seminar class

LaTeXのclassの一つseminar classを使って TeXファイルを作成するときの覚え書きです。 講演などでプロジェクタを利用して出力する資料を作成する際に 手軽に使うことができます。 LaTeXに標準的に含まれているので、 LaTeXの標準的なパッケージがインストールされていれば すぐに使うことができるということが、 講演のときにseminar classを使っている理由の一つです。

前にはslides class を使って講演のときのファイルを作成していましたが、 いくつかどうしたらいいのかわからない点があったので、 seminar classに乗り換えました。 slides classのときにはできなかったことが結構自由にできるようです。

プリアンブル(\begin{document}の前に書く基本的設定)には、 次のように書きます。 下の例は部分多様体論・湯沢2007での講演で実際に使ったものです。

\documentclass[12pt]{seminar}
\usepackage[dvipdfm]{graphicx,color}
\title{\huge Riemann積分の近似和 \\
の収束の速さ \\[18pt]
\Large 部分多様体論・湯沢2007}
\author{\large 田崎博之 \\
筑波大学数理物質科学研究科}
\date{2007年11月23日}
\slideframe{none}
\mathversion{bold}

classを指定するときのオプションがないとlandscape(横長)になります。 画像データを利用する場合はgraphicxを指定しますが、 dviファイルを出力するソフトによっては 画像を出力できない場合もありますので、 dvipdfmというオプションをつけておきます。 これについては dvipdfmx に解説があります。 graphicxと並んでいるcolorは文字に色をつけるためのパッケージです。 講演でプロジェクタを利用する場合は たぶん文字にをつけたくなるでしょう。

\titleの中は題名を大きく表示するために文字の大きさを 調整しています。 \\[18pt]は題名と研究会名の間を少し拡げたかったので、 このように書きました。

\slideframe{none}は出力される各ページにフレームをださない というコマンドです。 私は講演の内容に必要なもの以外は出力しないようにしているので、 noneにしていますが、 noneのところにovalやshadowなどと書くとそのようなフレームが出力されます。

私は各ページの通常の文字を\bfによってboldにしていますが、 これだけでは数式モードの文字は通常の文字で出力されます。 数式の文字もboldにしたいと思えば、 \mathversion{bold}と書いておきましょう。

\begin{document}
\begin{slide}
\maketitle
\end{slide}

本文が始まった最初のページです。 出力する各ページの内容を\begin{slide}と\end{slide}で囲みます。 \maketitleでプリアンブルに書いた表紙の情報が出力されます。

\centerslidesfalse
\bf
\begin{slide}\large
\section{導入}
...
\end{slide}
...
\end{document}

標準では各ページは縦方向に等分割した位置に各行が配置されるようです。 表紙のページはそれでよいのですが、 講演の内容が始まるページからはそうしたくない場合は \centerslidesfalseを2ページが始まる前に書いておきます。 そうすると行はページの上から始まり規定の幅で改行されて下に 内容が続きます。 \begin{slide}から2ページが始まります。

ページ番号を途中で変更したいときは、 \setcounter{slide}{変更したい数} というコマンドを使います。 たとえば現在のページを2ページにしたいと思えば、 \setcounter{slide}{2} という一行を書きます。 通常よく使うjarticle class等ではページ数のカウンターはpageですが、 seminar classの場合はページ数のカウンターはslideになっている ということです。

dviファイルを画面にxdviやpxdviで出力する際は何もオプションを付けないと 設定されている形式(普通はportrait(縦長)に設定されている)で出力されるので、 上記の手順で作成したlandscapeのファイルを画面出力するには

$ xdvi -paper a4r dviファイル
というオプションを付けたコマンドを実行します。 オプションのa4rのa4が紙のサイズを表していて、 rがlandscapeであることを表しています。


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