自己回帰モデル(Autoregressive model)は、時系列信号の解析によく用いられ る回帰分析手法であり、音声認識や制御等の信号処理のための基本的な道具の 一つである。画像処理やコンピュータビジョンでもテクスチャの特徴抽出、動 画像の処理、輪郭点列の処理などのようにデータに何らかの順序関係がある場 合の信号処理手法として利用できる。
今、
を時系列データとすると、
次の前向き
自己回帰モデルは、
個前までのデータから現在の信号
を線形予測
するモデルであり、
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前向き自己回帰係数
は、実際の信号
と自己回帰モ
デルによる推定値
との平均2乗誤差
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PARCOR(偏自己相関)係数は音響特性と密接な関係があり、声道断面積関数の予
測を与えるなどの優れた利点があることが知られており、音声信号処理で良く
利用されている。 次のPARCOR係数
は、
次の前向き予測誤差
と
次の後向き予測誤差
の相関係数として定義される。つまり、
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PARCOR係数は、自己回帰係数と密接な関係があり、 次のPARCOR係数は、実
は、
次の自己回帰モデルを当てはめたときの
次の自己回帰係数
あるいは
に一致する。
自己回帰係数やPARCOR係数は、 の逆行列を計算することにより求めること
ができるが、
次のモデルからはじめて次数を次第に大きくする再帰的な
アルゴリズム(Levinson-Durbinのアルゴリズム)[14]を用いること
により高速に計算することができる。このアルゴリズムでは、
次から
次までのすべての自己回帰係数とPARCOR係数を
の計算量で求めるこ
とができる。