件名 卒業生来訪

今日は、私と“よしのり”の出会いを綴ろうと思う。

ある日のことでした。
学生が、「研究室によしのりが来た」、と呼びに来た。

よしのりって誰じゃ?

卒業生はたいがい名字で呼んできた。
わざわざ、名前のほうを名乗るんだから、在学中から名前で呼んでいた学生のはずなんだけど、名前で呼んだ学生の記憶はほとんどなく、さらに、よしのり、と言う名前は全然記憶がない。

全く思い出せない状況を前に、「これで卒業生だったら申し訳ないな」、と思いつつ、卒業生の可能性も探った。どちらにせよ、思い出せない。

で、この“よしのり”なる男、名前で自己を表現するくらいである。日本においてはこうした輩はかなり尖っていることが予想される。意識高い系とでも呼ぼうか。

で、学生部屋に通されたのだが、そこに人の姿はなかった。

「よしのりは?」

と聞くと学生が、

「ここにいます」

と水槽を指す。ん?と思っていると、今度ははっきりと聞こえる声で、

「ヨシノボリ、捕まえました。今日から研究室で飼います」

と紹介してくれた。“ボ”が聞き取れなかっただけらしい。

「ヨシノボリなんてどこにいたんだよ」

と聞くと、学生は

「発見の小径にいました。けっこういます」

(広大の方だけ、発見の小径を分かってくれたらいいです)

と教えてくれた。

よしのり、発見の小径にたむろしておるんか。

アディオス

2021年03月14日