.   PMID: 21659327

disrupted in stress responses 1 (dsr1)

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  through a screen for mutants lacking GSTF8 gene expression in response to salicylic acid (SA). GSTF8 is an early stress-responsive gene whose transcription is induced by biotic and abiotic stresses, Altered SA-mediated gene expression
変異遺伝子--Mutation in the Complex II subunit, SDH1-1
 コハク酸脱水素酵素の活性が下がる。根の細胞では、サリチル酸で処理するとミトコンドリアから活性酸素が生成する。この変異体では、それが起きにくい。葉でも、病原菌感染で同じような活性酸素の変化が見られた。ミトコンドリアに関わる変異体では活性酸素が増えると言うことになっていることがほとんどだが、逆に減る場合もあると言うことでユニークである。

複合体I に関する、ある解説を見たら、「複合体I は、本来の向きとは逆向きに、還元されたユビキノンから電子が複合体I の方向に流れ、NADH を生成することがある(逆電子移動)。」と、記載されていた。生化学の教科書にも、よく見るとそのことが書いてあった。そのとき活性酸素が発生しやすいと言うことも書いてあった。「reverse electron induced な ROS」と言われているらしい。コハク酸を基質とすることで起こりやすくなる。

参考文献   High rates of superoxide production in skeletal-muscle mitochondria respiring on both complex I- and complex II-linked substrates   Muller FL, Liu Y, Abdul-Ghani MA, Lustgarten MS, Bhattacharya A, Jang YC, Van Remmen H   (2008).   . Biochem. J. 409 (2): 491 9. doi:10.1042/BJ20071162. PMID 17916065.

コハク酸は心臓を破壊する Nature 515, 7527 2014年11月20日    虚血(低酸素になる)の際には、コハク酸デヒドロゲナーゼ(complex II)が逆方向に働いてコハク酸が蓄積する。再灌流(酸素が供給される)を行うと、蓄積したコハク酸が急速に酸化され、ミトコンドリア複合体Iで起こる逆方向の電子伝達を介して活性酸素種産生を促進する。コハク酸蓄積を薬理学的に阻害してやると、虚血再灌流傷害が軽減される。

Complex II が働かなくなると、逆向きに複合体 I が働くことが減り活性酸素が減るのかもしれない。ユビキノンが過還元状態になることは、ストレスによっても起きるだろう。それが複合体 I への逆向き電子移動を起こし、活性酸素を発生させることがあるのかもしれない。電子伝達系がストレスセンサーの一つとして働いていることは、可能性として以前から考えられている。しかしそれを明確に示す証拠を得るのは難しい。複合体 Iの活性異常も、逆向き電子移動による ROS 生成に影響を与えるかもしれない。

Mitochondrial complex II has a key role in mitochondrial-derived reactive oxygen species influence on plant stress gene regulation and defense.   Gleason C, Huang S, Thatcher LF, Foley RC, Anderson CR, Carroll AJ, Millar AH, Singh KB.   Proc Natl Acad Sci U S A. 2011 Jun 13. [Epub ahead of print]   PMID: 21670306

コハク酸デヒドロゲナーゼに関しては、以下のような研究成果もある。

Succinate dehydrogenase assembly factor 2

Succinate dehydrogenase assembly factor 2 is needed for assembly and activity of mitochondrial complex II and for normal root elongation in Arabidopsis    Shaobai Huang, Nicolas L. Taylor, Elke Ströher, Ricarda Fenske, A. Harvey Millar*

サリチル酸とコハク酸デヒドロゲナーゼ(複合体 II)

SA サリチル酸のシグナル伝達には NPR1 という重要な因子が働いている。しかし、植物には NPR1 と関係なくサリチル酸が働く仕組みもある。それにはミトコンドリアが関与していることが示されている。

Salicylic Acid-Dependent Plant Stress Signaling via Mitochondrial Succinate Dehydrogenase.   Belt K, Huang S, Thatcher LF, Casarotto H, Singh KB, Van Aken O, Millar AH.   Plant Physiol. 2017 Apr;173(4):2029-2040. doi: 10.1104/pp.16.00060.   PMID: 28209841

サリチル酸は SDHとユビキノンの結合部位またはその近傍に作用して、ミトコンドリアからの活性酸素 H2O2 の生成を促進することで、その作用の一部を npr1 と関係なくもたらす。

ずっと以前からサリチル酸は電子伝達系を阻害するというデータが出されていた。それはかなり高い濃度(100 μM以上)で作用が出るものだった。Belt らの論文では、「SA は complex II の機能に 10 μM で影響を与える (Fig. 5B)」と書かれている。単離したミトコンドリアに SA を加えて、SQR activity (Succinate : quinone reductase) という活性を測定している。また単離したミトコンドリアからの活性酸素生成を低濃度の SA が促進することを示している (Fig. 6)。 しかし、生きた植物体に SA を与える実験では、7 mM という高濃度の SA を短時間 (40 分)与え、 その後 20 時間レポーターの発光を観測するという方法をとっている。こちらも低濃度で効くなら完璧なのだろうが、そうは書いてない。これは 1 mM の書き間違いかもしれない。Gleason et al. 10.1073/pnas.1016060108 の Supporting information では 1 mM になっている。Gleason et al. 10.1073/pnas.1016060108 を見ると benzoic acid でも強いプロモーター活性化効果がある。

Belt らの論文に、「SA は複合体 III と結合する」という論文が引用されている。

Mitochondrial-derived reactive oxygen species play a vital role in the salicylic acid signaling pathway in Arabidopsis thaliana.   Nie S, Yue H, Zhou J, Xing D.   PLoS One. 2015 Mar 26;10(3):e0119853. doi: 10.1371/journal.pone.0119853. eCollection 2015.   PMID: 25811367

同じ著者でこういう論文もあるが、Retract されている。

A Potential Role for Mitochondrial Produced Reactive Oxygen Species in Salicylic Acid-Mediated Plant Acquired Thermotolerance.   Nie S, Yue H, Xing D.   Plant Physiol. 2015 Oct 15. pii: pp.00719.2015. doi: 10.1104/pp.15.00719. Epub 2015 Oct 15. Retraction in: Plant Physiol. 2016 Mar;170(3):1895.   PMID: 26099269

salicylic acid uncoupler で検索

Salicylic acid induces rapid inhibition of mitochondrial electron transport and oxidative phosphorylation in tobacco cells Xie Z, Chen Z.   Plant Physiol. 1999 May;120(1):217-26.   PMID: 10318699

Salicylic acid is an uncoupler and inhibitor of mitochondrial electron transport.   Norman C, Howell KA, Millar AH, Whelan JM, Day DA.   Plant Physiol. 2004 Jan;134(1):492-501. Epub 2003 Dec 18.   PMID: 14684840    この論文の Fig. 1 にサリチル酸が酸素消費を低濃度では促進し、高濃度では阻害するグラフがある。1 mM 以下では条件によって酸素消費を促進する。それ以上では阻害的になり 5 mM で完全に阻害する。 このことを「低濃度ではアンカプラー(電子の流れが速くなって酸素消費を促進)、高濃度ではインヒビターとして働く」と表現している。

Table III に、Effect of SA analogs on mitochondrial respiration という表がある。 アセチルサリチル酸、Benzoic acid はそれぞれ 5 mM でミトコンドリアの酸素消費を完全に阻害する。パラヒドロキシ benzoic acid は、ほとんど阻害しない。

一方 Fig. 3, 4 では、サリチル酸 0.01 mM 以上で 4 時間〜24 時間処理すると、AOX のタンパク質量が大きく増加している。Fig. 5 では 100 μM で SA 誘導性遺伝子の誘導を観察している。 Fig. 1 で効果がある濃度よりもずっと低濃度でも、発現誘導効果がある。 そのことについて解決するために、Table 1 では「Internal SA concentration」を測定している。培地に加えた濃度よりも、能動的な吸収によって細胞内の SA の濃度はずっと高いというデータが示されている。


また、このリストでもミトコンドリアとサリチル酸との関連を示す論文が複数存在している。 dsr1, FtsH4, ahg2, nadC 発現植物    phb3 はミトコンドリア、葉緑体、それ以外の場所で働いている。noa1 は葉緑体で働いている。

SA サリチル酸の NPR1 と関係ない作用機構に関する論文が、他にも発表されている。

AtOZF1 という因子は細胞膜に局在する NHL3, ミトコンドリア外膜に局在する VDAC2 (電位依存性陰イオンチャネル)と結合する。ミトコンドリアの機能と関係することになる。

AtOZF1 Positively Regulates Defense Against Bacterial Pathogens and NPR1-Independent Salicylic Acid Signaling.   Singh N, Swain S, Singh A, Nandi AK.   Mol Plant Microbe Interact. 2018 Jan 12:MPMI08170208R. doi: 10.1094/MPMI-08-17-0208-R.   PMID: 29327969

Hypoxia response protein HRM1 (HUP39, AT3G23170)

Hypoxia response protein HRM1 modulates the activity of mitochondrial electron transport chain in Arabidopsis under hypoxic stress.   Tsai KJ, Suen DF, Shih MC.   New Phytol. 2023 Jun 10. doi: 10.1111/nph.19006. Online ahead of print.   PMID: 37301985

低酸素ではミトコンドリアでの正常な電子伝達が妨げられる。HRM1 (= HUP39, AT3G23170) は低酸素で発現が強く誘導される。鉄欠乏では逆に低下する。EIN3 and RAP2.2 で制御されている。HRM1 タンパク質はミトコンドリアで働き、ミトコンドリア電子伝達系の効率を低下させる働きがある。プロリンなどの量に変化があった。

AtNOA1

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  Nitric oxide 生合成に関わる遺伝子として単離された。しかしその後いろいろな経緯がある。
変異遺伝子--AtNOA1
 At3g47450

この遺伝子に関しては様々な論文がある。

hNOA1 interacts with complex I and DAP3 and regulates mitochondrial respiration and apoptosis.   Tang T, Zheng B, Chen SH, Murphy AN, Kudlicka K, Zhou H, Farquhar MG.   J Biol Chem. 2009 Feb 20;284(8):5414-24. Epub 2008 Dec 22.   動物に、シロイヌナズナの AtNOA1 (NO-associated) と似たものがある。それはミトコンドリアに局在していることが報告された。

しかし植物ではプラスチドでNOA1 が働いていると報告されている。

Hunting for plant nitric oxide synthase provides new evidence of a central role for plastids in nitric oxide metabolism.   Gas E, Flores-Perez U, Sauret-Gueto S, Rodriguez-Concepcion M.   Plant Cell. 2009 Jan;21(1):18-23. Epub 2009 Jan 23.    PMID: 19168714

植物の NO については様々な説がある。NO の分解にミトコンドリアが関係しているという報告もあった。   

Nitrite reduction and superoxide-dependent nitric oxide degradation by Arabidopsis mitochondria: influence of external NAD(P)H dehydrogenases and alternative oxidase in the control of nitric oxide levels.   Wulff A, Oliveira HC, Saviani EE, Salgado I.   Nitric Oxide. 2009 Sep;21(2):132-9. Epub 2009 Jul 1.   PMID: 19576290

Nitric oxide degradation by potato tuber mitochondria: evidence for the involvement of external NAD(P)H dehydrogenases.   de Oliveira HC, Wulff A, Saviani EE, Salgado I.   Biochim Biophys Acta. 2008 May;1777(5):470-6. Epub 2008 Mar 6.   PMID: 18371295

植物ではプラスチドでNOが作られ、ミトコンドリアで分解されるとすればもっともらしい、植物らしいような気もする。分解と言っても、superoxide と反応するのだから、かえって反応性が高い活性窒素 (peroxynitrite など) に変化するのかもしれない。また、酸素がある好気的な条件で起きるので、生理的意義も大きいだろう。以前からミトコンドリアでNOが生成するという報告があったが、それは hypoxia, anoxia 条件でのことだった。

Nitric oxide accumulation in Arabidopsis is independent of NOA1 in the presence of sucrose.   Van Ree K, Gehl B, Wassim Chehab E, Tsai YC, Braam J.   Plant J. 2011 Oct;68(2):225-33. doi: 10.1111/j.1365-313X.2011.04680.x. Epub 2011 Jul 26.   PMID: 21689173

根に高濃度のサリチル酸(1mM)を与えると、NOの生成が大きく促進される (Fig.2a)。noa1 変異体では、その量がほとんどない(ショ糖が含まれない培地)、またはずっと弱い(ショ糖を含む培地)。

Atnoa1 mutant Arabidopsis plants induce compensation mechanisms to reduce the negative effects of the mutation.   Majláth I, Szalai G, Papp I, Vanková R, Janda T.   J Plant Physiol. 2011 Jul 15;168(11):1184-90. Epub 2011 Mar 9.   PMID: 21392840   ポリアミンとサリチル酸が出てくる。

AtNOA1 modulates nitric oxide accumulation and stomatal closure induced by salicylic acid in Arabidopsis.   Sun LR, Hao FS, Lu BS, Ma LY.   Plant Signal Behav. 2010 Aug;5(8):1022-4. Epub 2010 Aug 1.   PMID: 20657186

NO とサリチル酸が出てくる。サリチル酸はNO生成を促進するらしい (Van Ree K らの論文にも出てくる)。

RNA PROCESSINGFACTOR 3

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--
 RNA PROCESSINGFACTOR 3

RNA PROCESSINGFACTOR 3 is crucial for the accumulation of mature ccmC transcripts in mitochondria of Arabidopsis thaliana accession Columbia.   Jonietz C, Forner J, Hildebrandt T, Binder S.   Plant Physiol. 2011 Aug 29. [Epub ahead of print]   PMID: 21875896

CTP:3-deoxy-D-manno-2-octulosonate cytidylyltransferase (CMP-KDO synthetase, CKS)

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  3-Deoxy-D-manno-2-octulosonic acid (KDO) 生合成に重要な酵素として、京都大の小林先生らによって研究されている。KDOは、rhamnogalacturonan II (RG-II) を構成する希少糖で、植物の細胞壁構築に必須の役割を果たしている。
変異遺伝子--
 CMP-KDO synthetase; CKS

Characterization of Arabidopsis CTP:3-deoxy-D-manno-2-octulosonate cytidylyltransferase (CMP-KDO synthetase), the enzyme that activates KDO during rhamnogalacturonan II biosynthesis.   Kobayashi M, Kouzu N, Inami A, Toyooka K, Konishi Y, Matsuoka K, Matoh T.   Plant Cell Physiol. 2011 Sep 4. [Epub ahead of print]   PMID: 21893514

注目すべきこととして、この酵素 CKS がミトコンドリアに局在することが見いだされた。CMP-KDO synthetase に T-DNA が挿入された植物個体を得ることはできなかった。

RETARDED ROOT GROWTH

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--
 

The Arabidopsis RETARDED ROOT GROWTH gene encodes a mitochondria-localized protein that is required for cell division in the root meristem.   Zhou X, Li Q, Chen X, Liu J, Zhang Q, Liu Y, Xu J, Liu K.   Plant Physiol. 2011 Oct 7. [Epub ahead of print]   PMID: 21984726

COG0354 proteins

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--
 

Mitochondrial and plastidial COG0354 proteins have folate-dependent functions in iron-sulfur cluster metabolism.   Waller JC, Ellens KW, Alvarez S, Loizeau K, Ravanel S, Hanson AD.   J Exp Bot. 2011 Oct 6. PMID: 21984653

PORR domain protein (WTF9 など)

WTF9 is encoded by Arabidopsis locus At2g39120.

PORR は Plant Organelle RNA Recognition の略称である。NCBI のデータベースで、以下のように解説されている。   https://www.ncbi.nlm.nih.gov/Structure/cdd/wrpsb.cgi?RID=6RC3NK5J013&mode=all



PORR ドメインをもつタンパク質は多数存在する。

A PORR domain protein required for rpl2 and ccmF(C) intron splicing and for the biogenesis of c-type cytochromes in Arabidopsis mitochondria.   Colas des Francs-Small C, Kroeger T, Zmudjak M, Ostersetzer-Biran O, Rahimi N, Small I, Barkan A.   Plant J. 2011 Nov 7. doi: 10.1111/j.1365-313X.2011.04849.x. [Epub ahead of print]   PMID: 22060106 C 型シトクロム生合成に必要

	
Root Primordium Defective 1 Encodes an Essential PORR Protein Required for the Splicing of Mitochondria Encoded Group II Introns and for Respiratory Complex I Biogenesis.   Edris R, Sultan LD, Best C, Mizrahi R, Weinstein O, Chen S, Kamennaya NA, Keren N, Zer H, Zhu H, Ostersetzer-Biran O.   Plant Cell Physiol. 2023 Sep 13:pcad101. doi: 10.1093/pcp/pcad101. Online ahead of print. PMID: 37702436

Lon1 protease

Changes in specific protein degradation rates in Arabidopsis thaliana reveal multiple roles of Lon1 in mitochondrial protein homeostasis.   Li L, Nelson C, Fenske R, Trosch J, Pru?inska A, Millar AH, Huang S.   Plant J. 2017 Feb;89(3):458-471. doi: 10.1111/tpj.13392. Epub 2017 Jan 7.   PMID: 27726214

Loss of Lon1 in Arabidopsis changes the mitochondrial proteome leading to altered metabolite profiles and growth retardation without an accumulation of oxidative damage.   Solheim C, Li L, Hatzopoulos P, Millar AH.   Plant Physiol. 2012 Nov;160(3):1187-203. doi: 10.1104/pp.112.203711.    PMID: 22968828

Mitochondrial Lon1 has a role in homeostasis of the mitochondrial ribosome and pentatricopeptide repeat proteins in plants.   Li L, Millar AH, Huang S.   Plant Signal Behav. 2017 Feb;12(2):e1276686. doi: 10.1080/15592324.2016.1276686.   PMID: 28045582

Role of Lon1 protease in post-germinative growth and maintenance of mitochondrial function in Arabidopsis thaliana.   Rigas S, Daras G, Laxa M, Marathias N, Fasseas C, Sweetlove LJ, Hatzopoulos P.   New Phytol. 2009;181(3):588-600. doi: 10.1111/j.1469-8137.2008.02701.x.    PMID: 19076295

AtOMA1 これもプロテアーゼ

AtOMA1 Affects the OXPHOS System and Plant Growth in Contrast to Other Newly Identified ATP-Independent Proteases in Arabidopsis Mitochondria.   Migdal I, Skibior-Blaszczyk R, Heidorn-Czarna M, Kolodziejczak M, Garbiec A, Janska H.   Front Plant Sci. 2017 Sep 7;8:1543. doi: 10.3389/fpls.2017.01543. eCollection 2017.   PMID: 28936218

