二つの量子系の間の量子相関を量子干渉効果から理論的な説明を試みた論文がNew Journal of Physicsに掲載されました
6/192024
カテゴリー:研究成果 QFG (ポスト番号:14)
二つの二準位系の間の量子相関は量子情報科学の本質的な役割を担っていますが、直接的な観測は難しく、物理的な起源はよく分かっていません。姫明、ハンスジョンティ、ホフマンホルガの3名は、二準位系の対を記述するヒルベルト空間を3経路干渉計での異なる測定文脈に関係づけることによって、3経路干渉計での単一量子の量子干渉効果から量子相関の理論的な説明を試みました。その結果、全体の干渉効果が量子相関を説明すること、さらにこの干渉効果は文脈依存性を示し、負の確率(擬確率)の流れによって説明できることが分かりました。このことは量子相関を説明する干渉効果は実在論では説明できないことを意味します。
弱測定相互作用でのメーター系の揺らぎの起源を論じた論文がPhyiscal review Aに掲載されました
2/202024
カテゴリー:研究成果 QFG (ポスト番号:13)
測定では、メーター系と呼ばれる既知の量子系の変化を読み取ることで測定対象系の物理量の測定が行われ、それは弱測定でも同様と考えられています。このときメーター系の揺らぎは測定対象の物理的な揺らぎと表すと思われていました。松下智悟とホフマンホルガの2名は、測定過程でのメーターの統計的変化をハイゼンベルグ描像で解析することで、弱測定での測定対象系への終状態選択が相互作用を介してメーター系の統計を動的に変更することを見出しました。この結果、メーター系の統計だけでは動的な変化と測定対象の物理的揺らぎの区別が困難であることが分かりました。逆を言えば、この区別がかなり重要であることが分かりました。
非測定文脈の限界を超える、異なる測定文脈の間での定量的な関係を論じた論文がQuantumに掲載されました。
02/142024
カテゴリー:研究成果 QFG (ポスト番号:12)
量子論では、測定文脈はヒルベルト空間のベクトルで表され、それらの関係は内積で特徴づけられます。姫明とホフマンホルガの2名は、異なる測定文脈で共有される測定結果を用いて、異なる測定文脈を示すベクトルの内積の間の定量的な関係の導出を試みました。その結果、量子逆説を説明する確率は数少ない内積から導出可能であり、しかもそれらは測定文脈の間の詳細な関係を明らかにすることがわかりました。この結果を二つの系の積空間に適用すると、量子もつれの非局所性は、一つの系での測定文脈の間の関係を表す局所的な内積まで遡ることが可能であることを意味します。
超伝導伝送線路での疑似タキオンの生成と観測を理論的に論じた論文がNew Journal of Physicsに掲載されました
12/222023
カテゴリー:研究成果 量子情報グループ (ポスト番号:11)
タキオンは虚数質量を持つ光より速い仮説的な粒子ですが、自発的対称性の破れの過程で凝縮モードで現れる可能性があります。片山春菜、畠中憲之、藤井敏之、Miles P. Blencoweの4名は、物理系として超伝導回路に着目し、SNAILと呼ばれる伝送線路において疑似タキオンの生成と観測が可能であることを理論的に示しました。
3光路干渉計での量子文脈依存性に関する論文がOptica Quantumに掲載されました。
12/202023
カテゴリー:研究成果 QFG (ポスト番号:10)
ホフマン・ホルガは、測定文脈依存性を物理的にかつ系統的に調べるために3光路光干渉計を提案しました。文脈依存性はベルの不等式の破れにも表れるように量子力学の根幹に関わる重要な性質ですが、数学のグラフ理論をもとに研究されてきたため、その物理はよく分かっていません。この研究では、測定文脈と干渉計での光子の不思議な伝播との関係を明らかにしました。
偏光の量子もつれ状態を用いた量子文脈依存性の実験に関する論文がPhysical Review Aに掲載されました
12/162023
カテゴリー:研究成果 QFG (ポスト番号:9)
偏光の量子もつれ状態を用いた量子文脈依存性検証での困難な点は実験誤差が伴う現実の状況での最適な初期状態の準備です。松山健悟、姫明、ホフマンホルガ、飯沼昌隆の4名は、測定結果を元にした動的な方法によって文脈依存性を観測し、それが古典相関と量子相関の両方が寄与する中程度の量子もつれ状態で最大となることを見出しました。
片山春菜先生のアジアの科学者100名の選出を受けて、広大でのQfitの研究活動や教育活動の様子が広島テレビの「テレビ派」で放送されました。
12/42023
カテゴリー:イベント (ポスト番号:8)
