件名 新刊紹介 「絵でわかる 進化のしくみ」

本日、拙著、「絵でわかる 進化のしくみ」が講談社から上梓されました。進化・種の誕生・種の絶滅をキーワードにしたためました。

本書は、私が広島大学で10年以上担当している「種生物学」という講義をもとにしたものです。講義をするたびに内容を少しずつですが洗練させていきました。ですから本書は私にとって、10年以上かけて少しずつ書き込んでいった下絵に、丁寧に色を塗っていった、という感じのものなのです。

教養課程で開講されている講義ですから、特別な知識がなくても読み進められる内容です。とってもおすすめの本ですから、ぜひとも読んでいただけたらと思っています。

さて、本書の内容の一部には”ボツ”にしてしまったものがあります。私的にはなかなかよく書けていると思っているのですが、掲載に関して担当編集者とかなりの議論を交わし、紆余曲折を経てボツにした部分です。実を言うと、最終的には編集者にも納得してもらい、「ゴー」をいただいたのですが、人の心は裏腹で、いざゴーをいただくと、「本当にゴーでいいのかな?」という天邪鬼な部分が出てきてしまい、結局自ら取り下げてしまったのです。

ドフリースの突然変異説を説明するときの挿話にするつもりの文章でした。
それでは、読んでください「余談:映画『エックスメン』のミュータント」!!!


余談:映画『エックスメン』のミュータント
ドフリースの突然変異説の話をするたびに、私はSF映画『エックスメン』を思い出します。荒唐無稽なのそのストーリーをたどると、人の中にごくまれに超能力を持った個体(映画では、この人たちは「ミュータント」と呼ばれている)が現れることから始まります。このミュータントは、葉が大きいとか葉が長いとかいったレベルの変異どころではなく、空を飛ぶとか嵐を呼ぶとか言った類の派手な能力を獲得しているので驚きです。そして、ざっくりとまとめると『エックスメン』は、こうしたミュータント同士や、ミュータントと人が戦うSF活劇です。実は私はこの映画が大好きで、ちょいちょいのタイミングで見返すのですが、優性思想などの重いテーマが込められていて、考えさせられます。
この映画に悪役としてよく登場する(つねに悪役というわけではありません)、マグニートというミュータントは金属を自由に操れます。金属を自由に操れるといっても、鍛冶ではありません。まぁ、一度ぜひ一度『エックスメン』を見て、彼の能力を確認してみてください。で、私はひそかにマグニートに憧れていて、ときどき彼になりきって遊んでいます。とくに、夜中に疲れきって仕事から帰ってきたときに、マグニートに変身しがちです。私はマンションに住んでいるのですが、エレベーターのドアの開閉に合わせて、あたかもこのドアはマグニートである私が超能力で開けているんだぞ、という感じで手を大きく動かすのです。エレベーターは金属で出来ているので、マグニートならばその動きを掌握できます。観音開きの一1号エレベーターの場合は両手を広げ、片開きの2号エレベーターでは右手だけを動かします。乗り込んだ後は、ドアを閉めるのも私の超能力のおかげですよーってという感じで、今度はさっきの開けるときとは逆の動きをします。ドアの開閉と手の動きがシンクロした時は、自分が本当にマグニートになれたような気がして、ちょっとした快感ひとしおです。
しかし、幸せな時はあまり長く続かないのが世の常です。ある日、落とし物かなにかの理由で、マンションの管理人室に行かなければならないことが起こりました。そして、私は管理人室で驚くべきく事実を目の当たりにしたのです。エレベーターホールおよびエレベーター内に、何やら防犯カメラ的なものが付いているなぁ、ということは常々認識していたのですが、それが本当に機能しているのかどうかは定かではありませんでした。しかし管理人室のモニターには、その映像がしっかっと映し出されていたのです。
映画『エックスメン』では、ミュータントは自分の能力を隠し、ひっそりと暮らしています。その能力がバレた日には、人々が怯え、過剰に反応し、終いにはミュータントがいじめられるからです。もし管理人が、私の洗練されたマグニートのふりを見て、私を本物のマグニートだと勘違いしたら、せっかく購入したこのマンションに住めなくなる、いやそれ以上の騒ぎに発展するかもしれません。幸いにも管理人は私のマグニートぶりに気づいてはいないように見えましたので(彼が心理戦をしかけている可能性もありますが)、これを期に私はマグニート(のふりをする)能力を封印することにしました。


……さぁ、書店もしくはアマゾンへゴー!!
画像をクリックすると、アマゾンへゴーします。

2018年03月02日