next up previous
次へ: 画像特徴と印象語 上へ: 印象語による絵画データベースの検索 戻る: 印象語からの検索における課題

印象語からの検索

図 9.5: システムの概要
\begin{figure}\begin{center}
\psfig{file=images/fig-9.5.eps,width=130mm}\end{center}\end{figure}

以上の要求を満たすために、30個の形容詞 を印象語とし、画像の色調・配色に関する特徴(画像特徴)と印象語の正準相関分析 により、各利用者の印象語と画像特徴との主観的な対応関係を学習し、それを検索に 利用することを考えた。システムの概要を図9.5に示す。

学習用の何枚かの画像に対して利用者が割りあてた印象語のデータから正準相関分析 により絵画の色彩特徴と印象語の組の相関関係を学習し、その利用者のための検索空 間を構成する。検索のために利用者がいくつかの印象語を入力すると、システムはそ の利用者の検索空間での印象語に対する特徴ベクトルとデータベース中の各画像の特 徴ベクトル間の距離を求め、距離の近い順に利用者の希望に適合する絵画として提示 する。

正準相関分析により各利用者の印象語と画像特徴との主観的な対応関係を学習してお くと、その結果を例示画からの類似画検索に利用することもできる。各利用者の検索 空間では利用者の主観的な印象の意味で似た画像は近く、似ていない画像は遠くに配 置されていると考えられる。従って、画像そのものをキーとして近い画像を検索する と、その利用者の主観的な印象を反映した検索が可能となる。この操作を繰り返せば、 印象の似た絵画をブラウジングすることもできる。

さらに、各利用者の検索空間から印象語の表現空間への逆写像を用いると、画像を提 示するとその画像に対してその利用者が感じるであろう印象語を推定することなども 可能となる。

これらは、画像などのパターン情報と印象語などの文字・数値情報を、利用者モデル を介してメディア変換していると考えることもできる。データベース的には、これは 一種のマルチメディア join 演算を実現していると言える。



Takio Kurita 平成14年7月3日