[REPORTS] 養老孟司先生をお招きして第2回プラネタリーヘルスシンポジウムを開催

[広島大学75+75周年記念事業] 第2回プラネタリーヘルスシンポジウムを開催しました

広島大学の国際連携機構IDECは,3月2日に第2回プラネタリーヘルスシンポジウムを開催しました。このイベントには,会場とオンラインを通じて合計215名が参加しました。

開会にあたり,広島大学の金子慎治理事・副学長 (グローバル戦略担当) が挨拶を行い,続いて東広島市の川口一成副市長の来賓として挨拶を行いました。その後,プラネタリーヘルスイノベーションセンター (PHIS) の鹿嶋小緒里センター長がシンポジウムの目的について説明しました。

基調講演では、解剖学者かつ昆虫研究者である東京大学名誉教授の養老孟司先生と、PHISセンター長鹿嶋小緒里と広島大学大学院先進理工系科学研究科の保坂哲朗准教授が、「人の健康と生物多様性」をテーマに対談を行いました。養老先生は、日本人が曖昧な感情を共有する能力に優れており、日本語が五感を通じて多くの表現を含むこと、そしてそれを通じて概念を構築してきたことに言及し、「まともな世界」という表現をプラネタリーヘルスの日本語訳として提案されました。

「プラネタリーヘルスと私たちの生活」と題したパネルディスカッションでは、登別市観光交流センターの白川勝信副センター長、広島大学の保坂哲朗准教授、大阪大学大学院人間科学研究科の木村友美専任講師、シェア=国際保健協力市民の会の仲佐保代表理事をパネリストに迎え、広島大学の小野寺真一教授と鹿嶋小緒里センター長がモデレーターを務めました。里山資源の活用、人と自然の相互作用、食と健康、環境と感染症について、地域での実践的な取り組みを報告し、プラネタリーヘルスの実践に関する議論を展開しました。

閉会式では,広島大学の田中純子理事・副学長(霞地区・教員人事・広報担当)が挨拶を行いました。

このシンポジウムを通じて、プラネタリーヘルスが新しい概念ではなく、既に多くの場所で人々の健康と豊かな生態系の共存に向けた取り組みが行われてきたこと、そして私たちが忘れがちな身の回りの地域環境、地域資源の特性を再認識することの重要性が共有されました。

グローバル化と大量消費の社会において、私たちは身の回りの生活や周囲の自然環境へ注意を払うことが少なくなっています。広島大学のプラネタリーヘルスイノベーションセンターは、既存の社会的・自然的資源 (コモンズ) に再び焦点を当て、「実感」に基づいた取り組みの推進を通じて、私たちの生活を「まともな世界」にするためにはどうすべきか、そしてその実現のために地域から何ができるかについて、皆さまと一緒に議論を深めながら、地域とともに進んで行きたいと考えています。

ポスター等の開催概要:

(Japanese) https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/81541

(English) https://www.hiroshima-u.ac.jp/en/news/81558

開催報告書:https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/82037