スペイン旅日記(その7) 〜セビージャ・ヘレス近郊の町 その2〜


2004年3月9日 〜Vejer de la Frontera(ベヘール・デ・ラ・フロンテーラ)〜

ヘレスからベヘールへは直行バスがないため、カディスで乗り換える。カディスからは1時間半ほど。 バスのなかでは、地元のおばちゃんたちが大きな声で話をしている。知り合いかどうかなどまったく 関係なく、だれかれとなく声をかける。誰かが、わたしたちが乗っているバスを無理やり追い越していく車に 大声で文句をいうと、かなり年のいったおばあちゃんがそれに大声で答える。どっと笑いがおこる。 ちょうど総選挙の真っ最中だったため、政治の話になると、がぜんバス全体が盛り上がってくる。どの候補が いいのか、それぞれが自分の意見をぶつけ合っているようだが、スペインの政治には詳しくないので、 あまり理解できなかったのが残念だ。わたしもいろいろと話しかけられたのだが、アンダルシア地方の田舎 のおばちゃんのスペイン語には慣れていないためなかなか苦労した。ベヘールに行くといったら、「あそこには ビーチがないよ。」などといっていた。ベヘールから30分ほどのところには海水浴を楽しめる海岸があるようだ。 もちろん、この時期に泳ぐことはできないだろうが。とにかく、アンダルシアのおばちゃんたちは元気だ。 のんびりとしたローカル・バスの旅になるかと思っていたが、予想外ににぎやかな旅となった。

ベヘールの村は、アンダルシアに特徴的な pueblos blancos(プエブロス・ブランコス=白い村むら)のひとつとして 有名である。まずは、バスの停留場の裏にある公園内の観光案内所で地図をもらい、帰りのバスの便を確認。 ヘレス行きもあるようだが本数が少なく、帰りもカディス経由に決めた。ただし、こちらの本数も多いとはいえず、バスの 時間にあわせての散策となった。とはいえ、山の上につくられたベヘールの村の見どころは、城壁に囲まれた 小さな旧市街地にあり、散歩するだけであればたいして時間はかからない。とくに観光スポットがあるわけでは なく、この村では、ただただ白い町並みをながめながら、のんびりと散歩するだけだ。



村の中央広場


  


  




   村は、オリーブ畑のなかにぽつんとうかんでいる



2004年3月10日 〜los Arcos de la Frontera(ロス・アルコス・・デ・ラ・フロンテーラ)〜

いよいよヘレスを離れ、ロス・アルコスに向かう。ヘレスからはわずか30分ほどの村。ここでは、スペイン国営 ホテル、Parador(パラドール)に泊まってのんびりと過ごすのが目的である。パラドールとは、かつてのお城 や修道院などをホテルに改装したもので、建物は古いが(カディスのように近代的なパラドールもある)、 そのかわり、重厚な雰囲気をただよわせたおもむきのあるホテルとなっている。最高級ホテルというわけでは ないが、設備・サービス・雰囲気は申し分ない。アルコスのパラドールは、Casa de Corregidor(カサ・デ・コレヒドール =王室代理官の家)であった。オレンジ色の壁に青いタイルの廊下やパティオが美しい。

  

断崖に面したバル。その奥にテラス、レストラン、客室がある。



パラドール内のバル

アルコス(arcos)とはアーチのことであり、この村が岩山の上に築かれた細長いかたちをしているところ からその名前がつけられたのであろうか。中心地のla Plaza de Cabildo(ラ・プラサ・デ・カビルド=カビルド広場) は断崖絶壁の上にあり、そこの展望台からは乾燥した草原地帯が一望できる。パラドールもこの 広場の一角にあり、バルのテラスや客室からこの風景が堪能できる。観光パンフレットには、 Se dice que Arcos es el pueblo ma's bonito de Andaluci'a, e incluso nos atrevemos a decir que de Espan~a.(アルコスは、アンダルシアのなかでもっとも美しい村であるといわれている。わたしたちは 思い切って、スペインのなかで、とまでいおう。)とある。白い壁、迷路のように曲がりくねった小道、 狭い階段、そのなかで走り回る子どもたち、確かにこの村は美しい。

  

  

カビルド広場の展望台から、沈む夕日を眺める。


   

アルコスの新市街(左)と旧市街(右)



青い空と白い村むらは、アンダルシア地方の特徴的な風景のひとつであるが、このあたりはバスの便も少ない ため、多くの村を短期間で訪問するのは難しい。カディスやヘレスなどの町を拠点としてバスを利用するか、 または、レンタカーを借りるのが一番効率的である。とはいえ、こうした村むらを訪れるのに、なぜ 「効率」などを求める必要があるのだろうか。

翌日、目を覚まして何気なくテレビをつけてみると、めちゃくちゃに壊れた列車の映像に目が釘付けとなった。 何が起こったのか理解できず、テレビに見入った。マドリードでテロが起こったのだ。

つづく



前のページ        次のページ