厳島神社に行った。嫌がる娘を無理やり引き連れて。
厳島神社の参道で、ポケットに入れていた何かを落としてしまったらしい。
とはいえ、落とした時の、
「パサッ」
という、何かが落ちた音を補足できたので、すぐに落としたことに気が付くことができた。
音の鳴ったほうを見ると、落としたものは結構大切なカードだった。胸をなでおろしながらそれを拾い上げると、カードに重なるように別のものも落ちていた。
「何じゃこりゃ?」
見ると、厳島神社のおみくじだった。そのおみくじは奇妙なことに、私の持ち物ではなかった。あらかじめ落ちていたおみくじの上に、私のカードがおちたと考えるのが、一番合理的な考え。
「なんで私のカードとおみくじが重なっとるんじゃ?」
と思いながらも、
「おみくじ、落としちゃう人もいるんだなぁ」
とだけ思って、おみくじをやや安全な場所に移動させ、その場を立ち去った。おみくじに何が書いてあるかは読まなかった。他人のおみくじ読むのも気が引けるし。
厳島神社では、拝殿のすぐ後に、おみくじがひける場所がある。私は、普段から、おみくじはやらない性質だ。
おみくじをしない理由もある。
欲深い私は、毎回大吉がひきたくてしょうがないんだけど、たいがい小吉か末吉が出やがるものだから、おみくじを引くのをやめていたのだ。
しかし、連れて行った娘はやりたいと言う。
無理やり厳島神社にまで連れて行った手前、これくらいはやらせてやらないとかわいそうだろう。おみくじを引くことを許可し、100円を渡した。私が100円しか取り出さないのを娘は見て、
「パパは、せんのん?」
と聞いてくるから、
「まぁな」
とそっけなく答えると、娘は自分のお財布をガサガサして、そこから100円を取り出し、
「100円あげるから、ひきな」
と言う。
そうまでされると断りづらい。もらった100円で引くことにした(もちろん、100円は、帰りのフェリーの中で返してやった)
娘は、おみくじのじゃらじゃらから40番を引いた。
次は私の番だ。よく振ってランダマイズし、じゃらじゃらからおみくじ棒を取り出すと、また40番だった。
で、40番の引き出しからおみくじ結果を取り出した。当たり前だけれども、同じことが書いてあった。
結果は、大吉だった。
大吉なんて引くのは、何年ぶりだろう。
久々の大吉だから、うちに連れ帰ることにした。
で、丁寧に折り曲げて、カバンのポッケに入れ……た…はずなんだけどなぁ。
自宅で探すもまったく見つからない。幸い、娘のおみくじ結果は無くなっていないから、ありがたいお言葉は、家でもしっかり確認できるんだけどねぇ。
わたしも、だれかと同じように、宮島におみくじを忘れてきてしまったという話。おみくじ、落としやすいんだろうか?
アディオス