FtsH3/FtsH10 (m-AAA protease)

m-AAA Complexes are not Crucial for the Survival of Arabidopsis under Optimal Growth Conditions Despite their Importance for Mitochondrial Translation.   Kolodziejczak M, Skibior-Blaszczyk R, Janska H.   Plant Cell Physiol. 2018 Feb 15. doi: 10.1093/pcp/pcy041. [Epub ahead of print]   PMID: 29462458

AAA protease にはいくつかの種類がある。FtsH タンパク質はその一つである。AtFTSH3 and/or AtFTSH10 は proteolytic maturation of ribosomal subunit L32 に必要な因子だった。ftsh3/ftsh10 double mutant ではミトコンドリアの rRNA の量が減少する (Fig. 2C)。芽生えの時期は生育が少し遅い (Fig. 6A) がその後野生型との差は小さくなる。芽生えの時期に30度で育成すると根の伸長が悪い (Fig. 6B)。ftsh3/ftsh10 の欠損に適応する応答として lon protease, FtsH4 protease の mRNA 蓄積量が2倍くらいに増加している (Fig. 7)。

The mitochondrial AAA protease FTSH3 regulates Complex I abundance by promoting its disassembly.   Ivanova A, Ghifari AS, Berkowitz O, Whelan J, Murcha MW. Plant Physiol. 2021 May 27;186(1):599-610. doi: 10.1093/plphys/kiab074. PMID: 33616659

AtFtsH4

FtsH4 はミトコンドリアで働くプロテアーゼをコードする遺伝子である。 この遺伝子が変異することによる様々なフェノタイプを元にして、多数のグループが独立に変異体を見いだしている。なぜ多様なフェノタイプが出るのかはわからない。社会的に意味がある、役に立つことは特にないのであまり価値はない。

FTSH4 の一次的、直接の働きに関する論文が出版された。

FTSH4 and OMA1 mitochondrial proteases reduce moderate heat stress-induced protein aggregation.   Maziak A, Heidorn-Czarna M, Weremczuk A, Janska H. Plant Physiol. 2021 Oct 5;187(2):769-786. doi: 10.1093/plphys/kiab296. PMID: 34608962

FTSH4 は、熱ストレスで変性、不溶化したミトコンドリアタンパク質(主に HSP23.6 という低分子量熱ショックタンパク質・複合体 I のサブユニットも含む)を分解することで、長期の温和な高温ストレスに対する適応に役立っている。HSP23.6 は  Mitochondrial small heat shock protein mediates seed germination via thermal sensing.   Ma W など   Proc Natl Acad Sci U S A. 2019 Feb 14. pii: 201815790. doi: 10.1073/pnas.1815790116. [Epub ahead of print]   PMID: 30765516  という論文にも出てくる。

この論文には「complex I is the most heat-sensitive among the OXPHOS complexes (Downs and Heckathorn, 1998)」と書かれている。Supplemental Figure S1. に WT や ftsh4 変異体を30℃と22℃で育成し、温度による遺伝子発現の変化を調べたデータがある。調べた遺伝子の種類は少ない。

Fig. 3 を見ると ftsh4 ではミトコンドリア画分に含まれる CytC タンパク質の蓄積量が野生型よりも少ない。これは22℃でも30℃でも同じで、30℃の方がもっと少なくなっている。Hsp23.5, 23.6 のタンパク質蓄積量は30℃で大きく増加している。

上に書いた論文と一致する報告が以前から出ている。

Lack of FTSH4 Protease Affects Protein Carbonylation, Mitochondrial Morphology, and Phospholipid Content in Mitochondria of Arabidopsis: New Insights into a Complex Interplay.   Smakowska E, Skibior-Blaszczyk R, Czarna M, Kolodziejczak M, Kwasniak-Owczarek M, Parys K, Funk C, Janska H.   Plant Physiol. 2016 Aug;171(4):2516-35. doi: 10.1104/pp.16.00370. Epub 2016 Jun 13.   PMID: 27297677    ftsh4 変異体の芽生えは、長日、22度という条件で育成すると野生型との違いは見られずに正常に生育する。しかし30度にすると生育が悪くなる。そのときミトコンドリア電子伝達系複合体 I の活性が低下している。それと同時に活性酸素が生成してタンパク質のカルボニル化(酸化)が起きる。

後は、二次的・間接的な効果なので分析や解釈がしにくい。たとえ興味深くても研究テーマにはしない方がよいらしい。

分裂組織の正常な増殖に必須   Impairment of Meristem Proliferation in Plants Lacking the Mitochondrial Protease AtFTSH4.   Dolzblasz A, Gola EM, Sokołowska K, Smakowska-Luzan E, Twardawska A, Janska H.    Int J Mol Sci. 2018 Mar 14;19(3). pii: E853. doi: 10.3390/ijms19030853.   PMID: 29538317

以前から、FtsH4 とオーキシンの関係が指摘されていた。

Perturbation of auxin homeostasis caused by mitochondrial FtSH4 gene-mediated peroxidase accumulation regulates arabidopsis architecture.   Zhang S, Wu J, Yuan D, Zhang D, Huang Z, Xiao L, Yang C.   Mol Plant. 2014 May;7(5):856-73. doi: 10.1093/mp/ssu006. Epub 2014 Jan 30.   PMID: 24482432    著者らは mas (More Axillary Shoots) というフェノタイプを元に、この変異体を単離した。芽生えでは正常だが、ロゼット葉は成長が止まり、began to become curly カールするようになった。葉の形態の変化が観測されている。このカールは他のミトコンドリアの機能変異体でも見られる。

AtFtsH4 perturbs the mitochondrial respiratory chain complexes and auxin homeostasis in Arabidopsis.   Zhang S, ZHang D, Yang C.   Plant Signal Behav. 2014 Jul 25;9. pii: e29709. [Epub ahead of print]   PMID: 25061946   これらの論文もミトコンドリアとオーキシンの関係を示しているが、タイプが異なる。 この変異体では、芽生えの段階では正常で、ロゼット、抽苔した後の成長が悪い。その段階で、IAA の量が半分以下になっている。同時にペルオキシダーゼの活性が高くなっている。 ペルオキシダーゼは IAA を不活性化することが知られている。そのときに必要な過酸化水素が、ミトコンドリアから供給されると著者たちは考えている。 FtsH4 変異によって、ミトコンドリアからの過酸化水素の量が増加していると推定している。測定もしていて (Fig. 7C)、生育後期になるほど変異体の方が多い。

Right Place Right Time: Heterogeneity-Driven Organ Geometry.   Scorza LC, Nakayama N.   Dev Cell. 2016 Jul 11;38(1):5-7. doi: 10.1016/j.devcel.2016.06.026.   PMID: 27404352   Scorza らの解説では、ミトコンドリア複合体I機能変異体ではオーキシン生合成遺伝子である YUCCA の発現量が減る、また活性酸素によっても同じく YUCCA の発現量が減ることが紹介されている。

The J-protein AtDjB1 is required for mitochondrial complex I activity and regulates growth and development through ROS-mediated auxin signalling.   Jia N, Lv TT, Li MX, Wei SS, Li YY, Zhao CL, Li B.   J Exp Bot. 2016 Apr 25. pii: erw171. [Epub ahead of print]   PMID: 27117341   活性酸素が直接働く仕組みとして細胞壁のクロスリンクを促進して成長を阻害する可能性が挙げられている。また直接働くだけでなく、オーキシンなどのホルモンを通じて間接的に作用していると推測されている。

オーキシンと関係ない FTSH4 の論文もある。 The lack of mitochondrial AtFtsH4 protease alters Arabidopsis leaf morphology at the late stage of rosette development under short-day photoperiod.   Gibala M, Kicia M, Sakamoto W, Gola EM, Kubrakiewicz J, Smakowska E, Janska H.   Plant J. 2009 Sep;59(5):685-99. doi: 10.1111/j.1365-313X.2009.03907.x.   PMID: 19453455   この論文は、葉の形態の変化と FTSH4 の関係を示している。

ftsh4-1 が、SALK_035107   ftsh4-2 が、GABI_103H09   ftsh4-3 が、SAIL_1283_F10

The plant i-AAA protease controls the turnover of an essential mitochondrial protein import component.   Opalinska M, Parys K, Murcha MW, Janska H.   J Cell Sci. 2017 Mar 6. pii: jcs.200733. doi: 10.1242/jcs.200733.   PMID: 28264925   FtSH4 プロテアーゼが欠失することで、TIM 17 というタンパク質輸入装置が安定化し、働きやすくなる。それによって間接的にいくつかのミトコンドリアマトリックスに存在するタンパク質の輸入が起きやすくなる。

サリチル酸との関係も示された。葉のセネッセンスとの関係を示していることで、「病気の植物の研究なんか意味がない」と評されずに済んだのだろう。   The mitochondrial protease FtSH4 regulates leaf senescence via WRKY-dependent salicylic acid signal.   Zhang S, Li C, Wang R, Chen Y, Shu S, Huang R, Zhang D, Xiao S, Yao N, Li J, Yang C.   Plant Physiol. 2017 Mar 1. pii: pp.00008.2017. doi: 10.1104/pp.16.00008.   PMID: 28250067

Table 1, 2 にSA 量を測定した結果がある。遊離型 SA は約二倍、配糖体化したものを合わせた Total SA は5倍に増えている。WRKY75 という転写因子が働かなくなると、SA は増加しなくなる。PR1 遺伝子、sid2 遺伝子などの mRNA 量が増加している。 Fig. 10 にメカニズムを推理した図がある。FTSH4 はミトコンドリア膜に存在する何らかの複合体に作用する。作用(プロテアーゼ)がなくなると活性酸素が大量に発生して、WRKY 転写因子が働いてサリチル酸が多く合成される。

Identification of Physiological Substrates and Binding Partners of the Plant Mitochondrial Protease FTSH4 by the Trapping Approach.   Opalińska M, Parys K, Jańska H.   Int J Mol Sci. 2017 Nov 18;18(11). pii: E2455. doi: 10.3390/ijms18112455.   PMID: 29156584    この論文では FTSH4 のターゲットになるタンパク質を同定している。proteolytically inactive FTSH4 に TRAPFLAG をつけて、copurify されるタンパク質を濃縮している。 代謝酵素である SDH (複合体 II)、タンパク質輸送因子などが濃縮されている。CytC タンパク質は ftsh4 で影響を受けない。電子伝達系複合体は出てきていない。膜タンパク質は不溶化しやすいので分析が難しい。

Targeted Proteomics Approach Toward Understanding the Role of the Mitochondrial Protease FTSH4 in the Biogenesis of OXPHOS During Arabidopsis Seed Germination.   Heidorn-Czarna M, Domanski D, Kwasniak-Owczarek M, Janska H.   Front Plant Sci. 2018 Jun 15;9:821. doi: 10.3389/fpls.2018.00821. eCollection 2018.   PMID: 29963070    では、ミトコンドリアの複合体のプロテオーム解析を行っている。普通サンプルからミトコンドリアを単離してプロテオーム解析を行うが、シロイヌナズナで様々な変異体からミトコンドリアを単離するのはとても難しい。この研究では発芽中の種子を用いて Multiple reaction monitoring (MRM) という方法で分析している。この方法を用いることで、ftsh4 変異体と野生型のミトコンドリアタンパク質の量を比較することに成功している。

呼吸鎖複合体タンパク質の量は ftsh4 変異によってあまり変化していない・やや減る傾向がある (Fig. 8)。AOX タンパク質は予想されるように ftsh4 変異体で大きく増加している (Fig. 8, 9)。呼吸量も Cytochrome シトクロム C を用いる経路は減少し、AOX 経路は増加している (Fig. 11)。FTSH4 は SDH (複合体 II)に作用していると推定している (Fig. 12)。SDH はサリチル酸と関係があると報告されている。


2016年に、FTSH4 が mutants with irregular sepal geometry (vos1) の原因遺伝子であることが論文として発表された。Sepal 萼片 が不均一な成長をする。   

Variable Cell Growth Yields Reproducible OrganDevelopment through Spatiotemporal Averaging.   Hong L, Dumond M, Tsugawa S, Sapala A, Routier-Kierzkowska AL, Zhou Y, Chen C, Kiss A, Zhu M, Hamant O, Smith RS, Komatsuzaki T, Li CB, Boudaoud A, Roeder AH.   Dev Cell. 2016 Jul 11;38(1):15-32. doi: 10.1016/j.devcel.2016.06.016.   PMID: 27404356   活性酸素の生成量の時間、空間的 spatiotemporal な制御がうまくいかないようになることが原因らしい。

Fig.6 D, E に活性酸素(superoxide)を NBT 染色した写真がある。正常な状態では活性酸素は萼片の頂端の方で作られ、根元の方へ拡散していくように見える。ftsh4 変異体では、萼片全体で活性酸素が作られて均一に近くなっている。そのせいで萼片の形状が不規則になる。 この結果は、萼片の先端 tip は特別な部分で、ここでは活性酸素 ROS が他の部位と異なり大量に作られていることを示唆している。

この論文では、「時空間的ランダムモデル」を採用することで、ミクロな細胞レベルの時間的・空間的なランダム性がマクロな器官の形態の平均化につながることを明らかにしている。攪乱、ノイズが空間的に一様(ノイズが入る場所が時間的にシャッフルされることでどの場所にも公平にノイズが入る)に入ることで、平均を取るとキャンセルされてしまう。攪乱の原因としては成長の時間変動、隣の細胞との衝突が考えられている。https://www.hokudai.ac.jp/news/160712_es_pr.pdf   http://first.lifesciencedb.jp/archives/12797    元の論文の Fig. S1 を見ると、cauline leaves (茎につく葉)も形がゆがみやすいという写真がある。

The lack of mitochondrial AtFtsH4 protease alters Arabidopsis leaf morphology at the late stage of rosette development under short-day photoperiod.   Gibala M, Kicia M, Sakamoto W, Gola EM, Kubrakiewicz J, Smakowska E, Janska H.   Plant J. 2009 Sep;59(5):685-99. doi: 10.1111/j.1365-313X.2009.03907.x.   PMID: 19453455   でも、FTSH4 と葉の形態の変化の関係が示されている。こちらの方が出版が早い。ftsh4 (vos1) 変異体の花器官の写真がある。器官発達(マクロなレベル)のばらつき・分散がとても大きい。ftsh4 (vos1) 変異体の方が細胞一つ(ミクロなレベル)の成長の不均一性が小さいことを示したグラフがある。 大切なことは、「ミクロなレベルでばらつきが大きいことが、マクロなレベルでは逆に均一性につながることがある」ということだそうである。 時間的・空間的の両方でランダムであることが必要だ(時空間ランダムモデル)ということが示されている。

葉という具体的なものを少し一般化して、電光掲示板だと考えてみる。特殊なランプを使っていて、ランプは少しずつ拡大していく。点灯しているとその間ランプの拡大する速度が大きくなる。そうすると、空間ランダムモデルは、電光掲示板のいくつかのランプ(それらはランダムに選ばれる)が点灯していて、それらはつきっぱなしで変化がない。それではランプの部分だけがどんどん拡大して左右対称などの規則正しい形状を取りにくい。時空間ランダムモデルでは、ランプはランダムに選ばれるだけでなくランダムについたり消えたりするので、時間的な平均を取ると、電光掲示板のそれぞれのランプが点灯する時間が一様になる。空間的にも、どの場所においても点灯する時間の期待値が一様になる。これは気体分子が箱の内部を運動しているのと似ていて、箱のどの場所も同じ確率で分子は通過するので箱の内部に気体分子の偏りはない。

ランプ=ミトコンドリア で、点灯したランプ=活性化したミトコンドリア: 活性化するとそのミトコンドリアを含む細胞は急速に拡大する。 しかし同時にミトコンドリアからの活性酸素の生成も増大して、それは拡大成長を抑える・止めるように働く。 ftsh4 のミトコンドリアはいつも同じ活性で、平均化によって修正できないので全体で見ると形態が一定にならない?

