はじめに
化学を学ぶ、また研究対象として化学を選んで今後の人生を満喫する場合も
はやコンピュータとつきあわないわけにはいきません。例えば
文房具として |
レポート作成用にワープロ、図面書きにCADなど |
情報端末として |
internetを経由して情報収集、電子メール |
データの蓄積 |
紙ではかさばるので文書、写真などをハードディスクにまとめる |
コンピュータプログラミング |
実験データの解析、モデル計算を行うためコンピュータプログラミングを
行う |
などが上げられます。1、2番目のテーマについてはすでに"情報活用演習"で習
得している(はず)ですので、みなさん十分に使いこなせるものと期待します。そ
うでなければ、レポート提出などでおおいに苦労することになるのでそのつもり
で。本演習のメインテーマは4番目のコンピュータプログラミングです。
さてコンピュータプログラミングといっても目的、言語仕様によってさまざまで
す。以下のようにおおまかに分類することができます。
- アプリケーションソフトを便利に使うための簡易言語
- 俗に"マクロ"と呼ばれているものです。最近のPC上で動作する比較的大
きなプログラム(ワープロ、スプレットシートなど)にはほとんど付属して
います。
- コンパイル作業を必要としない言語
- いくつかのコマンドをまとめて記述しあたかも1つのコマンドのように
扱うもの、またその言語仕様にしたがって記述したものが即座に実行でき
るものなどがこれに相当します。例えば、C-shell, awk, perlなど
- コンパイルを必要とする言語
- あるコンピュータ言語で書かれたものをコンパイラに通して計算機のわ
かる形に翻訳して実行するもの。例えば、FORTRAN, C, C++など
2,3番目を比較すると、処理速度はコンパイラにかけたものの方が速くなりま
すが、プログラミングに対する敷居は2の方が低いでしょう。
本講義ではコンピュータ言語としてFORTRANを使用します。FORTRANは最初世界最
大の計算機メーカーであるIBM社が1950年代半ばに開発したものであって、その
後使用経験が積み重ねられるにつれてしだいに改善されて、現在に至っています。
本講義で使用するFORTRANはFORTRAN77(1977年に規格立案されたもの)ですが、そ
の後FORTRANも進化しており、Fortran90,Fortran95,さらには2000年には
Fortran2000というものが出される、という話もあります。
さて、FORTRANの特徴を述べておきますと
- 数式を翻訳しやすく、科学技術計算に向いている
- 過去の資産(プログラム、サブルーチン)が膨大に存在する
- スーパーコンンピュータで一般に使用されている言語はFORTRAN,Cであり、
逆にこれらをマスターしていないとスーパーコンピュータは使えない。
などの利点があります。また"コンピュータプログラミング"を学ぶ上ではどのコ
ンピュータ言語を使用するかはそんなに重要ではなく、そこで使われている考え
方、概念を学ぶ方が重要です。FORTRANは古くから存在する言語でありながら今
後もずっと使われていく言語であると思います。
この演習はこのようにWWW上のテキスト(1つ上のとびらページを指す)をみなが
ら行います。また授業の最初に小テストを行います。これもテキストの中にリン
クをはっていますので、そこからたどってください。これを出席がわりにします。
というわけで、私が声を張り上げることもないわけです。
ですが出席点はそれほど重要ではなく、重要なのはほぼ毎週提出してもらうレ
ポートです。本演習ではレ
ポート提出用のフォームを作りました。このフォームに従って毎週レポート
を提出して下さい。必要な情報は以下の通り。
名前:
学生番号:
プログラムの番号:
プログラムのソース:
サンプルインプットとその時のアウトプット:
考察:
上の"考察"が特に重要です。しっかり考察しましょう。また提出されたレポート
はそのままWWWで公開されます。そのつもりで頑張って下さい。
また勉強の助けになるよう、質問コーナー
を設定しました。ここを使ってもら
うと我々(私と2人のTAさん)にメールが届きます。質問事項を明確に書いて送っ
てもらうと遅くとも1両日中にはだれかが答えてくれるでしょう。もちろんじか
に我々の部屋にきて質問してもらってもかまいません。
ちなみにこの演習の担当者は以下の通りです。
名前 | 部屋番号 | e-mail address |
高橋 修 |
B-503 |
|
河野 明男 |
B-503 |
|
多田 朋史 |
C-514 |
|
プログラムを行うにあたって
それでは実際にコンピュータプログラミングを行う手順を以下に示します。

まず問題提起します。そしてその問題に対してプログラムを書き、エディタを使っ
て入力していきます。はじめは紙の上でプログラムを書いて、それを入力する方
が間違いが少ないでしょう。またこの図のような流れ図(フローチャートという)
を書くのはプログラム全体をとらえるのに役にたつでしょう。
そしてこのプログラムを計算機のわかる形に変換してやります。この作業を"コ
ンパイルする"といいます。ここで文法checkをします。おかしなところがあれば
エラーメッセージを表示しますので、再び修正しましょう。問題なければプログ
ラムを実行します。ですが必ずしもここで自分の思っていた計算をやってくれて
いるとは限りません。0で割算をしていたり、とんでもない数字が入力されてい
たり可能性はいろいろあります。間違っていたら再びプログラムを修正します。
誤動作をするプログラム、コンパイルの出来ないプログラムを修正していく作業
のことを"デバッグ"といいます。
これからコンピュータプログラミングを行うにあたっていくつか気をつけてもら
いたいことを列挙しておきます。
- プログラム言語は決して難しくない
- もちろん種類にもよりますが、日本語、英語などと比べると規則は少な
いし、扱える単語も少ない。普段使わないから難しいと感じるわけです。
- 習うより慣れろ
- 上のものに通じますが、とにかくいろんなプログラムを読んだり書いた
りしましょう。何もないところからはじめるのは難しいので、人の書いた
もの(本など)をまねするのはよいことです。ただし自分のオリジナリティ
をどこかに入れましょう。(他人のプログラムを写したのがわかった場合
には採点しない)
- 自分はコンピュータを"使う"のである
- 当たり前のことなのですが、いくつか作業を行っているうちに自分はコ
ンピュータに使われているのではないか、という錯覚に陥ることがありま
す。自分がやらなければいけない大量の単純作業をコンピュータにやらせ
るんだ、と常に思っておきましょう。
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