件名 産学連携プロジェクトについて(4)


さて、愛猫人間によると、ネコを愛する理由はあまたにあるようだが、その一つに猫とのナイトライフがある。

夜になると、ネコが一緒に寝てくれることがあり、そういう日は何とも言えない多幸感に浸ることができる。
ネコが一緒に寝てくれるかどうかはネコの気まぐれによるところが大きく、ネコのほうからやってきてくれないと、例えば無理やりネコを布団に突っ込んでも、秒で布団から去っていくのがおちである。

で、一緒に寝てくれる場合のネコの行動だが、時には人間の顔をつつき、布団に入れろと要求する。

あるいは、布団の上に香箱座りをすることもある。

後者の場合、ネコの重みを感じながら幸せを噛みしめるとともに、

「寝返り打ったらネコがどっか行っちゃうんじゃないか?」

と、最高の緊張感の中で、寝返りだけは打たないように注意するのが常である。
これは、私に限ったことではないだろう。

ただ、布団の上にネコがいると、何とも言われぬ幸せに没入することができる。つまり、布団の上でネコが香箱座りをすると、布団の中の人間は幸せになれるのである。

この人間―猫心理学に基づき開発した商品が“ねこぶんちん”である。

この文鎮は、机の上で使用するのではなく、就寝時、布団の上に置くものである。

大きさは、標準的な猫の大きさにしてあり、比重もネコと全く同じ。つまり、ネコの重さ感を味わえるように設計してある。

フォルムは、香箱座りしたネコ。

で、使用方法だが、当事者が布団にもぐりこんだ後、だれか第三者を呼び、その彼、もしくは彼女に、布団の上のベストポジションに“ねこぶんちん”を置いてもらうことことで使用が可能になる。

一人で完結できないのがねこぶんちんだが、布団にもぐりこんだ人が、もぐりこんだ後に、“ねこぶんちん”を自らが潜り込んだ布団上のベストポジションに置くことは、構造上不可能なので仕方がない。

で、このように完ぺきに設計されたねこぶんちんだが、残念ながら商品化には至っていない。私に作る能力がないからだ!

そこで、玩具、もしくはその他メーカーの皆さん。どうぞ勝手に“ねこぶんちん”を作成し、販売することでぼろもうけしてください。

たぶん、私は買います。よって、一個は必ず売れます。

で、ぼろもうけをした暁には、私に研究費を送ってください。

アディオス

2020年11月16日