一枚の葉でも、光合成は葉全体に均一に起きるのではなく、特にストレスがかかった際には不均一になることが、東大の寺島先生の研究によって明らかにされている。   http://www.biol.s.u-tokyo.ac.jp/users/seitaipl/personal/terashima/terashima_j.html   の図8   アブシジン酸処理をすると気孔が閉鎖するが、全部一様に閉まるわけではないらしい。 そのせいで、葉脈に囲まれた区画ごとに光合成によるデンプン合成速度にばらつきが生じる。 そのことがヨウ素デンプン反応で示されている。不均一さを考えに入れないと、光合成に関して間違った測定をしてしまうことが指摘されている。 気孔の開閉は普通「明るいと開いて暗いと閉じる」とか、「ストレスを受けると閉じる」とか、不均一性を考えないことが多い。 気孔の場合も、閉じる場所が不均一でもランダムに変化することで不均一さが均されていき葉全体で見ると状態が平均化されるのかもしれない。気孔の動きのランダムさがうまく測定できれば面白いかもしれない。気孔というものはバルブにたとえることができる。しかしそれほど性能はよくなく一様にピタリと閉じるわけではないのかもしれない。空間的にランダムに閉じる気孔が選ばれ、時間的にランダムにそれが元に戻ることで全体で見れば気孔の性能がよくなくても均一に近くなるのかもしれない。しかし「気孔の動きには高いランダムさがある」ということを示した報告は寺島先生を除けば見たことがない。

葉に存在する気孔のバルブとしての性能を上げるには、それだけ多くの資源を気孔形成と開閉の制御に割り当てないといけない。それによる見返りがないのなら投入した資源が無駄になってしまう。一つ一つの気孔の性能は余りよくなくても、時間的・空間的にランダムに動く性質を持たせることで葉全体としては十分な性能を持たせられるのなら、その方が有利だろう。モデルを考えることによってこういうことを実証できるのなら、社会的に意味があるだろう。

経済学者の加藤創太先生が「陪審員定理」という、コンドルセという学者・政治家が考えた定理について紹介されていた。二つある選択肢の内、一方だけが正解とする。気孔は「開く」と「閉じる」の二つの選択肢がある(少しだけ開いているのは考えないことにする)。前提条件として ・各投票者(気孔)が正解である選択肢を選ぶ確率が50%以上ある ・各投票者(気孔)がお互いに独立して正解の方を選ぼうとする場合、投票者(気孔)の数が増えれば増えるほど、多数決の結果が 100% 正解に近づくことを数理的に示せるそうである。「大学院で最初に証明させられる基本定理」と書かれている。一つずつの気孔はかなりいい加減でも、それぞれが独立して正解を選ぼうとしていれば、性能を上げることができるのかもしれない。しかし気孔からの蒸散量は多数決(しきい値との比較)で決まるわけではないので関係ないかもしれない。

活性酸素は葉緑体内でも作られるし、その方がずっと多いのではないか。 なぜ ftsh4 は vos1 として単離できるほど、形作りに関する表現型が強くなったのか。

植物の葉において、拡散方程式を用いた研究成果がある。    The mechanism of cell cycle arrest front progression explained by a KLUH/CYP78A5-dependent mobile growth factor in developing leaves of Arabidopsis thaliana.   Kazama T, Ichihashi Y, Murata S, Tsukaya H.   Plant Cell Physiol. 2010 Jun;51(6):1046-54.    PMID: 20395288    植物の葉の発生時に生じる arrest front に関して実験的、数理的な解析を組み合わせて研究した、風間博士のすばらしい研究   遺伝子組換えと時系列の画像処理を組み合わせることで、拡散方程式のパラメーターを求めることを可能にしている。 風間博士らの研究では葉の根元で未同定の因子が合成され葉の先端方向へ拡散する。

KLU/CYP78A5 遺伝子は組織表面のクチクラ生合成に働いていることが解明された。    Front. Plant Sci., 23 June 2022 https://doi.org/10.3389/fpls.2022.904121    KLU/CYP78A5, a Cytochrome P450 Monooxygenase Identified via Fox Hunting, Contributes to Cuticle Biosynthesis and Improves Various Abiotic Stress Tolerances   Takuma Kajino, Masahiro Yamaguchi, Yoshimi Oshim2, Akiyoshi Nakamura, Jumpei Narushima, Yukio Yaguchi, Izumi Yotsui, Yoici Yotsui, Yoichi Sakata and Teruaki Taji*  

これもミトコンドリア FtsH プロテアーゼ

NEEDLE1 encodes a mitochondria localized ATP-dependent metalloprotease required for thermotolerant maize growth.   Liu Q, Galli M, Liu X, Federici S, Buck A, Cody J, Labra M, Gallavotti A.   Proc Natl Acad Sci U S A. 2019 Sep 24;116(39):19736-19742. doi: 10.1073/pnas.1907071116. Epub 2019 Sep 9.   PMID: 31501327

植物には複数の FtsH 型プロテアーゼがある。NEEDLE1 はシロイヌナズナの FtsH10, FtsH3 と相同性が高い。シロイヌナズナの Atftsh3;Atftsh10 double mutant は高温ストレスで根の伸長が強く阻害されるが、花序の形態などには全く変化がないことが記載されている。

SSR1 オーキシン極性移動と関係あるミトコンドリア局在タンパク質

A tetratricopeptide repeat domain-containing protein SSR1 located in mitochondria is involved in root development and auxin polar transport in Arabidopsis.   Zhang M, Wang C, Lin Q, Liu A, Wang T, Feng X, Liu J, Han H, Ma Y, Bonea D, Zhao R, Hua X.   Plant J. 2015 Aug;83(4):582-99. doi: 10.1111/tpj.12911. Epub 2015 Jul 4.   PMID: 26072661

ミトコンドリアとオーキシンの関連を推測している。多くの論文と同じように活性酸素が関与していることにしている。

この論文で、こういう論文が引用されていた。AOX1a は有名なミトコンドリア Alternative oxidase をコードする遺伝子で、様々なストレスで発現、タンパク量が上昇する。 ミトコンドリア機能変異体でも発現、タンパク量が上昇することが多い。

A Functional Antagonistic Relationship between Auxin and Mitochondrial Retrograde Signaling Regulates Alternative Oxidase1a Expression in Arabidopsis.   Ivanova A, Law SR, Narsai R, Duncan O, Lee JH, Zhang B, Van Aken O, Radomiljac JD, van der Merwe M, Yi K, Whelan J.   Plant Physiol. 2014 May 12;165(3):1233-1254.  PMID: 24820025

SSR1 の別の機能を示す論文もあった。   SSR1 is involved in maintaining the function of mitochondria electron transport chain and iron homeostasis upon proline treatment in Arabidopsis.    Han HL, Liu J, Feng XJ, Zhang M, Lin QF, Wang T, Qi SL, Xu T, Hua XJ.   J Plant Physiol. 2020 Nov 24;256:153325. doi: 10.1016/j.jplph.2020.153325.    PMID: 33271443

AtDjB1 (AtJ1)

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
  
変異遺伝子--
 J-protein の一種 植物特有のタンパク質 ミトコンドリアに局在する 「directly interact with a mitochondrial heat-shock protein 70 (mtHSC70-1), and stimulate ATPase activity 」と記載されている。

The Arabidopsis J-protein AtDjB1 facilitates thermotolerance by protecting cells against heat-induced oxidative damage.   Zhou W, Zhou T, Li MX, Zhao CL, Jia N, Wang XX, Sun YZ, Li GL, Xu M, Zhou RG, Li B.   New Phytol. 2012 Feb 22. doi: 10.1111/j.1469-8137.2012.04070.x. [Epub ahead of print]   PMID: 22356282

atj1-1 が SALK_049553 強い変異(ノックアウト) atj1-4 が SALK_065970(少し弱い)

The Arabidopsis J protein AtJ1 is essential for seedling growth, flowering time control and ABA response   Plant Cell Physiol. 2014 Dec;55(12):2152-63.   doi: 10.1093/pcp/pcu145. Epub 2014 Oct 13.   Min Young Park, Soo Young Kim   PMID: 25311198

ABA 感受性が高くなるだけでなく、花成のタイミングが遅くなる。FLC 遺伝子の発現量は2倍以上に高くなっていた。FT 遺伝子の発現量は大きく減少していた (Fig. 7)。発芽後の生育が遅くなるが最終的な生重量は変わらない。しかし種子の量は減る。

Knockout of AtDjB1, a J-domain protein from Arabidopsis thaliana, alters plant responses to osmotic stress and abscisic acid.   Wang X, Jia N, Zhao C, Fang Y, Lv T, Zhou W, Sun Y, Li B.   Physiol Plant. 2014 Oct;152(2):286-300. doi: 10.1111/ppl.12169. Epub 2014 Mar 11.   PMID: 24521401

この遺伝子も、オーキシンとの関連が報告されている。

The J-protein AtDjB1 is required for mitochondrial complex I activity and regulates growth and development through ROS-mediated auxin signalling.   Jia N, Lv TT, Li MX, Wei SS, Li YY, Zhao CL, Li B.   J Exp Bot. 2016 May;67(11):3481-96. doi: 10.1093/jxb/erw171. Epub 2016 Apr 25.   PMID: 27117341

PpPPR_43

植物種
Physcomitrella patens
見つけられた方法
  We constructed and characterized knockout mutants of the PpPPR_43 gene.
変異遺伝子--
 PpPPR_43、a mitochondrial localized PPR protein with a C-terminal DYW domain

A PPR-DYW protein is required for splicing of a group II intron of cox1 pre-mRNA in Physcomitrella patens Mizuho Ichinose, Eiji Tasaki, Chieko Sugita, Mamoru Sugita*   Article first published online: 10 JAN 2012 DOI: 10.1111/j.1365-313X.2011.04869.x

Physcomitrella patens の PPR タンパク質群については、名古屋大学の杉田先生のグループで研究が進められている。

Two DYW Subclass PPR Proteins are Involved in RNA Editing of ccmFc and atp9 Transcripts in the Moss Physcomitrella patens: First Complete Set of PPR Editing Factors in Plant Mitochondria.   Ichinose M, Sugita C, Yagi Y, Nakamura T, Sugita M.   Plant Cell Physiol. 2013 Oct 27. [Epub ahead of print]   PMID: 24058147

Multiple organellar RNA editing factor (MORF)

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
 EMS 変異種子ライブラリーを播種、育成する。それぞれの芽生えから RNA を抽出してDNA に変換し、editing を受ける部分と隣接するプライマーを用いて一塩基(edit される部位)の伸長反応を行う。電気泳動して取り込まれた塩基の種類を蛍光で検出する。一つの反応チューブに多数のプライマーを共存させ同時に反応、分析できるので、多数の editing sites を効率よくスクリーニングできる。 Screening with a multiplexed single-nucleotide extension protocol yielded a number of mutant plants that have lost detectable editing at specific sites.

変異遺伝子--
 MORF At4g20020 とそのファミリー これまで機能が全くわかっていなかったが、この研究によって明確になった。

Multiple organellar RNA editing factor (MORF) family proteins are required for RNA editing in mitochondria and plastids of plants.   Takenaka M, Zehrmann A, Verbitskiy D, Kugelmann M, Härtel B, Brennicke A.   Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Mar 27;109(13):5104-9. Epub 2012 Mar 12.   PMID: 22411807

MORF9 Functions in Plastid RNA Editing with Tissue Specificity.   Tian F, Yu J, Zhang Y, Xie Y, Wu B, Miao Y.   Int J Mol Sci. 2019 Sep 19;20(18). pii: E4635. doi: 10.3390/ijms20184635.   PMID: 31546885

MORF が植物の免疫機能(サリチル酸関連?)に影響を与えていることが示された。「NbMORF8, a negative regulator of plant immunity」と書かれている。ミトコンドリアと葉緑体のどちらにも局在する。ミトコンドリアに存在しやすいようにすると免疫機能が低下する。葉緑体に存在しやすいようにすると免疫機能が高まる。

Cytidine-to-Uridine RNA Editing Factor NbMORF8 Negatively Regulates Plant Immunity to Phytophthora Pathogens   Yang Yang, Guangjin Fan, Yan Zhao, Qujiang Wen, Peng Wu, Yuling Meng, Weixing Shan      Plant Physiol. 2020 Dec; 184(4): 2182–2198. Published online 2020 Sep 24. doi: 10.1104/pp.20.00458      PMCID: PMC7723075

ヘム、クロロフィル(テトラピロール類)の生合成は細胞機能の基盤の一つである。植物では葉緑体で行われている。それに MORF が働いていることが解明された。

Two chloroplast-localized MORF proteins act as chaperones to maintain tetrapyrrole biosynthesis.   Yuan J, Ma T, Ji S, Hedtke B, Grimm B, Lin R. New Phytol. 2022 May 26. doi: 10.1111/nph.18273. Online ahead of print. PMID: 35615903

MORFs はチオレドキシンで制御されている

Current Insights into the Redox Regulation Network in Plant Chloroplasts   Keisuke Yoshida, Toru Hisabori

この論文の Fig. 3 に、チオレドキシンによって制御される因子の一つとして MORFs が記載されている。

ミトコンドリアゲノムにコードされた ND4 を破壊したクラミドモナス

植物種
Chlamydomonas
見つけられた方法
 人為的なミトコンドリアゲノム遺伝子の置き換え   高等植物、動物ではできないが、クラミドモナスではミトコンドリアゲノムの人為的な設計通りの改変ができる。
抑制した遺伝子--
 ND4 (植物のNAD4)

Reconstruction of a human mitochondrial complex I mutation in the unicellular green alga Chlamydomonas.   Larosa V, Coosemans N, Motte P, Bonnefoy N, Remacle C.   Plant J. 2012 Jun;70(5):759-68. doi: 10.1111/j.1365-313X.2012.04912.x. Epub 2012 Mar 8.   PMID: 22268373

クラミドモナスのミトコンドリア関連変異体の総説

Respiratory-deficient mutants of the unicellular green alga Chlamydomonas: a review.   Salinas T, Larosa V, Cardol P, Marechal-Drouard L, Remacle C.   Biochimie. 2014 May;100:207-18. doi: 10.1016/j.biochi.2013.10.006. Epub 2013 Oct 15. Review.   PMID: 24139906

SIZ1

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
 SIZ1 は、酵母において SUMO 因子に対する E3 ligase として見いだされた。その後、植物でもリン欠乏、低温応答、サリチル酸応答、花成時期、ABI5 の制御、過剰な銅への応答などの多様な応答に関わっていることが次々と見いだされつつある。AtSIZ1 を不活化させると、アントシアニンの蓄積や主根の成長抑制などのリン酸飢餓状態の表現型を示すことが報告されている。

サリチル酸との関連: SIZ1 deficiency causes reduced stomatal aperture and enhanced drought tolerance via controlling salicylic acid-induced ROS accumulation in Arabidopsis.   Miura K, Okamoto H, Okuma E, Shiba H, Kamada H, Hasegawa PM, Murata Y.   Plant J. 2012 Sep 11. doi: 10.1111/tpj.12014. [Epub ahead of print]   PMID: 2296367

変異遺伝子--
 SIZ1 

Arabidopsis SIZ1 positively regulates alternative respiratory bypass pathways.   Park BS, Kim SI, Song JT, Seo HS.   BMB Rep. 2012 Jun;45(6):342-7.   PMID: 2273221

SIZ1 の新しい機能として、ミトコンドリアの代替オキシダーゼ遺伝子の発現調節が見いだされた。それはSIZ1 による炭素、窒素代謝の変化を主な原因とした間接的なものらしい。C/N バランスは非常に重要で、代替オキシダーゼ遺伝子はそれのアンバランスにより起きる状態変化によるダメージを回避するために働いているらしい。

Alternative Oxidase Is Positive for Plant Performance.   Selinski J, Scheibe R, Day DA, Whelan J.   Trends Plant Sci. 2018 Apr 14. pii: S1360-1385(18)30080-3. doi: 10.1016/j.tplants.2018.03.012. [Epub ahead of print] Review.   PMID: 29665989

ミトコンドリア関連変異体ではミトコンドリアの代替オキシダーゼ遺伝子の発現が変化することがとても多い。もしかしたらそれらも、炭素、窒素代謝の変化を主な原因とした間接的な仕組みで変化が起きていることがあるのかもしれない。

植物の場合、炭素/窒素(硝酸イオンの場合)比率は、NADH/NAD+ の比率として表現されうる可能性がある。糖が解糖系で代謝されるとNADH が増える。硝酸イオンが NR で同化される際にNADH が消費される。しかしそれが細胞内で重要な因子として働いていることを確かな証拠で示すのは難しい。

Alternative oxidase の発現制御については、以下のような論文がある。   The transcription factor ABI4 is a regulator of mitochondrial retrograde expression of ALTERNATIVE OXIDASE1a.   Giraud E, Van Aken O, Ho LH, Whelan J.   Plant Physiol. 2009 Jul;150(3):1286-96. Epub 2009 May 29.   PMID: 19482916   Fig.6 では、ABI4 が AOX1a の発現を、LHCB と同時に抑えるように書いてある。しかし公開されているマイクロアレイ実験データでは、プラスチドシグナルを与える処理をすると(GUN1, ABI4 が働く)LHCB はよく知られているように発現抑制される(この場合 ABI4 はリプレッサー)が、AOX1a は逆に発現誘導されている。プラスチドシグナルでは、ミトコンドリア異常シグナルと異なる制御を受けることになる。

窒素欠乏による窒素代謝の変化と、ABI4 に関係があることは他の論文でも示されている。   ABI4 activates DGAT1 expression in Arabidopsis seedlings during nitrogen deficiency.   Yang Y, Yu X, Song L, An C.   Plant Physiol. 2011 Jun;156(2):873-83. Epub 2011 Apr 22.   PMID: 21515696   

窒素欠乏は、C/N バランスという観点から見ると「炭素過剰」と考えることができる。炭素過剰は、糖シグナルを誘発する。糖シグナルと ABI4 に深い関係があることは確立されている。

Ammonium-mediated reduction in salicylic acid content and recovery of plant growth in Arabidopsis siz1 mutants is modulated by NDR1 and NPR1.    Kim JY, Song JT, Seo HS.   Plant Signal Behav. 2021 May 14:1928819.   doi:10.1080/15592324.2021.1928819.    PMID: 33989128

RAD52-like single-stranded DNA binding protein

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
 
変異遺伝子--
  

A RAD52-like single-stranded DNA binding protein affects mitochondrial DNA repair by recombination.   Janicka S, Kühn K, Le Ret M, Bonnard G, Imbault P, Augustyniak H, Gualberto JM.   Plant J. 2012 Jul 4. doi: 10.1111/j.1365-313X.2012.05097.x.    PMID: 22762281

これも PPR タンパク質

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
 
変異遺伝子--
  

An Essential Pentatricopeptide Repeat Protein Facilitates 5’ Maturation and Translation Initiation of rps3 mRNA in Maize Mitochondria.   Manavski N, Guyon V, Meurer J, Wienand U, Brettschneider R.   Plant Cell. 2012 Jul 6.    PMID: 22773745

MPR25

植物種
Oryza sativa
見つけられた方法
 Tos17 による挿入変異体 
変異遺伝子--PPR protein の一種 MPR25
 葉の色が薄くなる 生育が悪くなる NAD5 mRNA の editing が変化

第52回植物生理学会要旨集 3pH03 戸田博士らのグループ

Rice MPR25 encodes a pentatricopeptide repeat protein and is essential for RNA editing of nad5 transcripts in mitochondria.   Toda T, Fujii S, Noguchi K, Kazama T, Toriyama K.   Plant J. 2012 Jul 2. doi: 10.1111/j.1365-313X.2012.05091.x.    PMID: 22747551

ミトコンドリア局在型 alkaline/neutral invertase isoform (A/N-InvC)

変異遺伝子--At g   
 

A mitochondrial alkaline/neutral invertase isoform (A/N-InvC) functions in developmental energy-demanding processes in Arabidopsis.   Martin ML, Lechner L, Zabaleta EJ, Salerno GL.   Planta. 2012 Nov 8.   PMID: 23135328

The riddle of mitochondrial alkaline/neutral invertases: A novel Arabidopsis isoform mainly present in reproductive tissues and involved in root ROS production.   Battaglia ME, Martin MV, Lechner L, Martinez-Noel GMA, Salerno GL.   PLoS One. 2017 Sep 25;12(9):e0185286. doi: 10.1371/journal.pone.0185286   PMID: 28945799

PNM1

変異遺伝子--At g   
 

An Arabidopsis dual-localized pentatricopeptide repeat protein interacts with nuclear proteins involved in gene expression regulation.   Hammani K, Gobert A, Hleibieh K, Choulier L, Small I, Giegé P.   Plant Cell. 2011 Feb;23(2):730-40. Epub 2011 Feb 4.   PMID: 21297037

