平面図形の輪郭線(平面曲線)を追跡して得られる点列を
とし、その複素表現を
とする。
このとき、次の複素自己回帰モデルは、
平均2乗予測誤差(式(7.4))を最小とする最適な複素自己回帰係数
は、
また、このとき達成される最小平均2乗予測誤差
は
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こうして得られた複素自己回帰係数の性質について考えよう。輪郭点列が複素表現され
ている場合、原点まわりの回転は各輪郭点列を 倍することに対応する。
回転された輪郭点列
に対する
は、式(
7.8)から求められる。そこでは
同士は打ち消しあい、
は回転によって変わらない。従って、式(7.9)も不変となり、結局、
複素自己回帰係数も回転不変となる。また、式(7.8)から、
は輪郭
を追跡する際の始点位置の選び方に依存しない量である。従って、それに基づいて計
算される複素自己回帰係数も始点位置の選び方に依存しない量となる。これらの性質
は、形の記述、表現という意味で好ましいものである。さらに、興味深い性質として
輪郭線の追跡方向(時計回りか反時計回り)を変えると、得られる複素自己回帰係数
が複素共役となる。これは、輪郭点列を逆方向に追跡した場合には、式
(7.3)の右辺は
の添字
を
としたものとなり、
が
複素共役となることから明らかである。