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はじめに

本章では、統計的手法のコンピュータビジョンへの応用について論じる。まず、 画像の認識・計測について考察する。次に、3次元世界の認識のためのレンジ データ(距離画像)の解析について考察する。

近年、各種産業分野において、画像の認識や計測に対する期待が高い。特に、 種々の応用に比較的簡単に使えて、しかも高速実時間で画像の認識や計測が可 能なシステムが望まれている。ここでは、高次局所自己相関特徴と多変量デー タ解析を用いた並列学習的な画像計測・認識システムについて述べる [90,99,100,125,128,135,139,140]。 高次局所自己相関特徴は、画像枠内の対象の位置に関して不変で、しかも、加 法性を満たす特徴であり、対象の認識や計測にとって好ましい特徴である。そ れと、多変量解析手法による学習を組み合わせることにより、構造的に非常に 簡単で高速なシステムが実現できる。

3次元世界の情報を直接収集するための有力な手段として、レーザを用いた高 性能のレンジファインダが開発されている[145]。それにより、対象の 距離に関する精密な情報が得られる。もし、この情報から対象の局所的な曲率 が計算できれば、その符号から対象を同じ性質を持つ局面に分割できる [17,18,38,173]。 曲率は、普通、局所領域内でデータに2次曲面を当てはめることにより計算さ れる。しかし、この方法ではエッジ付近で不正確な推定値しか得られない。こ こでは、レンジデータから局所的な曲率を重みつき最小2乗法により計算する ための方法を提案する[103]。重みは曲面上の最小軌道とその軌道 上での平均法線角度差に基づくもので、エッジの向こう側にあるデータには小 さな重みを与える[19,103]。これによりエッジ付近でも 比較的良い曲率の推定値が得られるようになる。



Takio Kurita 平成14年7月3日