★対象:教育学部第三類英語文化系コース3年生
★テキスト:山内信幸・北林利治(編)(2015).『現代英語学へのアプローチ』.英宝社.
★授業の目標:いわゆる言語学(英語学)を中心として、言語に関する知識と視点を広く習得すること
★授業の内容:
授業で扱う分野 | 具体的な内容 | |
第 1 回 | イントロダクション | ●授業概要の説明 |
第 2 回 | 社会言語学Ⅰ(社会変種) | ●方言学(地域方言、社会方言、人種方言、個人方言、方言と共通語と標準語の関係、言語地理学、言語または変種の区別方法について(相互理解可能性、方言の連続体)、等語線) ●言語の接触と変化(リンガ・フランカ、ピジン、クレオール、脱クレオール) ●方言以外の社会的変種(仲間内言葉、スラング、忌み言葉、interlingual word taboo) |
第 3 回 | 社会言語学Ⅱ(ジェンダーとコード) | ●言語とジェンダー(絶対男性語/女性語、相対男性語/女性語、英語における女性語の特徴、英語における言語的性差別) ●ことばの使い分け(精密コードと限定コード、アメリカ英語における5つのコード、コードの切り替え、言語使用域、ダイグロシア) |
第 4 回 | 社会言語学Ⅲ(新しいアプローチ) | ●ことばと国家(2(多)言語併用、言語計画と言語政策、複言語主義) ●ことばと文化(サピア=ウォーフの仮説(言語相対仮説)) ●言語消滅と言語の再生 ●ことばと権力(批判的談話分析) ●新しい社会言語学(社会ネットワーク理論、community of practice、適応理論) |
第 5 回 | 文学理論Ⅰ(文学理論史) | ●文学批評史の大まかな流れ(歴史主義的批評(古典主義、ロマン主義)、構造主義(モダニズム、アヴァンギャルド)、ポスト構造主義(ポストモダニズム)、文化的アプローチ、読みのアプローチ) ●文学性の諸相(詩神ミューズ、文学性を言語的技巧・機能・テクスト内の構造とみるアプローチ、文学性を社会的コードとみるアプローチ、文学性を言語記号の本来の姿とみるアプローチ、文学性を読者により付与されるものとみるアプローチ、文学性を人間の無意識の表出と見るアプローチ、文学性を歴史・文化・イデオロギーに帰すアプローチ) |
第 6 回 | 文学理論Ⅱ(形式的アプローチ) | ●ロシア・フォルマリズム(文学性、詩的言語、異化作用、逸脱、社会主義リアリズム) ●実践批評(精読) ●新批評(意図の誤謬、感情の誤謬) |
第 7 回 | 文学理論Ⅲ(構造主義) | ●Ferdinand de Saussureに端を発する構造主義(言葉と物の関係、共時態と通時態、ランガージュ(ラングとパロール)とエクリチュール、系列的関係と連辞的関係、シーニュ(シニフィアンとシニフィエ)、差異の体系としての言語体系) |
第 8 回 | 文学理論Ⅳ(構造主義の諸理論) | ●プラーグ学派(チェコ構造主義、前景化、詩的機能、平行性の原理、優位性) ●詩的機能の研究史(L. Jakubinsky (1917)、R. Jakobson (1921)、K. Bühler (1934)のオルガノン・モデル、J. Mukarovsky (1938)、R. Jakobson (1960)による言語の6機能モデル、D. Hymes (1968)、M. A. K. Halliday (1970)、K. R. Popper (1972)、G. N. Leech (1983)、Widdowson (2008)) ●構造主義の功績(ストーリー(スーゼット、イストワール)とプロット(ファブラ、ナラシオン、ディスクール)、V. Proppによる昔話の形態学、C. Brémondによる物語の目的論的図式、R. Barthesの功績(指標、デノテーション、コノテーション)、A. J. Greimasによる構造意味論、G. Genetteによる物語論) |
第 9 回 | 文学理論Ⅴ(ポスト構造主義) | ●ポスト構造主義(R. Barthesによる功績(作品からテクストへ、エクリチュール、作者の死、テクストの快楽(快楽と悦楽))、J. Derridaによる功績(差延、脱構築)、J. Kristevaによる功績(間テクスト性)、M. Bakhtinによる功績(モノローグ、ダイアローグ、ポリフォニー)、U. Ecoによる功績(閉じたテクストと開かれたテクスト)) |
第10 回 | 文学理論Ⅵ(読者論) | ●読みとしての文学性(W. Iserの功績、H. R. Jaussによる功績(期待の地平)、S. Fishによる功績(感情文体論、解釈共同体)、文学能力論(J. Cullerによる功績、M. Riffaterreによる功績)、L. M. Rosenblattによる功績(交流モデル、導出的交流、審美的交流)、文学の経験的研究による功績(事実的慣習と美的慣習、単価的慣習と多価的慣習) |
第11 回 | 文体論Ⅰ(文体論史) | ●文体論の成立(F. de Saussureの登場によるフィロロジーの分裂、など) ●初期の文体論(ロシア・フォルマリズム、実践批評、新批評、プラーグ学派、言語学的文体論(フランス文体論、ドイツ文体論)、文学的文体論・言語美学) ●イギリス文体論の発展(1930~60年代、1960年代、1970年代以降(文学作品の言語分析(生成文法を用いた文体論、機能主義的文体論、認知文体論、コーパス文体論)、言語学的文体論、批判的文体論・新文献学、教育学的文体論)) |
第12 回 | 文体論Ⅱ(英語詩の言語的特徴) | ●英語詩の言語(poetic license、逸脱(外的逸脱(determinate deviation、statistical deviation、secondary
deviation)、内的逸脱、古語法、詩語、別レジスターからの借用)、平行性の原理(頭韻、脚韻、韻律)、間テクスト性) ●広告の言語との違い(前景化の一貫性) |
第13 回 | 文体論Ⅲ(英語戯曲の言語的特徴) | ●英語戯曲の言語(性格描写(明示的性格描写(自己による表出、他者による表出)、暗示的性格描写(turn-taking、topic control、volume of talk、terms of address、normal non-fluency)、語用論的特徴による性格描写)) |
第14 回 | 文体論Ⅳ(英語小説の言語的特徴) | ●英語小説の冒頭 ●小説の談話構造 ●語り手(全知の語り手、1人称の語り手、2人称の語り手、信頼できない語り手) ●視点と焦点化(外的焦点化、内的焦点化(固定内的焦点化、不定内的焦点化)) ●心的スタイル ●英語小説に見られる構造上の工夫(枠物語、メタフィクション) |
第15 回 | 授業のまとめ | ●授業の振り返り |