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2003年10月


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2003.10.29

とにかくこの1週間ほどはずっと忙しくて、まあ理由はいろいろあるのだけど、一番大きい理由は生命科学セミナーの準備に時間がかかっていたこと。10月7日に「セミナー用のスライドを一応最後まで作り終えた」と書いたが、結局、その後、全面的に作り直した。いちばんの理由はAppleのプレゼンテーションソフトKeynoteについていろいろ調べていた時にこのKeynote Theme Parkで、Oceansというテーマを見つけてしまったこと。一目惚れでした。さっそく購入してスライドを作り直しはじめたらどんどん深みにはまってしまって、思いがけず時間がかかってしまった。こんなことしている暇なんてないのに、と思いながらも、アイディアを思いついたら試さずにはいられなくないという中毒状態。しかしおかげで自分でも満足できるスライドができた。
今日がセミナーの当日だったんだけど、気分も乗って、気持ち良くしゃべることができた。終わってみたらちょうど1時間で、持ち時間ほぼジャスト。質問もちゃんと出たので、聴衆を置き去りにすることもなかったようだし、終わった後で何人かの方に「面白かった」と言ってもらえたので、準備した甲斐があった。
いや、ほんとに、Keynoteを使いはじめて以来、発表用のスライドを作るのが楽しくて仕方がない。発表のときも、みてみて、奇麗なスライドでしょう? という気分なので、楽しく話ができる。久しぶりにツボにはまるソフトである。

この前の日曜は事情があって同居人Tomとともに岡山に行って来た。用事が終わってしばらく暇があったので、久しぶりに万歩書店に寄って古本を二人あわせて一万円ほど買った。僕が買ったのは、井尻正二『化石』、吉田洋一『零の発見』、本間龍雄監修『新しいトポロジー』、本間龍雄&南みや子『やさしいトポロジー』、佐高信『タレント文化人100人斬り』、ジョン・サルストン&ジョージーナ・フェリー『ヒトゲノムのゆくえ』、A・モンターギュ『ネオテニー』、町山智浩『アメリカ横断TVガイド』、映画秘宝『ブルース・リーと101匹ドラゴン大行進』など。新旧とりまぜ、これで5千円くらいか。
あとは久しぶりに楽庵によってコーヒーを飲み、コーヒー豆を買って帰った。

最近かわったことと言えば、あとは新しい椅子が届いたことくらいかな。通販で買ったPleaseチェア。いや快適快適。快適すぎて夜に仕事をしているといつの間にかそのまま眠ってしまっていたりする。

最近の購入本:Daniel J. Howard&Stewart H. Berlocher『Endless Forms: Species and Speciation』、 E.T.ベル『数学をつくった人びと1』、岡崎勝世『世界史とヨーロッパ』、今一子『百鬼夜行抄11』。

チャンピオンズリーグ。バイエルンはアウェイで引き分け。シュツットガルトはホームで勝利。シュツットガルトは今回も良かった。ほんとうに良いチームだなあ。ぜひこのまま次のステージまで行って欲しい。ブンデスリーガじゃなかなか試合の中継がないけど、チャンピオンズリーグなら全試合放送だし、再放送もしつこいくらいあるし。


2003.10.20

先週増やしたPCR産物はうまくクローニングできていたので、今週は塩基配列の決定と、プローブ作り、そしてゲノムサザンブロットまでもっていきたいところ。それと平行して転移酵素プローブでのノザンブロットも。カエルプロジェクトはそれで良いとして、フグプロジェクトの方も塩基配列の結果が出たら発現ベクター作りを始めないといけない。やること大杉。

昨日はジョナサン・カラーの『文学理論』を読了して、金森修の『ベルクソン』を読みはじめた。『文学理論』は良い本ですね。とくに第1章『理論とは何か?』は、僕にとってはたいへん示唆に富んでいて面白かった。先週は仲正昌樹『「不自由」論』も読み終えた。これも良い本。最近どうもこらえ性がなくなって、つまらない本はすぐに投げ出してしまうのだけど、先週は当たりでした。『ベルクソン』はどうでしょうね。ああ、それからグインサーガの新刊(92巻)が出たので、読まずに放っておいた90、91と合わせて3冊一気読み。3冊読めばそれなりに話は進み(3冊でこれだけか、という気もするが)、パロ編が一区切りついて、やれやれといったところ。次巻、戦後処理の話がいくらかあるだろうけど、その後はゴーラ、あるいはケイロニア? いずれにしてもあまり楽しい展開ではなさそう。ここはやはり一つ、ノスフェラスに戻ってもらって、栗本薫にも初心を思い出してもらいたいところである。

