本日は研究室ゼミ。ヨーロッパにおける獣害研究の紹介をいただいた。研究室所属の院生に。
で、院生が紹介した研究の研究地では、ライ麦を育てていたのだが、“ライ麦”というのがどうもピンとこない。参加者誰も。田んぼなら分かるんだけど……ライ麦畑って……
ライ麦畑ってどれくらいの広さで、ライ麦の背丈がどれくらいなんだろう? これって結構重要。だって、それによって獣が隠れることができるかどうかが左右されるだろうから。
で、院生が苦し紛れに引き合いに出したのは、ネットに上がっていた「ライ麦畑でつかまえて」での映画の1シーンだった。そのシーンは、青年期の男女が笑いながら手をつないでライ麦畑を楽しげに駆け回るような写真だった。
この写真だけ見ると、「ライ麦畑でつかまえて」は、なんだか能天気なお話に見えるのだけれども、私の記憶に残る「ライ麦畑でつかまえて」は、葛藤の中で生きざるを得ない、悲しげな話だったような気がする。
で、研究室ゼミを休止させ、参加者に「ライ麦畑でつかまえて」について、感想を問うてみることにした。
「『ライ麦畑でつかまえて』って、どんな話だったっけ? 」
さて、それに対する答えは愕然としたものであった。
……読んでいない。
正確には、読んでいたのは二人いて、それは、40代のおじさん二人(そのうち、一人は私)
「じゃけぇ、うまく社会に適合できなくて、どうすりゃいいのか途方にくれている若いのが、もう少し、ワシみたいなやつに助けの手を差し伸べてやる寛容さが、社会に必要じゃないの?なんなら、ワシが大きくなれたら、そういう役目をやってやってもいい、思うちょるんよ(これがライ麦畑のキャッチャー)……的な話じゃなかったっけ?」
という私からの質問に対しても、もう一人の読んだほうも、
「ロックな感じなのは覚えてるんですけどねぇ……」
という、なんとも頼りない答え。
サリンジャーに申し訳ないので、休みに読み返そうかな。
アディオス