この因子は、核とミトコンドリアの両方に局在する。ミトコンドリアシグナルを核に伝える因子の一つとして注目されている。上の論文の著者らによる解説が公開されている。ミトコンドリアタンパク質をコードする遺伝子のプロモーター部分には site II elements という配列が高頻度で存在する。そこには TCP transcription factor というタイプの転写因子が作用する。PNM1 と TCP8 が結合することで制御されるという想像図が描かれている。site II elements をもつミトコンドリア関連遺伝子に関しては、PNM1 が重要な働きをしているのだろう。

A PPR protein involved in regulating nuclear genes encoding mitochondrial proteins?   Hammani K, Gobert A, Small I, Giegé P.   Plant Signal Behav. 2011 May;6(5):748-50. Epub 2011 May 1.   PMID: 21455023

理化学研究所の濱崎、Kumar 博士らによって TIM21, TIM50 の研究が行われている。それらの変異が PMN1タンパク質の輸送に影響を与える可能性も考えられる。

他の PPRタンパク質や nuclear-encoded maturase にも dual-localized なものがあるのかもしれないが、発現量が低かったりしてそのことを示すのが難しいのかもしれない。

Organellar DNA polymerase IB mutants

変異遺伝子--Organellar DNA polymerase IB
   

Arabidopsis thaliana organellar DNA polymerase IB mutants exhibit reduced mtDNA levels with a decrease in mitochondrial area density.   Cupp JD, Nielsen BL.   Physiol Plant. 2012 Nov 21. doi: 10.1111/ppl.12009. [Epub ahead of print]   PMID: 23167278

nonresponding to oxylipins (noxy) mutants

Defense Activated by 9-Lipoxygenase-Derived Oxylipins Requires Specific Mitochondrial Proteins.   Vellosillo T, Aguilera V, Marcos R, Bartsch M, Vicente J, Cascón T, Hamberg M, Castresana C.   Plant Physiol. 2013 Feb;161(2):617-627. Epub 2012 Dec 12.   PMID: 23370715

オキシリピン(脂質分解物で、エリシター的な働きをする分子群)の研究の一環として、 insensitive to the 9-LOX product 9-hydroxy-10,12,15-octadecatrienoic acid (9-HOT) 変異体を多数単離している。 それらの多くは、セルロース合成阻害作用を示す除草剤であるイソキサベン感受性が低下していた。 noxy 変異体のいくつかは、ミトコンドリアと関連する変異を保持していた。 9-HOT 自体も、ミトコンドリアの凝集と膜電位の低下を引き起こした。

イソキサベン感受性の低下は、私が調べている css1 変異体  でも見られる。

2021 年になって、noxy mutant を用いた論文が発表された。これまでよく知られているオキシリピンの作用とは異なる、ミトコンドリアの複合体 III が関与する、ミトコンドリアからの活性酸素 ROS 生成を増加させる作用が示された。

Front. Plant Sci., 29 July 2021 | https://doi.org/10.3389/fpls.2021.705373    Oxylipins From Different Pathways Trigger Mitochondrial Stress Signaling Through Respiratory Complex III

noxy38 = Clustered mitochondria protein homolog = FRIENDLY MITOCHONDRIA

non responding to oxylipins 38 At3g52140

Autophagy Contributes to the Quality Control of Leaf Mitochondria   Plant Cell Physiol. 2021 May 11;62(2):229-247. doi: 10.1093/pcp/pcaa162.   Sakuya Nakamura など   PMID: 33355344 PMCID: PMC8112837

WRKY15

AtWRKY15 perturbation abolishes the mitochondrial stress response that steers osmotic stress tolerance in Arabidopsis.   Vanderauwera S, Vandenbroucke K, Inzé A, van de Cotte B, Mühlenbock P, De Rycke R, Naouar N, Van Gaever T, Van Montagu MC, Van Breusegem F.   Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Dec 4;109(49):20113-8. doi: 10.1073/pnas.1217516109. Epub 2012 Nov 19.   PMID: 23169634

WRKY 因子とミトコンドリアの関連を示した論文は、他にもある。

AtWRKY40 and AtWRKY63 modulate the expression of stress responsive nuclear genes encoding mitochondrial and chloroplast proteins.   Van Aken O, Zhang B, Law S, Narsai R, Whelan J.   Plant Physiol. 2013 Mar 18. PMID: 23509177

RNA PROCESSING FACTOR 5

RNA PROCESSING FACTOR 5 is required for efficient 5′ cleavage at a processing site conserved in RNAs of three different mitochondrial genes in Arabidopsis thaliana   Aron Hauler, Christian Jonietz, Birgit Stoll, Katrin Stoll, Hans‐Peter Braun and Stefan Binder   Accepted manuscript online: 8 FEB 2013 07:41AM EST | DOI: 10.1111/tpj.12143

LETM proteins

LETM proteins play a role in the accumulation of mitochondrially encoded proteins in Arabidopsis thaliana and AtLETM2 displays parent of origin effects.   Zhang B, Carrie C, Ivanova A, Narsai R, Murcha MW, Duncan O, Wang Y, Law SR, Albrecht V, Pogson B, Giraud E, Van Aken O, Whelan J.   J Biol Chem. 2012 Dec 7;287(50):41757-73. doi: 10.1074/jbc.M112.383836. Epub 2012 Oct 5.   PMID: 23043101

Mitochondrial transporter

Arabidopsis A BOUT DE SOUFFLE is a putative mitochondrial transporter involved in photorespiratory metabolism and is required for meristem growth at ambient CO2 levels Marion Eisenhut, Severine Planchais, Cecile Cabassa, Anne Guivarc'h, Anne‐Marie Justin, Ludivine Taconnat, Jean‐Pierre Renou, Marc Linka, David Gagneul, Stefan Timm, Hermann Bauwe, Pierre Carol and Andreas P.M. Weber Article first published online: 12 FEB 2013 | DOI: 10.1111/tpj.12082

PPR protein

The E domains of pentatricopeptide repeat proteins from different organelles are not functionally equivalent for RNA editing   Anne‐Laure Chateigner‐Boutin, Catherine Colas des Francs‐Small, Sota Fujii, Kenji Okuda, Sandra K. Tanz and Ian Small   Accepted manuscript online: 23 MAR 2013 03:07AM EST | DOI: 10.1111/tpj.12180 (http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/tpj.12180/abstract)

mCSF1

mCSF1, a nucleus-encoded CRM protein required for the processing of many mitochondrial introns, is involved in the biogenesis of respiratory complexes I and IV in Arabidopsis.   Zmudjak M, Colas des Francs-Small C, Keren I, Shaya F, Belausov E, Small I, Ostersetzer-Biran O.   New Phytol. 2013 May 7. doi: 10.1111/nph.12282. [Epub ahead of print]   PMID: 23646912

MTSF1, 2, 3, 4

The MITOCHONDRIAL TRANSCRIPT STABILITY FACTOR 4 (MTSF4) is essential for the accumulation of dicistronic rpl5-cob mRNAs in Arabidopsis thaliana.   Jung L, Schleicher S, Alsaied Taha F, Takenaka M, Binder S.   Plant J. 2022 Dec 5. doi: 10.1111/tpj.16053. Online ahead of print.   PMID: 36468791

The pentatricopeptide repeat MTSF1 protein stabilizes the nad4 mRNA in Arabidopsis mitochondria.   Haili N, Arnal N, Quadrado M, Amiar S, Tcherkez G, Dahan J, Briozzo P, Colas des Francs-Small C, Vrielynck N, Mireau H.   Nucleic Acids Res. 2013 May 8. [Epub ahead of print]   PMID: 23658225

''The pentatricopeptide repeat protein MTSF2 stabilizes a nad1 precursor transcript and defines the 3' end of its 5'-half intron.''   Wang C, Aube F, Planchard N, Quadrado M, Dargel-Graffin C, Nogue F, Mireau H.   Nucleic Acids Res. 2017 Mar 8. doi: 10.1093/nar/gkx162. [Epub ahead of print]   PMID: 28334831

Pentatricopeptide repeat protein MTSF3 ensures mitochondrial RNA stability and embryogenesis.   Wang C など   Plant Physiol. 2022 Jun 25:kiac309. doi: 10.1093/plphys/kiac309. Online ahead of print. PMID: 35751603

RPS9M, RPS10 ミトコンドリアにおけるタンパク質合成

RPS9M, a Mitochondrial Ribosomal Protein, Is Essential for Central Cell Maturation and Endosperm Development in Arabidopsis.   Lu C, Yu F, Tian L, Huang X, Tan H, Xie Z, Hao X, Li D, Luan S, Chen L.   Front Plant Sci. 2017 Dec 22;8:2171. doi: 10.3389/fpls.2017.02171. eCollection 2017.   PMID: 29312411

Silencing of the Nuclear RPS10 Gene Encoding Mitochondrial Ribosomal Protein Alters Translation in Arabidopsis Mitochondria.   Kwasniak M, Majewski P, Skibior R, Adamowicz A, Czarna M, Sliwinska E, Janska H.   Plant Cell. 2013 May 30.    PMID: 23723321

Deficiency of mitoribosomal S10 protein affects translation and splicing in Arabidopsis mitochondria.   Kwasniak-Owczarek M, Kazmierczak U, Tomal A, Mackiewicz P, Janska H.   Nucleic Acids Res. 2019 Nov 16. pii: gkz1069. doi: 10.1093/nar/gkz1069.   PMID: 31732734

ミトコンドリア、プラスチドには独自の転写、翻訳系がある。それらを構成する分子をコードする遺伝子の多くは各ゲノムにコードされている。 オルガネラにおけるタンパク質合成の重要性が明らかにされてきている。   

Emerging Roles of Mitochondrial Ribosomal Proteins in Plant Development.   Robles P, Quesada V.   Int J Mol Sci. 2017 Dec 2;18(12). pii: E2595. doi: 10.3390/ijms18122595. Review.   PMID: 29207474

ProRS1

植物種
Arabidopsis thaliana
見つけられた方法
 photosynthesis altered mutant  緑葉で、光化学系IIの effective quantum yield が変化することで見つけられた
変異遺伝子--At5g52520 prolyl-tRNA synthetase
 このタンパク質は、クロロプラスト、ミトコンドリアの両方で働く。

プラスチド、ミトコンドリアでのタンパク質合成阻害によって、LHCB1 等の発現量が低下する。この効果はプラスチドシグナルと呼ばれ、Norflurazon や Lincomycin 等の投与で起きるものがよく研究されている。

MRPL11、PRPL11

変異遺伝子--At4g35490、At1g32990
 それぞれのオルガネラのリボソームタンパク質 L11

ProRS1 を見つけたグループは、さらにその結果からオルガネラでのタンパク質合成阻害に注目した。T-DNA INSERTION 変異体ライブラリーから、mrpl11 を選び出した。この変異体では、光合成に関する変化は起きていなかった。プラスチド局在の counterpart である prpl11 も選び出した。

これらの変異体で、LHCB1等の発現を調べた。mprl11 でも、一部の光合成遺伝子(LHCB1.2)の発現が低下していたが、影響がないものの方が多かった。prpl11 単独でも、mrpl11 より効くが、影響がないものがいくつかあった。二重変異では、ほとんどの光合成遺伝子の発現が大きく低下した。これらの変化は、活性酸素応答性遺伝子の変化と相関がなかった。

Nuclear photosynthetic gene expression is synergistically modulated by rates of protein synthesis in chloroplasts and mitochondria.   Pesaresi P, Masiero S, Eubel H, Braun HP, Bhushan S, Glaser E, Salamini F, Leister D.   Plant Cell. 2006 Apr;18(4):970-91. Epub 2006 Mar 3.   PMID: 16517761

mprl1

Mol Cell. 2017 Nov 2;68(3):540-551.e5. doi: 10.1016/j.molcel.2017.10.006.   Systems Phytohormone Responses to Mitochondrial Proteotoxic Stress   Xu Wang, Johan Auwerx   PMID: 29100054 DOI: 10.1016/j.molcel.2017.10.006

この論文では、ミトコンドリアでのタンパク質合成を阻害することによる様々な変化を分析している。阻害剤として Doxycycline (Dox) を用いている。変異体として mprl1 (AT2g42710) を用いている。RNA-seq データが GSE78862 として公開されている。

DYW-protein

A DYW‐protein knockout in Physcomitrella affects two closely spaced mitochondrial editing sites and causes a severe developmental phenotype Mareike Rüdinger, Peter Kindgren, Anja Zehrmann, Ian Small and Volker Knoop Accepted manuscript online: 5 AUG 2013 01:23AM EST | DOI: 10.1111/tpj.12304 (http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/tpj.12304/abstract)

AtPAM16

Mitochondrial AtPAM16 is required for plant survival and the negative regulation of plant immunity.   Huang Y, Chen X, Liu Y, Roth C, Copeland C, Mcarlane HE, Huang S, Lipka V, Wiermer M, Li X.   Nat Commun. 2013 Oct 24;4:2558. doi: 10.1038/ncomms3558.   PMID: 24153405

INDH1

The Evolutionarily Conserved Iron-Sulfur Protein INDH1 Is Required for Complex I Assembly and Mitochondrial Translation in Arabidopsis.   Wydro MM, Sharma P, Foster JM, Bych K, Meyer EH, Balk J.   Plant Cell. 2013 Oct 31. PMID: 24179128

Mitochondrial DnaJ/Hsp40 family protein BIL2 ( At2g42080 )

A novel mitochondrial DnaJ/Hsp40 family protein BIL2 promotes plant growth and resistance against environmental stress in brassinosteroid signaling.   Bekh-Ochir D, Shimada S, Yamagami A, Kanda S, Ogawa K, Nakazawa M, Matsui M, Sakuta M, Osada H, Asami T, Nakano T.   Planta. 2013 Jun;237(6):1509-25.   PMID: 23494613

ブラシノライド BR は細胞表面のレセプター BRI1 で受容される。その後いくつかのタンパク質リン酸化・脱リン酸化酵素を介して転写因子の働きを制御する。 細胞表面、細胞質、核という経路はよく解明されたが、他のオルガネラの関与は調べられていなかった。

BIL2 タンパク質 (At2g42080) はミトコンドリアに局在する DnaJ/Hsp40 ファミリーのタンパク質で、このタンパク質の過剰発現体は、BR 生合成阻害剤であるブラシナゾールによる暗所芽生えの伸長抑制を打ち消す(Fig 1a, Fig 3a, b)。十分成長した段階でも、野生型よりも主茎が長く側枝も多くなる (Fig 3d,e)。RNAi で発現を抑えると逆の効果になる (Fig 4)。bri1 変異体は小さくなるが、bri1 に BIL2 を過剰発現させるとかなり回復する (Fig 6)。

BIL2 タンパク質 がミトコンドリアに局在することから、著者らは ATP に注目した。BIL2 過剰発現体では生重量あたりの ATP 量が増加していた (Fig 9c)。BR で制御される遺伝子である TCH4, CPD の mRNA量は、芽生えを 250μMのATPで3時間処理することで BRシグナルと同じ方向へ変化した (Fig 9d, e)。 BIL2 過剰発現体は、塩ストレス、強光ストレスに強くなった (Fig. 10, 11)。

BAR のデータによると、BIL2 遺伝子の発現量はつねに一定に近く、BR などのホルモンやストレスによる変動は小さい。

BR は葉緑体に対しても作用をしている。BR 生合成阻害剤であるブラシナゾールは、暗所芽生えの葉緑体の状態を明所に近づけることが知られている。   http://www.riken.jp/~/media/riken/outreach/ip/backissues/patent23.pdf

葉緑体が光合成を盛んに行う場合、ミトコンドリアは光呼吸を行うように切り替わる。ミトコンドリアで ATP 合成を行う必要はなくなる。光合成を行わない場合、ミトコンドリアは TCA回路と電子伝達系による ATP合成を行うことが必要になる。

ブラシノライド とオルガネラの機能

	
Brassinolide promotes interaction between chloroplasts and mitochondria during the optimization of photosynthesis by the mitochondrial electron transport chain in mesophyll cell protoplasts of Arabidopsis thaliana.   Mahati K, Padmasree K.   Front Plant Sci. 2023 Apr 11;14:1099474. doi: 10.3389/fpls.2023.1099474. eCollection 2023.   PMID: 37113597

オルガネラは単独で働くだけでなく、他のオルガネラと協力して働き高度な機能を発揮することが注目されている。ブラシノライドが葉緑体とミトコンドリアの相互作用を促進すると書かれている。

Mitochondrial Mn-SOD の変異

oiwa, a female gametophytic mutant impaired in a mitochondrial manganese-superoxide dismutase, reveals crucial roles for reactive oxygen species during embryo sac development and fertilization in Arabidopsis.   Martin MV, Fiol DF, Sundaresan V, Zabaleta EJ, Pagnussat GC.   Plant Cell. 2013 May;25(5):1573-91. doi: 10.1105/tpc.113.109306. Epub 2013 May 7. PMID: 23653473

ミトコンドリアで発生する活性酸素の重要性が示されている。

Decrease in Manganese Superoxide Dismutase Leads to Reduced Root Growth and Affects Tricarboxylic Acid Cycle Flux and Mitochondrial Redox Homeostasis   Megan J. Morgan, Martin Lehmann, Markus Schwarzländer, Charles J. Baxter, Agata Sienkiewicz-Porzucek, Thomas C.R. Williams, Nicolas Schauer, Alisdair R. Fernie, Mark D. Fricker, R. George Ratcliffe, Lee J. Sweetlove, Iris Finkemeier    Plant Physiol. 2008 May; 147(1): 101–114. doi: 10.1104/pp.107.113613   PMCID: PMC2330298

マンガン型 Superoxide Dismutase (MnSOD) の発現を抑えている。

nMAT2

Analysis of the Roles of the Arabidopsis nMAT2 and PMH2 Proteins Provided with New Insights into the Regulation of Group II Intron Splicing in Land-Plant Mitochondria.   Zmudjak M, Shevtsov S, Sultan LD, Keren I, Ostersetzer-Biran O.   Int J Mol Sci. 2017 Nov 17;18(11). pii: E2428. doi: 10.3390/ijms18112428.   PMID: 29149092

nMAT3(Arabidopsis)

nMAT3 is an essential maturase splicing factor required for holo-complex I biogenesis and embryo-development in Arabidopsis thaliana plants.   Shevtsov-Tal S, Best C, Matan R, Aldrin Chandran S, Brown GG, Ostersetzer-Biran O. Plant J. 2021 Mar 8. doi: 10.1111/tpj.15225. Online ahead of print. PMID: 33683754

nMAT3 (Maize)

