ライフサイエンス辞書コーパス活用法


目次

動詞の文法とライフサイエンス辞書コーパスを使った分析法
名詞の文法とライフサイエンス辞書コーパスを使った分析法
ライフサイエンス辞書コーパス検索例(演習)
ライフサイエンス辞書・英語共起表現(コーパス)の活用法(動画)

I. 動詞の文法とライフサイエンス辞書コーパスを使った分析法

コーパス検索に必要な文法(動詞)

5文型は、動詞の使い方を表している。動詞の使い方は、以下のパターンで理解するとよい。動詞+to不定詞は、5文型とは別枠で考える方が実用的である。
A. 第1文型 主語+自動詞(+前置詞)
B. 第2文型 主語+自動詞+補語(形容詞/名詞)
C. 第3文型 主語+他動詞+目的語
D. 第4文型 主語+他動詞+目的語1+目的語2
E. 第5文型 主語+他動詞+目的語+補語(名詞/形容詞/to不定詞)
F. 第3文型受動態 主語+be動詞+過去分詞(+前置詞)
G. 第4文型受動態 主語+be動詞+過去分詞+目的語2
H. 第5文型受動態 主語+be動詞+過去分詞+補語(名詞/形容詞/to不定詞)
I. 動詞+to不定詞
J. 特殊文型(There is 〜、It 〜 thatなど)

文型と動詞の種類とには、以下のような関係がある。
1. 半数以上の動詞は、第3文型で使われる
2. 約1/4の動詞は、第1文型で使われる
3. 使用頻度は、be動詞がダントツ1位である
4. 第2文型、第4文型、第5文型の動詞の種類は非常に限られている


検索の方法

ライフサイエンス辞書コーパスを使って検索を行う際のポイントを、動詞の文型ごとに示す。まずは、ここライフサイエンス辞書コーパスの初期設定をクリックして準備しよう。初期設定は、太字で示されている。以下では、初期設定からどのオプションを変更するかのみを示すので、初期設定がよく分からなくなったら、上記のリンクから初期設定に戻って試そう。

動詞検索のポイント:各々の動詞が使われる文型を確認する。前置詞との組合せを確認する。


CとF:第3文型の動詞(他動詞)のポイント
1. 直後に目的語(名詞)がくる(「動詞+冠詞」に注目)
2. 受動態になる(be動詞+過去分詞+前置詞)

<例1:determineの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)

"determine"の検索結果


A:第1文型の動詞(自動詞)のポイント
1. 直後に前置詞がくる(「動詞現在形+前置詞」に注目)
2. 受動態にならない(「be動詞+過去分詞」がない)
代表的な第1文型の動詞。
 belong, consist, coincide, participate, contribute, rely, depend, adhere, respond, originate

<例2:consistの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)

"consist"の検索結果


B:第2文型の動詞(自動詞)のポイント
1. 直後に補語(形容詞/名詞)がくる(「動詞+形容詞」に注目)
2. 受動態にならない(「be動詞+過去分詞」がない)
論文で使う第2文型の動詞はこれだけ!
 be, become, remain, appear, seem, prove

<例3:remainの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)

"remain"の検索結果

<例4:remainの検索の続き>
どのような形容詞を使うのかを調べるために統計値を見る。(オプションの変更:集計値、最大1000行)

"remain"の検索結果(集計値)


G:第4文型の動詞(他動詞)のポイント
1. 論文では第4文型の用例は極めて少なく、受動態のみが使われる。
2. 受動態の直後に名詞(目的語2)がくる(「be+過去分詞+冠詞」に注目)
論文で使う第4文型の動詞はこれだけ!
 be fed
 be administered, be given(第3文型受動態の方が多い)

<例5:be fedの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)

"be fed"の検索結果


EとH:第5文型の動詞(他動詞)のポイント
 第5文型の動詞は第3文型でも使われる。使い分けに注意しよう。

EとH (1):補語が名詞となる場合
1. 受動態の用例が多い。
2. 受動態の直後に名詞がくる(「be+過去分詞+冠詞」に注目)
論文で使う第5文型(名詞補語)の動詞はこれだけ!
 name, designate, term, call, consider

<例6:be namedの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)

"be named"の検索結果


EとH (2):補語が形容詞となる場合
1. 「主語+他動詞+名詞+形容詞」のパターン
論文で使う第5文型(形容詞補語)の動詞はこれだけ!
 render, make, consider

<例7:renderの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行、1行に160文字)

"render"の検索結果

<例8:render cellsの検索>(目的語cellsを入れて検索する)
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)

"render cells"の検索結果

<例9:render cellsの検索の続き>(目的語cellsを入れて検索する)
どのような形容詞を使うのかを調べるために統計値を見る。(オプションの変更:集計値、最大1000行)

"render cells"の検索結果(集計値)

<例10:make itの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)

"make it"の検索結果

<例11:make itの検索の続き>
どのような形容詞を使うのかを調べるために統計値を見る。(オプションの変更:集計値、最大1000行)

"make it"の検索結果(集計値)


