件名 ハイパーサイエンスクリエイター(HSC)事業採択のお知らせ

いつの頃からだろうか、メガネをかけ始めたのは……

こう書くと、悠久の昔からメガネをかけていることを想像されるかもしれないが、実はたいしたこと無いくらいの昔で、4~5年位前の出来事だったはずだ。目が悪くなってしまったのだが、視力が落ちたのは老眼のせいだった。老眼はメガネに頼るかなり前から始まっていたのだけれども、まぁ、基本、離れれば見えるくらいの窮状で、離れることで対処できていたのだが、その頃には10m位離れなければ見えないくらいになっていて、新聞を読むのも、本を読むのも、オブジェクトから10m離れて行うのはとかく不便であり、で、老眼鏡の世話になることを決意したのである。たぶん、4~5年前に。

それが生まれて初めてのメガネ作りだったんだけども、生まれてから40年以上もメガネをかけていなかったがため、メガネをかけている自分にどうしても馴染めず、メガネ屋さんで試しにかけるどんなメガネに対してもことごとく、「なんだか変っぽい感じがする」、と自己評価を下してしまい、店員さんに向かっての「このメガネ、変だね」を連発し、最終的には店員さんに「変なのはメガネじゃなくて、お前の顔だぜ」という表情を作らせるまでに至っていたのであった。

どうしても納得できない己のメガネ顔に対して、結局は、メガネはかけているんだけど、なんとなくかけていないように見える、ふちなしで、かつレンズが小さめのメガネをこしらえてしまったのである。今となっては消極的であったと反省をしている。

で、その老眼なのだが、老眼鏡が無ければ手元のものが全く何も見えないくらいまで進んでいる。近くのものを見る場合は老眼鏡をかけるわけなのだが、とはいえ、老眼鏡をかけたままでは遠くのほうがぼやけてしまい、「歩く」などの基本動作をすることさえままならないので、近くを見るときは老眼鏡をかける、遠くを見るときはそれを外すということを慌しく繰り返すことになっていた。

で、この繰り返しの動作が特に大変なのは講義のときで、手元の資料や学生名簿を見るときは老眼鏡をかけないと見えないし、学生に向かって話しをするときは老眼鏡をかけたままだと学生の顔がぼやけるし……結果、忙しく老眼鏡の着脱を延々と続けないといけないのである。

ただ、講義中はかなり必死なので、自分が老眼鏡をかけたり外したりしていることにさえ気が向かないほど集中しておる。よって、つい最近まで、自分がメガネを使って、落ち着きのない自分を演出していたなど、よもや思わなかったのである。

で、それに気がついてしまったのは先だって行われたインドネシアのITBでの講義で、国外で、外国語で行われたこともあいまって、私のてんぱり具合は半端なく、「みーなさーん。見ーてくーださーい。このおっさーん、いっつもより多めに付け外し、しーてまーすよー」の如く、景気よくメガネを着け外しし続けていたのである。

もちろん、講義中はメガネの着脱のことを気にする余裕など無いのだけれども、ITBが勝手にアップしやがったユーチューバーを帰国してから見返すと、せわしくメガネを着脱する自分の姿があられもなく全世界に向けて拡散されていたのであった。炎上しないのが不思議なくらいである。

で、本来ならばまず先に、「この英語、みっともなくない?」と感ずるべきところを、「メガネの着脱、みっともなくない?」と猛省してしまい、いつ、なんどき、どんな相手でもかけ続けられるメガネの購入に踏み切ったのである。いわゆる、遠近両用。

レンズは決まった。で、問題はフレームである。今回は前回の失敗の二の轍は踏みたくない。つまり、主張するフレームがほしいのである。メガネが独り歩きするような、コナンがかけているような、「あいつ、実は本体メガネじゃなーい?」と思わせるようなメガネがほしいのである。

で、メガネ屋さんに行き、値段を考えずに一番とんがっていたフレームを選び、レンズ込みの見積もりを依頼すると、なんとそれは4万円を軽く超えており、予め予算は決めていなかったものの、それは際限なく金を支払うという態度ではなく、いったいメガネが幾らするのかさえ想像もしなかったので具体な予算が建てられなかっただけであり、とはいえ4万円オーバーは私のうすぼんやりとした予算範囲のはるか上を行っていたのである。

「こんなにしちゃうのか。とても買えないな」と言葉に詰まっていると、「他店さんと比べてもらえればお分かりになると思いますが、うちはかなり勉強しておりますので」と、これでもかなり控えめな値段であることを店員さんが伝えてくれるので、「それならば早速、他店さんと比べてやろう」と遠慮なくそのお店を後にしたのだった。

で、私が次に向かったのはコストコである。コストコには奥の方で目立ちにくいけれどもメガネコーナーがある。確かにある。

コストコのメガネコーナーにはフレームも結構盛りだくさんにそろえてあって、お気に入りのフレームもいくつか見つけることができた。で、そのうちで一番見込みのありそうなフレームを選び、レンズ込みの見積もりをいただくと、なんと先ほどの半額以下なのである!

で、購入に至ったメガネだが、自己が主張するタイプのフレームで、意識高い系の私にはおあつらえ向きの、平たく形容するならば、ハイパーメディアクリエイターっぽいのである。いや、業務内容からいって、私がかければハイパーサイエンスクリエイターだ!

で、先日からそのメガネをかけて、自慢げに廊下を闊歩しているのだが、廊下で私を見かけた際は、黙して、「あ、あれがHSC(ハイパーサイエンスクリエイター)か」と思っていただければ、たいへんうれしゅうございます。

アディオス!

2018年04月10日