1999年8月2日(月)から2000年3月31日(金)まで,文部省在外研究員(若手教官)として,
アメリカ合衆国テキサス大学オースチン校に派遣されることになりました。

このページでは,8ヶ月にわたる滞在の記録をつづっています。


9月1日−15日 : 引越し

9月1日(水)
朝一番で,こわれためがねを日本に発送した。
運転用のきついめがねをかけて,昼まで勉強していたが, 頭痛がしてきたのでホテルにひきあげた。
9月2日(木)
こまったことだが,目がなれてきた。
朝から大学で研究。
昼過ぎに,Gordon 先生が部屋にこられて,ランチにいこうと誘われた。
朝,妻に作ってもらった弁当(ハンバーガー2つ)があったのだが, ことわるわけにはいかない。
今日は,Gordon 先生とJohn Luecke と私の3人だけだった。
結び目理論を研究するものにとって,なんともぜいたくな取り合わせだ。
大学内の学生寮の中にあるカフェテリアでランチ。
$6 で,あとは取り放題。
といっても,よくわからないものが多いので,適当にしか注文できなかった。
Gordon 先生が3人分,$18 を払ってくださったが, 私は$5 か$20 札しかないといったら,$5 にまけてくださった。
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昼食後,John に,Osoinach の論文のコピーをもらえないかと お願いしたら,コピーしておくといってもらえた。
説明するのに15分あれば十分というので,部屋についていったのだが, ちょうどoffice hour ということで学生が質問にやってきた。
レジメのようなものだけをもらってきた。
Osoinach の構成というのは,無限個の異なるhyperbolic knot で, ある整数surgery の結果がすべて同じになるものを与えるというものだ。
整数スロープは,なんでもよい。
任意有限個でよいなら,satellite knot で私が以前,構成した。
だから,とりわけ興味があったのだが,John の学生だった Osoinach は研究者としての道は歩まず,教師になったそうだ。
ここでOsoinach construction を説明しても仕方ないが, それから派生して,(2p,2q)torus link のbanding でunknot を 作れるのは"明らかな"banding しかないことを, Gordon-Luecke が示したとある。
特に,strongly invertible knot のsurgery による レンズ空間L(2p,1) の非生成という平澤−下川の結果の 別証明も与えている。
9月3日(金)
今日もランチに誘われてしまった。
今日も一応弁当をもってきていたのだが,Gordon 先生に誘われては 断れない。
今日は,Gordon 先生,Alan Reid, Rob Williamsと私の4人で, 中華料理店にいった。
私は焼き飯を注文し,ほかの人は中華どんぶりのようなものを 頼まれた。
焼き飯は量が多い以外は,普通だった。
ほかの人たちは,ちょうどカレーライスのような感じで, ひとつの皿にごはんと中華どんぶりの具がのってでてきたものを, 箸で混ぜ合わせて食べておられた。
9月4日(土)
今日は朝からAustin 動物園へ出かけた。
「ゆい」は夕べから盛り上がっていた。
それほど大きいものではなかったが, 「ゆい」は楽しかったようだ。
ほかの子供たちが動物に"えさ"をあげているのをみて, 自分もやりたくなったようだ。
怖がりながらも,手のひらにのせたえさを,ぺロっと 山羊に食べてもらっていた。
その後,私と山羊がたくさんいる柵の中に入ったのはよいのだが, 山羊に大好きなメロン色のスカートをかまれて, キャーキャー悲鳴をあげてしまった。
弁当を食べた後,帰り道で楽器屋に立ち寄った。
今朝,新聞で広告をみたからだ。
アコースティックギターがほしいのだが, 値段は日本とそれほど変わらない。
ただ,品数が少なかったので,他の店も見てからだ。
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ホテルにもどって,みんなでプール。
明日の日曜は,遊園地にいってみよう。
9月5日(日)
