2 東アジア水産業の競争構造と分業のダイナミズム

 山尾政博 「現代の食料供給システムを考える 『食の安全環境』の実現にむけて―」 (論文,PDF) 
      現代の食料供給は、複雑なシステムとして動いています。食料の安全保障を確保するた めには国内自給率を高めることが大切ですが、同時に、食料を提供する国々との関係を 抜きには考えられません。世界の国々から食料を輸入しているわが国は、食の安全・安 心もグローバルな課題として意識しなければなりません。改めて食料供給システムのあ り方を問うてみました。

 山尾政博 「日本の水産物貿易の構造変化と東アジア食品産業クラスター
―北海道秋サケ輸出を事例に―」(論文,PDF)
       北海道秋サケの輸出を事例に、日本の水産業の輸出志向型への展開と、東アジア食品産業クラスターとの分業関係を検討してみました。東日本の水産業のあり方を考える参考にしていただけるのではないかと思います。

 山尾政博  「日本水産業の成長路線を考える 」(論文,PDF) 
       縮小再編成の途上にある日本水産業の活路をどこにみいだすか様々な提案があります。 輸出振興もそのひとつですが、可能性を検討した小レポートです。

 山尾政博・天野通子  「日本水産業の構造問題と発展戦略」 (論文,PDF)  
       韓国水産経営学会国際シンポジウムの講演内容に加筆したものです。日本水産業の構 造問題を解説し、論争点になっている事柄を紹介。今後の戦略的課題を整理しました。 東アジアの水産業の競争関係を強く意識した報告内容となっています。

 山尾政博、Achmad Zamroni、 天野通子
          「インドネシア水産加工業の動向−主に対日輸出志向型企業を中心にー」(論文,PDF)
      インドネシアの水産加工業の実態を調査し、対日輸出に重点をおいた企業活動を通して、日本とインドネシアの水産物貿易の動きを検討してみました。ダイナミックな水 産物貿易、水産食品の製造をめぐる分業関係の一端を報告しています。

 山尾政博 「インドネシアにおける輸出志向型水産加工業の潮流―ジャカルタ漁港周辺の事例調査―」
(論文,PDF)
      ジャカルタ漁港はインドネシアの拠点漁港ですが、その周辺にはたくさんのマグロ輸出企業、水産加工企業が立地しています。本稿はジャカルタ漁港の様子とともに、マグロ製品の加工輸出企業、スリミ生産企業の活動を紹介しています。今後、インドネシアのスリミ産業がどのように発展していくかは大きな関心事です。

 山尾政博  「フィリピンの水産物貿易の特徴 ―ある日系企業の活動を通して―」 (論文,PDF)
      島嶼国家であるフィリピンは水産業が盛んですが、輸出産業としての発展は、タイ、インドネシア、ベトナムなどの東南アジア域内諸国に比べて遅れています。ある日系水産加工企業の活動を通して、フィリピンの輸出志向型水産業の発展の方向性を考えてみました。

 山尾政博
     
「フィリピンの沿岸漁業と市場流通の動向 ―パナイ島バナテ湾のカニ漁業を事例に―」 
(論文,PDF)
       タイワンガザミ(ワタリガニ)漁がフィリピン各地で行われています。その発展は、アメリカを中心とした先進国市場向け輸出によるところが大きいのですが、カニ漁を 行う沿岸漁業の市場流通は様変わりしています。パナイ島バナテ湾での市場流通の変 化を、集荷加工業者に焦点をあてて、検討してみました。

 山尾政博 「フィリピンの沿岸漁業と資源管理の課題 ―バナイ島バナテ湾周辺のカニカゴ漁業経営を
通して―」(論文,PDF)
      上記の論文と関連した内容ですが、こちらは漁家経営の分析を主に行っています。カニカゴ漁がどのように地域に根付いていったのか、あるいは、どのような要因で衰退 していったのかを分析しています。持続的な資源利用をめぐる課題と、市場流通の問 題が浮かび上がってきます。

 山尾政博  「東アジア水産物貿易の潮流−日本の貿易戦略の検討のために−」
      東南アジアを中心に水産物貿易の最近の動きを整理してみました。財団法人東京水産 振興会が編集発行する、『水産振興』第530号として発刊されています。 同会の水産振興事業(下記URL)から本稿をダウンロードできます。 http://www.suisan-shinkou.or.jp/promotion/suisan-shinko/index.html

