画像処理やコンピュータビジョンの問題を困難にしている原因の一つとして、 扱う対象が複数同時に存在することが多いことが挙げられる。例えば、画像中 には一般に複数の物体が存在している。ひとつの物体の認識や識別は比較的易 しい場合もあるが、複数存在する場合には一つ一つの物体を切り出さなければ ひとつの物体のみを認識する手法は使えない。しかし、まだ認識もできていな い物体を切り出すのは容易なことではない。
複数物体の認識のほかにも、画像が複数の領域からなっているときに領域を分 割する問題、あるいは、画像中の複数の物体が移動している場合にそれぞれの 運動パラメータやオプティカルフローを求める問題などはいずれも複数性によっ て困難が生じている。
このような問題に対処するためのアプローチとして、複数対象のモデル化の問 題を確率分布の混合分布の最尤推定問題としてとらえる方法がある。その解は、 EM アルゴリズムを利用することにより求めることができる。また、局所最適 解ではあるがアルゴリズムの収束性も示すことができる。