遊園地は昼から開園なので,午前中は まだいったことのないモールへいってみた。
午後から,Kiddie Acres という遊園地へ行った。
遊園地といっても,広島のそごうの屋上にあるプレイランドよりも 規模は小さいし,乗り物も小さくて古い。
駐車場も無料なら,入場料もなし。
10枚つづりの乗り物券を買い,「ゆい」は順番に 乗り物にのっていった。
ほとんどのものはチケット1枚でのれるのだが,すぐに 全部のってしまった。
2回のったものをあるが,かんかん照りの暑さに, 「ゆい」の顔も真っ赤になってきたので, 2枚のチケットを次回に残して引き上げた。
ホテルに帰ってプールで泳ぐ。
暑い日はプールにかぎる。  
9月6日(月)
今日はLabor Day という祝日。
大学は休みで,朝からCentral Market というまだいったことのない 市場に行ってみた。
午後は,ホテルでプール。
夕方,Hancock へ買い物。
ここにも大きな楽器店があることがわかった。
ギターの品揃えも充実している。
買うならこちらかもしれない。
9月7日(火)
7月末に発送した荷物の一部がようやく届いた。
ホテルの滞在もあと3日を残すだけとなった。
早く落ち着きたい。  
9月8日(水)
トポロジーセミナーは毎週月曜日なのだが, 今週は祝日でとんだため,今日セミナーが開かれた。
講演者はGordon 先生。
"Small surfaces and Dehn filling" という題目で,1時間話された。
参加者は前回とほぼ同じだった。
内容は,これまでの結果のsurvey と新しい結果だった。
詳しい内容は複雑になるので,ページを改めて書いていますので 興味のある方はみてください。(セミナーの内容
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今日は厳しい暑さだった。
大学のキャンパスには,たくさんベンチがあり, とても多くの学生たちが,木陰になったベンチに座り,勉強している。
日本ではみられない光景だ。
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テキサス大学オースチン校のシンボルともいえる塔の展望デッキが まもなくオープンするそうだ。
ずいぶん昔から閉鎖されていたらしい。
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「ゆい」が寝た後,21時からCineMaxというチャンネルで, 「Titanic」をやっていたので,ついついみてしまった。
実は初めてだったのだが,さすがJames Cameron という映画だった。
おかげで寝るのが遅れてしまった。
9月10日(金)
今日はいよいよアパートに引っ越す日だ。
ホテルで最後の朝食後,とりあえずの荷物を車にのせて,すぐ近所の アパートに向かった。
入居の手続きを済ませて,荷物を部屋にいれる。
すぐにホテルに戻り,荷物を積み込む。
家具のレンタルの配達を待つ必要があるため,アパートに妻と「ゆい」は残し, 今度は私1人で ホテルに残りの荷物を取りに帰った。
それで自転車をのぞくすべての荷物を車に詰められたので, ホテルのチェックアウトを済ませた。
アパートに戻ると,まもなくしてレンタルの家具が届いた。
妻と「ゆい」も一緒にホテルに戻る。
妻が「ゆい」を後ろに乗せて,自転車でアパートに戻るためだ。
自転車でも10分ほどの距離にあるのが幸いだった。
1ヶ月お世話になったホテルのフロントの女性や,食堂のおじさんや 掃除のおばさんにお別れをして,とうとうHawthorn Suites Hotel を去るときがきた。
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アパートは,2 Bedroom 2 Bathroom。Trestles という3階建てのアパート群の中にある。
12室の棟が14ほどあるようだ。プールも2ヶ所ある。
出入り口はゲート付きで,なかなかおもしろい。
車で帰ってきたときはカードキーを使ってゲートを開け, 出るときは暗証番号を押す仕組みになっている。
部屋は,広島のアパートよりも若干広いぐらいだ。
