件名 年次有給休暇取得のお願い

アメリカに行くの。お仕事で。

で、アメリカから帰るや否や東南アジアへ、と言う旅程を立ててしまった…… アメリカからの帰国便が遅れたら、東南アジアどうなるんじゃろ?

一方、アメリカ出国前はと言うと、国内出張あり、会議あり、非常に神経を使う業務ありと、気の抜けない日々が続いていた。

で、ふと予定表を見てみると、出国前日の金曜日の業務が比較的少ないことに気が付いた。

「これなら、金曜日、有休とれるじゃん!」

と思い立ち、実行に移してしまった。有休はほとんど消化できずに、腐るほどある(はず)。

木曜日の夜は落ち着かなかった。皆が働いている時間に、堂々とお休みできるのだ!そう考えるだけで、得した気分だ!これぞ、労働者の権利!先人たちが勝ち取ったレガシー!

で、その金曜日が幕を開けたのだが、朝六時きっかりに、いつも通りネコのちいちゃんがご飯をねだりに来て、いつも通りちいちゃんにご飯を上げるため体を起こす。すると、目がさえてしまったのか(いつもの起床時間だから仕方がないか)、もう寝られない。

そのうち、家族が起きだして身支度を始めた。そう、彼らには普通の金曜日だ。その姿をただただ見守り時間を過ごした。途中、娘から、

「今日は何で準備しないの?」

と聞かれたが、

「まぁ、なんとなく」

とお茶を濁してしまった。

で、娘たちを送り出した後は、二度寝をせず、そのまま明日からの旅行の準備をし、完全に頭と体が起きてしまったので、もう、寝る気がしないので、「じゃあ、今から何して休もうか」、と思ったのだが、この期に及んで、素敵な有給の過ごし方プランが全く思い浮かばない。有休を取ることだけを目的としてしまい、有休を取ってできた時間に何をするかを目的にしなかった天罰だ!

「まぁ、とりあえず」、とメールのチェックをすると、愕然。海外から論文送付の依頼が来ているではないか!ジャーナルへのアクセスが悪い海外の研究者から、直接著者へ論文別刷りの送付依頼が来ることはあまり珍しいことではない。これには応えてあげなければ!

とは言え、その論文は大学のPCに保管してある。で、大学に次に行くのは、予定通りならば旅行から帰った3週間後。……論文送付を3週間待たすのは、研究に致命的な影響を与えかねない。こういうのは、同じ研究者なのだからよくわかる。で、結局、電車とバスを乗り継いで大学に行ってしまった。別に家にいてもやることがあるわけではないし……

で、大学に行って、メールの返事を書いて帰ってくると、ほぼ一日が終わっていた。

家に帰って、今日は本当は有給休暇だったんだけど、なぜか大学に行ってしまったことを家族に白状すると、子どもから

「だったら、私たちが学校から帰った後に、図書館とか美術館に連れてってくれればよかったじゃん。休み下手なんじゃないの?」

とダメ出しされる始末。

夜になると、論文を送った相手から返事が来ていた。

「あなたは本当に親切な人だ」

……親切なんじゃなくて、休み下手なだけなんだって。

アディオス

2019年03月28日