Nuclear-Encoded Maturase Protein 3 is Required for the Splicing of Various Group II Introns in Mitochondria during Maize (Zea mays L.) Seed Development.   Chen W, Cui Y, Wang Z, Chen R, He C, Liu Y, Du X, Liu Y, Fu J, Wang G, Wang J, Gu R.   Plant Cell Physiol. 2020 Dec 30:pcaa161. doi: 10.1093/pcp/pcaa161.    PMID: 33377894

nMAT4

nMAT4, a maturase factor required for nad1 pre-mRNA processing and maturation, is essential for holocomplex I biogenesis in Arabidopsis mitochondria.   Cohen S, Zmudjak M, Colas des Francs-Small C, Malik S, Shaya F, Keren I, Belausov E, Many Y, Brown GG, Small I, Ostersetzer-Biran O.   Plant J. 2014 Feb 8. doi: 10.1111/tpj.12466. PMID: 24506473

A restorer-of-fertility like pentatricopeptide repeat gene

A restorer-of-fertility like pentatricopeptide repeat gene directs ribonucleolytic processing within the coding sequence of rps3-rpl16 and orf240a mitochondrial transcripts in Arabidopsis thaliana.   Arnal N, Quadrado M, Simon M, Mireau H.   Plant J. 2014 Feb 7. doi: 10.1111/tpj.12463.   PMID: 24506331

これも PPR 遺伝子の一つ

FRIENDLY

FRIENDLY regulates mitochondrial distribution, fusion, and quality control in Arabidopsis.   El Zawily AM, Schwarzlander M, Finkemeier I, Johnston IG, Benamar A, Cao Y, Gissot C, Meyer AJ, Wilson K, Datla R, Macherel D, Jones NS, Logan DC.   Plant Physiol. 2014 Aug 27. pii: pp.114.243824. [Epub ahead of print]   PMID: 25165398

FRIENDLY (FMT) is an RNA binding protein associated with cytosolic ribosomes at the mitochondrial surface Plant J. 2022

RNA Processing Factor 7 and Polynucleotide Phosphorylase

RNA Processing Factor 7 and Polynucleotide Phosphorylase Are Necessary for Processing and Stability of nad2 mRNA in Arabidopsis Mitochondria.   Stoll B, Zendler D, Binder S.   RNA Biol. 2014 Jul 29;11(7). [Epub ahead of print]    PMID: 25181358

MicroRNA400 と PPR 遺伝子

MicroRNA400-Guided Cleavage of Pentatricopeptide Repeat Protein mRNAs Renders Arabidopsis thaliana More Susceptible to Pathogenic Bacteria and Fungi   Young Ju Park, Hwa Jung Lee, Kyung Jin Kwak, Kwanuk Lee, Suk Whan Hong and Hunseung Kang    Plant Cell Physiol. 2014 55: 1660-1668    http://pcp.oxfordjournals.org/content/55/9/1660.abstract?etoc   

MicroRNA400 は PPR 遺伝子 At1g62720, At1g06580 を制御する。これらはミトコンドリアまたはプラスチドの RNA を制御する。それによって防御反応が制御される。とてもややこしい。バクテリアなどが作る何らかの分子が MicroRNA, PPR 遺伝子の RNA に働きかけるのかもしれない。

すばらしいデータベース ATTED-II を見ると、多くのPPR 遺伝子は発現量が低い値で一定になっていることが多い。プロモーターからの転写のレベルで制御されているのではなく、microRNA で制御されているのかもしれない。他の PPR 遺伝子やオルガネラRNA制御因子に対しても、microRNA が働いていることはあるのかもしれない。

cod1

Disruption of the CYTOCHROME C OXIDASE DEFICIENT 1 gene leads to cytochrome c oxidase depletion and reorchestrated respiratory metabolism in Arabidopsis thaliana.   Dahan J, Tcherkez G, Macherel D, Benamar A, Belcram K, Quadrado M, Arnal N, Mireau H.   Plant Physiol. 2014 Oct 9. pii: pp.114.248526. [Epub ahead of print]   PMID: 25301889

シトクロム C オキシダーゼの構築

RAD52-like protein ODB1

Nucleic Acids Res. 2015 Jun 5. pii: gkv540. [Epub ahead of print]

The RAD52-like protein ODB1 is required for the efficient excision of two mitochondrial introns spliced via first-step hydrolysis.

Gualberto JM1, Le Ret M2, Beator B3, Kühn K4.

PrmA (オルガネラで働く protein Methyltransferase)

Dual Targeting of the Protein Methyltransferase PrmA Contributes to Both Chloroplastic and Mitochondrial Ribosomal Protein L11 Methylation in Arabidopsis   Meryl Mazzoleni, Sylvie Figuet, Jacqueline Martin-Laffon, Morgane Mininno, Annabelle Gilgen, Melanie Leroux, Sabine Brugiere, Marianne Tardif, Claude Alban, and Stephane Ravanel   Plant Cell Physiol. 2015 56: 1697-1710

N6-Adenosine methylation (m6A)

The topologies of N6‐Adenosine methylation (m6A) in land plant mitochondria and their putative effects on organellar gene‐expression   Omer Murik, Sam Aldrin Chandran, Keren Nevo‐Dinur, Laure D. Sultan, Corinne Best, Yuval Stein, Carina Hazan, Oren Ostersetzer‐Biran   First Published: 28 October 2019

MTL1

The MTL1 Pentatricopeptide Repeat Protein is Required for Both Translation and Splicing of the mitochondrial NADH Dehydrogenase Subunit 7 mRNA in Arabidopsis.   Nawel H, Nadège A, Martine Q, Planchard N, Nathalie V, Jennifer D, Colas des Francs-Small C, Mireau H.   Plant Physiol. 2015 Nov 4. pii: pp.01591.2015.  PMID: 26537562

NYN domain containing nuclease、mitochondrial endonuclease M20

Two NYN domain containing putative nucleases are involved in transcript maturation in Arabidopsis mitochondria.   Stoll B, Binder S.   Plant J. 2015 Dec 29. doi: 10.1111/tpj.13111.   PMID:    26711866

ヌクレアーゼに関する変異体がもう一つ報告された。

The Mitochondrial Endonuclease M20 Participates in the Down-regulation of Mitochondrial DNA in Pollen Cells.   Ma F, Qi H, Hu Y, Jiang Q, Zhang LG, Xue P, Yang FQ, Wang R, Ju Y, Uchida H, Zhang Q, Sodmergen S.   Plant Physiol. 2018 Oct 9. pii: pp.00754.2018. doi: 10.1104/pp.18.00754.   PMID: 30301773

P-type pentatricopeptide repeat protein-modulating editing protein, PPME

Distinct role of Arabidopsis mitochondrial P-type pentatricopeptide repeat protein-modulating editing protein, PPME, in nad1 RNA editing.   Leu KC, Hsieh MH, Wang HJ, Hsieh HL, Jauh GY.   RNA Biol. 2016 May 5:0. [Epub ahead of print]   PMID: 27149614

An Arabidopsis mutant lacking the mitochondrial NADH dehydrogenase complex.

Life without complex I: proteome analyses of an Arabidopsis mutant lacking the mitochondrial NADH dehydrogenase complex.   Fromm S, Senkler J, Eubel H, Peterhansel C, Braun HP.   J Exp Bot. 2016 Apr 27. pii: erw165. [Epub ahead of print]   PMID: 27122571

Restorer-of-fertility-like 2 pentatricopeptide repeat protein and RNase P

The Restorer-of-fertility-like 2 pentatricopeptide repeat protein and RNase P are required for the processing of mitochondrial orf291 RNA in Arabidopsis.   Fujii S, Suzuki T, Giege P, Higashiyama T, Koizuka N, Shikanai T.   Plant J. 2016 Apr 28. doi: 10.1111/tpj.13185. [Epub ahead of print]   PMID: 27122350

Slow embryo development1

Arabidopsis mitochondrial protein slow embryo development1 is essential for embryo development.   Ju Y, Liu C, Lu W, Zhang Q, Sodmergen.   Biochem Biophys Res Commun. 2016 Apr 21. pii: S0006-291X(16)30619-2. doi: 10.1016/j.bbrc.2016.04.114. [Epub ahead of print]   PMID: 27109472

Cysteine 分解とミトコンドリア、ETHE1 変異体

ETHE1 変異体のことについて扱っている。 Dealing with the sulfur part of cysteine: four enzymatic steps degrade L-cysteine to pyruvate and thiosulfate in Arabidopsis mitochondria.   Hofler S, Lorenz C, Busch T, Brinkkotter M, Tohge T, Fernie AR, Braun HP, Hildebrandt TM.   Physiol Plant. 2016 Apr 23. doi: 10.1111/ppl.12454. [Epub ahead of print]   PMID: 27105581

Arabidopsis ETHE1 encodes a sulfur dioxygenase that is essential for embryo and endosperm development.   Holdorf MM, Owen HA, Lieber SR, Yuan L, Adams N, Dabney-Smith C, Makaroff CA.   Plant Physiol. 2012 Sep;160(1):226-36. doi: 10.1104/pp.112.201855. Epub 2012 Jul 10.   PMID: 22786886

Cysteine が分解を受けると硫黄原子の部分がさらに処理され最終的に亜硫酸イオン、硫酸イオンになる。ETHE1 はその経路の途中で働いている。これの機能が低下すると、Cysteine 以外のアミノ酸の量にも影響がある。特に、連続して暗所に置いて光合成をできなくして貯蔵デンプンを使い切って糖が減った際に、アミノ酸の分解ができにくいせいだろうが、Cys や Val の量が大きく増加している (Fig. 5)。 ミトコンドリアでは Cysteine だけでなく、分岐鎖アミノ酸 (BCAA) などの分解も、栄養源が欠乏した際に起きると書かれている。

A PPR protein in the PLS subfamily

''A PPR protein in the PLS subfamily stabilizes the 5'-end of processed rpl16 mRNAs in maize chloroplasts.''   Hammani K, Takenaka M, Miranda R, Barkan A.   Nucleic Acids Res. 2016 Apr 19. pii: gkw270. [Epub ahead of print]   PMID: 27095196

MSL1 機械刺激感受性イオンチャネル

MSL1 is a mechanosensitive ion channel that dissipates mitochondrial membrane potential and maintains redox homeostasis in mitochondria during abiotic stress.   Lee CP, Maksaev G, Jensen GS, Murcha MW, Wilson ME, Fricker M, Hell R, Haswell ES, Millar AH, Sweetlove L.   Plant J. 2016 Aug 9. doi: 10.1111/tpj.13301.    PMID: 27505616

植物は機械刺激に対する様々な応答を行う。機械刺激の受容機構は植物においても長年研究されている。優れた解説を日本語で読むことができる。    https://www.google.co.jp/search?q=%E6%A9%9F%E6%A2%B0%E5%88%BA%E6%BF%80%E3%81%AE%E5%8F%97%E5%AE%B9%E6%A9%9F%E6%A7%8B%E3%81%AF%E6%A4%8D%E7%89%A9

バクテリアでは機械刺激感受性イオンチャネルとして MscS という遺伝子が 見つかっていた。それと相同性がある遺伝子が植物にも存在している。 よく似たものが 10 種類あり、ミトコンドリアで働いているらしいものが MSL1 として知られていた。

大腸菌では、MscL, MscS, MscK の三種が低浸透圧応答に関わっている。細胞内の浸透圧が高すぎる(細胞内外の浸透圧の差が大き過ぎる)状態になったら、これらのチャネルが開口してイオンを放出することで浸透圧の差を小さくする。

Involvement of MPK4 in osmotic stress response pathways in cell suspensions and plantlets of Arabidopsis thaliana: activation by hypoosmolarity and negative role in hyperosmolarity tolerance.   Droillard MJ, Boudsocq M, Barbier-Brygoo H, Lauriere C.   FEBS Lett. 2004 Sep 10;574(1-3):42-8.    という論文では、低浸透圧ストレスと MPK4 の関連が示されている。

A novel subgroup of bZIP proteins functions as transcriptional activators in hypoosmolarity-responsive expression of the ProDH gene in Arabidopsis.   Satoh R, Fujita Y, Nakashima K, Shinozaki K, Yamaguchi-Shinozaki K.   Plant Cell Physiol. 2004 Mar;45(3):309-17.   PMID: 15047879

低浸透圧ストレスでは Proline dehydrogenase の発現が誘導される。Proline dehydrogenase はミトコンドリアに局在して働き、プロリンから受け取った電子を内膜のユビキノンへ伝達する。ミトコンドリアとの関連があることになる。

機械刺激感受性イオンチャネルがミトコンドリアで働いているということは、ミトコンドリアの機能が機械刺激(これは叩いたり揺らしたりだけでなく浸透圧なども関係してくる)によって直接影響を受けることがある可能性を示唆する。 しかし論文を見ると、実際の細胞においては機械刺激とはあまり関係なさそうな、酸化ストレスに対する応答の働きをしているというデータが示されている。 ミトコンドリア内膜に局在して、何らかのストレスでプロトンの濃度差が大きくなりすぎた際(それは活性酸素の生成、酸化ストレスにつながる)に、UCP のように濃度差を小さくする働きをしていると書いてある。 機械刺激感受性イオンチャネルなのに機械刺激との関わりが見いだせないらしいのはなぜか、それは今後の課題である。水素イオン以外にも何かを輸送するのかもしれない。一つの細胞に機械刺激を受容する仕組みが何十種類もあって、その一つが停止しただけでは変異形質としては見えにくいのかもしれない。

生物学の入門書に書かれているように、ミトコンドリア内膜内外の水素イオン濃度差は、ATP 合成酵素を動かすエネルギー(ATP 合成という可逆仕事に変換される自由エネルギー)として使われる。しかし単純に濃度差が大きければ大きいほどよいというわけではないらしい。 AOX や UCP のような、自ら水素イオン濃度差を不可逆に熱に変える仕組みがある。 恒温動物はそれによって体温を高くする。また活性酸素の生成を抑える。 植物でも活性酸素の生成を抑える働きと関係があるといわれている。

浸透圧刺激、セルロース合成阻害剤を用いた研究を行っている Hamann 研究室のホームページ   https://hamannlab.org/   ミトコンドリアには注目していないらしい。

酵母では細胞膜に機械刺激に応答するイオンチャネルが存在する。植物でもそうだろうと考えるのが当たり前である。しかしもしかしたら植物では細胞膜以外の場所にあるイオンチャネルも機械刺激に応答することがあるのではないか。ミトコンドリアも機械刺激に感度よく応答するのではないか。そう考えてもおかしくないような気がする。

At12Cys proteins

Inactivation of Mitochondrial Complex I Induces the Expression of a Twin Cysteine Protein that Targets and Affects Cytosolic, Chloroplastidic and Mitochondrial Function.   Wang Y, Lyu W, Berkowitz O, Radomiljac JD, Law SR, Murcha MW, Carrie C, Teixeira PF, Kmiec B, Duncan O, Van Aken O, Narsai R, Glaser E, Huang S, Roessner U, Millar AH, Whelan J.   Mol Plant. 2016 May 2;9(5):696-710. doi: 10.1016/j.molp.2016.01.009. Epub 2016 Jan 29.   PMID: 26829715

At12Cys-1 (At5g64400) and At12Cys-2 (At5g09570) は twin Cysteine protein というタンパク質をコードしている。At12Cys-2 は多くのミトコンドリア機能変異体で発現が上昇する。 その際、このタンパク質はミトコンドリア以外の細胞質、プラスチドにも局在する。 ミトコンドリアの複合体I、複合体III の構成成分になっている。 この二つの遺伝子を同時に欠失させると、乾燥などのストレスに強くなったと abstract には書いてある。 ミトコンドリアの機能変化で乾燥ストレスに強くなるのは他にも例がある。

SIWHY2 乾燥ストレスと関係あるミトコンドリアで働くタンパク質(トマト)

 	
SlWHY2 interacts with SlRECA2 to maintain mitochondrial function under drought stress in tomato.   Meng C, Yang M, Wang Y, Chen C, Sui N, Meng Q, Zhuang K, Lv W.   Plant Sci. 2020 Dec;301:110674. doi: 10.1016/j.plantsci.2020.110674. Epub 2020 Sep 12.   PMID: 33218640

SIWHY2 は乾燥ストレスで発現誘導され、ミトコンドリアで働いている。この遺伝子の機能を低下させると、乾燥ストレスに弱くなる。乾燥に強くすることはできていないので社会的意味はない。Fig. 5E にミトコンドリアゲノムにコードされた遺伝子の発現量を相対変化で示したデータがある。野生型では乾燥ストレスによる変化は小さい(少し下がる傾向がある)。しかし RNAi で SIWHY2 の機能を低下させると大きく低下している。

MDH が欠損

Loss of Mitochondrial Malate Dehydrogenase Activity Alters Seed Metabolism Impairing Seed Maturation and Post-Germination Growth in Arabidopsis.   Sew YS, Stroher E, Fenske R, Millar AH.   Plant Physiol. 2016 Jun;171(2):849-63. doi: 10.1104/pp.16.01654. Epub 2016 Apr 12.   PMID: 27208265

MDH の欠損が、種子形成に与える影響を見ている。予期されるように、悪い影響がある。呼吸速度は上昇している。可溶性アミノ酸の蓄積量が増えている。

SSADH の変異

Plant Cell Physiol. 2011 Aug;52(8):1340-53. doi: 10.1093/pcp/pcr079. Epub 2011 Jun 20. Succinic semialdehyde dehydrogenase is involved in the robust patterning of Arabidopsis leaves along the adaxial-abaxial axis.

ORRM4

RNA Recognition Motif-Containing Protein ORRM4 Broadly Affects Mitochondrial RNA Editing and Impacts Plant Development and Flowering.   Shi X, Germain A, Hanson MR, Bentolila S.   Plant Physiol. 2016 Jan;170(1):294-309. doi: 10.1104/pp.15.01280. Epub 2015 Nov 17.   

