次に、類似度に基づいて検索空間を構成し検索実験を行った。まず、11人の被験者に よる学習用図形のグループ分けの結果に基づき、以下のようにして11人の被験者の感 じる平均的な類似度を次のようにして求めた。
得られた類似度に基づきSF空間を構成した。累積寄与率を 95% としてSF空間を構成 するとその空間の次元は 52 次元であった。これは元のGF空間の約 8 割の次元で ある。
例示画としてグループ分けに基づく場合と同様に、SF空間の構成(学習)に用いた画 像、カメラから新たに入力しなおした画像および手書きスケッチをカメラから入力し た画像を用いて検索実験を行った。
検索手法 | 例示画像 | 次元 | ||
学習に用いた画像 | 再入力画像 | 手書きスケッチ | ||
1) 画像特徴空間での検索 | 100.0 (%) | 98.2 (%) | 93.9 (%) | 64 |
2) 主観特徴空間での検索 | 100.0 (%) | 98.6 (%) | 63.6 (%) | 52 |
検索手法 | 例示画像 | 次元 | ||
学習に用いた画像 | 再入力画像 | 手書きスケッチ | ||
1) 画像特徴空間での検索 | 11.9 (%) | 10.8 (%) | 7.4 (%) | 64 |
2) 主観特徴空間での検索 | 23.7 (%) | 17.0 (%) | 7.4 (%) | 52 |
検索結果を表9.2 に示す。表9.2 (a) は、第1候補 の再現率、(b) は、第2候補の適合率(類似度0.4以上の画像である割合)である。 類似度に基づきSF空間を構成することによって、パターンの変動が小さい場合には、 検索結果が改善されていることがわかる。図9.4は、SF空間の構成に用 いた画像を画像データとして検索した例である。GF空間で検索された候補(図 9.4 (a))に対し、SF空間で検索された候補(図9.4 (b)) の方が、円に放射状の切れ目がある図形を検索できており、より人間の主観に合致し ているように思われる。