8月に初めてみたときは,きれいなアパートだと思ったが,よくよく見ると, いくぶん安普請かと思われる個所が見受けられた。
それでも,我々にはほかの選択肢はないし,十分だ。
「ゆい」も日本からもってきていたビデオをとうとう見れるときがきて,久しぶりの 日本語番組を楽しんでいる。
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明日は買出しに出かけなければならない。  
9月11日(土)
今日からは掃除も自分たちでしなければらない。
妻は料理好きなので,食事は作ってくれる。
朝起きたら,トイレと風呂の掃除は私がすることになった。
風呂掃除は日本でもやっていたけれど。
アメリカはたいてい食器洗い機がついているようだが,我が家では 私が洗うことも多い。
水道,ガスは家賃に含まれているが,電気は違う。
電気代がどのくらいかかるのか,1ヶ月たたないと予測できない。
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私たちの部屋は2階にあり,3階の住人の歩き回る音がどんどん響いてくる。
うちも「ゆい」がいるから,1階にはずいぶん響いているかもしれない。
やっぱり,思っていたほどのアパートではないようだ。
それでもやっと落ち着くことができて,気持ちも安らぐ。
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さっそく買出しに出かけた。
とうとう掃除機を買ってきた。
何週間も前から妻が広告で研究して,いくつもの店をまわって,調査済み。
迷わず,Big K という店で,売り出しのEureka 社製掃除機を $59 で買った。
試してみると,音がうるさいわりには大して吸わない。
妻は期待が外れてがっかりしている。
やはり安物ということだろうか。
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午後には,「ゆい」はさっそくアパートのプールを楽しんだ。
9月12日(日)
今日の夕方,東京大学から松田君がやってくる。
彼は2年滞在する予定だそうだ。
空港まで私が迎えにいくことになっている。
「ゆい」は昨日の夜から,「まつだくん,まつだくん」といって 楽しみにしている。
実は,ずうずうしくも,松田君にいろいろと買い物を頼んだのだ。
妻がリスト(マヨネーズとか海苔とか)をつくり,e-mail で彼に連絡しておいたのだ。
その中には,「ゆい」のため,「幼稚園」という付録付きの雑誌も 含まれている。
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夕方,3人でBergstrom 空港まで車をとばした。
途中,道を間違えたので,到着時間ぎりぎりになってあせったが, 幸い間に合った。
8月2日,私たちが到着したなつかしいターミナルにやってきた。
松田君の到着便は,奇遇なことに私たちと同じ便だ。
案内をみると,ちょうどダラスから到着したようだ。
ところが待てども待てども松田君は出てこない。
ダラスで乗り継ぎをミスったか,なにかあったのか,あるいは 私が到着日を間違えたのかなどと,不安になっていると, 20分ほどして,ダラスからの次の便で松田君がやってきた。
関西空港からの便のダラス到着が40分遅れたそうで, おかげで乗り継ぎ便に乗れず,1本遅れたとのこと。
待っていてよかったというか,ダラス−オースチン間は 頻繁に便があって本当に幸いだった。
もし会えていなかったら,連絡の取りようがなかった。
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松田君を車に乗せて,highway を走り,Big K へ。
松田君はうちに泊まってもらうのだが,当然,ふとんはない。
遅かれ早かれ,松田君も必要になるからと説明して, Big K でさっそく$21 のコンフォーター(かけぶとん)を買った。
お金は私が払い,松田君に頼んだ日本からの"おみやげ"代と相殺ということにした。
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そういえば,アパートへの帰り道,最後の交差点を右折したとき, 左側にいたパトカーが突然サイレンをならして追跡してきた!