片山春菜先生のアジアの科学者100名の選出を受けて、広島テレビからTV取材の申込があり、その様子が12月4日(月)の夕方の情報番組「テレビ派」で放映されました。片山先生の研究活動としてQFGグループのセミナーにも参加され、Qfit活動の一環としてセミナーの様子も放映されました。下記のyoutube動画にてご覧いただけます。https://www.youtube.com/watch?v=WnbOUlnKyEg
量子チャシャ猫現象での量子文脈依存性との関連性を示した論文がNew Journal of Physicsに掲載されました。
11/172023
カテゴリー:研究成果 QFG (ポスト番号:7)
ハンス・ジョンティ、姫明、ホフマン・ホルガの3名は、量子チャシャ猫現象と量子文脈依存性との関連を理論的に調べました。量子チャシャ猫現象とは、干渉計の二つの経路の一方に粒子本体、もう一方にスピンのような属性のみが分離したように見える現象のことです。研究の結果、単一光子を用いた光干渉計で、量子チャシャ猫現象は量子文脈依存性の性質が直接現れており、それが実験で実証できることを初めて示しました。このことは、ベルの不等式の破れのような文脈依存性の性質が不思議な現象として見えることを意味します。
第1回QJM研究会が広島大学ナノデバイス研究所で行われました。懇親会にてQfitメンバーの片山春菜助教の「アジアの科学者100人」選出のお祝いをしました。
9/292023
カテゴリー:イベント (ポスト番号:6)
九州大学と広島大学のメンバーが集まり、量子論の基礎をテーマにした第1回QJM(Quantum Joint Meeting)研究会( https://home.hiroshima-u.ac.jp/~iinuma/qjm/workshop/index.html )が広島大学ナノデバイス研究所で行われました。分野の垣根を越えて活発な議論が行われました。懇親会では「アジアの科学者100名」に選出されたメンバーの片山春菜助教のお祝いをしました。
片山春菜助教がアジアの科学者100人に選ばれました
9/152023
カテゴリー:イベント (ポスト番号:5)
Qfitメンバーの片山春菜助教がジョセフソン回路を用いたブラックホールレーザーの研究でアジアの科学者100人に選ばれました。広島大学の研究者としては初の受賞になります。広島大学HP( https://www.hiroshima-u.ac.jp/ )にも掲載されています。
測定対象の物理的実在を否定する量子測定の論文がPhysical Review Researchに掲載されました。
7/312023
カテゴリー:研究成果 QFG (ポスト番号:4)
松下智悟とホフマンホルガの2名は、測定対象の量子系と測定系との間の物理的な相互作用に着目し測定過程の動力学を調べることによって、測定で得た物理量の値が測定の相互作用によってどのように形成されるのか、理論的に明らかにしました。したがって測定結果は、動力学の要素を示したものであり、測定対象系の物理的実在の要素から説明できないことになります。
もつれ合った二光子吸収レートの増大に関する論文がPhysical review Aに掲載されました
7/182023
カテゴリー:研究成果 QFG (ポスト番号:3)
ブロードバンドのもつれ合った二光子吸収レートは、中間状態での共鳴に対応する位相分散を導入することによって増大することが可能です。李百宏とホフマンホルガの2名は、共鳴の位相反転によって二光子吸収レートが増大することを見出しました。この結果は、位相反転を用いたブロードバンドもつれ合い二光子吸収が位相敏感な分光法に適していることを示しています。
Qfitホームページが立ち上がりました
7/142023
カテゴリー:イベント (ポスト番号:2)
Qfit(Quantum Foundations and Information Team)とは、広島大学で量子論の基礎、量子情報の研究を進めているQuantum Frontier Group(QFGグループ、量子物質科学プログラム)、量子情報グループ(理工学融合プログラム)、数学プログラム、ナノデバイス研究所の研究者間で形成したコンソーシアムタイプのチームです。
二重スリット実験での量子干渉の謎の解明に関する論文がQuantum Studiesに掲載されました
6/122023
カテゴリー:研究成果 QFG (ポスト番号:1)
ホフマンホルガ、松下智悟、黒木駿一、飯沼昌隆の4名は、二重スリットの干渉実験で光子が二つの同一のスリットを通過するとき、それぞれ物理的に非局在化して通過することを実証できる新しい実験方法を提案しました。この成果はQuantum Studies:mathematics and Foundations 6月12日オンライン版に掲載されました。なお広島大学HPの研究成果でも取り上げられています。