棘皮動物

ウニは棘皮動物

私たちは、ウニを用いて研究を行なっています。ウニといえば、あの海に棲息するトゲトゲの生き物で、寿司ネタや瓶詰めなどの食材としても知られています。私たちが食べている黄色い部分はウニの生殖巣、つまり卵巣や精巣です。バフンウニの場合、産卵期は1月〜3月の寒い時期ですが、食用の旬は夏場です。つまり、卵や精子などの生殖細胞が成熟する前に、配偶子形成に必要な栄養をエサの海藻から蓄えた栄養細胞が大きくなっているときです。生殖細胞が成熟すると,ウニの種によっては苦味が出てきたり、溶けやすくなったりするようで、食用には向かなくなるのです。

我々が研究材料としているバフンウニ(Hemicentrotus pulcherrimus)は、棘皮動物門-ウニ綱-エキヌス目に属しています。棘皮動物の特徴のひとつは、体のつくりが五放射相称であることです。同じ棘皮動物のヒトデやクモヒトデを見ると明らかですが、5つの同じ構造が放射状に配置されて星形になっています。ナマコも、輪切りにするとちゃんと五放射相称になっています。

あまり知られていませんが、左右対称で目や脚をもつ昆虫よりも、ウニの方がはるかにヒトに近い生き物です。動物の進化では、はじめに共通祖先から旧口動物と新口動物に分岐しました。発生の過程で、口が原口に由来するのが旧口動物、原腸先端で形成された口陥から口ができるが新口動物です。昆虫が旧口動物であるのに対し、棘皮動物はヒトと同じ新口動物なんです。棘皮動物は新口動物のなかでもより早い時期に分岐した動物群なので、ウニを用いて体づくりのしくみなどの生命現象を調べることにより、新口動物の共通祖先がもっていた生命のしくみが見えてくると考えられます。

ウニ胚を研究材料に用いる最大の利点は、採卵・採精が容易で、大量の同調胚を用意に得られることです。大量の同調胚を用いることにより、様々な発生ステージの胚からDNA・RNA・タンパク質を抽出することができ、発生時期特異的に発現する遺伝子の解析を容易に行うことができます。またウニ胚は、割球の分離などの胚操作が可能なことから古典的な発生生物学の研究にもよく用いられてきました。現在ではゲノムも解読されており、ゲノムレベルでの解析も可能となりました。