トイレに行きたい。
バスにのってほどなくしてからトイレが恋しくなってしまった。
バスに乗る前に、トイレに行ったというのに……
なんだろう。体調とメンタル的なものが重なって、トイレが近くなってしまったようだ。
で、予定目的地までだいぶ距離があったので、運転手さんにお願いして、急きょトイレ休憩をとることとした。最寄りのSAで。
で、ほどなくしてSAに着いた。学生には、「このストップは予想外で、あくまで目的地はまだ先にあり、だから、トイレに行きたい人は行って、すぐ帰ってくるように!」と指示を与えて休憩と相成った。
で、私はトイレに間に合い、鼻歌を歌いながら、バスに帰ってきた。ほどなくして学生たちが全員戻ってきたので、再出発となった。再出発前に、学生たちに
「乗っていない学生はいないよね」
と確認をし、学生たちは元気に「ハイ!」
と答えていた。
15分くらいは知ってからだろうか。学生のラインに着信があった。藍羽田からだった。
で、そのラインは
「先ほどの駐車場にいるけど、バスがいなくなっていて、どうすればいいのか?」
という内容だった。まじか…… 藍羽田忘れてきた。
あとで、藍羽田に聞くと、
SAの休憩室にいたときに、ぼんやり外を眺めていたら、自分が乗ってきたバスが移動しているように見えたので、休憩室の外出でて確認すると、まごうことなくバスが発車しており、すでに結構な勢いで走り出していて、当然手を振りながら走って近づいたのだけれども、バスのほうが100倍早くって、やがてバスが見えなくなりました。まさか、私がチープな青春映画の別れの場面的なことを体験するとは思ってもいませんでした。
と、事の次第を教えてくれた。
藍羽田は笑いながら話していたが、なぜか涙がほほをつたっていた。
アディオス