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主観的印象からの検索

何枚かの絵画に対する印象を利用者に答えてもらったデータに対して、正準相関分析 を適用すると、その利用者の印象ベクトルと画像特徴ベクトルとの相関が最も大きく なるような写像が構成される。これにより、そのままでは比較することが出来なかっ た印象ベクトルと画像特徴ベクトルとの比較が可能となる。もちろん、有効な検索の ためには、正準相関分析のための学習用のデータはデータベースに蓄えられる絵画の 特性を充分反映するように選ばれていなければならない。また、絵画の検索を高速に 行なうには、検索空間の次元 $L$ は小さい方がよい。正準相関分析を用いると、印 象ベクトルと画像特徴ベクトルの相関の大きい(固有値の大きい)成分から順番に正 準主成分が構成されるので、検索空間の次元を減らすことができる。検索空間の次元 は検索時間に直接的に関係するので、この次元を減らすことは検索時間の短縮につな がる。

図 9.7: 印象語からの検索
\begin{figure}\begin{center}
\psfig{file=images/fig-9.7.eps,width=130mm}\end{center}\end{figure}

一度、正準相関分析により各利用者の印象と絵画の色彩特徴との相関関係を学習して おくと、次のようにして、その利用者の主観的印象に基づいた印象語からの絵画の検 索を行うことができる(図9.7)。

印象語からの絵画検索の手順
  1. あらかじめデータベースに蓄えられている全ての絵画から画像特徴 $\mbox{\boldmath$y$}_k$ を抽出し、 $\mbox{\boldmath$t$}_k = B^T \mbox{\boldmath$y$}_k$ を計算しておく。

  2. 利用者の主観的印象を表す印象ベクトル $\mbox{\boldmath$x$}$ に対して $\tilde{\mbox{\boldmath$t$}} = \Lambda A^T \mbox{\boldmath$x$}$ を計算する。

  3. $\tilde{\mbox{\boldmath$t$}}$ との距離が近い $\mbox{\boldmath$t$}_k$ をもつ絵画を出力する。



Takio Kurita 平成14年7月3日