昨日は西条で毎年おこなわれている国際交流のお祭り『ガドガド祭り』にも行ってきた。お目当ては十数か国参加の郷土料理の屋台で、エジプト、モロッコ、インドネシアなどの料理をつまみながらフィリピンのビールを飲んでご機嫌だった。酒祭りのときにもちょっと食べたけど、エジプト料理はかなり美味しいということを知った。春にケンブリッジでアルジェリアのレストランには入ったのだけど、それと似た味と香りだった。

夜は録画しておいたブンデスリーガ、シュツットガルト対ブレーメンの試合を観る。明らかな審判のミスジャッジで無失点記録を止められてしまったシュツットガルトのGKヒルデブラントだが、その後はきちんと守りきり、攻撃陣もきっちり得点してシュツットガルトの勝利。ブレーメンも決して悪くはなかったのだが、シュツットガルトが一枚上手だった。この前のチャンピオンズ・リーグの試合を見ても、この強さはどうやら本物らしい。ほんとにまとまりのある良いチームであり、応援したくなるチームです、シュツットガルト。今年のブンデスリーガは、レバークーゼン、シュツットガルト、ドルトムント、ブレーメン、バイエルンあたりまでは、いまのところほぼ横並びできているので、上位の対決は目が離せません。

買い物メモ:粂和彦『時間の分子生物学』、E.T.ベル『数学をつくった人びと2』、福田和也『悪の読書術』、曽田正人『Capeta』1、2、井上雄彦『リアル』3、やまじえびね『夜を超える』、栗本薫グインサーガ92『復活の朝』。


2003.10.12

今日は西条酒祭り。昼過ぎからふらふらと出かける。今年はあまり飲まないつもりだったので、日本酒にはほとんど手を出さず、モンゴルの牛乳酒というやつ(甘くておいしい)と、中国のライチのお酒をちょっと飲んだだけ。あとは国際交流広場の屋台でエジプトのカバブと、モロッコのクスクスをかるくつまんで、飲み食いはおしまい。露店で1個50円の魚の箸置きを10個ばかり買い、いちばん近所の酒蔵で、吟醸酒の原酒と、手作りの燻製を買って家に帰って来た。酒祭りも最近はちょっと人が増え過ぎて、歩くのが疲れる。

自宅の仕事部屋の安物の椅子の座り心地にどうにも我慢しきれなくなって、ちゃんとした仕事用の椅子を買う決心をした。先月、秋葉原に行った時にリビナとかいう家具屋でいろんなワークチェアを試してみて、やはり良い椅子は良いなと感じたので、その時に見た、アーロン、プリーズ、リープ、コンテッサといったあたりを中心にネットで評判を調べてたら、2chの家具インテリア板に
リープ:落ち着いて仕事する椅子
プリーズ:リラックスして仕事する椅子
アーロン:必死に仕事する椅子
という書き込みがあって、なるほど、と。
結局、ヘッドレストが付いているということと、値段もそれほど高くないということで、プリーズを買う事にして、ネットで注文した。さ来週ぐらいには届くかな? 楽しみ。

先月秋葉原で買って来たえぢ永夕さん作のパズルフレームシリーズ。"POLO-Australis"はわりと短時間で解けたのだが、"CAT-FACE"には苦しんだ。途中、「これ本当に解けるの?」と何度も思ったが、ついに今日、解く事ができました。解けてみれば「なるほど」なんだけど、いやこれ難しいわ。楽しめました。


2003.10.11

水曜日に届いた9本のPCRプライマーはどれもちゃんと働いてくれて一安心だが、やるべきことがどんどん増えていくのでなかなか大変だ。仕事には優先順位をつけなければいけない、というのは分かっているのだが、それぞれの「やるべきこと」がお互いに関連していたりするので、どれかをとりあえず脇に置いておくということが、なかなか難しい。

最近の買い物:『ゲーテ全集 14 自然科学論』、城崎哲『猫の不完全な飼い方』、無抵抗勢力『バカ発言丸投げ丼』、ダグラス・ラミス『不思議の国のブッシュ 』、佐藤哲也『異国伝 』、深堀骨『アマチャ・ズルチャ』。


