日本ペスタロッチー・フレーベル学会について


 日本ペスタロッチー・フレーベル学会は、ペスタロッチー及びフレーベルの教育遺産、並びにそれに関わる教育思想・教育制度・教育運動の研究と、ヒューマニズムの教育精神の発展と普及を図ることを目的として、1982(昭和57)年8月28日に設立されました。
 創立年は、ちょうどフレーベルの生誕200年に当たり、また幼児教育と初等教育の研究をするアカデミックな学会を創設しようとの動きを反映した形で設立されたものであったともいえます。


日本ペスタロッチー・フレーベル学会設立趣意書


 真の社会改革者が常に偉大な先覚者の遺産に精通しなければならないと同様に、真に教育の改革を試みようとする者は、教育史上に残された大教育家の思想や活動を絶えず探求する必要がある。過去を知ることによって現在を正しく認識し未来をよりよく見通すことができるからである。

 科学技術の進歩発達につれて、教育の内容や方法はしだいに合理化され技術化され効率化されてきた。しかしその反面、教育精神、とくに教育者と被教育者の心や魂をつなぐ教育愛・教育敬・教育信などの精神がしだいに希薄になりつつあることは心ある教育家の誰しも感ずるところであろう。しかしながら真の教育精神に支えられた教育技術や教育行政にして初めて愛と生命に満ちた教育実践をもたらすことができるのである。

 以上のことを思うとき、今こそ教育史上において人類愛に満ちあふれた教育精神をもって教育の実践と研究を結びつけ、人間教育の原点、教師教育の原点、初等教育と幼児教育の原点を示した偉大な教育思想家であり、教育実践家であるペスタロッチーとフレーベルに学ぶべきことを痛感するものである。周知のようにコメニウス、ルソーに源流する近代西洋教育思想はペスタロッチー、フレーベルにおいて教育学としての固有の発展をとげたと同時に、その後の世界の教育の理論と実践、思想と制度に多大な影響を及ぼしてきた。今ペスタロッチーとフレーベルを問題とすることは、近代現代の教育をその原点において問うことであり、その継承と発展、批判と克服を含めて今日の教育を凝視し未来の教育を展望することでなければならない。

 したがって本学会はペスタロッチーおよびフレーベルの教育学遺産の研究を中心課題としながら同時にまた広く両者にかかわる教育思想や教育運動、初等教育史や幼児教育史をも研究対象とするものである。

 本年はフレーベル生誕二百年にあたる。本学会はそれを記念して設立される。

 本学会設立の趣旨に賛同され、同学の士が多数入会されんことを心から希望するしだいである。


1982年8月28日

日本ペスタロッチー・フレーベル学会設立発起人

荘 司 雅 子 (聖和大学)
長 尾 十三二 (立教大学)
前 原  寿 (東北大学)
岩 崎 次 男 (埼玉大学)
藤 井 敏 彦 (広島大学)



学会会則


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