こないだから、とある出版社の方と本を出そうと盛り上がっているのだけれども、それを実現するにあたり、様々な困難を乗り越えなければならないらしい。
そうした困難のうちの一つはこのブログ開設と非常に関連が深いので、ブログ一発目の記事として書いてみようかと思う。いや、書かんとあかんと思う。
で、その担当編集者が言うには、本を書かせてやってもいいんだけれども、私には致命的な欠陥があるのだという。世間と言うのは、暖かくもあり、冷たくもあり、自分が知る人が本を書いたとならば、それを手にして、「まぁ、○○さんが本、書いてはるわぁ。ここは一つ買うて見ましょう」、なんて購入にいたるのだろうけれども、自分が知らない人が書いた本など、まぁ、なかなか手にも取ってくれないそうである。
確かにそう言われると、著者の知名度が本の売れ行きに多大な影響を与えることは私にも理解できる。なるほどねぇ、と感心していると、言いにくそうに「で、先生の場合...」とだけ言い、それ以上、話すのを止めてしまった。...知名度がアウト。
この問題に対して私は、たとえばカヅオ イシグ口などの名で本を販売してはどうだろうかという結構アグレッシブな解法を提案したのである。当然、カズオ イシグロと勘違いをして購入する人を期待しての提案だ。しかし、これについては編集者に黙殺されると言うか、聞こえない振りをされると言う方法で闇に葬られた。おそらく、妥当な対応である。
打つ手の無い現実に直面し、しばし言葉を失っていると編集者は、「テレビ、出ましょうよ」と勧めてくれた。テレビ、そうだ、私にはテレビがある。最強の知名度アップメディアである。
で、ここ数日、テレビ局から出演依頼の電話がかかるのを、ただただ待っていたのだけれども、そんな電話はかかってこない。振り返ると、今までに一度たりとも出演依頼など受けたことはなかった。たぶん、このまま待ち続けても、出演依頼はない。
そのことに気がつき、意を決して編集者に「出演依頼ありませーん」とレインボーブリッジが閉鎖できない感じの発音で伝えてみたのだけれども、意外にも編集者は、「ぜんぜん似てないですねぇ」等とはまったく言わず、その代わり、結構長めの沈黙の後、低めの声で、「テレビ、もういいです」とだけ言った。
で、再び結構長めの沈黙が続いた後「じゃあ、ブログやりましょうよ」とそそのかされた。「私みたいな知名度が低いやつが書いたブログなんて、読むやついるの?読んでもらわないと、知名度上がんないよ。」と結構的をいた感じの指摘をしたのだけれども、それは受け入れてもらえなかった。ただ、もっと低い声で「いいから、やれよ」との賜れるだけであった。
で、今、こうして自分の知名度を上げるだけのために、ブログをしたためている。書きながら思うことは、これを読んでいる皆さんのことで、私の知名度上昇につき合わされていると思うと不憫で不憫で仕方がない。ただ、先に白状しといたほうが、お互い割り切った関係が築けると思うので、そうしとこうと思う。
これからも、皆さんが生きるうえで何の役にも立たないことを、ただただ私の知名度上昇を願って綴っていこうと思いますので、今後とも知名度上昇にお付き合いの程、よろしくお願い申し上げます。
アディオス!