ウニの採集と飼育

研究材料のウニの飼育について

広島大学の大学院統合生命科学研究科(理学部棟)は東広島市の西条にあり、海からはかなり離れています。ここでウニを飼育するための大型水槽を4つ維持し、ウニを飼育しています。ここで重要なのが海水の調達で、大学から60キロから70キロ離れた海へ行き、海水を採取しています。経験上この海水の水質が重要で、水質の悪い海水を使うと水槽内で病気が蔓延しやすく、ウニがどんどん死んでしまいます。

以前は、海まで行って柄杓で20リットルのポリタンク約15本分の海水を汲んでいましたが、この作業は大変な力仕事で、翌日は筋肉痛必至でした。また、海が荒れている日には波を被りながら海水を組むことになり、みんな大変な思いで海水を採取していました。しかし今は、300リットルのタンク(車中のオレンジ色のタンク)を車に載せて満潮時に海へ行って、少し高い位置からポンプで海水を汲み上げているため、海水の採取が非常に楽になりました。レジャー気分で海水を採取できます

こんなきれいな海で海水を採取しています。
※ 突然音が出ないよう最初はミュートになっていますが、波の音で癒されたい人はミュートを解除してください。

ウニの採集

バフンウニの産卵期は1月〜3月で、大潮の日の干潮時にウニを採集に行きます。「ウニの採集」と聞くと海に潜って採集する印象があると思いますが、実は干潮の磯へ行って岩の隙間を探って採集します。大潮の日は新月か満月なので、この時期は月の満ち欠けがとても気になります。

この時期の大潮の干潮は深夜の3時5時頃なので、真冬の深夜1時頃に大学に集合し、60キロから70キロ離れた海へと出かけていきます。防寒対策をした上でヘッドランプを装備し、磯ブーツを履いて海岸でウニを採集します。ときには厳しい寒さの日もあるので、気合も必要です。

海岸で岩をひっくり返したり、岩の隙間を覗くとウニを見つけることができます。もちろん、ウニを採った後は岩を元に戻します。昔は、真冬の海水に肘まで腕を入れて、海水中の岩の下に手を入れて手探りでウニを採ったこともありますが、そこまでしなくても十分採れます。そして、資源を守るために採りすぎないことも重要です。

採ってきたウニは、大学キャンパス内の水槽に入れて、定期的に水質をチェックしながら飼育・維持しています。


おまけ:ウニ採集で出会える風景

満天の星空&流れ星

ウニを最終に行くのは大潮の日なので、だいたい満月か新月。晴れた新月の深夜に街灯の少ない島へ行くと、夜空が非常にきれいです。普段は見られないような数の星が見えます。ときどき流れ星も見られますが、流星群が来ていると確実に流れます!

夜明け

干潮の時間が遅めだと、採集後に夜明けが見られることもあります。穏やかな海での夜明けの風景は、神秘的な美しさがあります。

朝焼け

採集後の朝焼けです。大学へ戻る途中、コンビニで休憩したときに見られた風景です。

朝焼け

こちらは、江田島市の釣附海岸でのウニ採集後の夜明けです。

海水採取2

いつもの採取場所に行けないときは、別の海岸でこんな汲み方をすることもあります。ポンプで砂を巻き上げないように、バケツを海に沈め、バケツの中にポンプを入れて汲み上げます。