「科学の文化的基底」(1999.3.20、於 国際高等研究所)
情報科学/コンピュータと科学史・科学論
--ペシミズムとオプティミズムのはざまで---
○ペシミズム・ヴァージョン:「情報化社会の陥穽」
T.ローザック『コンピュータの神話学』(朝日新聞社、1989)との出会い
「今日情報化社会の到来が声高に論じられているが、そこにはたくさんの陥穽がひそ
んでいる。本書はこの“情報の神話”をあばいて、真の人間性と創造性を回復しよう
とする鋭い警世の書」(伊東俊太郎)
情報化社会の問題点
○オプティミズム・ヴァージョン:「科学におけるコミュニケーション--印刷革命からコンピュータ革命へ」
20世紀におけるコンピュータの登場を16世紀における活版印刷術の登場に匹敵するものとして位置づける
インターネット/オンライン・ジャーナル/電子図書館
○コンピュータと科学史・科学論の界面
1. 人工知能(AI)研究/科学的発見プログラム
「思考」とは何か/「知識」とは何か/「発見」とは何か
思考・知識・発見がデータとプログラム(ルール)に還元されるなら、social studies of scienceはもちろん科学史研究も不要→科学研究それ自体も不要
2. 方法論
近代科学の方法的限界(要素還元主義)を乗り越える可能性?
3. 知のモード論
政策科学的志向(集権的な情報管理・操作)
市民のためのネットワーク/抵抗の論理・ツールとしてのインターネット(分権的な情報交流)