2003.10.10

先週から木曜、金曜の午後は3年生の専門の実習である。今年は15人の学生さんたちに対して、カエルの胚集めと、そこからのRNA抽出というメニューでやっている。教養の実習は何十人もいる大教室での実習で、しかも週変わりの単発実習だから、学生さんたち一人一人がどういう人たちなのかもなかなか分からないし、記憶にも残らないのだが、専門の実習になると大体10から20人くらいの規模なので、それぞれの個性も分かるし、そうなればそれぞれの人たちに親しみも湧く。総合科学部の生命系は、所帯が小さいということもあって、比較的、互いの顔が見えるアットホームな雰囲気があると思うのだが、この学生実習は、そういう雰囲気を作る上でとても重要な機能を果たしている場だと思う。一昨年までは臨海実習もそのような場として機能していたのだが、残念ながら今は臨海実習は諸般の事情で無くなってしまったので、この実習は貴重な場なのである。
毎年、実習をしていて面白いのは、学生さんたちの、いろいろな不手際、失敗には、毎年驚くほど共通性が見られるということで、こちらもだんだん慣れてくるから、あらかじめ、ここはこういう所に気をつけてね、と注意を促すことが出来るようになる。しかしもちろん失敗のパターンというのはたくさんたくさんあるので、それをすべて注意してから実習を始めていたのでは日が暮れてしまう。というわけで実習を進めながら場面場面で注意を促していくわけだが、たかだか十数人といってもやはりすべてに目が届くわけではなく、で、こちらが注意し忘れたところは、やはり誰かが必ず失敗をしでかすのである。まあ実習なのだから、失敗も経験のうちで良いのだけれども。

昨晩はレイトショーでリドリー・スコット『マッチスティック・メン』を観てきた。「詐欺師の中年男と娘の話」といえば嫌でも『ペーパー・ムーン』を思い浮かべてしまうわけで、この映画も『ペーパー・ムーン』的な話なんだろうなという先入観をもっていたためか、いやいや、見事に騙されてしまいました。映画が終わった後に、学生らしいグループが「面白かったね」「でもオチ途中で分かったよね?」「ええ? 分からんかったよ」みたいな話をしていたのが微笑ましかった。とくに良い評判も聞かないし、観る前はまったく期待していなかったのだが、個人的にはかなり気に入った。それはもちろん、うまく騙されてしまったからというのもあるのだけど、それだけではない。以下ネタばれ気味なので色を変えます。 『テルマ&ルイーズ』では、普通に考えれば悲劇であるラストシーンをハッピーエンドにしてしまうという離れ業を成功させたリドリー・スコットであるが、今回も、主人公を絶望の底へ突き落とすような、かなり悲惨なオチの後に、その悲劇をハッピーエンドに転換してしまうようなエピソードが添えられている。これはある意味で本来のオチ以上に強い印象を残すエピソードであり、これによってこの映画は、騙されたから楽しめたとか、途中でオチが分かっちゃったからつまらなかったとか、そういう次元を超えた高みに到達し得ていると思う。大傑作とは言わないけど、心に残る佳作です。



2003.10.07

セミナー用のスライドを一応最後まで作り終えた。まあ本番まではまだまだ時間があるので、どうせ何度も手直しすることになるのだろうが、とりあえず一安心。
実験は8割方順調。あとの2割は、たぶん人為ではどうにもならない原因によるもののような気がするので、諦めて他の道を考えることにする。月曜にはPCRのプライマーを9本注文したので、水曜にはそれが届く。これを試してみるのも楽しみ。

