さて、次の日。
部屋にはトレイが付いていて、この部屋だけで日常生活がなんでも完結できるようにデザインされている。
トイレなんか、折り畳み式で、なんかかっこいい。
ただ、長期滞在向けにはデザインされていなくて、テレビとかそういう類はない。
大学病院のどこかはわからないけれど、2から3階くらいにある病室で、そう思うのも、窓の外の風景がそれくらいの高さだから。
窓の外では、盛大に雪が降っている。
医師は、
「典型的なアナフィラキシーショックですね」
と説明してくれた。
「ああ、あの『アナとフィラの女王』で有名なやつですか?」
というコメントをとっさに思いついたが、そもそもアナフィラキシーショックは、『アナとフィラの女王』で有名でないし、『アナとフィラの女王』なんて言葉はないし、最初の2文字しかかぶっていないという完成度だし、医師とは初見だったし、意味が伝わらないことしか予想できなかったたので、言うのはよしておいた。
で、
「病状は落ち着いていますから、今日の夕方にここを出てもかまいません」
と、何ともうれしいことを言ってくれる。
すぐに退院できるのはいいんだけど、
「こうなった原因がわからないのは、日常生活を送るうえで怖い。」
と言うようなことを言うと、医師は、
「昨日のうちに奥さんから、何を摂取したか聞き取りをしていましたが、正直何が原因かわかりません。ピーナッツや頭痛薬まで飲んでいる」
アレルギーの原因になるものばかり摂っている......
「原因物質の精密検査は後日行うことにして、それまでは様子を伺いながら生活してください」
とのこと。
運よく、年明けに、広大病院の皮膚科で、アレルギーテストを受ける権利を得た。
「それまでは慎重にすごさなければ」
と思っていた午前中、病状が悪化した。入院後は、点滴しか接種していないから、病状が悪くなるのは想定外だったが。
仕方がないので、医師は本日も病院で過ごすことを宣言した。つまり、入院の延長。
こうして、クリスマスは病院で、一人で過ごすことになったのだった。
夕方、妻が勉強の本とか差し入れてくれた(本当にありがとうございます)。
夕方からは、勉強して過ごすことができた。
アディオス