研究室の概要About Lab.

ご挨拶Greeting

中村尚弘

 広島大学 大学院工学研究科 建築防災学研究室の中村尚弘です。どうぞよろしくお願いいたします。平成28年4月に着任し、現在に至っております。

 出身は静岡県浜松市の浜名湖のほとりです。当時浜名湖では潮干狩りであさりが大量にとれ、また親戚がうなぎの養殖をしていたため、あさりとうなぎをたくさん食べて育ちました。昭和57年に名古屋大学工学部建築科を卒業して、株式会社竹中工務店に入社し、平成28年3月まで34年間勤務しました。その間に大学時代の恩師が移っていた九州大学で社会人向けの博士後期課程に入学し、平成15年に学位を取得しました。

 専門は、建築構造に関するコンピュータ・シミュレーションです。特に建物の地震応答解析を中心に研究を行ってきました。地震時の建物の挙動については未解明な点が多くあり、特に建物の立地する地盤の影響が不明確です。このため地盤‐基礎‐建物を一体として評価した詳細な解析モデルによる検討が必要です。これまでに、原子力発電所、超高層建物、免震建物などについて、地震記録のシミュレーション解析を実施して解析精度を評価するとともに、従来では困難であった解析を可能とするため、新たな解析技術の提案を行ってきました。

 わが国では、南海トラフ地震をはじめとする大地震の発生は不可避です。これによる被害を低減し、かつ合理的な建築構造を提案するため、広島大学においても宮津助教と力を合わせ、学生とともに研究を進めていきたいと考えております。

中村 尚弘
中村 尚弘

鍋島国彦

 大学院先進理工科学研究科 建築防災学研究室の鍋島国彦です.
 2021年4月に助教として着任し,現在に至っております.
 どうぞよろしくお願い致します.

 出身,育ち,ともに東京です.東京理科大学で学士課程を修了した後,名古屋大学で修士課程(博士前期課程),京都大学で博士後期課程を修了致しました.

 主な研究分野は,建物の動特性評価(逆解析)とその技術を活用した構造ヘルスモニタリングです.「実建物が保有する耐震性能は,設計者の意図通りになっているのか」,「被災後の耐震安全性や補強・改修効果を実測に基づき評価する方法はないのか」,といった素朴な問いを契機として,この分野に携わることとなりました.実建物の保有性能評価は,地震被害の軽減に資する上で重要なデータを提供すると考えています.

 まだまだ若輩者ではありますが,中村先生と力を合わせ,学生と共に研究を進めたいと考えております.どうぞよろしくお願い致します.

研究テーマResearch theme

 建物は災害に対して,内部や周辺の人命を守るだけでなく,さらに建物自身の資産価値も守ることが望まれるようになってきた。このためには建物の設計時に,災害時に建物を襲う力を適切に考慮し,それにより建物がどの程度の損傷を受けるのかを高精度に評価する必要がある。本研究室ではこの目的に向けてコンピュータ・シミュレーションを中心とした研究を行う。

耐震・免震・制振建物の地震時挙動の分析

地震国であるわが国では,建物の耐震性の向上(免震化や制振化も含めて)が必要であり,建物の用途や重要度に応じて,その要求性能に応じた建物を実現していく必要がある。このためには建物の地震時の高精度の挙動予測が重要となる。これに向けて,各種の建物の解析モデルの作成と,地震応答解析による挙動評価,および観測記録との比較検討も行う。

建物の応答における地盤建物相互作用効果に関する研究

地震時の建物の挙動において地盤建物相互作用効果(地震時に地盤と建物が互いに影響しあって挙動する効果)の影響は無視できない。しかしながらこの挙動については現時点でもまだ未解明な部分が多い。特に建物と地盤間の滑りや浮き上がり等の非線形効果の評価が不十分と考えられる。これらの現象を解析的に分析評価する。

建物の地震時のリスク評価に関する研究

原子力発電所等の建物は,社会的影響が大きいため,その耐震性能評価は特に重要性が高い。
一方建物を襲う可能性のある地震の大きさは上限がなく,「絶対に壊れない建物」の実現は現実には不可能である。このため,事故発生確率を一定値(例えば100万年に一回)以下とする等のリスク評価に基づく方法が検討されている。これに関して仮想的なケースを設定し,解析的検討を行う。

建物に作用する衝撃力とその影響評価に関する研究

自動車や航空機の衝突,室内のガス爆発,近隣の化学プラント等の爆発,竜巻の飛来物など,これまで設計では検討対象外としてきたこれらの衝撃荷重も設計検討に含めるケースが現れてきている。特に免震建物の擁壁への衝突は最近注目度が高まっている。これらに関する検討を行う。

建物の振動における減衰の影響分析と解析モデルの開発

地震・強風による振動,床振動などの環境振動等において,減衰の性状については未解明の部分が多い。また,地震応答解析においても,現状の減衰モデルは不十分で新たな解析手法・モデルが求められている。建物の観測データを分析し,振動特性と減衰特性を評価するとともに,新たな減衰モデルの開発に繋げていく。

中低層建築物の耐震性向上のための制振構造システムの開発

中低層建築物の耐震性能を向上させることは,大地震時の地震動による人命被害を低減させるためには極めて重要である。本研究では,地震動特性や構造物の力学的特性の不確定性に対しても安定して建築物全層の層間変形を一様化し応答変形を低減できるロバスト性の高い制振構造システムを,特に木造・鉄骨造建築物を対象として種々の解析および実験を通して開発する。

職歴・学歴Backgrounds

主な職歴

1982年04月01日, 2016年03月31日竹中工務店, 技術研究所 応用数理グループ長など
2012年10月01日, 2015年09月30日東京大学 工学系研究科 建築学専攻, 客員研究員
2012年10月01日, 2013年03月31日名古屋大学 大学院環境学研究科, 非常勤講師
2013年04月01日, 2015年03月31日東京電機大学 未来科学部建築学科, 非常勤講師
2014年04月01日, 2015年03月31日東京工業大学 応用セラミック研究所, 客員教授
2016年04月01日広島大学, 大学院工学研究院, 教授

学歴

名古屋大学, 工学部, 建築学科, 日本1977年04月, 1982年03月
九州大学, 大学院人間環境学研究科 博士後期課程, 都市共生デザイン, 日本1999年04月, 2003年03月

学位

博士(工学) (九州大学)