週末は、読書、マンガ読み、DVD観賞、ビデオに録ったサッカー(チャンピオンズリーグ)の試合観戦、料理、などなど、ちょっと買い物に出た以外は家の中でマターリと過ごしていた。
読書は、ジョナサン・カラーの『文学理論』、まだ途中だけどなかなか面白い。田中耕一『生涯最高の失敗』。去年のノーベル賞の時期にはベルリンにいたので、当時の日本での「田中さんブーム」についてはよく知らないのだが、すごく実直で真面目な方ですね、田中さん。質量分析についての、ものすごく分かりやすい説明が読める本。仲正昌樹『「不自由」論』、これも途中までだが、アーレントについては何も知らなかったので勉強になる。
マンガもいろいろ消化しているが、とよ田みのる『ラブロマ』、なかなか良い感じですね。なごみます。ただ主人公(星野くん)が彼女(根岸さん)の友達をずーっと名前(陽子さん)ではなく「根岸さんの友達の人」と呼び続けるのは、ちょっとね。もし僕が根岸さんだったら、そういう男は、その一点だけでパスですけどね。まあ他愛のないコメディなんだから、そんなとこに突っ込み入れてても仕方ないんですけどね。
DVDは『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』を観て、あ、そうそうビデオに録っておいた『ピンポン』も観た。他のキャラはともかく、スマイルの造形は良いね。すごく可愛い。
サッカーは、シュツットガルト! マンチェスター・ユナイテッド相手に見事な勝利! ディフェンスが素晴らしかった。ブンデスリーガでも無失点記録を伸ばし続けているシュツットガルトのディフェンスだが、欧州の強豪相手にもちゃんと通用する事を示した。頑張って次のステージまで進んで欲しい。そういえば今年はサッカーばかり観てNFLをあまり観ていない。もうすぐラグビーのワールドカップも始まるわけだが。観る時間はあるのか?

金森修『ベルクソン 人は過去の奴隷なのだろうか』、『通勤・通学、スポーツ自転車の本』3、別冊宝島『僕たちの好きなタイムボカンシリーズ』購入。僕は「ヤッターマン」が好きでした。とくにボヤッキーが。


2003.10.04

後期の授業が始まって、実習関係の雑用が多い今日このごろ。落ち着いて実験ができない。一番がっくり来たのは、実習室の実験台を夏休みの間に設置してもらう予定だったのが、業者の人がサイズを間違えて、実験台の下に顕微鏡を収容できないという事態になってしまったこと。急遽作り直してもらって顕微鏡は収められるようになったものの、まだ扉がちゃんと閉まらない状態になっている。

そんなこんなでバタバタしながら、細々と実験。それと、今月の下旬に生命科学セミナーで話すことを引き受けたので、その準備をしている。これは総合科学部の生命科学系で運営しているセミナーで、通称「ピンクセミナー」と呼ばれている。なぜ「ピンク」かというと、うちの学部の理系が運営しているセミナーには環境科学セミナー、物質科学セミナー、生命科学セミナーというのがあって、それぞれチラシが水色、黄色、ピンク、と色で区別されているのですね。で、そのチラシの色にちなんで「ピンクセミナー」と。なかなか素敵な呼び名だとは思う。余所からお客さんが来た時にやってもらうセミナーとか、ドクター論文の公聴会なども、このセミナーの枠の中で行われているが、学部のスタッフが最近の仕事の状況を代わるがわるに話すという場にもなっている。大学院の授業でもある。で、そこで最近の僕の仕事の事とか、考えていることなんかを話すことになったわけ。
枠はだいたい1時間ぐらいなので、学会などに比べるとかなりたっぷりと話す事ができる。せっかくの機会なので、進化学会、動物学会で話したネタを組み合わせ、かつ分子生物学会のポスターに出そうと思っているネタもぶち込んで、かつバックグラウンド的なことも少し時間をとって話してみようと思っている。ドイツ仕込みのネタを話した方が良いのかなとも思ったのだが、そちらは今回はパスすることにした。これも面白い話ではあるのだが、もう少しデータがきれいにそろってから、(願わくば来年くらい?)に話ができたらと思う。
例によってApple Keynoteでスライドづくりをしているのだが、最近レイアウトの勉強などを少し始めたせいか、自分でもだいぶ腕が上がっているように思える。2か月前に作った進化学会のスライドを見て、「ここが汚いなあ」などと不満を感じてしまう、というのは、目が肥えてきた証拠だよね? もちろん、まだまだ修行は足りないわけで、いま作っているやつもしばらく後に見たら稚拙に見えるのだろうけれども。

買い物メモ;レナード・コレン『レイアウトひらめき事典』、石田恭嗣『配色アイデア見本帳』、視覚デザイン研究所『7日間でマスターする配色基礎講』、DVD『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』、宮尾岳『並木橋通りアオバ自転車店』9、福本伸行『最強伝説黒沢』2、小山ゆう『あずみ』30、山田風太郎&せがわまさき『バジリスク 甲賀忍法帖』2、とよ田みのる『ラブロマ』1。


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