右の方に車を寄せると,パトカーは私の車を追い抜いていった。
あまりのことに心底驚いた。
アメリカでは赤信号でも,一旦停止の義務すらなく,右折可能だ。
それが禁止されている交差点もあるが,そこの交差点はそうではない。
私も助手席の松田君も義務付けられたシートベルトは締めていた。
私の予想では,右折した私の車を見て,なんらかの違反を勘違いして, パトカーは追跡してきたが,すぐに誤りに気がつき,何事もなく 追い抜いていったのではないだろうか。
妻は,急に何かの連絡が入って,サイレンを鳴らして,交差点を 通過して,たまたまこちらと進行方向が一致しただけではないかというが, 私の車を追い抜いたらサイレンも止めたし,急いでいるようには見えなかった。
すんだ事だが,ぞっとする体験だった。
9月13日(月)
9時過ぎに,松田君と2人で大学へ向かう。
Nita さんのところにつれていったが,手続きは私がわかるでしょという感じで, あとは私と2人で,ID の発行,図書館の登録,鍵の発行を回った。
昼になったので,一旦アパートに戻り,昼食後,車で私と松田君は Social Security Office へ向かう。
20分ほどですんなり申請は終わり,その足で, Apartment Finding Service へ向かう。
私のときお世話になったAlan さんは留守だったが,別の女性がよいアパートを 見つけてくださった。
さっそく,3人でアパートを見にいった。
UT shuttle bus 沿線にあり,場所も家賃も悪くない。
すぐにdeposit を払って,松田君は明後日,引越しできることとなった。
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今日,私が7月に送った荷物と妻が送った荷物の1つが届いた。
これで残るは妻が送った荷物1つとなった。
9月14日(火)
今朝は朝から大仕事を片付けた。
アパート内にある公衆電話から,まずケーブルTVに電話して契約をして, つぎに電話会社に新規申し込みをしたのだ。
ケーブルTVの方は,WWWでどんなパッケージがあるか 事前に調べておいたおかげで,まずまずすんなりといった。
明日の午後にセットアップに来てくれるそうだ。
電話の方は,うわさに聞いていたが大変だった。
電話の声が遠いうえに屋外の公衆電話なので,聞き取れない。
いろんなオプションを尋ねられたが,あとからでも追加できると知っていたから, とにかく何にもオプションはいらないと繰り返した。
親切なオペレーターの女性だったことも幸いだった。
今日中に,HEB でセットアップ料金を払い込めば,明後日には 使えるようになるそうだ。
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アパートの契約書のコピーが届いた。
辞書を引きながら確認していると,家賃が$825 となっていることに気がついた。
8月にdeposit をしたときは$815 と聞いたし,そのときの書類のコピーにもそう書いてある。
明日確認しなければならない。  
9月15日(水)
8時半になって事務所が開くのを待って,家賃の確認をした。
$825 が正しいとのこと。
1年リースなら$10 安くなり,間違えたとのこと。
いいかげんな話だが,いまさらのことなので,問題ないといっておいた。
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9時前に松田君を,車で彼の新しいアパートへ送った。
電気の契約を大至急する必要があり,電話をかけたが, ずいぶん苦労したようだ。
彼の勉強のためと思い,私は手伝わず。
その後,HEB までいっしょにいって,買出しに付き合った。
彼をアパートまで送り届けて,私も昼過ぎには自分のアパートに戻る。
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実は,今朝から「ゆい」が少し熱を出している。
どうも風邪をひいたようだ。
広島のかかりつけのお医者さんから薬をいただいてきているので, まずは大丈夫だと思うが様子をみている。
微熱で,元気はあるし食欲もある。
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午後3時過ぎ,ケーブルTV のセットアップにきてくれた。
設定はすぐに済んだのだが,チャンネルを確認していくと, 追加で頼んだ2つの映画チャンネルが入らない。
すぐに電話をかけて確認すると,料金には確かに含まれているとのことで, 明日の午後にもう一度,技術者が来てくれることになった。
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昨日の家賃のことといい, なんでもその場でしっかり確認しないといけないことを痛感する出来事だった。
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6時過ぎ,驚いたことにケーブルTV から人がやってきた。
しかし,いまいち状況が伝わっていないようだっだ。
状況を説明してみてもらうと,確かに2つのチャンネルがちゃんときていないようだという。
明日,ケーブルTV の会社へ電話してくれという。
妙な話だが,そういうものだとあきらめたが,6時半ごろに 電話してみた。
返事はあっさりしたもので,明日の午後にいくという。
明日こそは決着がついてほしい。
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電話の方も,明日から使用できると聞いていたのだが, 夜になぜか電話がかかってきた。
私は「ゆい」をお風呂にいれていたので,妻がでた。
番号はあっているのだが,うち宛てではない。
推測はできるが,明日になったら確認してみよう。

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