ORRM5

ORRM5, an RNA recognition motif-containing protein, has a unique effect on mitochondrial RNA editing.   Shi X, Castandet B, Germain A, Hanson MR, Bentolila S.   J Exp Bot. 2017 May 17;68(11):2833-2847. doi: 10.1093/jxb/erx139.   PMID: 28549172

matR を ribozyme でノックダウン

The Reverse Transcriptase/RNA Maturase Protein MatR Is Required for the Splicing of Various Group II Introns in Brassicaceae Mitochondria.   Sultan LD, Mileshina D, Grewe F, Rolle K, Abudraham S, G?odowicz P, Niazi AK, Keren I, Shevtsov S, Klipcan L, Barciszewski J, Mower JP, Dietrich A, Ostersetzer-Biran O.   Plant Cell. 2016 Nov;28(11):2805-2829.   PMID: 27760804

Growing Slowly 1

Growing Slowly 1 locus encodes a PLS-type PPR protein required for RNA editing and plant development in Arabidopsis.   Xie T, Chen D, Wu J, Huang X, Wang Y, Tang K, Li J, Sun M, Peng X.   J Exp Bot. 2016 Oct;67(19):5687-5698.   PMID: 27670716

PPR5, PPR10, PGR3

Unexpected functional versatility of the pentatricopeptide repeat proteins PGR3, PPR5 and PPR10.   Rojas M, Ruwe H, Miranda RG, Zoschke R, Hase N, Schmitz-Linneweber C, Barkan A.   Nucleic Acids Res. 2018 Aug 16. doi: 10.1093/nar/gky737.   PMID: 30125002

PPR19

The mitochondrial pentatricopeptide repeat protein PPR19 is involved in the stabilization of NADH dehydrogenase 1 transcripts and is crucial for mitochondrial function and Arabidopsis thaliana development.   Lee K, Han JH, Park YI, Colas des Francs-Small C, Small I, Kang H.   New Phytol. 2017 Mar 23. doi: 10.1111/nph.14528. [Epub ahead of print]   PMID: 28332713

SWIB5

The Mitochondrial DNA (mtDNA)-Associated Protein SWIB5 Influences mtDNA Architecture and Homologous Recombination.   Blomme J, Van Aken O, Van Leene J, Jegu T, De Rycke RM, De Bruyne M, Vercruysse J, Nolf J, Van Daele T, De Milde L, Vermeersch M, Colas des Francs-Small C, De Jaeger G, Benhamed M, Millar AH, Inze D, Gonzalez N.   Plant Cell. 2017 Apr 18. pii: tpc.00899.2016. doi: 10.1105/tpc.16.00899.   PMID: 28420746

ndufs8.1 and ndufs8.2

Photoperiod Affects the Phenotype of Mitochondrial Complex I Mutants.   Petriacq P, de Bont L, Genestout L, Hao J, Laureau C, Florez-Sarasa I, Rzigui T, Queval G, Gilard F, Mauve C, Guerard F, Lamothe-Sibold M, Marion J, Fresneau C, Brown S, Danon A, Krieger-Liszkay A, Berthome R, Ribas-Carbo M, Tcherkez G, Cornic G, Pineau B, Gakiere B, De Paepe R.   Plant Physiol. 2017 Jan;173(1):434-455. doi: 10.1104/pp.16.01484. Epub 2016 Nov 16.   PMID: 27852950

ndufs4 に関するデータも同時に掲載されている。

AtNEET 2Fe-2S protein で FeS の輸送、分配に関与する  

AGI code
At5g51720

Expression of a dominant‐negative AtNEET‐H89C protein disrupts iron‐sulfur metabolism and iron homeostasis in Arabidopsis   Sara I. Zandalinas, Luhua Song, Soham Sengupta, Sam McInturf, DeAna G. Grant, Henri‐Baptiste Marjault, Norma A. Castro‐Guerrero, David Burks, Rajeev K. Azad, David G. Mendoza Cozatl, Rachel Nechushtai, Ron Mittler   Plant J. 2019 Oct 23. doi: 10.1111/tpj.14581.    PMID: 31642128   DOI: 10.1111/tpj.14581

NEET タンパク質は動物細胞で FeS と関連する 2Fe-2S protein として見つかった。    The mitochondrial outer membrane protein mitoNEET is a redox enzyme catalyzing electron transfer from FMNH2 to oxygen or ubiquinone.   Wang Y, Landry AP, Ding H.   J Biol Chem. 2017 Jun 16;292(24):10061-10067. doi: 10.1074/jbc.M117.789800. Epub 2017 May 1.   PMID: 28461337

シロイヌナズナに相当する遺伝子が一つ存在した。この遺伝子の機能が低下すると葉緑体の鉄の状態が異常になり鉄欠乏応答が起きるが、葉緑体に含まれる鉄の量は減らなかった。

NEET タンパク質には、 DRE2 At5g18400 という cytosol で FeS の輸送、配分に関わる重要なタンパク質に、 FeS を渡す働きがあると書かれている。

FeS は電子伝達に関わるタンパク質だけでなく、DNA合成酵素などの多岐にわたる重要なタンパク質に結合していることが示されている。FeS の生合成、輸送、分配はミトコンドリア、葉緑体、細胞質が連携して成り立っておりとても複雑、巧妙である。ミトコンドリア(ISC 系)と葉緑体(SUF 系)にはそれぞれ独立した FeS 生合成系が存在する。細胞質での FeS 合成(CIA 系)は、葉緑体、ミトコンドリアから供給された分子、原子を用い、協力して行われている。

HER2

Forward genetic screens identify a role for the mitochondrial HER2 in E-2-hexenal responsiveness.   Scala A, Mirabella R, Goedhart J, de Vries M, Haring MA, Schuurink RC. Plant Mol Biol. 2017 Sep 16. doi: 10.1007/s11103-017-0659-8.   PMID:   28918565

この論文では、「緑の香り」植物香気成分として、また植物が昆虫に食害された際のシグナル分子として注目されている青葉アルデヒドの一種、E-2-hexenal に対する応答(根の生長を阻害)が弱くなる変異体 (her) を単離した。   

原因遺伝子の一つの HER2 はミトコンドリアに局在する oxidoreductase At5g63620 であった。 E-2-hexenal は、ミトコンドリアの redox status を specifically に変化させた。redox status に応じて発光が変化するタイプの GFP を使って測定している。 Z-3-hexenol ではその効果はみられなかった。細胞質の redox status は、変化しなかった。

HER2 に E-2-hexenal を代謝する活性があるかどうか調べたが、検出できなかった (Fig. S5)。 ミトコンドリアで HER2 がどんな酵素活性を持つのかは不明である。 ミトコンドリアでは、コハク酸セミアルデヒド (SSA) などのアルデヒドが代謝される。SSA はγアミノブチル酸 (GABA) から生成する。そういう分子との関わりが推測されている。 著者らは以前 her1 変異体を見いだし分析した。それは GABA-transaminase 変異体で、GABA の量が大きく増えていた。GABA-transaminase もミトコンドリアで働く酵素である。

http://atted.jp/cgi-bin/locus.cgi?loc=At5g63620   すばらしい遺伝子発現データベースである ATTED-II では、ミトコンドリアで働く isovaleryl-CoA-dehydrogenase 等との高い発現相関が指摘されている。

代謝データベース KEGG を検索すると、〜セミアルデヒドと名前がついた分子は 41 個見つかる。アミノ酸の分解に関わるものが多い。単純に考えると、her2 変異でそういう内在性のアルデヒドが増えて、細胞内につねにアルデヒドが高いレベルで存在するストレス状態になる(人間なら二日酔い)。 そのせいで外部から加えたアルデヒドに対する応答が弱くなる。そんな具合に想像することもできる。あまり発展性があるものではない。

ミトコンドリアでの脂肪酸合成

Discovery and Characterization of the 3-Hydroxyacyl-ACP Dehydratase Component of the Plant Mitochondrial Fatty Acid Synthase System.   Guan X, Okazaki Y, Lithio A, Li L, Zhao X, Jin H, Nettleton D, Saito K, Nikolau BJ.   Plant Physiol. 2017 Apr;173(4):2010-2028. doi: 10.1104/pp.16.01732.   PMID: 28202596

ミトコンドリアでの脂肪酸合成に関しては、以前からリポ酸との関連で優れた研究成果がある。   ttp://hajimewada.c.u-tokyo.ac.jp/Research/Research_LipoicAcid.html   8:0-ACP が中間体として合成される。

ミトコンドリア adenine translocater

Identification and characterization of interactions between abscisic acid and mitochondrial adenine nucleotide translocators.   Kharenko OA, Boyd J, Nelson KM, Abrams SR, Loewen MC.   Biochem J. 2011;437:117–23. doi: 10.1042/BJ20101898   PMID: 21473740

β-barrel protein (AtOM47)

Characterization of a novel β-barrel protein (AtOM47) from the mitochondrial outer membrane of Arabidopsis thaliana   Lu Li, Szymon Kubiszewski-Jakubiak, Jordan Radomiljac, Yan Wang, Simon R. Law, Olivier Keech, Reena Narsai, Oliver Berkowitz, Owen Duncan, Monika W. Murcha, James Whelan   J Exp Bot. 2016 Nov; 67(21): 6061–6075. Published online 2016 Oct 6. doi: 10.1093/jxb/erw366   PMCID: PMC5100019

GABA shunt

Mutations in Plastidial 5-Aminolevulinic Acid Biosynthesis Genes Suppress Pleiotropic Defect in Shoot Development of Mitochondrial GABA Shunt Mutant in Arabidopsis.   Toyokura K, Yamaguchi K, Shigenobu S, Fukaki H, Tatematsu K, Okada K.   Plant Cell Physiol. 2015 Apr 2. pii: pcv050. [Epub ahead of print]    PMID: 25840087

emp9

The pentatricopeptide repeat protein EMP9 is required for mitochondrial ccmB and rps4 transcript editing, mitochondrial complex biogenesis and seed development in maize.   Yang YZ, Ding S, Wang HC, Sun F, Huang WL, Song S, Xu C, Tan BC.   New Phytol. 2017 Apr;214(2):782-795. doi: 10.1111/nph.14424. Epub 2017 Jan 25.   PMID: 28121385

BLX

Novel DYW-type pentatricopeptide repeat (PPR) protein BLX controls mitochondrial RNA editing and splicing essential for early seed development of Arabidopsis.   Sun Y, Huang J, Zhong S, Gu H, He S, Qu LJ.   J Genet Genomics. 2018 Feb 14. pii: S1673-8527(18)30023-7. doi: 0.1016/j.jgg.2018.01.006. [Epub ahead of print]   PMID: 29580769

TSPO

The Arabidopsis multistress regulator TSPO is a heme binding membrane protein and a potential scavenger of porphyrins via an autophagy-dependent degradation mechanism.   Vanhee C, Zapotoczny G, Masquelier D, Ghislain M, Batoko H.   Plant Cell. 2011 Feb;23(2):785-805. doi: 10.1105/tpc.110.081570. Epub 2011 Feb 11.   PMID: 21317376

 
Involvement of a Class III Peroxidase and the Mitochondrial Protein TSPO in Oxidative Burst Upon Treatment of Moss Plants with a Fungal Elicitor   Mikko T. Lehtonen,1 Motomu Akita,1,2 Wolfgang Frank,3 Ralf Reski,3,4,5 and Jari P. T. Valkonen    March 2012, Volume 25, Number 3   Pages 363-371   https://doi.org/10.1094/MPMI-10-11-0265

ミトコンドリアではヘムを含むタンパク質が働いている。ペルオキシダーゼも、ヘムを含むタンパク質である。働く場所は異なっているが、関連性がある。 ヘムは転写因子などと結合することもあり、重要な制御因子としても注目されている。

The multistress‐induced Translocator protein (TSPO) differentially modulates storage lipids metabolism in seeds and seedlings   Pawel Jurkiewicz, Su Melser, Mickael Maucourt, Haitham Ayeb, Vasko Veljanovski, Lilly Maneta‐Peyret, Mark Hooks, Dominique Rolin, Patrick Moreau, Henri Batoko   

TSPO は種子で働いているが、もっと高発現させると種子の脂質含量が増加すると書かれている。

Coenzyme Q

Coenzyme Q は ubiquinone とも呼ばれ、ミトコンドリア電子伝達系において必須の役割を果たしている。ミトコンドリア以外の場所でも補酵素として働いている。 またストレス耐性等に役立ち、人間の病気との関連も知られている有用分子である。 この分子の生合成は複雑な経路をたどり、最終的にミトコンドリアに存在する合成酵素複合体によって合成が行われる。

コエンザイムQ10 生産微生物の開発 生物工学会誌 (2011) 第6号 p.323-325   島根大学 川向先生による解説 

酵母での研究が進んでいる。

Suppression of respiratory growth defect of mutant deficient in mitochondrial phospholipase A<sub>1</sub> by overexpression of genes involved in coenzyme Q synthesis in Saccharomyces cerevisiae.   Morisada S, Nishida I, Kawamukai M, Horiuchi H, Fukuda R.   Biosci Biotechnol Biochem. 2018 May 28:1-7. doi: 10.1080/09168451.2018.1476124. PMID: 29804512

植物では他の生物と異なる生合成経路が存在することが解明されている。フェニルアラニンとチロシンの両方が前駆体になる。フェニルアラニンからの経路が解明されている。

The Origin and Biosynthesis of the Benzenoid Moiety of Ubiquinone (Coenzyme Q) in Arabidopsis.   Block A, Widhalm JR, Fatihi A, Cahoon RE, Wamboldt Y, Elowsky C, Mackenzie SA, Cahoon EB, Chapple C, Dudareva N, Basset GJ.   Plant Cell. 2014 May;26(5):1938-1948. Epub 2014 May 16.   PMID: 24838974

Biosynthesis of ubiquinone and plastoquinone in the endoplasmic reticulum-Golgi membranes of spinach leaves.   Swiezewska E, Dallner G, Andersson B, Ernster L.   J Biol Chem. 1993 Jan 15;268(2):1494-9.   PMID: 8419349

とても独創的で「なるほど」と思わせる論文   Mitochondria-targeted quinones suppress the generation of reactive oxygen species, programmed cell death and senescence in plants.   Samuilov VD, Kiselevsky DB, Oleskin AV.   Mitochondrion. 2018 Apr 30. pii: S1567-7249(18)30006-0. doi: 10.1016/j.mito.2018.04.008. [Epub ahead of print] Review.   PMID: 29723685

CoQ を大量に生産するタバコ培養細胞が選択されている。CoQ の量はミトコンドリアの呼吸、ミトコンドリアタンパク質の量と比例して変化している。

Isolation and Identification of Ubiquinone 10 from Cultured Cells of Tobacco   Tsutomu IKEDA, Takashi MATSUMOTO, Kunio KATO, Masao NOGUCHI   Agricultural and Biological Chemistry 38 巻 (1974) 11 号 p. 2297-2298   DOI https://doi.org/10.1271/bbb1961.38.2297

Selection of High Ubiquinone 10-Producing Strain of Tobacco Cultured Cells by Cell Cloning Technique   Takashi MATSUMOTO, Tsutomu IKEDA, Naomi KANNO, Takuro KISAKI, Masao NOGUCHI   Agricultural and Biological Chemistry 44 巻 (1980) 4 号 p. 967-969 DOI https://doi.org/10.1271/bbb1961.44.967

Selection of Cultured Tobacco Cell Strains Producing High Levels of Ubiquinone 10 by a Cell Cloning Technique   Takashi MATSUMOTO, Naomi KANNO, Tsutomu IKEDA, Yukiteru OBI, Takuro KISAKI, Masao NOGUCHI   Agricultural and Biological Chemistr 45 巻 (1981) 7 号 p. 1627-1633 https://doi.org/10.1271/bbb1961.45.1627

A mitochondrial lipoprotein complex called MTL (mitochondrial transmembrane lipoprotein complex)

AtMic60 Is Involved in Plant Mitochondria Lipid Trafficking and Is Part of a Large Complex.   Michaud M, Gros V, Tardif M, Brugi&#232;re S, Ferro M, Prinz WA, Toulmay A, Mathur J, Wozny M, Falconet D, Mar&#233;chal E, Block MA, Jouhet J.   Curr Biol. 2016 Mar 7;26(5):627-39. doi: 10.1016/j.cub.2016.01.011. Epub 2016 Feb 18.   PMID: 26898467

Analysis of the MTL Supercomplex at Contact Sites Between Mitochondria and Plastids.   Michaud M.   Methods Mol Biol. 2018;1829:173-188. doi: 10.1007/978-1-4939-8654-5_12.   PMID: 29987722    リン欠乏の際にプラスチドからミトコンドリアに糖脂質が輸送されると書いてある。

Serine decarboxylase SDC1

Arabidopsis Serine Decarboxylase 1 (SDC1) in Phospholipid and Amino Acid Metabolism.   Liu YC, Gunawan F, Yunus IS, Nakamura Y.   Front Plant Sci. 2018 Jul 31;9:972. doi: 10.3389/fpls.2018.00972. eCollection 2018.   PMID: 30108598

Serine decarboxylase はセリンを脱炭酸して、リン脂質の構成成分であるエタノールアミンを合成する。UniProt データベースでは、細胞質に局在して働くと書かれている。https://www.uniprot.org/uniprot/Q9MA74   AT1G43710

しかしこの論文では「SDC1 はミトコンドリアに局在して働く」ということを発見している。生じたエタノールアミンは、リン脂質の合成される場所である小胞体 ER で消費されるらしい。ミトコンドリアの欠陥は ER に局在して働く転写因子に伝えられるということがすでに示されている。

Endoplasmic reticulum-localized transcription factors and mitochondrial retrograde regulation. Hofmann NR. Plant Cell, 2013 Sep. PMID 24045018

ミトコンドリア機能が低下すると、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリンなどのリン脂質の合成がうまくできなくなって、それが様々なことにつながるということが想定される。ミトコンドリア機能は細胞内の様々な重要な機能を間接的にサポートしている。

β-cyanoalanine synthase

Role of mitochondrial cyanide detoxification in Arabidopsis root hair development.   Arenas-Alfonseca L, Gotor C, Romero LC, Garcia I.   Plant Signal Behav. 2018 Oct 31:1-3. doi: 10.1080/15592324.2018.1537699. [Epub ahead of print]   PMID: 30380363

Arabidopsis &#223;-cyanoalanine synthase mutation overcomes NADPH oxidase action in response to pathogens.   Arenas-Alfonseca L, Gotor C, Romero LC, Garc&#237;a I.   J Exp Bot. 2021 Mar 26:erab137. doi: 10.1093/jxb/erab137. PMID: 33770168

OXA proteins

OXA というのはOXdase Assembly の略で、ミトコンドリアゲノムにコードされミトコンドリアで合成されるタンパク質を内膜にうまく挿入する insertase として働いている。   Mechanism of membrane-tethered mitochondrial protein synthesis   Science 19 Feb 2021: Vol. 371, Issue 6531, pp. 846-849 DOI: 10.1126/science.abe0763

The OXA2a Insertase of Arabidopsis Is Required for Cytochrome c Maturation.   Kolli R, Engstler C, Akbas S, Mower JP, Soll J, Carrie C.   Plant Physiol. 2020 Aug 5:pp.01248.2019. doi: 10.1104/pp.19.01248.   PMID: 32759271

