件名 苦役列車

今朝新聞を見ると、西村賢太が死んでいた。

10年ほど前。芥川賞を取った時に読もうと思って、そのまま10年間もほっておいてしまったことを思い出し、早速朝十時、開店に合わせて本屋に向かった。

品ぞろえのよくない本屋にある、西村賢太の文庫本一式を入手すると、もう、西村はその本屋には残らなかった。

で、苦役列車から。

何とも言えない陰鬱さを残して読了。

こんなことならば、芥川賞取った時に読んどけばよかった。
読了後のかようなうさうさに苛まされることもなかっただろう、と思いながらも、彼の残したかったメンタリティーは、「このタイミングで読んでこそ」、だったのかもとも思った。

読了後、真っ黒な背景に緑字で苦役列車と印刷された表紙の単行本をにらみながら、刷りたての単行本を手にした時の、10年前の西村の気持ちを想像した。

詮無いのぉ

2022年02月06日