 Yamao Masahiro “A Further Development of Inland Aquaculture: Toward Poverty Alleviation and Food Security in Rural Area” (報告資料、PDF)
       2013年12月にバンコクで開催された国際シンポジウムでの基調講演です。 アジア・アフリカの貧困農村地帯で淡水養殖業をいかに普及するか,国際 協力機構(JICA)が実施している農民間普及の意義を述べたものです。

 赤嶺淳  “Sea cucumber war and the influence of ecopolitics on the conservation of sea cucumber
         and its foodways” 
       東南アジアのナマコ生産と流通の専門家である赤嶺さんによる論文です。ワシント ン条約や世界の水産物貿易をめぐる政治的動きを視野に入れて論じたユニークな内容です。

 山下東子  「マグロ缶詰と観賞用魚の競争構造と分業のダイナミズム」(論文,PDF)
      マグロ缶詰という世界的な貿易商品をめぐる分業関係の動きと、鑑賞用魚というやや特異な分野の貿易に焦点をあてています。魚類養殖と同じように、複雑な地域内分業が鑑賞用魚でも成立していることが分析されています。

 鳥居享司  「シンガポール魚介類流通と消費」(論文,PDF) 
      東南アジアの水産物大消費地市場であるシンガポールの魚介類消費の実態を調査したものです。周辺国からの輸入水産物によって成り立つ市場は、同時に、世界各地への転送拠点機能を果たしていることがわかります。

 鳥居享司  「インドネシアにおけるカツオ節産業の概要」(論文,PDF) 
      日本のカツオ節産業の分身と言われるインドネシアにおいて、詳しく調査した内容です。日本の伝統の味は、海外カツオ節によって維持されているのがよくわかります。一大カツオ節生産基地になっているスラェシ北部にあるビトンを訪れて調査をしました。

 鳥居享司  「インドネシア・ベノアにおけるマグロ産業の実態」(論文,PDF) 
      東南アジア各地には、マグロ漁業の基地が点在しています。インドネシアのバリ 島ベノア漁港には、延縄漁船が多数集結し、日本向け輸出はもとより、加工して 輸出する基地として発展しています。最近のベノア漁港周辺のマグロ産業を調査 してみました。海外からみると、日本の水産物市場と消費の動きがよくわかりま す。

 柳a錫・山尾政博  「韓国における日本産養殖マダイの価値」(論文,PDF) 
      韓国の刺身消費の中心には日本からの輸入養殖魚があります。特に、日本産マダ イは人気のある商材であり、高い市場価値を得ています。ただ、韓国市場には安価な中国産養殖魚が大量に輸入され、国内での養殖も盛んです。激しい競争関係 に巻き込まれています。西日本養殖業の国際競争力を分析した内容になりました。

 Achmad Zamroni・
   Yamao Masahiro
“Assessment of the Socio-Economic Impact of the Small-Scale Natural Resources Management Program in Indonesia”(Full Text, PDF) 
      東南アジアでは、統計上の養殖生産量が急増している国がありますが、その相当部分が海藻によるものとみられます。海藻養殖は高い技術水準を必要とせず、投資額が少ないことから、資源の減少と貧困に悩む沿岸漁村の漁獲漁業の代替生計手段として注目を集めてきました。南スラェシの漁村を事例に、生産、加工、流通の実態を明らかにしました。

 山下和樹・山尾政博・
   細野賢治
「対中国水産物輸出の現状 長崎魚市の鮮魚輸出を事例に」(報告資料、PDF)
      2011年3月11日に発生した東日本大震災を境に、日本の水産物輸出をめぐる環境 は大きく変わりました。本報告は、それ以前の時期を対象にしており、鮮魚を中心 に中国・上海市に拠点を築いた長崎魚市の活動を分析しました。東アジア諸国間で の鮮魚・活魚等の貿易の活発化の実態を明らかにしたものです。

 WAI YEELIN・  
   YAMAO Masahiro
“Enhancing Food Security by Cooperation among ASEAN Countries: A Review for Achieving Better Food Availability in the Region” (Full text, PDF) 
      アセアン諸国が共同して食料の安全保障を確保する動きを分析しました。特に、イン ドネシアがベトナムとの提携で食料の安全保障を実現しようとしている点に着目して います。食料危機に遭遇した教訓を活かそうと努力する姿勢がみられます。

  



山尾研究室(食料環境経済学)
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