病院3日目。
さすがに病状が安定した。
医師は、
「好きなだけ滞在してもよろしい。」
的なことを言ってくれるのだけれども、あまり滞在したいところでもなかったので、失礼を知りながら本日をもって退院することをお願いした。
医師も、快く認めてくれた。
午後には点滴もはずれ、自由に歩けるようになった。
売店にも行っていいというので、看護師さん付き添いで売店に行った。
病室の外に出ると、意外にたくさんの人が働いていることに気が付いた。
行きすがら、沈黙も何なので、
「お正月にNHKの番組に出る可能性があるから、見てくれたまへ」
と伝えると、意外に喜んでくれたので、
「看護師全員に伝えることが君のお仕事だ!」
と指示を押し付けた。おそるおそる看護師さんを見ると、別に面倒くさそうな顔はしていなかった。
お弁当とチーズケーキを買った。
「結構、がっつりいきますね。デザート付き」
という寸評を看護師さんからいただいた内容だった。
夕方、家族が迎えに来た。
みんなが優しく対応してくれた。
怒られると思っていたのに、優しかったから、
「もしかして、余命が儚いんだけれども、それは家族にしか伝わっていないのだろうか?」
と勘繰ったが、真実は闇の中なので、とりあえずほっておくことにした。
娘は、
「アナフィラキシーは症状が出てから15分以内に救急を呼べるかどうかがカギらしいよ」
と、自分が救急車を呼んだことの重要性を遠回しに主張する。
そうだ。君たち全員が私の命を救ったのだ。
少なくとも私は、深くそう信じておる。
こうして、休暇の二日間が潰れてしまった。
アディオス