ガンマ10ミラープラズマ
ガンマ10
プラグポテンシャルとバリアポテンシャルを用いて高温高密度プラズマを生成するのがガンマ10タンデムミラーの主目的です。
ガンマ10は軸対称なミラー磁場をもつ1つの中心セルと2つのプラグバリアセル、ならびにそれらの間に非軸対称な極小磁場配位をもちプラズマの磁気流体力学的安定性を与える2つのアンカーセルとから形成されています。
下の図はガンマ10の模式図です[(a) 磁場コイルの配置, (b) 磁力線, (c) 磁場の強さ, (d) 電子サイクロトロン加熱時の磁力線に沿ったポテンシャル]。
ガンマ10でのイオンサイクロトロン周波数帯加熱
プラズマ生成時にはまず両端にあるプラズマ銃で生成されたプラズマが 1ミリ秒だけ磁力線に沿って入射されます。その初期プラズマはイオンサイクロトロン周波数帯加熱(RF1,RF2,RF3)と水素ガス注入によって維持されます。RF1は9.9MHzと10.3MHzの周波数でRFパワーを供給し、中心セルでのプラズマ生成とアンカーセルでのプラズマ加熱を担っています。中心セルでのプラズマ加熱は主にRF2が行っていて、周波数は中心セルでの陽子のイオンサイクロトロン周波数6.36MHzとなっています。RF3は36~76MHzの周波数を用いて、中心セルでのプラズマ生成と高エネルギーイオンの生成を担っています。
高イオン温度磁気ミラープラズマでの揺動計測
ミラープラズマでは様々な揺動を計測することができます。なかでも特徴的なのが、アルフベンイオンサイクロトロン(AIC)波で、これはイオンの速度分布の強い非等方性によって励起される波動です。ガンマ10の中心セルでは閉じ込められたイオンがRF2で加熱されるとイオンの温度非等方性は10を超えます。磁気プローブを用いて計測されたAIC波のFFTパワースペクトルの例が下図に示されています。
また、フルート揺動やドリフト揺動といった静電揺動も計測することが可能で、これらの揺動を詳しく調べることによりプラズマ粒子の閉じ込めを改善することができます(詳細)。
参考文献
M. Ichimura, et al., Phys. Plasmas 8 (2001) 2066.
K. Yatsu, et al., Nuclear Fusion 41 (2001) 613
R.Katsumata, et al., Phys. Plasmas 3 (1996) 4489.
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