件名 災害に備えた地震速報訓練について

緊急地震速報がけたたましくなったのは、スカイプで海外の人と打ち合わせをしている9月のある日だった。

緊急地震速報は、まれにしか発せられないのだけれども、あの警報音は脳内に深く刻まれていて、聞き間違えるわけもない。それが、打ち合わせ中に鳴っているのだ! やばい。

警報が鳴ったからには、揺れがそのうちに到着するはず。「準備しなくては!」と思いながらも、現在は打ち合わせ中。海外にいるスカイプ先の相手はこちらが緊急であることに気がついていないことだろう。スカイプ先の相手が突然、身を守るポーズをとりはじめたら、それはそれで結構面白いことになっちゃうだろう。

とはいえ、緊急地震速報は無かったことにして、このまま打ち合わせを続けるほど余裕がある状況ではないので、打ち合わせもそっちのけで、緊急地震速報を発する携帯電話を探すことにした。携帯の画面にはさらなる情報が示されているはずだ。…… が、警告音をけたたましく発している携帯電話が見つからない。

それに、状況が腑に落ちない。さっきから警告音はなり続いているものの、その後に続くはずの「地震です」という言葉が発せられない。いつまでたっても警告音だけ。「緊急地震速報って、「地震です」って言わなかったっけ?」などといぶかしげながら、

「これはあれかいな? もしかして緊急地震速報じゃなくて、学内のアラームシステムが作動しておるのかね? じゃあ、火事? どっちにせよ、逃げる?」

見たいな事を考えていた。で、引き続き必死に地震速報の出所を探ると、それは意外なところから発されていた。窓際。

「窓際に携帯置いたかなぁ?」

と思いながらよく観察すると、窓にセミがへばりついて、景気よく鳴いていやがる。セミの鳴き声が地震速報に聞こえたという寸法。

スカイプ先で、打ち合わせそっちのけで突然家捜しに走る私の不審行動をキョトンとしながら見つめる相手に、

「突然、シカーダが鳴き始めやがった」

と、事実だけを伝えたのだが、それがなぜにパニックにつながるかのニュアンスまでは伝えなかった。緊急地震速報のシステムの説明とか、外人相手にめんどくさいし。

まとめると、セミが鳴いて驚いたという話。

アディオス

2019年09月11日