OXA2b is crucial for proper membrane insertion of COX2 during biogenesis of complex IV in plant mitochondria.   Kolli R, Soll J, Carrie C. Plant Physiol. 2018 Nov 28. pii: pp.01286.2018. doi: 10.1104/pp.18.01286.    PMID: 30487140

Arabidopsis thaliana Oxa proteins locate to mitochondria and fulfill essential roles during embryo development.   Benz M, Soll J, Ankele E.   Planta. 2013 Feb;237(2):573-88. doi: 10.1007/s00425-012-1793-9. Epub 2012 Nov 21.   PMID: 23179441

カルジオリピン

カルジオリピンは真核生物ではミトコンドリアにのみ存在する重要なリン脂質である。ホスファチジルグリセロールが二分子つながったような構造をしている。ミトコンドリアの内膜に特に多く存在する。電子伝達系複合体などの機能はカルジオリピンが存在しないと大きく低下する。

The importance of cardiolipin synthase for mitochondrial ultrastructure, respiratory function, plant development, and stress responses in Arabidopsis.   Pineau B, Bourge M, Marion J, Mauve C, Gilard F, Maneta-Peyret L, Moreau P, Satiat-Jeunema&#238;tre B, Brown SC, De Paepe R, Danon A.   Plant Cell. 2013 Oct;25(10):4195-208. doi: 10.1105/tpc.113.118018. Epub 2013 Oct 22.   PMID: 24151294

ミトコンドリアで働く D-乳酸デヒドロゲナーゼ

d-Lactate Dehydrogenase Links Methylglyoxal Degradation and Electron Transport through Cytochrome c.   Welchen E, Schmitz J, Fuchs P, Garc&#237;a L, Wagner S, Wienstroer J, Schertl P, Braun HP, Schwarzl&#228;nder M, Gonzalez DH, Maurino VG.   Plant Physiol. 2016 Oct;172(2):901-912. Epub 2016 Aug 9.   PMID: 27506242    シトクロム C を経由して電子が流れる。

関連する論文に Enhanced Formation of Methylglyoxal-Derived Advanced Glycation End Products in Arabidopsis Under Ammonium Nutrition.   Borysiuk K, Ostaszewska-Bugajska M, Vaultier MN, Hasenfratz-Sauder MP, Szal B.   Front Plant Sci. 2018 May 24;9:667. doi: 10.3389/fpls.2018.00667. eCollection 2018.   PMID: 29881392    がある。窒素源の種類とミトコンドリア機能に関係があるという論文はいくつか出ている。

SCO proteins

Sco というのは Synthesis of Cytochrome c Oxidase を略したものである。シトクロム C オキシダーゼ生合成に関わる。

Divergent functions of the Arabidopsis mitochondrial SCO proteins: HCC1 is essential for COX activity while HCC2 is involved in the UV-B stress response.   Steinebrunner I, Gey U, Andres M, Garcia L, Gonzalez DH. Front Plant Sci. 2014 Mar 25;5:87. doi: 10.3389/fpls.2014.00087. eCollection 2014. PMID: 24723925

Plants contain two SCO proteins that are differentially involved in cytochrome c oxidase function and copper and redox homeostasis.   Attallah CV, Welchen E, Martin AP, Spinelli SV, Bonnard G, Palatnik JF, Gonzalez DH.   J Exp Bot. 2011 Aug;62(12):4281-94. doi: 10.1093/jxb/err138. Epub 2011 May 4.   PMID: 21543521

Mitochondrial Sco proteins are involved in oxidative stress defense.   Ekim Kocabey A, Kost L, Gehlhar M, Rodel G, Gey U.   Redox Biol. 2018 Dec 12;21:101079. doi: 10.1016/j.redox.2018.101079.   PMID: 30593977

COX17  COX に銅を供給する銅シャペロン

Cytochrome c Oxidase シトクロム C オキシダーゼ (COX) の生合成はとても複雑で多数の因子が関与している。ヘム鉄と銅が含まれている。COX17 は COX に銅を供給する銅シャペロンとして働くタンパク質である。上に書いた SCO1 と共同して働く。

AtCOX17, an Arabidopsis homolog of the yeast copper chaperone COX17   Plant Physiol. 2002 Aug;129(4):1852-7. doi: 10.1104/pp.010963. Teresa Balandin , Carmen Castresana   PMID: 12177498 PMCID: PMC166773

Plant Cell Environ. 2016 Mar;39(3):628-44. doi: 10.1111/pce.12647. The cytochrome c oxidase biogenesis factor AtCOX17 modulates stress responses in Arabidopsis   Lucila Garcia, Elina Welchen, など   PMID: 26436309

AtCOX17-1 (At3g15352) と、-2 (At1g53030) が存在する。amiCOX17-1/cox17-2 plants を作ることができている。COX17 の働きを抑えると発芽時に ABA 感受性が低下すると書かれている。塩ストレス時の活性酸素の量が増えている。 生育が悪くなる。amiCOX17-1/cox17-2 plants では、ミトコンドリア機能変異体で発現量が増えることが多い、AOX などの mRNA が減っている。

COX17 を強く働かせた植物は塩ストレスに強くなるというデータがある (Fig. 8)。

これもマイクロアレイデータが公開されている。

GSE110439COX17 の発現を減少させた組み替え植物と対照の比較 アジレントのアレイ 生データではなく倍率の対数に処理したデータが置いてある 

COX19

Cytochrome c Oxidase シトクロム C オキシダーゼの生合成はとても複雑で多数の因子が関与している。ヘム鉄と銅が含まれている。

The mitochondrial copper chaperone COX19 influences copper and iron homeostasis in arabidopsis.    Garcia L, Mansilla N, Ocampos N, Pagani MA, Welchen E, Gonzalez DH.   Plant Mol Biol. 2019 Feb 18. doi: 10.1007/s11103-019-00840-y. PMID: 30778722

これもマイクロアレイデータが公開されている。

GSE110461COX19 の発現を減少させた組換え植物と対照の比較 アジレントのアレイ 生データではなく倍率の対数に処理したデータが置いてある

COX11 (At1g02410) これも COX に銅を供給する銅シャペロン

The Arabidopsis COX11 Homolog is Essential for Cytochrome c Oxidase Activity.   Radin I, Mansilla N, R&#246;del G, Steinebrunner I.   Front Plant Sci. 2015 Dec 18;6:1091. doi: 10.3389/fpls.2015.01091.    PMID: 26734017

「involved in copper delivery to the COX complex. 」と書かれている。COX の活性染色を行っている。

The mitochondrial copper chaperone COX11 has an additional role in cellular redox homeostasis.   Radin I, Kost L, Gey U, Steinebrunner I, R&#246;del G.    PLoS One. 2021 Dec 17;16(12):e0261465. doi: 10.1371/journal.pone.0261465. eCollection 2021.   PMID: 34919594

SPR1 (short postembryonic roots 1) イネのミトコンドリアタンパク質

Identification of a novel mitochondrial protein, short postembryonic roots 1 (SPR1), involved in root development and iron homeostasis in Oryza sativa.   Jia L, Wu Z, Hao X, Carrie C, Zheng L, Whelan J, Wu Y, Wang S, Wu P, Mao C.   New Phytol. 2011 Feb;189(3):843-55. doi: 10.1111/j.1469-8137.2010.03513.x. Epub 2010 Oct 29.   PMID: 21039568

シロイヌナズナの At1g05960 という遺伝子と相同性がある。

Brittle1-1 (トウモロコシ maize)

Mitochondrial Zea mays Brittle1-1 Is a Major Determinant of the Metabolic Fate of Incoming Sucrose and Mitochondrial Function in Developing Maize Endosperms

cytochrome b-c1 complex subunit protein QCR7

A maize cytochrome b-c1 complex subunit protein ZmQCR7 controls variation in the hypersensitive response

Yijian He, Saet-Byul Kim & Peter Balint-Kurti

シロイヌナズナには似たものとして AT4G32470 (AtQCR7-1) と AT5G25450 (AtQCR7-2) がある。

DEG10

DEG10 contributes to mitochondrial proteostasis, root growth and seed yield in Arabidopsis.   Huber CV, Jakobs BD, Mishra LS, Niedermaier S, Stift M, Winter G, Adamska I, Funk C, Huesgen PF, Funck D.   J Exp Bot. 2019 Jun 20. pii: erz294. doi: 10.1093/jxb/erz294. [Epub ahead of print]   PMID: 31225599

CFM6

CFM6 is an Essential CRM Protein Required for the Splicing of nad5 Transcript in Arabidopsis Mitochondria.    Lin WC, Chen YH, Gu SY, Shen HL, Huang KC, Lin WD, Chang MC, Chang IF, Hong CY, Cheng WH.   Plant Cell Physiol. 2021 Nov 10:pcab161. doi: 10.1093/pcp/pcab161.    PMID: 34752612

CFM9

CFM9, a Mitochondrial CRM Protein, Is Crucial for Mitochondrial Intron Splicing, Mitochondria Function, and Arabidopsis Growth and Stress Responses.   Lee K, Park SJ, Park YI, Kang H.   Plant Cell Physiol. 2019 Jul 29. pii: pcz147. doi: 10.1093/pcp/pcz147. [Epub ahead of print]   PMID: 31359042

MID1

Pentatricopeptide repeat protein MID1 modulates nad2 intron 1 splicing and Arabidopsis development.   Zhao P, Wang F, Li N, Shi DQ, Yang WC.   Sci Rep. 2020 Feb 6;10(1):2008. doi: 10.1038/s41598-020-58495-5.   PMID: 32029763

ミトコンドリア機能と葉緑体の相互作用

The Mitochondrial Respiratory Chain Maintains the Photosynthetic Electron Flow in Arabidopsis thaliana Leaves under High-Light Stress   Plant Cell Physiol. 2020 Feb 1;61(2):283-295. doi: 10.1093/pcp/pcz193.   Shoya Yamada, Hiroshi Ozaki, Ko Noguchi   PMID: 31603217

Mitochondria Affect Photosynthetic Electron Transport and Photosensitivity in a Green Alga   V&#233;ronique Larosa, Andrea Meneghesso, Nicoletta La Rocca, Janina Steinbeck, Michael Hippler, Ildik&#242; Szab&#242;, Tomas Morosinotto   PMID: 29284743 PMCID: PMC5841685 DOI: 10.1104/pp.17.01249

Thioredoxin

The Lack of Mitochondrial Thioredoxin TRXo1 Affects In Vivo Alternative Oxidase Activity and Carbon Metabolism under Different Light Conditions.   Florez-Sarasa I, Obata T, Del-Saz NSFN, Reichheld JP, Meyer EH, Rodriguez-Concepcion M, Ribas-Carbo M, Fernie AR.   Plant Cell Physiol. 2019 Nov 1;60(11):2369-2381. doi: 10.1093/pcp/pcz123. PMID: 31318380

PPR20 (Maize)

PPR20 Is Required for the cis-Splicing of Mitochondrial nad2 Intron 3 and Seed Development in Maize.   Yang YZ, Ding S, Wang Y, Wang HC, Liu XY, Sun F, Xu C, Liu B, Tan BC.   Plant Cell Physiol. 2020 Feb 1;61(2):370-380. doi: 10.1093/pcp/pcz204.   PMID: 31670803

SURFEIT1(SURF1)-like

Plant J. 2020 Apr 5. doi: 10.1111/tpj.14762. [Epub ahead of print]   Arabidopsis thaliana SURFEIT1-like genes link mitochondrial function to early plant development and hormonal growth responses.

Uniprot https://www.uniprot.org/ で SURFEIT1(SURF1) を検索すると、「Surfeit locus protein 1」という説明がある。これはミトコンドリアで働くタンパク質で、Cytochrome C Oxidase (COX, 複合体 IV) が正常に働くために必要な因子である。 この論文では SURF1-like genes として At3g17910 and At1g48510 の働きを分析している。COX の正常な働きに必要だった。COX を含む Mt 画分を電気泳動して活性染色している。

AOX (Alternative oxidase) タンパク質の量は、野生型を光が強い条件で育成すると増加して、とても弱い光条件で育成すると少なくなる (Fig. 4)。surf1b 変異体は、光が弱い条件でも AOX タンパク質の量が多かった。光が強い条件ではそれ以上増えなかった。 植物ホルモン (auxin, GA) や転写因子 PIF4 にも影響があった。

The gene expression profiles of mitochondrial respiratory components in Arabidopsis plants with differing amounts of ALTERNATIVE OXIDASE1a under high intensity light.    Garmash EV, Belykh ES, Velegzhaninov IO. Plant Signal Behav. 2021 Mar 4;16(3):1864962. doi: 10.1080/15592324.2020.1864962. Epub 2020 Dec 28. PMID: 33369529    という論文もあった。

強い光の下では AOX の働きがストレスを回避するために重要になる。AOX と同時に複数のミトコンドリア関連遺伝子が働いていて、AOX1a と同期した発現変化を示した。

CLPP2

Mitochondrial CLPP2 assists coordination and homeostasis of respiratory complexes.   Petereit J, Duncan O, Murcha MW, Fenske R, Cincu E, Cahn J, Pruzinska A, Ivanova A, Kollipara L, Wortelkamp S, Sickmann A, Lee J, Lister R, Millar AH, Huang S.   Plant Physiol. 2020 Jun 22. pii: pp.00136.2020. doi: 10.1104/pp.20.00136.    PMID: 32571844

MPV17

Arabidopsis AtMPV17, a homolog of mice MPV17, enhances osmotic stress tolerance.   Wi J, Na Y, Yang E, Lee JH, Jeong WJ, Choi DW.Physiol Mol Biol Plants. 2020 Jul;26(7):1341-1348. doi: 10.1007/s12298-020-00834-x. Epub 2020 Jun 13.   PMID: 32647452   他生物で MPV17 が欠失するとミトコンドリア DNA が維持できなくなることがわかっている。酵母ではエタノールを無毒化・代謝できなくなり生育がエタノール感受性になる。 シロイヌナズナにも相当する遺伝子があり、欠失すると ABA 感受性が高まりストレスに弱くなる。芽生えに糖を大量に与えると生育が ABA を与えた際のように緑化しにくくなる。糖からエタノールが生成して ABA を強く効くようにしているのかもしれない。

酵母ではエタノール耐性は酒造、バイオ燃料製造と密接な関係があり研究が進んでいる。植物でもエタノールがストレス耐性を高めるという論文がある。    Front Plant Sci. 2017 Jul 3;8:1001.   Ethanol Enhances High-Salinity Stress Tolerance by Detoxifying Reactive Oxygen Species in Arabidopsis thaliana and Rice   Huong Mai Nguyen, Kaori Sako, Akihiro Matsui, Yuya Suzuki, Mohammad Golam Mostofa, Chien Van Ha, Maho Tanaka, Lam-Son Phan Tran, Yoshiki Habu, Motoaki Seki   PMID: 28717360 PMCID: PMC5494288

EMB2794

Mitochondrial Pentatricopeptide Repeat Protein, EMB2794, Plays a Pivotal Role in NADH Dehydrogenase Subunit nad2 mRNA Maturation in Arabidopsis thaliana   March 2020 Plant and Cell Physiology 61(6)   DOI: 10.1093/pcp/pcaa028

核にコードされたオルガネラ ribosomal protein がオルガネラでのスプライシングを促進する

Rerouting of ribosomal proteins into splicing in plant organelles   Proc Natl Acad Sci U S A. 2020 Nov 9;202004075.   Chuande Wang 1 , Rachel Fourdin 1 , Martine Quadrado 1 , C&#233;line Dargel-Graffin 1 , Dimitri Tolleter 2 , David Macherel 2 , Hakim Mireau   PMID: 33168708 DOI: 10.1073/pnas.2004075117

UV-B でミトコンドリアが断片化して、オートファジーで処理される

Autophagy-deficient Arabidopsis mutant atg5, which shows ultraviolet-B sensitivity, cannot remove ultraviolet-B-induced fragmented mitochondria.    Dundar G, Teranishi M, Hidema J.   Photochem Photobiol Sci. 2020 Nov 25. doi: 10.1039/c9pp00479c.   PMID: 33237047

Autophagy Contributes to the Quality Control of Leaf Mitochondria   Sakuya Nakamura, Shinya Hagihara, Kohei Otomo, Hiroyuki Ishida, Jun Hidema, Tomomi Nemoto, Masanori Izumi   Plant and Cell Physiology, Volume 62, Issue 2, February 2021, Pages 229&#8211;247,    https://doi.org/10.1093/pcp/pcaa162

UV-B はミトコンドリアにとても強いダメージを与えることがあるらしい。葉緑体の方がダメージを受けそうな気もするが、そうではないらしい。葉緑体は活性酸素消去機能などが強いのでダメージを受けにくいのかもしれない。

dek55(maize の PPRタンパク質), dek47, dek43, dek56

dek は defective kernel の略で、役に立たない。

The novel E-subgroup pentatricopeptide repeat protein DEK55 is responsible for RNA editing at multiple sites and for the splicing of nad1 and nad4 in maize.   Ren RC, Yan XW, Zhao YJ, Wei YM, Lu X, Zang J, Wu JW, Zheng GM, Ding XH, Zhang XS, Zhao XY.   BMC Plant Biol. 2020 Dec 9;20(1):553. doi: 10.1186/s12870-020-02765-x.   PMID: 33297963

Regulator of Chromosome Condensation 1-Domain Protein DEK47 Functions on the Intron Splicing of Mitochondrial Nad2 and Seed Development in Maize   Shi-Kai Cao など   Front Plant Sci. 2021; 12: 695249. Published online 2021 Aug 2. doi: 10.3389/fpls.2021.695249   PMCID: PMC8365749

DEK43 is a P-type pentatricopeptide repeat (PPR) protein responsible for the Cis-splicing of nad4 in maize mitochondria   J Integr Plant Biol. 2020 Mar;62(3):299-313. doi: 10.1111/jipb.12843. Epub 2019 Sep 9.  Ru Chang Ren など   PMID: 31119902    この論文では Plant mitochondria isolation kit (Biohao の製品 コード P0045) が使われている。葉緑体の単離には Chloroplast Isolation Kit (catalog number: CP-011; Invent Biotechnologies フナコシから発売されている)を使っている。

	
DEFECTIVE KERNEL 56 functions in mitochondrial RNA editing and maize seed development.  Zang J, Zhang T, Zhang Z, Liu J, Chen H.  Plant Physiol. 2023 Nov 13:kiad598. doi: 10.1093/plphys/kiad598.   PMID: 37956067

Defective Kernel 6

植物種
Z.mays 
見つけられた方法
種子発達の異常
変異遺伝子--
PPR protein の一種

Defective Kernel 6 encodes a PPR protein required for seed development in maize.   Li X, Gu W, Sun S, Chen Z, Chen J, Song W, Zhao H, Lai J.   J Integr Plant Biol. 2017 Oct 5. doi: 10.1111/jipb.12602.   PMID: 28981206

