原則として
広島工業大学五日市キャンパス (交通アクセス),
広島大学東広島キャンパス (交通アクセス )
のいずれかでセミナーを行います.
上記の二つのキャンパスは公共交通機関で二時間かかるほど離れておりますので,
お越しの際には会場の場所にご注意ください.
※JCCAメーリングリストにてセミナー案内を配信しております.
Speaker: 見村万佐人 (東北大学)
Tiele: Tao のスライスランク法と連立方程式系
Abstract: p を素数とする。有限体 F_p 上の有限次元ベクトル空間 F_p^n 上での連立方程式系を考える。F_p^n の部分集合 A がこの連立方程式系の '非自明な' 解をもたないとき、この A の濃度が自明な上界 p^n よりもどれくらい小さくならないといけないだろうか?この問題は極値組合せ論の観点から大変基本的な問題である。例えば、p≧3 において、連立方程式系が 3 変数 1 本の方程式
x-2y+z=0
のとき、A が x=y=z 以外の解('非自明な' 解)をもたないということは、「A に 3-AP(非退化な 3 項等差数列)がない」ということを意味している。この場合の上界の評価は Meshulam により p^n/n が得られており、その後 p^n/n^2 を目指して研究が進むはずであった。しかし、2016 年前後の Croot--Lev--Pach のブレイクスルーによって、現在では全く眺望が変わってしまった。
本講演では Croot--Lev--Pach の手法(の Ellenberg--Gijswijt によるこの文脈への応用)の、Terence Tao によるスライスランク法による定式化を説明する。時間が余った場合は、我々がこの手法を連立方程式系に拡張したこととその応用も述べたい。
本講演を理解するにあたり特別な専門知識は全く不要である。(有限次元)線型空間と線型写像のランク、有限体 F_p の定義といった、学部 1, 2 年生程度で扱うことをご存知であれば聴けるようにお話ししたい。