E (3):補語がto不定詞となる場合(能動態)
1. 「主語+他動詞+名詞+to不定詞」のパターン
2. usが目的語になるものが多い(「動詞+us+to」に注目)
論文で使う第5文型(to不定詞補語:能動態)の動詞はこれだけ!
 allow, enable, lead, prompt, permit, help

<例12:allowの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)

"allow"の検索結果

<例13:allow usの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)

"allow us"の検索結果


H (4):補語がto不定詞となる場合(受動態)
1. 受動態の直後にto不定詞がくる(「be+過去分詞+to」に注目)
2. 目的のto不定詞句を直後に伴う第3文型受動態に注意しよう(例:be used, be undertaken)
論文で使う第5文型(to不定詞補語:受動態)の主な動詞
 be thought, be believed, be known, be predicted, be expected, be estimated, be hypothesized, be postulated, be proposed

<例14:be thoughtの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)

"be thought"の検索結果


I:動詞+to不定詞のポイント
1. to不定詞があとに続く割合が極めて高い動詞が存在する(「動詞+to」に注目)
2. 第1〜第3文型に相当するが、あえて区別する必要はない
to不定詞を直後に伴うことが非常に多い動詞
 seek, continue, begin, attempt, try, need, help, appear, seem, prove, tend, aim, fail

<例15:continueの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)

"continue"の検索結果



II. 名詞の文法とライフサイエンス辞書コーパスを使った分析法

コーパス検索に必要な文法(名詞)

1. 名詞には、可算名詞と不可算名詞がある。ただし、両方で使われる名詞もある。
2. 可算名詞の特徴:単数形と複数形がある。単数形の前には、冠詞か代名詞が必ず必要である。
3. 不可算名詞の特徴:複数形が存在しない。不定冠詞が付かない。
4. 「名詞+名詞」の前方の名詞は形容詞として働く。

検索の方法

ライフサイエンス辞書コーパスを使って検索を行う際には、オプションの選択が重要である。まずは、ここライフサイエンス辞書コーパスの初期設定をクリックして準備しよう。初期設定は、太字で示されている。以下では、初期設定からどのオプションを変更するかのみを示すので、初期設定がよく分からなくなったら、上記のリンクから初期設定に戻って試そう。


不可算名詞であることを確認する方法
1. 複数形がほとんどないことを確認する
 スクロールして1000例を確認し、複数形の数をカウントする。

<例1:researchの検索>
1000例を確認する。
(オプションの変更:最大1000行、後方ソートのとき検索語の語尾を含める)

"research"の検索結果

2. 単数形の前に不定冠詞a/anが付かないことを確認する
 単数形+前置詞を検索する。

<例2:research inの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:直前でソート、最大50行)

"research in"の検索結果



III. ライフサイエンス辞書コーパス検索例(演習)

検索の方法

ライフサイエンス辞書コーパスを使って検索を行う際には、オプションの選択が重要である。まずは、ここライフサイエンス辞書コーパスの初期設定をクリックして準備しよう。初期設定は、太字で示されている。以下では、初期設定からどのオプションを変更するかのみを示すので、初期設定がよく分からなくなったら、上記のリンクから初期設定に戻って試そう。


<演習>

次の論文のAbstractを演習で用いる。Biodiversity decreases disease through predictable changes in host community competence
動詞を見つけて文型を見極めよう。


1. 動詞の文型
以下の動詞の文型(こちらのA-Jのパターン)を調べよう。また、どのような特徴があるかを考えよう。
underscore, indicate, dominate, become, prove
動詞の検索方法は(こちら)を参照しよう。

<underscoreの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"underscore"の検索結果

<indicateの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"indicate"の検索結果

<dominateの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"dominate"の検索結果

<becomeの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"become"の検索結果1
・統計値を見る。(オプションの変更:集計値、最大1000行)
"become"の検索結果2

<proveの検索>
・50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"prove"の検索結果1
・統計値を見る。(オプションの変更:集計値、最大1000行)
"prove"の検索結果2


2. 前置詞の用法
「名詞+前置詞」、「形容詞/過去分詞+前置詞」の組合せを調べよう。
ポイント:前置詞の用法は、前の単語との組合せを知ることが最も重要である。


・「名詞+前置詞」の組合せ
ポイント:名詞の後に来る前置詞はofが圧倒的に多い。しかし、of以外の前置詞がよく使われる名詞もある。
次の名詞の後でよく使われる前置詞は何かを調べよう。
 change, decrease, correlation, relationship, ability, approach

<changeの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"change"の検索結果

<decreaseの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"decrease"の検索結果

<a decreaseの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"a decrease"の検索結果

<correlationの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"correlation"の検索結果

<relationshipの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"relationship"の検索結果

<abilityの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"ability"の検索結果

<approachの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"approach"の検索結果


・「形容詞/過去分詞+前置詞」の組合せ
次の形容詞の後でよく使われる前置詞は何かを調べよう。common
方法:「be+形容詞/過去分詞」を調べる。

<be commonの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:最大50行)
"be common"の検索結果


3. 特徴的な名詞の用法
次の名詞は、どのようなパターンで使われるかを調べよう。decade

<decadeの検索>
50例を眺めて傾向をつかむ。(オプションの変更:直前でソート、最大50行)
"decade"の検索結果