RNA editing の度合いが変化する

ミトコンドリアでの RNA editing, splicing が何かの刺激などで調節されている例は少ない。しかし以下の論文のような例が報告されている。

RNA editing of cytochrome c maturation transcripts is responsive to the energy status of leaf cells in Arabidopsis thaliana.   Sun Y, Law YS, Cheng S, Lim BL.    Mitochondrion. 2017 Jul;35:23-34. doi: 10.1016/j.mito.2017.04.006. Epub 2017 May 3. PMID: 28478183

AtPAP2 というオルガネラの外膜で働く phosphatase を overexpress すると、クロロプラストとミトコンドリアのエネルギー生産効率が高くなる。このリストでも上の方(役に立つ変化)に書いてあった。

A dual-targeted purple acid phosphatase in Arabidopsis thaliana moderates carbon metabolism and its overexpression leads to faster plant growth and higher seed yield.   Sun F, Suen PK, Zhang Y, Liang C, Carrie C, Whelan J, Ward JL, Hawkins ND, Jiang L, Lim BL.   New Phytol. 2012 Apr;194(1):206-19. doi: 10.1111/j.1469-8137.2011.04026.x. Epub 2012 Jan 23.   PMID: 22269069

このときミトコンドリアゲノムにコードされている cytochrome c maturation (Ccm) genes の editing される度合いが変化する。RNAseq を行い、ミトコンドリアゲノムにコードされている mRNA の配列を調べることで検出している。タンパク質の量も調べて、 CcmFN1 という遺伝子の産物の量が少し増加しているようにも見える。AtPAP2 は MORF という因子と協力して editing に働いている。

RNAseq データが GSE57790 and GSE57791 で公開されている。

根粒とミトコンドリアRNA editing, splicing

Differential RNA Editing and Intron Splicing in Soybean Mitochondria during Nodulation.   Sun Y, Xie M, Xu Z, Chan KC, Zhong JY, Fan K, Wong-Bajracharya J, Lam HM, Lim BL.  Int J Mol Sci. 2020 Dec 9;21(24):E9378. doi: 10.3390/ijms21249378.   PMID: 33317061

肝心の電子伝達系複合体の活性はあまり変化がない(組織からミトコンドリアを抽出して電気泳動の後、活性染色で比較)ので、editing, splicing の変化にどのような意味があるのかわからない。もしかすると生きた細胞の状態では活性酸素生成などに変化があるのかもしれないし、何も意味はないのかもしれない。

AtFAHD1a

AtFAHD1a: A New Player Influencing Seed Longevity and Dormancy in Arabidopsis?   Gerna D, Arc E, Holzknecht M, Roach T, Jansen-D&#252;rr P, Weiss AKH, Kranner I.  Int J Mol Sci. 2021 Mar 15;22(6):2997. doi: 10.3390/ijms22062997.   PMID: 33804275

Fumarylacetoacetate hydrolase domain (FAHD)-containing proteins という因子が欠損した変異体について調べている。 AT4G15940 and AT3G16700 を AtFAHD1a and AtFAHD1b と呼んでいる。AtFAHD1a は種子の成熟期に発現するので、これが欠損した変異体が形成する種子の性質を調べた。AtFAHD1a が欠損した変異体では呼吸による酸素消費量が変化する。ミトコンドリアで働く因子だと著者らは推定している。欠損によって種子の寿命 longevity が長くなり高温による休眠  thermo-dormancy が浅くなると書かれている。

WHIRLY2

Triple-localized WHIRLY2 Influences Leaf Senescence and Silique Development via Carbon Allocation.   Huang C, Yu J, Cai Q, Chen Y, Li Y, Ren Y, Miao Y.   Plant Physiol. 2020 Nov 2;184(3):1348-1362. doi: 10.1104/pp.20.00832.   PMID: 33889981

Twin arginine translocation (TAT) pathways

Twin arginine translocation (TAT) pathways は、バクテリア、葉緑体、ミトコンドリアへのタンパク質輸送に働く。複合体 III に優先的に働く因子はめずらしい。

The Plant Mitochondrial TAT Pathway Is Essential for Complex III Biogenesis.   Sch&#228;fer K, K&#252;nzler P, Schneider K, Klingl A, Eubel H, Carrie C.   Curr Biol. 2020 Mar 9;30(5):840-853.e5. doi: 10.1016/j.cub.2020.01.001.    PMID: 32084398

RanBP2

A RanBP2-type zinc finger protein functions in intron splicing in Arabidopsis mitochondria and is involved in the biogenesis of respiratory complex I.    Bentolila S, Gipson AB, Kehl AJ, Hamm LN, Hayes ML, Mulligan RM, Hanson MR.   Nucleic Acids Res. 2021 Apr 6;49(6):3490-3506. doi: 10.1093/nar/gkab066.   PMID: 33660772

SSB1

Arabidopsis SSB1, a Mitochondrial Single-Stranded DNA-Binding Protein, is Involved in ABA Response And Mitochondrial RNA Splicing.    Qian J, Li M, Zheng M, Hsu YF.   Plant Cell Physiol. 2021 Jun 29:pcab097. doi: 10.1093/pcp/pcab097. Online ahead of print.   PMID: 34185867

Hypersensitivity toward ABA を指標として ssb1 変異体を見いだした。SSB1 の発現は ABA で抑えられた。ABI4, ABI5 が関連している。ssb1-1 は NaCl にも感受性が高い。それは ABA 生合成が過剰に活性化するせいである。発芽時に過酸化水素に対する感受性が高くなる。nad1 intron1 and nad2 intron1 のスプライシングがうまくいかなくなる。

Arabidopsis mitochondrial SSB1 and SSB2 are essential regulators of mtDNA replication and homologous recombination.   Qian J, Zheng M, Wang L, Song Y, Yan J, Hsu YF.   J Integr Plant Biol. 2022 Aug 4. doi: 10.1111/jipb.13338. Online ahead of print.   PMID: 35925893

ATMTM1, ATMTM2

Significance of AtMTM1 and AtMTM2 for Mitochondrial MnSOD Activation in Arabidopsis   Front Plant Sci. 2021 Aug 6;12:690064.   doi: 10.3389/fpls.2021.690064. Shu-Hsuan Hu ら   PMID: 34434202    PMCID: PMC8382117

VDAC3 と CIPK9 はミトコンドリア(外)膜に共局在して酸化ストレス応答に働く

CIPK9 targets VDAC3 and modulates oxidative stress responses in Arabidopsis   Poonam Kanwar, Sibaji K. など   Plant J. First published: 08 November 2021   https://doi.org/10.1111/tpj.15572

MISF2 (AT3G22670)

MISF2 Encodes an Essential Mitochondrial Splicing Co-factor Required for nad2 mRNA Processing and Embryo Development in Arabidopsis thaliana    DOI: 10.20944/preprints202201.0113.v1   Tan-Trung Nguyen など

トウモロコシ maize の EMP10 に相当する PPRタンパク質で、NAD2 遺伝子のイントロンスプライシングに働く。

homocastasterone の生合成

A mitochondrial ADXR-ADX-P450 electron transport chain is essential for maternal gametophytic control of embryogenesis in Arabidopsis   Proc Natl Acad Sci U S A. 2022 Jan 25;119(4):e2000482119. doi: 10.1073/pnas.2000482119. Andr&#233;s Martin Bellido など   PMID: 35046016 PMCID: PMC8794853

DUF295

Neofunctionalization of Mitochondrial Proteins and Incorporation into Signaling Networks in Plants   Mol Biol Evol. 2019 May; 36(5): 974&#8211;989. Published online 2019 Feb 19. doi: 10.1093/molbev/msz031 PMCID: PMC6501883 PMID: 30938771 Sbatie Lama など

NAC017 はミトコンドリアストレスシグナルを伝達して遺伝子発現を調節する転写因子である。ミトコンドリアストレスシグナルで発現量が大きく増加する遺伝子に、DUF295 と呼ばれる機能不明のドメインを保持する一群の遺伝子が多く含まれていた。 DUF295 は植物にしか存在せず、アブラナ科で遺伝子数が大きく増加している。

AtOFP1

Transcription Factor AtOFP1 Involved in ABA-Mediated Seed Germination and Root Growth through Modulation of ROS Homeostasis in Arabidopsis   Int J Mol Sci . 2022 Jul 4;23(13):7427. doi: 10.3390/ijms23137427.   Hemeng Wang など PMID: 35806432

Ovate family proteins (OFPs) という一群の転写因子が見つかっていた。AtOFP1 について、CHIP-SEQ 法でターゲットになる遺伝子を調べたところミトコンドリアと関係する遺伝子が多く見られた。OFP1 を強く働かせた植物では発芽とその後の初期成長が ABA 高感受性になった。ミトコンドリア にコードされる NAD4 and NAD7 のスプライシング効率が悪くなっていた。活性酸素生成が高まっていた。

DWEORG1

The P-type pentatricopeptide repeat protein DWEORG1 is a non-previously reported rPPR protein of Arabidopsis mitochondria.   Gr&#252;ttner S, Nguyen TT, Bruhs A, Mireau H, Kempken F.   Sci Rep. 2022 Jul 21;12(1):12492. doi: 10.1038/s41598-022-16812-0.   PMID: 35864185

PPR タンパク質と RNA editing sites の進化

Evolution of mitochondrial RNA editing in extant gymnosperms   Chung-Shien Wu,Shu-Miaw Chaw   Plant J.

First published: 25 July 2022 https://doi.org/10.1111/tpj.15916

組織、発達段階による PPR タンパク質自身のスプライシング変化

「Arabidopsis thalianaにおけるRNA編集関連ファミリータンパク質の組織特異的選択的スプライシングの研究」  https://dspace.jaist.ac.jp/dspace/bitstream/10119/15800/1/summary.pdf

Tissue-specific alternative splicing of pentatricopeptide repeat (PPR) family genes in Arabidopsis thaliana.  Qulsum U, Tsukahara T. Biosci Trends. 2019 Jan 22;12(6):569-579. doi: 10.5582/bst.2018.01178. Epub 2018 Dec 17. PMID: 30555111

GRP23

GRP23 plays a core role in E-type editosomes via interacting with MORFs and atypical PPR-DYWs in Arabidopsis mitochondria.   Yang YZ, Liu XY, Tang JJ, Wang Y, Xu C, Tan BC.   Proc Natl Acad Sci U S A. 2022 Sep 27;119(39):e2210978119. doi: 10.1073/pnas.2210978119. Epub 2022 Sep 19. PMID: 36122211

MCU1, MCU2, MCU3 ミトコンドリアへのカルシウム輸送体

MCU proteins dominate in vivo mitochondrial Ca2+ uptake in Arabidopsis roots.   Ruberti C, など  Plant Cell. 2022 Oct 27;34(11):4428-4452. doi: 10.1093/plcell/koac242.  PMID: 35938694

細胞外 ATP がミトコンドリアのカルシウムイオン濃度を上昇させるというデータが示されている。細胞質のカルシウム濃度の調節にはそれらと別のしくみが働いている。 mcu1 2 3 の三重変異体はほとんど成長に変化はない。しかし「mcu1 2 3 seedlings show deregulated jasmonic acid homeostasis and impaired touch signaling」 ジャスモン酸、接触刺激応答に変化があった。

SRP2 (Small PPR protein)

The small PPR protein SPR2 interacts with PPR-SMR1 to facilitate the splicing of introns in maize mitochondria  Plant Physiol. 2022 Oct 27;190(3):1763-1776.  doi: 10.1093/plphys/kiac379.  Shi-Kai Cao など  PMID: 35976145

Mitochondrial ferredoxin-like

Mitochondrial ferredoxin-like is essential for forming complex I-containing supercomplexes in Arabidopsis   Helene R&#246;hricht など   Plant Physiology, kiad040, https://doi.org/10.1093/plphys/kiad040

MSP1

MSP1 encodes an essential RNA-binding PPR factor required for nad1 maturation and complex I biogenesis in Arabidopsis mitochondria  New Phytol. 2023 Mar 15. doi: 10.1111/nph.18880. Online ahead of print.  Corinne Best  など  PMID: 36922396

Delayed greening 409

DELAYED GREENING 409 encodes a dual-localized pentatricopeptide repeat protein required for chloroplast and mitochondrial development.   Wang H, Liu J, Zhao W, Terzaghi W, Deng L, Liu H, Zheng Q, Fan S, Hua W, Zheng M.   Plant Physiol. 2023 Apr 25:kiad258. doi: 10.1093/plphys/kiad258. Online ahead of print. PMID: 37096684

Mitochondria-localized RRL protein

An Arabidopsis mitochondria-localized RRL protein mediates abscisic acid signal transduction through mitochondrial retrograde regulation involving ABI4.   Yao X, Li J, Liu J, Liu K.   J Exp Bot. 2015 Oct;66(20):6431-45. doi: 10.1093/jxb/erv356. Epub 2015 Jul 10.   PMID: 26163700

この論文では RRL というミトコンドリアに局在するタンパク質が ABA 感受性を変化させると称している。RRL を破壊すると ABA 感受性が低下する、対照的に過剰に発現させると ABA 感受性が増大すると書いてある。効果は発芽と、芽生えの成長の際に見られる。 実際に発芽から初期の成長の間に RRL の遺伝子は強く発現している。

UniProt によるとこの遺伝子にコードされるタンパク質は Belongs to the RMD1/sif2 family. と書かれている。RMND1_HUMAN というヒトの遺伝子があり、コードされるタンパク質はミトコンドリアの翻訳活性を高める。変異が病気の原因になることがわかっている。

ABA 感受性上昇と 核、ミトコンドリアゲノムのメチル化

シロイヌナズナのミトコンドリア関連変異体は ABA 感受性が上昇することが多い。

DEMETHYLATION REGULATOR 1 regulates DNA demethylation of the nuclear and mitochondrial genomes  J Integr Plant Biol. 2022 Oct 12. doi: 10.1111/jipb.13386. Online ahead of print.  Zhen Wang など  PMID: 36223079

という論文では、 demethylation regulator 1 (demr1 AT4G31880) mutant は発芽時の ABA 感受性が高くなると書かれている。DNA メチル化に関わる因子 ROS1 AT2G36490 が失活した変異体でも ABA 感受性が高くなる。「DEMR1 acts upstream of ROS1 and positively regulates ABA signaling during seed germination and seedling establishment stages」と書かれている。

demr1 変異体では DNA hypermethylation of the mitochondrial genome が起きる。demr1 mutant ではミトコンドリアゲノムにコードされる ATP6 遺伝子の mRNA 量が減少していた。ATP 合成酵素活性も減少していた。demr1 変異体では過酸化水素の量が増加していた。

気孔の ABA 応答、活性酸素とミトコンドリア

Abscisic Acid Increases Hydrogen Peroxide in Mitochondria to Facilitate Stomatal Closure.   Postiglione AE, Muday GK.   Plant Physiol. 2022 Dec 27:kiac601. doi: 10.1093/plphys/kiac601. Online ahead of print.   PMID: 36573336

abo6 変異体を用いている。abo6 変異体では ABA によるミトコンドリアからの活性酸素生成が強くなり気孔が閉じやすい。活性酸素生成に働く遺伝子として有名な RBOH も関係している。

Mitochondrial VOLTAGE-DEPENDENT ANION CHANNEL 3 regulates stomatal closure by abscisic acid signaling.   Qin H, Yang W, Liu Z, Ouyang Y, Wang X, Duan H, Zhao B, Wang S, Zhang J, Chang Y, Jiang K, Yu K, Zhang X.   Plant Physiol. 2023 Sep 29:kiad516. doi: 10.1093/plphys/kiad516.    PMID: 37772952

VDAC とは

Restorer-of-fertility proteins

A unique C-terminal domain contributes to the molecular function of Restorer-of-fertility proteins in plant mitochondria   New Phytol. 2023 Aug 7. doi: 10.1111/nph.19166.   Sang Dang Huynh など   PMID: 37551058

mTRAN ミトコンドリアでの翻訳に必要な因子

An mTRAN-mRNA interaction mediates mitochondrial translation initiation in plants   Science. 2023 Sep;381(6661):eadg0995. doi: 10.1126/science.adg0995. Epub 2023 Sep 1.  Huy Cuong Tran など   PMID: 37651534

mTRAN1 が At4g15640, mTRAN2 が At3g21465 で、両方欠失すると生育がとても悪くなる。電子伝達系複合体が全部ダメージを受ける。

遺伝子の発現データが  GSE186586、 Ribo-seq: ArrayExpress E-MTAB-13059; RIP-Seq: E-MTAB-13060  で公開されている。

ATAD3

ATAD3 Proteins: Unique Mitochondrial Proteins Essential for Life in Diverse Eukaryotic Lineages.   Waters ER, Bezanilla M, Vierling E.   Plant Cell Physiol. 2023 Oct 19:pcad122. doi: 10.1093/pcp/pcad122.   PMID: 37859594

ミトコンドリアに核酸が取り込まれる

Inactivation of the TIM complex components leads to a decrease in the level of DNA import into Arabidopsis mitochondria.   Tarasenko TA, Elizova KD, Tarasenko VI, Koulintchenko MV, Konstantinov YM.    Vavilovskii Zhurnal Genet Selektsii. 2023 Dec;27(8):971-979. doi: 10.18699/VJGB-23-112.   PMID: 38239966

温度感受性のスプライシング異常

Temperature-sensitive splicing defects in Arabidopsis mitochondria caused by mutations in the ROOT PRIMORDIUM DEFECTIVE 1 gene.   Wang C, Quadrado M, Mireau H.   Nucleic Acids Res. 2024 Feb 14:gkae072. doi: 10.1093/nar/gkae072. Online ahead of print.   PMID: 38364869

Cytochrome c maturation

Recurrent evolutionary switches of mitochondrial cytochrome c maturation systems in Archaeplastida.   Li H, Akella S, Engstler C, Omini JJ, Rodriguez M, Obata T, Carrie C, Cerutti H, Mower JP.   Nat Commun. 2024 Feb 20;15(1):1548. doi: 10.1038/s41467-024-45813-y.   PMID: 38378784

PPR596

PPR596 Is Required for nad2 Intron Splicing and Complex I Biogenesis in Arabidopsis.   Sayyed A, Chen B, Wang Y, Cao SK, Tan BC.   Int J Mol Sci. 2024 Mar 21;25(6):3542. doi: 10.3390/ijms25063542.   PMID: 38542518